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謁見
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夜に彼女に会いに行って、
天気の話から今日こんなとこがあったというほのぼの話など筆談して、
飲み物もらって、
飲んでいつのまにか寝る。
その場で飲んで放置されたことは2~4度あれど、紙に心配と呆れの文字が綴られていたり、風邪を引かぬようにブランケットをかけてくれる彼女の優しさが身に染みる。
筆談した紙もどんどん増えてきた。
彼女に夜な夜な会いに行ってから2週間が過ぎたある日、王様から呼び出しがきた。
夕日が廊下を淡い赤色へと染める。
(こんな時間になぜ?)
長い廊下を歩いて、謁見の間を目指す。
(何か悪いことをしただろうか…)
今まで呼び出されたことはない。王様の顔も廊下に飾られている家族絵で見たくらいだ。
王妃様と王様、王子様2人に王女様1人の5人家族。
王様と王子様2人はプラチナブロンドヘアー。
王妃様と王女様1人は、ブラウンヘアー。
みんな整った顔をしている美男美女だ。
名前は…… なんだったか。一度だけ教えてもらったが忘れたな。
そんなことを考えていると、「ふ副騎士団長、お止まり下さい💦」と二人の門番が俺を押さえながら踏ん張っていた。
どうやら俺は考え事をしながら勝手に入ろうとしていたらしい。
「すまない」
「い、はぁ…はぁ…いえ。いま、ほうこくし、……から…」
「息を整えてからでいいから💦」
「す、……すみませ」
はぁはぁ…すぅ、はぁー
二人は息を整えてから
「副騎士団長様が来ました」と扉を開けて扉の近くに待機していた宰相に耳打ちして知らせる。
「お入りください」
中から声がかかり、許可された。
門番が扉を開ける。
「さっきはすまなかったな」
「大丈夫ですよ。こちらの声に気づいてくださってよかったです。どうぞお入りください」
にっこりと答えた門番二人はどうぞどうぞと促してくる。
中でいったい何を言われるのやら…。
一歩中に入ると、一気に緊張が走る。
中にいたのは宰相と宰相の息子。王様と王妃様、王女様と王子様2人が座っていた。
謁見の間に来たのは初めてだが、豪華だ。すごく煌びやかとかではなく、式典のようにきちんとした装飾が施されている。上を見ると天井のシャンデリアが大広間を明るく照らしており、声もよく響く。
そして、目の前の玉座に座っている王様。威厳と圧が感じられる。玉座の左右に並んで座る王妃様たちも何かの圧を感じる。王族なだけあって、格が違うのかもしれない。
なんの圧かはわからないが、いったい何を言われるのか…….
「お初にお目にかかります。この度副騎士団長グウェン=オート様に急遽命じられ、代理を勤めさせていただくこととなりました。クロード = グリーと申します。よろしくお願いいたします」
片ひざをついて右手を左胸付近に当て、左手を後ろの腰に回し、深くお辞儀をした。
「拝命致しましたご命令は必ず遂行いたしますことをここに「そなた」」
「はい」
(ビックリした しゃべった)
バクバクと鳴る心臓を押えるように添えた右手に力が入る。
「夜な夜な城の中を歩いているそうだな」
「………はい」
「そうか」
「あの、もしや不敬ざ「なぜ私を誘わないんだい?」」
「………は?」
聞き間違いか?
「えっと…」
「なぜ、私を、誘わないん、だい?」
聞き間違いじゃなかった。
「……あの、よくわからないのですが」
「1人で散歩するなら私を誘ってくれたっていいじゃないか」
「ですが、皆さん眠っていらっしゃいますよね。私は、その…不眠症なので、なかなか眠れないのです。ですから…」
「なら尚更私を誘ってくれたっていいじゃないか」
王様はにこにこ笑顔で圧はそのまま。
「………え、あ、あの、……はぃ」
(これ、俺が悪いの!?)
「あら、あなたが起きているなら私も起きていようかしら」
王妃様が頬に右頬に右手を添えて、楽しみね♡と提案してくる。
「なら僕も起きてる」
「ん!」
王子様たちも挙手して参加を希望してくる。
「では、私めも起きていますか」
「はい」
宰相と宰相の息子が左胸に右手を添えて軽くお辞儀をし、参加をしてもよろしいでしょうかと王様に許可を取る。
王様からいいよと許可が降りる。
「あの、これはいったいなんの話でしょうか…?」
わいわいと俺を置き去りにして話が進んでいく。いったいなんの話をしているのだろうか。
「「「「「 ナイトパーティーのお誘い 」」」」」
全員が声を揃えて笑顔で俺の方に向き直る。
「ナイトパーティー……ですか?」
やはり意味がわからない。
「つまり、パジャマパーティーのことだよ」
王子様が「楽しみだねぇ♪何持っていこうか」とワクワクした顔で王様たちの話に混じって花を咲かせている。
「……………」
君ら寝てるのに、どうやって?という言葉を飲み込んで、黙る。
「今日やろうよ」
「いいわねぇ」
状況が掴めず気づいたら日にちが決まってしまっ、今日ぉ!?
