39 / 87
第ニ章:新たな侵略者、【魔界貴族】編
第37話:英雄達の活躍を目の当たりにする話
しおりを挟む
第三部隊の最初のミッションは丘にある、地点Kまで進軍することだ。
私達、新生ダルバート王国は道中で【ビフロン伯爵】と戦闘して勝利した。
「さて、他のパーティーの様子はどうなんだ?」
ビフロンの口振りだと、【魔界貴族】の幹部は一人だけではなさそうだ。
レオンやフィーナが苦戦をしているなら助太刀をしなくては……。
あそこで戦っているのはレオンのパーティーか……。
相手は……、【ザガン男爵】。
青い巨人というような外見だな。そして、素早い……。
私達は自分の持ち場で下級悪魔の相手をしつつ、いつでも助太刀に行けるように、レオン達の様子を伺った。
今、【ザガン男爵】に立ち向かっているのは、先程レオンを引きずって行ったフレイヤだな。
「デカブツ、スピード勝負でウチと張り合うつもりか? それは、無理やで」
フレイヤは槍を真っ直ぐに構えた。
フレイヤ→【ザガン男爵】
【槍使いスキル発動】
流星突き
フレイヤの槍は流星のように瞬き無数の突きでザガンを圧倒した。
とんでもないな……、全てが急所を捉えている。
「ごの程度の攻撃で、オレをごろぜるものがぁ!」
ザガンは激しい槍のラッシュにも耐えているみたいだ……。
「レオン、お膳立てはこのくらいでええやろ?」
フレイヤはレオンに声をかけた。
「十分だよ、フレイヤ。後はオレに任せるんだ……」
レオンは剣を構えた。
当たり前だが、若干前傾姿勢になるのが特徴的なグレイスと同じ構えだな。
レオン→ザガン
【勇者スキル発動】
光竜一閃(コウリュウノイッセン)
――ズバンッ
ザガンは頭から股まで一気に切り落とされ、真っ二つになった。
あれは、光系魔法を使った魔法剣だな。
しかも剣に込められている魔法力が最上級魔法クラスだ……。
レオンは大魔導士も極めているに違いない。
【ザガン男爵】を一方的に倒してしまった、やはりアレクトロン王国最強のパーティーというだけはある。
よく見たら他のパーティーメンバーが大悪魔を3体も倒しているし……。
「ルシア先輩、あちらでフィーナさんのパーティーが戦闘をしているみたいですよ!」
グレイスが私の肩を叩いた。
【魔導教授(プロフェッサー)】のパーティーの戦いか……、確かに見たい……。
この辺りの悪魔はほとんどやっつけたし、フィーナさん側に少しだけ移動するか……。
「お供させていただきます!」
グレイスはキレイな敬礼をした。
はぁ、もっと肩の力抜いていいぞ。
「ルシア様ぁ、ここから出てもよろしいですの?」
ラミアがバリアの中から私に声をかけた。
そうだな、もう出てもいいだろう。私の近くから離れないようにしろよ。
「はいっ、ルシア様!」
ラミアは私の腕にしがみついた。
もう少し離れろ!
私達はフィーナのパーティーに近づいてみた。
予想通り、【魔界貴族】の幹部と戦闘を繰り広げていた。
それにしても、圧巻だな。
フィーナのパーティーは全員が60歳以上という、平均年齢がぶっちぎりで世界一のパーティーだ。
しかも、フィーナ以外は見た目は思いっきりお爺さんなんだよな。
「ふぉっふぉっ、ジジイとワシらのことを侮ることなかれ。ワシらの姫様、フィーナちゃんには指一本触れさせんぞ!」
「おうよ、ワシ達の50年物のチームワークをみせようじゃあないか」
「なんじゃあ、よう聞こえん……」
3人の老人がフィーナの前に並んだ。
まさか、伝説の3人の【ケンロウ】の戦いが見ることができるなんて……。
【賢老】ジューダス、【拳老】ファルロン、【剣老】ギルディの3人は賢者、武闘家、剣士として全員が超一流だ。
相手は……、黒い鎧に傷だらけの真っ白い顔の悪魔……、【アミー子爵】か。
あの剣は2メートルぐらいあるな。振り回されたらかなりの威力だぞ。
「ふっ、老人をいたぶる主義は無いが、せめて一撃で葬ってみせよう!」
アミーはフィーナ目掛けて大剣を振り下ろした。
――ガキンッ
ギルディの細身の剣がアミーの大剣を受け止める。
ギルディはツルツルの頭を輝かせ、枯れ木のような腕にも関わらず、力でアミーにまったくひけをとらなかった。
「何を言っとったか、よぉわからんが、年寄りに優しく攻撃しようとか言うたんかのぉ?」
ギルディは余裕の表情だった。
「ギルディ、避けろよ!」
ジューダスは長い白髪を後ろに結んで両手に魔力を集中した。
ジューダス→【アミー子爵】
【賢者スキル発動】
最上級雷系魔法
強力な雷撃がアミーに直撃した。アミーは苦悶の表情を浮かべる。
「くははっジューダス、ナイスだ。血肉涌き踊るっ!」
ファルロンの筋肉が大きく盛り上がり、老人とは思えないくらいの体格になった。
ファルロン→【アミー子爵】
