11 / 62
第1章 神奮励~チョコランタ王国編~
第9話 獣の街ザルク③
しおりを挟む
――その後、祭壇に供えられていた大きな猪を男性の獣人達が解体して、女性の獣人達が料理を始め、出来上がったものをみんなで食べるらしい。その準備をする光景は、なんだかお祭りみたいに賑やかで楽しそう。
さっきは儀式が始まるからジロジロ観察出来なかったけど、行き交う獣人達はみんな獣の顔で、人の姿に近いのはしーちゃんとラビくんだけ。
正しい種族名はわからないけど、牛、馬、羊、豚、鳥など、ほんとに他種族だけどひとつの一族のように団結してる気がする。獣人という誇り高き絆で結ばれているんだろうな。
「――メティーは料理出来るまで休んでなよ」
「あ! それなら僕の家使って」
「らびくんありがとー」
しーちゃんの発言にラビくんが続き、私は笑顔でお礼を言う。
あ! ロウさんの傷も、ラビくんのお家に行けば人目につかず治してあげれるかな?
「ろうしゃんも、ちょっといちょにきてー?」
「ん?」
不思議そうに返事をしたロウさんを連れて、私はしーちゃんにおんぶされてラビくんの案内でラビくんのお家へと歩き出す。
そういえば、しーちゃんが人間の街より危ないって言ってたから、もっと怖い所だと思ったけど、さっきから他の獣人達は遠巻きにジロジロ見るだけで近づいてこない。
「あぶなくないよー?」と私の言葉に言いにくそうに黙ったままのしーちゃんを見かねて、ロウさんがニヤニヤして――
「さっき少し言ったろ? 獣人は強き者に従うって。シアは強いから尊敬と憧れの眼差しで見られる……それに毎日同じ匂いをつけてこの街にやってくるんだ」
「ちょ――」
「その匂いの主に興味津々って所だろ!」
途中しーちゃんは慌てて口を挟むも、私をおんぶしてる都合で強引にロウさんを止める事も出来ず、頬を真っ赤にして俯いた。
「しーちゃん? どーちたの?」
「っ……メティーには関係ない!」
「アリアリだろうが! ふたりはいつもさっきみたくイチャついてんだろ?」
「なっ! メティーちょっと降りて……」
ニヤニヤ笑うロウさんにからかわれて真っ赤になったしーちゃんから地面に降ろされる。
「……先にラビと行ってて」
そう言ってしーちゃんは、遠巻きにジロジロ見ている獣人達を睨むと、蜘蛛の子を散らすようにサッと離れ、食事の準備を何食わぬ顔で始める。
そして、しーちゃんはロウさんと話があると言って、また人気のない入口の通路の方へ向かって行った。
「らびくんは、しゃっきのおはなちわかりゅー?」
「へ!?」
今度はラビくんが真っ赤になった。しーちゃんといい、なんだろう? 真っ赤になるって事は……恥ずかしい事?
ロウさんが、さっきみたくイチャつくって言ったのは、ギューしてなでなでの事かな? 寝る時はいつもそうだけど……いつからかしーちゃんが起きたら顔赤くなるようになったのは、ロウさんがからかったせいなんだろうなぁ……。
視線をラビくんに戻すとまだ顔が赤い。これは聞けなそうだから――もうひとつ気になる事聞こう。
ロウさんが言うには、しーちゃんが強いから危なくないって事だよね? 今もしーちゃんが睨んだらサッといなくなったし。
岩壁を持ち上げ殺気を放ったしーちゃん……確かに本能的に強いんだと理屈ではわかるけど、戦うイメージが浮かばないなぁ。
「……しーちゃんはつおいのー?」
「……強いよ……あの時のもメティーちゃんの事だったんだね」
ラビくんは複雑そうな顔で私から視線をそらした。
「あのちょきー?」
――首を傾げた私に、ラビくんが優しく笑って歩きながら聞かせてくれたのは、昔のしーちゃんの話。
約3年前にふらっと獣の街に現れた半獣の存在を、ロウさん達が放って置くはずなく、どんなに殴られても反撃する事のなかったしーちゃん。
弱い者イジメする子になったらダメって言った頃の事だろう……約束ちゃんと守ってくれてたんだと今になってわかる。あれ? そういえば、なんか引っかかる事が……なんだろう?
――その違和感は、ラビくんが話してくれる次の話を聞く為にどんどん奥へと流されて行ってしまった――
しーちゃんが、初めて怒ってロウさんを殴ったのは、匂いと匂いの主をバカにされた事が原因らしい。人間臭い、半獣をそばに置くのは奴隷のように扱う最低な人間だとロウさんはしーちゃんを煽ったらしい。
ロウさんを殴って強さを認められたしーちゃんは、その日以降殴られなくなったと聞いて、ぱったり怪我して来なくなった頃を思い出す。
しーちゃん、私の為に怒ってくれたんだ――ハッとして私は自分の腕の匂いを嗅ぎ「わたち……くしゃいのー?」と心配で尋ねる。
ラビくんはクスッと微笑み、突然私を抱きしめるようにして――まさか匂いを嗅いでる!?
「……メティーちゃんは優しくてあったかいお日様みたいで……心地良い匂いかな?」
あ! やっぱり匂い嗅いでた! 途端に恥ずかしくなって、離れようとバタバタ抵抗してもラビくんは離してくれず――抱きしめたまま教えてくれたのは、獣人はちゃんと嗅げば匂いで性格の善悪ぐらいは見抜ける程に鼻も良い事。
だから、さっきのしーちゃんの話は、その匂いの主はそんな人間じゃないとわかった上で、しーちゃんを怒らせる為にあえて煽ったとラビくんもさっきのロウさんの一面を知ってわかったみたい。
「……メティーちゃん……ありがとう」
「へ? きゅうになぁに?」
「……僕が今日獣人達に認めてもらえたのは、メティーちゃんのおかげだから……」
ラビくんはそう言って離れて、照れくさそうに少し赤い顔で微笑む。
役に立てたならよかった……うん……やっぱり、神の力はこんな風に困った人を助けるのに使いたい!
私は返事の代わりにニッコリ微笑んだ――
――ラビくんの家に向かう道中は迷路みたいに複雑で、地下だから当然空も見えず方向感覚もなくなり、道がわからない。最初はちびっ子の私の背だから天井も高く見えてるだけと思ったけど、背の高いと思ったロウさんでも天井に余裕があった事を思い出し、この街を作る時の苦労が浮かぶ。
キョロキョロ見回すと、獣人達の家は壁を掘って空間を作り、入口は布でドアの代わりにして中を隠してるみたい。
「――ここが僕の家」
ラビくんがそう言って布を持ち上げてくれた。
「おじゃまちまーす」と中に入ると――すぐ視界に入ったのは、ひとりのうさぎの獣人さん! 大きなぬいぐるみみたいで可愛い!
「かわいー」と我慢出来ず抱きつくと――
「あらあら、可愛らしい人間のお客さんだこと。でも、おばさんに可愛いなんて言うもんじゃないよ?」
そう言ってクスクス笑いながら私の頭を撫でてくれた。
おばさん? という事は……ラビくんのお母さん? 撫でてくれる手が優しくて心地良くて、私は甘えるようにまたギュッとしがみつく。
「母さん、シアを迎えに行ってくるからメティーちゃん休ませてあげて」
ラビくんはそう言って、早々と行ってしまう。
「メティーちゃんっていうのね……この匂い……あなたがシアのお気に入りなのね」
ん? また匂い?
私はキョトンとラビくんのお母さんを見つめる。
「ふふっ。あの子ったらシアのお気に入りに匂いをつけるなんて……メティーちゃんはモテモテね」
ラビくんのお母さんはクスクスと楽しそうに笑う。
んー? さっきから話がよくわからない……あ! 匂いってしーちゃんもラビくんも真っ赤になった話に関係あるのかな? あのふたりは教えてくれなそうだし――
「においー? おきにーり?」
「あらやだ、私ったら……人間の世界ではわからないわよね。獣人の世界では誰かに匂いをつけたり、誰かの匂いを自分につけるのは『君は僕のもの、僕は君のもの』……つまり他の人からすると『この子は僕のだから手を出すな、僕はこの子のものだから他に興味無い』って意味になるのよ」
え?
「ああ、そうだ! さっきは私だったからいいけど、獣人の男の子に抱きついちゃダメよ? 異性を抱きしめるのは当然匂いもつくから、獣人の間では愛の告白なのよ♡」
ラビくんのお母さんがクスクス笑いながら楽しそうにペラペラと語って教えてくれた事に固まる。
え? え!? えーーーー!? そりゃふたり共真っ赤になるはずだよ! 知った私も顔が熱い……。
でも、知らないで私が抱きついてる分はしょうがないとして、そのあとのしーちゃんのギューしてなでなでも、私が頭痛いからでしょうがない事だし。
ラビくんのも、匂い嗅ぐ為のギューだよね? ギューしなくても嗅ぐ事は出来そうだけど……そのあと私にお礼言うのが恥ずかしくて、顔見ないでお礼言う為のギューだよね!?