「今日はちょっと…」
「ん?もしかして都合が悪いのかな?」
「はい、すごく都合が悪いです。すみません」
「そうか…なら、仕方ないな。また今度にしよう。計画は立てておくから、任せなさい」
「ありがとう、ございます(?) あ、あの、失礼します」
「うむ、ではまたな」
お辞儀をして謁見の間を出る。
「………………はぁ」
謁見の間を出てまっすぐの廊下を歩いて自室に戻る。
考えが頭の中をぐるぐると回る。
(なんだったんだろうか、この呼び出しは。
よくわからないまま話が進んで、危うく今日行われるところだった。)
(それに、王族の人たちフレンドリーすぎないか?
俺、不敬なこと言ってないよな?)
(あと計画って何立てる気だ、気になる…。)
特に、今日は良くない。
外は暗くなっていた。食堂を通ると、時計が19時をさしていた。
そんなに話しただろうか。長く感じなかったが…。
むしろ短く感じた。
不思議に思いつつ、廊下を歩いてやっと自室に戻った。
ご飯は食べ損ねてしまったが、昨日の夜、彼女からもらった水を飲んだ。いつの間にか眠っていた。
ふと目が覚める。
また眠っていた。
眠れている。
嬉しい。
嬉しい。はずなのだが、今回は失敗したと思う。
部屋から一歩も出る気もないから、誰とも会わない。
と、思っていたが、お腹がすごく減った。
ベッドから這い出る前に、ブカブカの服とズボンを小さい手でくるくると巻いて背丈に合わせる。
窓を見るとカーテンを閉め忘れた窓からは、真っ暗の外がよく見える。雲一つない空には半月が綺麗に見えて、淡い黄色い光を纏い、その存在感を一層強く見せる。
俺は半月を見てため息をついた。
視線を戻して自分の小さい手を見てまたため息をつく。
寝ている間に子供の姿になっていたとはな。
こんな姿は誰にも見られたくない。
グウェンにも言っていない俺の秘密。
天気の話から今日こんなとこがあったというほのぼの話など筆談して、
飲み物もらって、
飲んでいつのまにか寝る。
その場で飲んで放置されたことは2~4度あれど、紙に心配と呆れの文字が綴られていたり、風邪を引かぬようにブランケットをかけてくれる彼女の優しさが身に染みる。
筆談した紙もどんどん増えてきた。
彼女に夜な夜な会いに行ってから2週間が過ぎたある日、王様から呼び出しがきた。
夕日が廊下を淡い赤色へと染める。
(こんな時間になぜ?)
長い廊下を歩いて、謁見の間を目指す。
(何か悪いことをしただろうか…)
今まで呼び出されたことはない。王様の顔も廊下に飾られている家族絵で見たくらいだ。
王妃様と王様、王子様2人に王女様1人の5人家族。
王様と王子様2人はプラチナブロンドヘアー。
王妃様と王女様1人は、ブラウンヘアー。
みんな整った顔をしている美男美女だ。
名前は…… なんだったか。一度だけ教えてもらったが忘れたな。
そんなことを考えていると、「ふ副騎士団長、お止まり下さい💦」と二人の門番が俺を押さえながら踏ん張っていた。
どうやら俺は考え事をしながら勝手に入ろうとしていたらしい。
「すまない」
「い、はぁ…はぁ…いえ。いま、ほうこくし、……から…」
「息を整えてからでいいから💦」
「す、……すみませ」
はぁはぁ…すぅ、はぁー
二人は息を整えてから
「副騎士団長様が来ました」と扉を開けて扉の近くに待機していた宰相に耳打ちして知らせる。
「お入りください」
中から声がかかり、許可された。
門番が扉を開ける。
「さっきはすまなかったな」
「大丈夫ですよ。こちらの声に気づいてくださってよかったです。どうぞお入りください」
にっこりと答えた門番二人はどうぞどうぞと促してくる。
中でいったい何を言われるのやら…。
一歩中に入ると、一気に緊張が走る。
中にいたのは宰相と宰相の息子。王様と王妃様、王女様と王子様2人が座っていた。
謁見の間に来たのは初めてだが、豪華だ。すごく煌びやかとかではなく、式典のようにきちんとした装飾が施されている。上を見ると天井のシャンデリアが大広間を明るく照らしており、声もよく響く。
そして、目の前の玉座に座っている王様。威厳と圧が感じられる。玉座の左右に並んで座る王妃様たちも何かの圧を感じる。王族なだけあって、格が違うのかもしれない。
なんの圧かはわからないが、いったい何を言われるのか…….