【武闘家スキル発動】
猛虎衝撃波
ファルロンは跳び上がり、上空から両手で鋭い突きを放った。
拳圧が巨大な衝撃波となり、アミーを吹き飛ばし、アミーは地面にめり込んだ。
しかし、これだけの攻撃を受けてもアミーはよろよろと起き上がろうとする。
「貴方たち、よく頑張ったわねぇ。妾がトドメを刺してあげる……」
フィーナはゆっくりとアミーの目の前に立った。
「信じられん老人たちだ……、せめて【勇者】フィーナと刺し違えて死んでやる!」
アミーは前傾姿勢で剣を構えて突撃した。
フィーナ→【アミー子爵】
【大魔導士スキル発動】
中級炎系魔法+中級雷系魔法=最上級閃熱系魔法
フィーナは右手と左手にそれぞれ別系統の魔法を作り出し、両手を合わせて合体させた。
フィーナの両手から灼熱のレーザービームが繰り出された。
レーザーはとてつもないスピードでアミーを貫いて、上半身を鎧ごと灰にしてしまった……。
これは、以前見た【バルバトス公爵】の魔法に似ているな。
もっとも、仕組みは全然違いそうだが……。
それにしても、国家的英雄クラスの【勇者】のパーティーの戦闘力はやはり別格だ。
「すごかったな、レオンさんも、フィーナさんも……。いい勉強になった」
私はグレイスに話しかけた。
「ルシア先輩も全然負けてませんよ。私はまだ力不足ですが……」
グレイスは私の隣でそう呟いた。ふん、おだてても何も出ないぞ。
「ルシア様、悪魔達が撤退を始めたみたいですわ。初戦はこちら陣営の勝利ですわね」
ラミアが嬉しそうな顔をした。
ふむ、更に援軍を出すと予想したが随分とあっさり引き下がったな。
何か裏が無ければよいが……。
「ルシア、早く持ち場に戻るわよ。K地点までこのスキに早く動いて陣地を確保しなくちゃ」
エリスが私を呼びに来た。
そうだな、敵が背中を見せていて、動かない手はないもんな。
私達は隊列を整えて、再びK地点を目指して動き始めた。
そして、30分後……。
第三部隊は無事にK地点に陣地を形成することに成功した。
しかし、我々に【魔界貴族】の熾烈な魔の手が迫っていることには、まだ誰も気付いていなかった……。
私達、新生ダルバート王国は道中で【ビフロン伯爵】と戦闘して勝利した。
「さて、他のパーティーの様子はどうなんだ?」
ビフロンの口振りだと、【魔界貴族】の幹部は一人だけではなさそうだ。
レオンやフィーナが苦戦をしているなら助太刀をしなくては……。
あそこで戦っているのはレオンのパーティーか……。
相手は……、【ザガン男爵】。
青い巨人というような外見だな。そして、素早い……。
私達は自分の持ち場で下級悪魔の相手をしつつ、いつでも助太刀に行けるように、レオン達の様子を伺った。
今、【ザガン男爵】に立ち向かっているのは、先程レオンを引きずって行ったフレイヤだな。
「デカブツ、スピード勝負でウチと張り合うつもりか? それは、無理やで」
フレイヤは槍を真っ直ぐに構えた。
フレイヤ→【ザガン男爵】
【槍使いスキル発動】
流星突き
フレイヤの槍は流星のように瞬き無数の突きでザガンを圧倒した。
とんでもないな……、全てが急所を捉えている。
「ごの程度の攻撃で、オレをごろぜるものがぁ!」
ザガンは激しい槍のラッシュにも耐えているみたいだ……。
「レオン、お膳立てはこのくらいでええやろ?」
フレイヤはレオンに声をかけた。
「十分だよ、フレイヤ。後はオレに任せるんだ……」
レオンは剣を構えた。
当たり前だが、若干前傾姿勢になるのが特徴的なグレイスと同じ構えだな。
レオン→ザガン
【勇者スキル発動】
光竜一閃(コウリュウノイッセン)
――ズバンッ
ザガンは頭から股まで一気に切り落とされ、真っ二つになった。
あれは、光系魔法を使った魔法剣だな。
しかも剣に込められている魔法力が最上級魔法クラスだ……。
レオンは大魔導士も極めているに違いない。
【ザガン男爵】を一方的に倒してしまった、やはりアレクトロン王国最強のパーティーというだけはある。
よく見たら他のパーティーメンバーが大悪魔を3体も倒しているし……。
「ルシア先輩、あちらでフィーナさんのパーティーが戦闘をしているみたいですよ!」
グレイスが私の肩を叩いた。
【魔導教授(プロフェッサー)】のパーティーの戦いか……、確かに見たい……。
この辺りの悪魔はほとんどやっつけたし、フィーナさん側に少しだけ移動するか……。
「お供させていただきます!」
グレイスはキレイな敬礼をした。
はぁ、もっと肩の力抜いていいぞ。
「ルシア様ぁ、ここから出てもよろしいですの?」
ラミアがバリアの中から私に声をかけた。
そうだな、もう出てもいいだろう。私の近くから離れないようにしろよ。
「はいっ、ルシア様!」
ラミアは私の腕にしがみついた。
もう少し離れろ!
