【完】転職ばかりしていたらパーティーを追放された私〜実は88種の職業の全スキル極めて勇者以上にチートな存在になっていたけど、もうどうでもいい

冬月光輝

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第ニ章:新たな侵略者、【魔界貴族】編

第22話:ジェノスと一緒に魔界に行く話

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 ラミアが赤色の悪魔に攫われた。
ジェノスが言うには【魔界】に【バルバトスの館】という場所に連れて行かれた可能性が高いらしい。
そして、ジェノスは私に共に【魔界】に行こうと誘ってきた。

「へっ、ジェノスさん。【魔界】に行ったことがあるのですか?」
 私は驚いてジェノスを見た。
というか、高等魔法の移動魔法でも【魔界】に行くなんて無理だ思うが……。
次元を跳躍しなくてはならないのに……。

「まあね。仕事柄、【地上】と【魔界】はよく往復してるんだ。それでさ、今日はオフのつもりだったけど、実は僕も【バルバトスの館】には用事がある。ルシアちゃんはラミアちゃんを助けるついでに僕の仕事を手伝ってよ。手伝ってくれるなら今すぐ【魔界】に連れてってあげるからさ」
 ジェノスは何の仕事をしているのかとても気になったが、願ってもない話だ。

「その話が本当なら、連れていってほしいです。手助けできることなら何でもしますから」
 私は懇願した。

「オッケー、交渉成立だ。じゃっ行こうか」
 ジェノスは私と肩を組んだ。

「エリス様達は危ないから少し下がっていてねぇ」
 ジェノスは相変わらずな口調だった。

「待って、本当に【魔界】に行くのね……。信じられないけど……。でも、それなら……。ルシアール、いいえルシア、あなた武器を持ってないでしょ。私の剣を貸してあげるわ。……でも、貸すだけよ。必ずラミアと一緒に返しに来ることを約束しなさい」
 エリスは私に剣を手渡した。
【エリスの剣】を手に入れた。

「はい、約束します。エリス様」
 私はエリスの気づかいに感謝した。

「じゃあ、行ってくるよー」
 ジェノスの体が少しだけ熱くなったような気がした。
この人から感じられる力は今まで会った誰よりも強い。

ジェノス
【???スキル発動】

 次元跳躍移動魔法

――ヒュン

――【魔界】、とある荒野――

 私の目の前の景色が一瞬で変わった。
目の前には薄暗い荒野が広がっていた。

「ここが、魔界だよ。辛気臭い場所だろ」
 ジェノスは遠くを眺めながら言った。
なるほど、そこら中から得体のしれない気配を感じる。
それに空気も独特の粘り気があり、呼吸しにくい。

「ジェノスさん、あなたは一体……」
 私はジェノスの顔を見た。

「ルシアちゃーん。そいつは内緒だって言ったでしょ。今回の僕の目的っていうかさ、目標は【バルバトス公爵】の命を奪うことなんだよねぇ。もちろん、ラミアちゃんに危害が加えられないようには気をつけるよ。だから、【バルバトスの館】に着いたら戦闘は避けられないから準備しててね」
 ジェノスは私に説明をした。

 やっぱり、何者っていうことははぐらかすんだな。
でも、ラミアの居場所まで案内してくれるみたいだし、ジェノスさんがどんな人かどうかなんてこの際、どうでもいい。

「わかりました、私は戦いますよ。ラミアを助けるためなら誰とでも……」
 私は元よりその覚悟だ。
悪魔共め、絶対に許さん……。

「いい殺気だね……。うん、これなら心配なさそうだ。【バルバトスの館】はすぐ近くなんだ、付いてきてくれ」
 ジェノスはそう言って走り出した。

「ええ、わかりました。急ぎましょう」
 私も一緒に走り出す。
待っていろ、必ず助けるからな……。

 荒野を猛スピードで駆け抜ける。
私とジェノスは走って【バルバトスの館】に向かっていた。

【忍者スキル発動】

 忍び走り

 私は体力にも脚力にも自信があったが、【忍者】のスキルを使ってやっとジェノスのスピードに並ぶことが出来た。
この人、涼しい顔してなんてスピードで走っているんだ……。

「そうだった、【バルバトスの館】に行く前に質問したかったんだけど、ラミアちゃんって普通の人間じゃあ無いよね? まぁ、初めて会ったときから違和感があったけど、【バルバトス公爵】が普通の人間をわざわざ狙うなんてありえないからねぇ」
 ジェノスは走りながら質問をした。
こっちは付いていくのに精一杯なんだけどな、まあ疲れるけど、話すことが筋だろう。