「お初にお目にかかります。この度副騎士団長グウェン=オート様に急遽命じられ、代理を勤めさせていただくこととなりました。クロード = グリーと申します。よろしくお願いいたします」
片ひざをついて右手を左胸付近に当て、左手を後ろの腰に回し、深くお辞儀をした。
「拝命致しましたご命令は必ず遂行いたしますことをここに「そなた」」
「はい」
(ビックリした しゃべった)
バクバクと鳴る心臓を押えるように添えた右手に力が入る。
「夜な夜な城の中を歩いているそうだな」
「………はい」
「そうか」
「あの、もしや不敬ざ「なぜ私を誘わないんだい?」」
「………は?」
聞き間違いか?
「えっと…」
「なぜ、私を、誘わないん、だい?」
聞き間違いじゃなかった。
「……あの、よくわからないのですが」
「1人で散歩するなら私を誘ってくれたっていいじゃないか」
「ですが、皆さん眠っていらっしゃいますよね。私は、その…不眠症なので、なかなか眠れないのです。ですから…」
「なら尚更私を誘ってくれたっていいじゃないか」
王様はにこにこ笑顔で圧はそのまま。
「………え、あ、あの、……はぃ」
(これ、俺が悪いの!?)
「あら、あなたが起きているなら私も起きていようかしら」
王妃様が頬に右頬に右手を添えて、楽しみね♡と提案してくる。
「なら僕も起きてる」
「ん!」
王子様たちも挙手して参加を希望してくる。
「では、私めも起きていますか」
「はい」
宰相と宰相の息子が左胸に右手を添えて軽くお辞儀をし、参加をしてもよろしいでしょうかと王様に許可を取る。
王様からいいよと許可が降りる。
「あの、これはいったいなんの話でしょうか…?」
わいわいと俺を置き去りにして話が進んでいく。いったいなんの話をしているのだろうか。
「「「「「 ナイトパーティーのお誘い 」」」」」
全員が声を揃えて笑顔で俺の方に向き直る。
「ナイトパーティー……ですか?」
やはり意味がわからない。
「つまり、パジャマパーティーのことだよ」
王子様が「楽しみだねぇ♪何持っていこうか」とワクワクした顔で王様たちの話に混じって花を咲かせている。
「……………」
君ら寝てるのに、どうやって?という言葉を飲み込んで、黙る。
「今日やろうよ」
「いいわねぇ」
状況が掴めず気づいたら日にちが決まってしまっ、今日ぉ!?
「今日はちょっと…」
「ん?もしかして都合が悪いのかな?」
「はい、すごく都合が悪いです。すみません」
「そうか…なら、仕方ないな。また今度にしよう。計画は立てておくから、任せなさい」
「ありがとう、ございます(?) あ、あの、失礼します」
「うむ、ではまたな」
お辞儀をして謁見の間を出る。
「………………はぁ」
謁見の間を出てまっすぐの廊下を歩いて自室に戻る。
考えが頭の中をぐるぐると回る。
(なんだったんだろうか、この呼び出しは。
よくわからないまま話が進んで、危うく今日行われるところだった。)
(それに、王族の人たちフレンドリーすぎないか?
俺、不敬なこと言ってないよな?)
(あと計画って何立てる気だ、気になる…。)
特に、今日は良くない。
外は暗くなっていた。食堂を通ると、時計が19時をさしていた。
そんなに話しただろうか。長く感じなかったが…。
むしろ短く感じた。
不思議に思いつつ、廊下を歩いてやっと自室に戻った。
ご飯は食べ損ねてしまったが、昨日の夜、彼女からもらった水を飲んだ。いつの間にか眠っていた。
ふと目が覚める。
また眠っていた。
眠れている。
嬉しい。
嬉しい。はずなのだが、今回は失敗したと思う。
部屋から一歩も出る気もないから、誰とも会わない。
と、思っていたが、お腹がすごく減った。
ベッドから這い出る前に、ブカブカの服とズボンを小さい手でくるくると巻いて背丈に合わせる。
窓を見るとカーテンを閉め忘れた窓からは、真っ暗の外がよく見える。雲一つない空には半月が綺麗に見えて、淡い黄色い光を纏い、その存在感を一層強く見せる。
俺は半月を見てため息をついた。
視線を戻して自分の小さい手を見てまたため息をつく。
寝ている間に子供の姿になっていたとはな。
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