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第七話
「この私の呼び出しに逃げずに応じるとは大した度胸だと言ってあげたいけど。私は一人で来いと言ったはずよ」
「どうも初めまして、ティアナ様。シェリルの妹のルミアです」
「申し訳ありません。妹がどうしても一目ティアナ様と会いたいと我儘を申しまして」
あれから程なくしてティアナ様は本当に私を呼び出しました。
正直に申しまして、とても怖かったです。あの日の彼女の目は憎悪に満ちていましたから。
ルミアは結局、私一人だと心配だからと一緒に来てくれました。
「まぁ、良いでしょう。見るからに頭空っぽそうですし」
「あはは、よく言われます」
王女様の嫌味にもヘラっとした態度で躱すルミア。
この子は緊張とかそういった感情はないのでしょうか。
「今日、あなたを呼んだ理由はわかりますよね?」
「はい。姉からナッシュ様をお奪いになりたいのですよね? どうぞ、どうぞ」
「ちょっと、ルミア……!」
「何ですか? この子はふざけているのですか?」
ルミアが煽るような口調でティアナ様に口を利くものですから、彼女は少しだけムッとしました。
私もこの子のこういう所が空恐ろしいと思うことがあります。
「まぁまぁ、落ち着いて下さい。私たちもナッシュ様にはティアナ様こそ相応しいと思っているのです。私たちはティアナ様の純愛を叶えようと協力しようと思いまして、こちらに馳せ参じました」
「そ、そうなのですか? しかし、シェリルさんは婚約者なったのでしょう? ナッシュ様のことがお好きだからでは?」
人懐っこい笑顔で彼女はティアナ様の欲しい言葉をかけ続けます。
するとルミアの言葉に彼女は身を乗り出して耳を傾けました。
この懐に潜り込む早さもこの子の恐ろしさだと思います。
「両親は上流貴族と関係を築くことに躍起になっていましてね。公爵家の嫡男であるナッシュ様からの求婚でしたから、断る余地が無かったのですよ。ティアナ様が離縁されていたことも知らなかったですし」
「なるほど。確かにナッシュ様は家柄もパーフェクトですし、あなた方のご両親が彼にこだわる気持ちはもっともです。しかし、それでは私に協力なんて無理なのでは?」
「いえいえ、もしもナッシュ様がティアナ様と結婚されたいと心変わりされたのなら別です。主導権はシェムロイ家にありますから。我が家も諦めざるを得ません」
ここでルミアは本題を口にします。
それはナッシュ様がティアナ様に心変わりをすれば全てが丸く収まるという話です。
ルミアの計画はかなり無茶苦茶で、ティアナ様が「イエス」と答えるかどうか不安ですが、これに賭けてみます。
「ナッシュ様が私に心変わりを? そうね。そもそもシェリルさんにはナッシュ様との婚約を解消するように説得するつもりでしたが、それが出来るのならば、より好都合。だけど、そんなこと出来るのですか?」
「はい、簡単ですよ。見た目をナッシュ様好みに変えちゃえば良いんです。今、凄く良いメイク用の魔導具がありますから。元々美しい容姿のティアナ様なら、姉なんて比較にならないくらいキレイになれますよ」
ルミアの作戦はティアナ様をナッシュの好みのど真ん中をつけるように見た目を変えること。
つまり、ナッシュの母親により似せてやろうと考えたのです。
こんなことで上手くいくのか不安ですが、彼女を信じてみることにしました――。
「どうも初めまして、ティアナ様。シェリルの妹のルミアです」
「申し訳ありません。妹がどうしても一目ティアナ様と会いたいと我儘を申しまして」
あれから程なくしてティアナ様は本当に私を呼び出しました。
正直に申しまして、とても怖かったです。あの日の彼女の目は憎悪に満ちていましたから。
ルミアは結局、私一人だと心配だからと一緒に来てくれました。
「まぁ、良いでしょう。見るからに頭空っぽそうですし」
「あはは、よく言われます」
王女様の嫌味にもヘラっとした態度で躱すルミア。
この子は緊張とかそういった感情はないのでしょうか。
「今日、あなたを呼んだ理由はわかりますよね?」
「はい。姉からナッシュ様をお奪いになりたいのですよね? どうぞ、どうぞ」
「ちょっと、ルミア……!」
「何ですか? この子はふざけているのですか?」
ルミアが煽るような口調でティアナ様に口を利くものですから、彼女は少しだけムッとしました。
私もこの子のこういう所が空恐ろしいと思うことがあります。
「まぁまぁ、落ち着いて下さい。私たちもナッシュ様にはティアナ様こそ相応しいと思っているのです。私たちはティアナ様の純愛を叶えようと協力しようと思いまして、こちらに馳せ参じました」
「そ、そうなのですか? しかし、シェリルさんは婚約者なったのでしょう? ナッシュ様のことがお好きだからでは?」
人懐っこい笑顔で彼女はティアナ様の欲しい言葉をかけ続けます。
するとルミアの言葉に彼女は身を乗り出して耳を傾けました。
この懐に潜り込む早さもこの子の恐ろしさだと思います。
「両親は上流貴族と関係を築くことに躍起になっていましてね。公爵家の嫡男であるナッシュ様からの求婚でしたから、断る余地が無かったのですよ。ティアナ様が離縁されていたことも知らなかったですし」
「なるほど。確かにナッシュ様は家柄もパーフェクトですし、あなた方のご両親が彼にこだわる気持ちはもっともです。しかし、それでは私に協力なんて無理なのでは?」
「いえいえ、もしもナッシュ様がティアナ様と結婚されたいと心変わりされたのなら別です。主導権はシェムロイ家にありますから。我が家も諦めざるを得ません」
ここでルミアは本題を口にします。
それはナッシュ様がティアナ様に心変わりをすれば全てが丸く収まるという話です。
ルミアの計画はかなり無茶苦茶で、ティアナ様が「イエス」と答えるかどうか不安ですが、これに賭けてみます。
「ナッシュ様が私に心変わりを? そうね。そもそもシェリルさんにはナッシュ様との婚約を解消するように説得するつもりでしたが、それが出来るのならば、より好都合。だけど、そんなこと出来るのですか?」
「はい、簡単ですよ。見た目をナッシュ様好みに変えちゃえば良いんです。今、凄く良いメイク用の魔導具がありますから。元々美しい容姿のティアナ様なら、姉なんて比較にならないくらいキレイになれますよ」
ルミアの作戦はティアナ様をナッシュの好みのど真ん中をつけるように見た目を変えること。
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