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僕らの神様

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妹は、少年を見つめるたび、胸の内に高鳴りが生じる。母がかつて語った言葉が、今も彼女の思考を彩る。「あの子は神様の子、守るべき存在だ。」と繰り返し教えられたその言葉は、妹の心に深く刻まれ、彼女の行動を左右していた。

少年は、ただの少年から何か特別な存在へと変わりつつあった。その無垢な微笑みに、妹はただ愛しさを感じるだけではなく、何か異なる感情を抱いていた。守りたいという感情が、次第に「所有したい」という感情へと変わっていく。

妹が少年に近づくたび、胸の内で温かさと冷たさが交差する。彼が言葉を覚え、心を開いてくれることが嬉しい反面、彼が外の世界に触れて離れていく可能性に恐怖を感じる。「彼は私たちのものになるべきだ。」と、妹は思う。

少年の成長は、妹の心に矛盾を生じさせていた。彼が人間らしくなることは喜ばしいことのはずだが、彼が遠ざかることへの恐怖もまた、彼女を苦しめていた。その美しい瞳が他人に向けられることが、何よりも恐ろしい。

一方、兄は妹のこの葛藤を感じ取っていた。妹の信仰心が兄にとっては、少年を自分のものにしたいという欲望に変わっていった。少年の美しさと純粋さに魅了され、それを自分のものにしたいと切望していた。

妹が少年を「神様の子」として遇する限り、兄は少年を自分のものにできないと感じていた。これが徐々に違う形の欲望に変わり、少年を心の中で自分のものだと決めつけていた。そのため、兄は妹の行動を止めることはなかった。

「試すべきだ。」と兄は思考を巡らせる。もし少年が真に「神様の子」であるならば、どんな試練にも耐えうるはずだと考えた。妹がどのように試そうとするかは問題ではなく、ただその結果を見守ることに専念していた。

少年を窯に閉じ込めた瞬間、兄は何も言わず、その場を見守った。少年が恐怖に怯える様子は明らかだったが、兄はそれが彼に何かを教えると信じていた。少年の叫び声が空を裂く中、妹は泣きそうな表情で手を震わせながら試練を続けた。兄はその姿を静かに見守りながら、心の中で少年を自分のものにする方法を模索していた。

「彼を私たちのものにする。」と心に決め、兄はその場を動かなかった。




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