「ええ、お察しのようにラミアは人間ではありません。実は――――」
 私は簡単にラミアについて話をした。

「――――とまあ、こういう訳みたいなんですけど……」
 私の説明は終わった。
ところで、さっきすぐ近くって言ってたけど、まだ着かないのか?
もう200キロメートルは走ってるぞ。

「ほう、【加護の力】が【呪いの力】か……。興味深い話だねぇ。しかし、それだけであんなに大掛かりなことをするのは考えにくい……。うーん、【バルバトス公爵】はラミアちゃんの秘密をもっと知っているのかもしれないねぇ」
 ジェノスは髭を触りながら言った。

「ラミアの秘密ですか? でも、ラミアが何か隠し事をしてる感じはなかったですけど」
 私は心当たりがなかった。

「もちろん、ラミアちゃん自身が知らない可能性もある。僕の予想だとそれは大きな力のような気がするねぇ。なぜなら【バルバトス公爵】は力に飢えているんだ。【魔界貴族】が地上も魔界も手に入れるためにね。おっと、おしゃべりしてたら通り過ぎるところだったよ」
 ジェノスは足を止めた。
【大きな力】か、そんなものがラミアに……?

 目の前には古びた洋館が建っていた。
【魔界貴族】というだけあって、なかなか大きな屋敷に住んでいるのだな。
ここにラミアが連れられた可能性が高いのか……。
さあて、この大仰な鋼鉄の門をどのようにして攻略するか……。

「あのう、どうやって侵入しますか? 隠密系のスキルなら幾つか使えますけど……」
 私はジェノスに作戦について尋ねた。
【魔界】の三大勢力なら、恐らく敵は【魔王軍】の幹部クラス以上の力があるのだろう。
こっちはたったの2人だし、正面突破なんて……。

ジェノス
【???スキル発動】

 魔闘気漆黒弾(ダークマター)

 ジェノスの右手から黒いオーラの塊のようなものが放たれた。

――チュドォォォォォン

 扉は大爆発して黒い煙を巻き上げる。
この人は何やってんだ?

「いやぁ、もうちょっと大きい穴を空けてやろうとおもったんだけどさぁ、加減しすぎちゃったよ。面目ない」
 ジェノスは頭を掻きながら言った。

「ジェノスさん、何考えてるんですか?」
 私はジェノスに詰め寄った。

「はっはっは、こっそり潜入ってどうも性に合わなくてねぇ。ほら、見てごらん雑兵の紫色の悪魔達がワラワラ出てきたよ。じゃっ、ルシアちゃんも適当に奴らの相手しながら僕に付いてきてね」
 ジェノスはニッコリ笑って歩いて破壊した門へと歩いていった。
オイオイ、門から洋館の入口までの間にさっき以上の悪魔の大群がいるじゃないか……。

ジェノス→紫悪魔の集団
【???スキル発動】

 漆黒線(ダークショット)

 ジェノスは指から黒いオーラを連続して照射し、次々と悪魔達の頭に穴を空けていく。

「仕方ない。ジェノスさんがその気なら、私も暴れてやりますよ」
 私は腹を括った。
これは、下手をすると仲間にまでダメージを与える可能性があるからほとんど使ったことのないスキルだが、ジェノスなら大丈夫だろう。

ルシア→紫悪魔の集団
【召喚士スキル発動】

 炎精霊(サラマンダー)召喚

 私は炎の化身の竜を召喚した。

「ピギャーッ」
 悪魔達は次々と断末魔を上げた。
サラマンダーは次々と悪魔を焼却していく。

「ルシアちゃん、面白いスキルだねぇ。まさか、炎精霊(サラマンダー)を見れるなんて思わなかったよー」
 ジェノスは感心しながら私を見ていた。
やっぱり、顔色ひとつ変えないんだなぁ。

「それで、【バルバトス公爵】ってどこにいるんですか? ラミアの居場所を聞き出さなきゃ!」
 私は悪魔を半分ほど燃やしたところで、ジェノスに質問した。

「それが、わからないんだよねぇ。ルシアちゃんを呼んだのは【バルバトス公爵】を見つける手伝いをして欲しいからなんだ。ラミアちゃんを探すついででいいからさぁ。だから、建物の中に入ったら手分けするよ」
 ジェノスは軽々と悪魔を半分以上殲滅していた。
なるほど、情報はゼロってわけね。

 しばらくして、私達は建物の入口にたどり着いた。
ここからが本番である。
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