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第四十七話(エルムハルト視点)
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どこで何を間違ってしまったのですか。
私は、私は、ウィルダン公爵家の跡取りとして、選ばれたはずなのに……。
輝かしい未来をこの手に掴んだはずなのに……。
どうして、どうして、こうなってしまったのですか――!?
ミリム・アーゼルが結婚式の会場である大聖堂に土足で入ってしまい、その後、アンナとの替え玉がバレてしまいました。
責任を追及されている私は何とかこの窮地を脱して、故郷に帰らなくてはならないのです。
「全部、使用人のアンナがやったことなのです! 私は必死で止めましたが、あの娘、下賤な家の出自のクセに結婚式に出たいと駄々を捏ねまして。ミリムさんを眠らせて、無理やり仮面をかぶって出席すると!」
そうですよ。
最初からアンナのせいにしようと決めていたではないですか。
あの女は当然、命令どおり何かあった場合は主としての私を擁護するはずです。
それと合わせて私も彼女が悪いと供述すれば罪を逃れられるはず。ええ、そうに違いありません。
「アンナって、ミリムに変装させていた侍女のことだろ? おいおい、その言い訳は厳しいぞ。昨夜、エルムハルト殿はミリム本人を連れてわざわざ、兄上とシャルロット殿に顔を確認させている。あんたが侍女の言うことを素直に聞く理由はないよな? 逆はあっても」
くっ……、エゼルスタ王国、第三王子のジークフリート殿下。
アルフレート殿下の盟友で、エゼルスタ語とアルビニア語の両方を話せて、尚かつ、両国の外交の要となっている彼が事情聴取に来てしまいました。
良い言い訳だと思ったのですが……。すぐにダメ出しとは……。
「しかし、本当なんですよ。アンナも言っていたはずです。全て自分が悪いのだと」
だが、多少矛盾していようが関係ありません。
アンナが私を庇って自らの罪を認めれば。覆せるはずです。
「あー、アンナは確かに自分が悪いって言っていたな」
「そうでしょう。そうでしょう」
「……いくら主の命令でも、悪さに加担した以上は罪を認めると。言い訳ばっかりのあんたと比べて、立派なもんだよ」
アンナ、私を裏切ったなーーーーーーー!!
あ、あの女、公爵家に務める身でありながら、最後まで主人を庇わぬとは何事ですか!
絶対に許しません。絶対にあの女の実家は潰してやります。
公爵家の権力をナメた女など地獄に叩き落としてみせます。
「てことで、あんたというか、ウィルダン公爵家には然るべき責任を取ってもらうことになるだろうな」
「し、然るべき責任を……、って。そもそも、悪いのはミリムさんじゃあないですか! だって、大聖堂に普通は土足じゃ入りませんよ! 常識なさ過ぎるでしょう!」
常識じゃないです。
なんで、他の家の女がしでかしたことで、私の未来が潰されなくてはならんのですか。
こんな理不尽がまかり通って良い訳がありません。
「いい加減にしろや! ガキみたいに口を開けば言い訳ばかりして! あんたの発言一つ一つが、我がエゼルスタ王国の恥を晒しているって気付かないのか!?」
「くぅ~~~~~~!」
もう、私は終わりなんですか?
えっ? えっ? えっ? えっ?
アンナ! 私を助けなさい。何で誰も私を助けてくれないのですか!?
こんなことなら、兄上から嫡男の座など譲られなければ良かったです。
なんで、私だけ、こんな目に――。
私は、私は、ウィルダン公爵家の跡取りとして、選ばれたはずなのに……。
輝かしい未来をこの手に掴んだはずなのに……。
どうして、どうして、こうなってしまったのですか――!?
ミリム・アーゼルが結婚式の会場である大聖堂に土足で入ってしまい、その後、アンナとの替え玉がバレてしまいました。
責任を追及されている私は何とかこの窮地を脱して、故郷に帰らなくてはならないのです。
「全部、使用人のアンナがやったことなのです! 私は必死で止めましたが、あの娘、下賤な家の出自のクセに結婚式に出たいと駄々を捏ねまして。ミリムさんを眠らせて、無理やり仮面をかぶって出席すると!」
そうですよ。
最初からアンナのせいにしようと決めていたではないですか。
あの女は当然、命令どおり何かあった場合は主としての私を擁護するはずです。
それと合わせて私も彼女が悪いと供述すれば罪を逃れられるはず。ええ、そうに違いありません。
「アンナって、ミリムに変装させていた侍女のことだろ? おいおい、その言い訳は厳しいぞ。昨夜、エルムハルト殿はミリム本人を連れてわざわざ、兄上とシャルロット殿に顔を確認させている。あんたが侍女の言うことを素直に聞く理由はないよな? 逆はあっても」
くっ……、エゼルスタ王国、第三王子のジークフリート殿下。
アルフレート殿下の盟友で、エゼルスタ語とアルビニア語の両方を話せて、尚かつ、両国の外交の要となっている彼が事情聴取に来てしまいました。
良い言い訳だと思ったのですが……。すぐにダメ出しとは……。
「しかし、本当なんですよ。アンナも言っていたはずです。全て自分が悪いのだと」
だが、多少矛盾していようが関係ありません。
アンナが私を庇って自らの罪を認めれば。覆せるはずです。
「あー、アンナは確かに自分が悪いって言っていたな」
「そうでしょう。そうでしょう」
「……いくら主の命令でも、悪さに加担した以上は罪を認めると。言い訳ばっかりのあんたと比べて、立派なもんだよ」
アンナ、私を裏切ったなーーーーーーー!!
あ、あの女、公爵家に務める身でありながら、最後まで主人を庇わぬとは何事ですか!
絶対に許しません。絶対にあの女の実家は潰してやります。
公爵家の権力をナメた女など地獄に叩き落としてみせます。
「てことで、あんたというか、ウィルダン公爵家には然るべき責任を取ってもらうことになるだろうな」
「し、然るべき責任を……、って。そもそも、悪いのはミリムさんじゃあないですか! だって、大聖堂に普通は土足じゃ入りませんよ! 常識なさ過ぎるでしょう!」
常識じゃないです。
なんで、他の家の女がしでかしたことで、私の未来が潰されなくてはならんのですか。
こんな理不尽がまかり通って良い訳がありません。
「いい加減にしろや! ガキみたいに口を開けば言い訳ばかりして! あんたの発言一つ一つが、我がエゼルスタ王国の恥を晒しているって気付かないのか!?」
「くぅ~~~~~~!」
もう、私は終わりなんですか?
えっ? えっ? えっ? えっ?
アンナ! 私を助けなさい。何で誰も私を助けてくれないのですか!?
こんなことなら、兄上から嫡男の座など譲られなければ良かったです。
なんで、私だけ、こんな目に――。
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