私達はフィーナのパーティーに近づいてみた。
予想通り、【魔界貴族】の幹部と戦闘を繰り広げていた。
それにしても、圧巻だな。
フィーナのパーティーは全員が60歳以上という、平均年齢がぶっちぎりで世界一のパーティーだ。
しかも、フィーナ以外は見た目は思いっきりお爺さんなんだよな。
「ふぉっふぉっ、ジジイとワシらのことを侮ることなかれ。ワシらの姫様、フィーナちゃんには指一本触れさせんぞ!」
「おうよ、ワシ達の50年物のチームワークをみせようじゃあないか」
「なんじゃあ、よう聞こえん……」
3人の老人がフィーナの前に並んだ。
まさか、伝説の3人の【ケンロウ】の戦いが見ることができるなんて……。
【賢老】ジューダス、【拳老】ファルロン、【剣老】ギルディの3人は賢者、武闘家、剣士として全員が超一流だ。
相手は……、黒い鎧に傷だらけの真っ白い顔の悪魔……、【アミー子爵】か。
あの剣は2メートルぐらいあるな。振り回されたらかなりの威力だぞ。
「ふっ、老人をいたぶる主義は無いが、せめて一撃で葬ってみせよう!」
アミーはフィーナ目掛けて大剣を振り下ろした。
――ガキンッ
ギルディの細身の剣がアミーの大剣を受け止める。
ギルディはツルツルの頭を輝かせ、枯れ木のような腕にも関わらず、力でアミーにまったくひけをとらなかった。
「何を言っとったか、よぉわからんが、年寄りに優しく攻撃しようとか言うたんかのぉ?」
ギルディは余裕の表情だった。
「ギルディ、避けろよ!」
ジューダスは長い白髪を後ろに結んで両手に魔力を集中した。
ジューダス→【アミー子爵】
【賢者スキル発動】
最上級雷系魔法
強力な雷撃がアミーに直撃した。アミーは苦悶の表情を浮かべる。
「くははっジューダス、ナイスだ。血肉涌き踊るっ!」
ファルロンの筋肉が大きく盛り上がり、老人とは思えないくらいの体格になった。
ファルロン→【アミー子爵】
【武闘家スキル発動】
猛虎衝撃波
ファルロンは跳び上がり、上空から両手で鋭い突きを放った。
拳圧が巨大な衝撃波となり、アミーを吹き飛ばし、アミーは地面にめり込んだ。
しかし、これだけの攻撃を受けてもアミーはよろよろと起き上がろうとする。
「貴方たち、よく頑張ったわねぇ。妾がトドメを刺してあげる……」
フィーナはゆっくりとアミーの目の前に立った。
「信じられん老人たちだ……、せめて【勇者】フィーナと刺し違えて死んでやる!」
アミーは前傾姿勢で剣を構えて突撃した。
フィーナ→【アミー子爵】
【大魔導士スキル発動】
中級炎系魔法+中級雷系魔法=最上級閃熱系魔法
フィーナは右手と左手にそれぞれ別系統の魔法を作り出し、両手を合わせて合体させた。
フィーナの両手から灼熱のレーザービームが繰り出された。
レーザーはとてつもないスピードでアミーを貫いて、上半身を鎧ごと灰にしてしまった……。
これは、以前見た【バルバトス公爵】の魔法に似ているな。
もっとも、仕組みは全然違いそうだが……。
それにしても、国家的英雄クラスの【勇者】のパーティーの戦闘力はやはり別格だ。
「すごかったな、レオンさんも、フィーナさんも……。いい勉強になった」
私はグレイスに話しかけた。
「ルシア先輩も全然負けてませんよ。私はまだ力不足ですが……」
グレイスは私の隣でそう呟いた。ふん、おだてても何も出ないぞ。
「ルシア様、悪魔達が撤退を始めたみたいですわ。初戦はこちら陣営の勝利ですわね」
ラミアが嬉しそうな顔をした。
ふむ、更に援軍を出すと予想したが随分とあっさり引き下がったな。
何か裏が無ければよいが……。
「ルシア、早く持ち場に戻るわよ。K地点までこのスキに早く動いて陣地を確保しなくちゃ」
エリスが私を呼びに来た。
そうだな、敵が背中を見せていて、動かない手はないもんな。
私達は隊列を整えて、再びK地点を目指して動き始めた。
そして、30分後……。
第三部隊は無事にK地点に陣地を形成することに成功した。
しかし、我々に【魔界貴族】の熾烈な魔の手が迫っていることには、まだ誰も気付いていなかった……。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
4,044
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる