夜間勤務のメイド

灯埜

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三つ子の暗殺者

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捕らえた三つ子の暗殺者の様子を見に行ったクロード。

捕まったというのに、何故か元気そうに過ごしている。

誰の差し金だ?と聞くと、言えないと言い出した彼らにクロードは、ある拷問(?)を行う。









 🌱🌱🌱🌱🌱🌱🌱🌱🌱🌱🌱🌱🌱🌱🌱🌱🌱









昨日捕まえた暗殺者に会うため、午前中少し予定を空け、地下牢に赴いた。



「お前ら、元気そうだな?」
わちゃわちゃと話ながら笑っている三つ子の暗殺者。
何故か元気に過ごしている。

「病気だったんですけど…」
最初に捕まった暗殺者(名をアスル)が正座をして改めて向き直る。

「しばらくここで過ごしてたら…」
2番目に捕まった暗殺者(名をアルノ)も正座をして改めて向き直る。

「何故か健康体になっていまして…」
最後に捕まった暗殺者(名をアロン)も正座をして改めて向き直る。

3人並んで俺の方に向き直るのはいいが、息ぴったり過ぎてさすが三つ子としか言えない。
反省はしてるんだよな?

「よかったな?」
俺は腕組をして見下ろすと3人一緒にシュン(._.)⤵として下を向く。

「「「 はい…… 」」」

「なんかお母さんに怒られてシュンとしてる子供の絵面みたいになってる(笑)」
アキュールが「ぶはははははは!(笑)」と吹き出してしまい、それをユキがアキュールの口を押さえながら引きずるように地下牢を出ていく。


「で。誰の差し金だ?」

「それは、俺たちからは言えません。喋ったら自害の魔法が発動するからです」

「やはりか」
そんな感じはしていたが、捕まったら素直すぎにもほどがあるだろ、こいつら。
「今までどこに住んでいた?」

「最初俺たちは孤児院にいたんだ。18歳になったある日、俺たちはある貴族に買われていったんだ」
アルノは苦い顔をあげて泣きそうになっている。

「そこで俺たちは………うぅ…ぐっ……」
アロンはとうとう泣き出し、つられて2人も静かに泣き出した。

「これ以上は、何をされても言えない。まだ、まだ死にたくない、か…ら…」
アスルは、泣きながら俺に訴えかけるように真剣な目でこちらを睨み付ける。
「拷問をしてもか」
俺も負けじと睨むと、アスルは2人を庇うようにしゃがんだまま前に出て、両手を左右に広げ、「ご、拷問するなら、俺だけでじじじじゅうぶんだっ!」

(すごい震えてる……)
勇気をだして前に出たはいいけど、怖すぎて震えている。

「なら、お望み通りにお前からさせてもらう」
俺はアルスの襟首を掴み、彼をひょいと持ち上げる。
「へ……?」
軽々持ち上げられた彼は、ひぇ(。>д<) という顔をして大人しく運ばれていく。
……いやもうちょっと抵抗とかさ、あるだろ。お前はそれでいいのか。とあまりの潔さに呆れる。

「「にいちゃーん!!」」
めそめそと泣き始めるアルノとアロンは、にいちゃんにひどいことしたら許さないぞ!と鉄格子を掴んで叫ぶ。
「うるさい。次はお前たちだからな」
「ひぇ……」
「うぅっ」

(アスルと同じ苦い顔すんなよ。ちょっと怖いわ)
俺が掴んでいるアスルも2人と同じ苦い顔をしている。本当に瓜二つ。

俺は叫ぶ2人を無視して地下牢から出た。

「あの…俺はこれからどうなるんですか?」

「あ?」
これからこいつをどうしようか悩んでいるところに話をかけられ、目線をアスルに向けると青い顔をして黙ってしまった。
「……… いえ」

「何をしても喋らないんだよな」
「………………はい」
彼の目線が泳ぐ。

ちょっと揺らいでないかこいつ。大丈夫かよ。さっきまで生きる宣言してただろ。

「はぁ、これからお前は辱しめを受ける。覚悟するんだな」
「……うぅ…やだぁ」
「泣くなバカ、男だろうが」
「だってぇ……」
めそめそと泣き始める。本当は泣き虫なのかこいつ。
「はぁ……」

かかとを床にとんとんと軽く叩き、魔方陣を発動し、転移。浴室に移動した。
次にパチンと指を鳴らし、ボンと人形メイドを召喚。
人間そっくりの容姿と動きをする。
魔力をだいぶ食べるので、滅多に出さない魔道具だ。

「お前ら、こいつを隅々まで洗い尽くせ」
『かしこまりました』
バシャン! ジャブジャブジャブ ごしごしコシコシ
「え?あ、あっ、あああああああああーー!いやあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!だめ、そこはっ、あっ、あっ、やっ…あっ、も、もぅだめぇぇぇぇぇぇー……!」
「っ!💢」ブチッ💢

ゴチン!

「うるさい」
「ごめんなさい、ででもだってあんな…うぅ、…お婿に行けない(泣)」
両手で赤い顔を覆い、泣き出すアスル。

あまりの五月蝿さに俺は彼の頭にげんこつを一つ落とす。

お前のせいでアキュールが笑いすぎて過呼吸起こしたんだからな。どうしてくれんだまったく。

アキュールは頭をユキの膝の上に乗せて「はぁ、はぁ… ふ、ふふ、くくく(爆笑)」まだ笑いが収まっていないようだ。


「これで終わりじゃないからな。まだやることはある」
「まだあるの」
「あぁ」
アスルに大きめのバスタオルを羽織らせ、隣の部屋に移動した。
ベッドに寝かせ、両手両足をベッドの端々に拘束具で固定。よし。


「な、なななんですかこれ… ((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル」
「今からやることあるからな」

「やること…?」
「注射」
「うわあぁぁあ!やだー!逃げっ…なんで!?逃げられない!」
彼の体から魔方陣が展開されるが、パシュッ… とすぐに消えて驚く彼に俺はニヤリと笑う。

「どうせ逃げるだろうと思ってな。その拘束具には逃げられないように魔方陣を施してあるんだ」
「なら外して逃げれば」
「ベッドにも逃げられないように魔方陣を施してある。力が徐々に抜け、感覚だけが残る魔法をな」
「うぅーっ!やだああああぁぁぁぁぁぁ!ー!」

叫んでいる間に医者を呼び、予防注射、病気の有無、どこか異常がないか、穴という穴を全て調べ尽くし、彼はようやく解放された。

俺のげんこつを一つくらって。

「うるさい」
「ごめんなさい、ででもだってあんなとこまで…うぅ、…お婿に行けない(泣)」
わっ!と再び両手で赤い顔を覆い、泣き出すアスルにアキュールが肩を組んで宥める。

「安心しな、皆同じ道を通るんだ。んふふ(堪え笑)」
「そうなんですか?」
「あぁ、そうさ」
「怖かった…」
「よしよし」
アキュールは彼の頭を撫でて、宥める。

「?」
ユキはアキュールの言葉に不思議そうな顔をする。
初耳らしい。という俺も初耳だしな。


医師がまとめた診断結果と体を洗う際に人形メイドを通して見ていた彼の体の状態からして判断を下す。


体の内部は少し損傷はあるが、問題なし。
体中には無数の傷痕、首の後ろには自害の魔方陣の紙が埋め込まれていた。

「ひどいな…」
じゃあ、残り2人も同じなのか?

「これから緊急手術だ。お前ら準備しろ」
「ハッ!」
「もぅやだよぉ」
「甘ったれるな!男だろうが」

嫌がるアスルを魔法で寝かせ、首の後ろに埋め込まれている紙を発動しないように丁寧に器具で取り除き、手術は終了。


さて、この魔方陣を書いた相手に2倍でお返ししますか。
どう返そうか考えただけでもワクワクする(にやり)。

アスルが眠っている間に残りの2人もアスルと同じことをした。
アスルと同じく、彼らも体の傷痕や医師の診断はほぼ同じ状態だった。

そして案の定五月蝿く、アスルと同じように俺にげんこつを一つずつ食らっていたが。

アキュールの笑いが止まらず、とうとう俺にげんこつを一つ食らった。いやほんとにうるさい。
いてーっ!と言いながら、ユキに頭を撫でられている。


「同じ魔方陣」
残り2人も手術をし、取り除いた自害の魔方陣が書かれた紙を血を拭きながら考える。


「これで喋れるはずだが、どうかな。ちょっと強くかけすぎたな」
ぐっすり眠る三つ子を見て、ちょっと後悔した。麻酔はしたが、経過観察といったところだ。
しかし、ちょっと睡眠魔法強くかけすぎたな。起きてこない。

ぐっすり眠る三つ子の暗殺者は、安らかな寝息と顔をして同じベッドで抱き合って眠っていた。


「どうします?」
「起きるまで、放置で」
「わかりました」
一応逃げられないように監禁の魔法を部屋に施し、俺たちは部屋をでた。

「はぁ…」
「お疲れ様です」
「お前は一部始終笑ってたけどな」
「面白すぎでしょあれは」
アキュールは思い出し笑いを浮かべた。
「…やりすぎ」
ユキも呆れていた。

午後は午前中に詰めた仕事も兼ねて、忙しなく動き、1日が終わった。


仕事とはいえ仕方ないと思うが、あの午前中が余分だった気がする…。
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