――必死にこの顔の熱さを冷やす為に、そうじゃないと思い込む。
――すると、入口の方からラビくんの声が聞こえてきた。
「あれ? 父さんも今帰り?」
「ああ……うっ……」
「父さん? どうしたの!? 父さん!」
聞こえて来たやりとりから、ラビくんのお父さんに何かあったとわかった。
私とラビくんのお母さんが入口へ向かい、布をめくると――ラビくんとしーちゃんとロウさんがいた。
そして、うさぎの獣人……ラビくんのお父さんが両膝と両手を地面につけていた。
「あなた! どうしたの!?」
「っ! 離れて下さい」
ラビくんのお母さんがお父さんに近づこうとしたのを、何かに気付いたようにしーちゃんが腕で近づけないように制する。
「うあああ゛あ゛あ゛あ゛」
ラビくんのお父さんの声が明らかに変わった。
「あなた!」
「父さん!」
「っ! この匂いは! 異形生物!? どうなってんだ!?」
「…………」
ロウさんが初めて聞く言葉を言って何か察したようにしーちゃんを見て、しーちゃんは唖然と言葉を失い立ち尽くす。
私もわけがわからずみんなを見回して再びラビくんのお父さんに視線を戻すと――ビキッと有り得ない音を立ててラビくんのお父さんの身体がひと回り大きくなる。
「「「え!?」」」
「あ゛あ゛あ゛あ゛!」
私とラビくんとラビくんのお母さんが声をあげたのとほぼ同時に、ラビくんのお父さんがそばの壁を殴りドーンと音を立てて壁が砕ける。
え? え!? 何がどうなってるの!?
さっきは儀式が始まるからジロジロ観察出来なかったけど、行き交う獣人達はみんな獣の顔で、人の姿に近いのはしーちゃんとラビくんだけ。
正しい種族名はわからないけど、牛、馬、羊、豚、鳥など、ほんとに他種族だけどひとつの一族のように団結してる気がする。獣人という誇り高き絆で結ばれているんだろうな。
「――メティーは料理出来るまで休んでなよ」
「あ! それなら僕の家使って」
「らびくんありがとー」
しーちゃんの発言にラビくんが続き、私は笑顔でお礼を言う。
あ! ロウさんの傷も、ラビくんのお家に行けば人目につかず治してあげれるかな?
「ろうしゃんも、ちょっといちょにきてー?」
「ん?」
不思議そうに返事をしたロウさんを連れて、私はしーちゃんにおんぶされてラビくんの案内でラビくんのお家へと歩き出す。
そういえば、しーちゃんが人間の街より危ないって言ってたから、もっと怖い所だと思ったけど、さっきから他の獣人達は遠巻きにジロジロ見るだけで近づいてこない。
「あぶなくないよー?」と私の言葉に言いにくそうに黙ったままのしーちゃんを見かねて、ロウさんがニヤニヤして――
「さっき少し言ったろ? 獣人は強き者に従うって。シアは強いから尊敬と憧れの眼差しで見られる……それに毎日同じ匂いをつけてこの街にやってくるんだ」
「ちょ――」
「その匂いの主に興味津々って所だろ!」
途中しーちゃんは慌てて口を挟むも、私をおんぶしてる都合で強引にロウさんを止める事も出来ず、頬を真っ赤にして俯いた。
「しーちゃん? どーちたの?」
「っ……メティーには関係ない!」
「アリアリだろうが! ふたりはいつもさっきみたくイチャついてんだろ?」
「なっ! メティーちょっと降りて……」
ニヤニヤ笑うロウさんにからかわれて真っ赤になったしーちゃんから地面に降ろされる。
「……先にラビと行ってて」
そう言ってしーちゃんは、遠巻きにジロジロ見ている獣人達を睨むと、蜘蛛の子を散らすようにサッと離れ、食事の準備を何食わぬ顔で始める。
そして、しーちゃんはロウさんと話があると言って、また人気のない入口の通路の方へ向かって行った。
「らびくんは、しゃっきのおはなちわかりゅー?」
「へ!?」
今度はラビくんが真っ赤になった。しーちゃんといい、なんだろう? 真っ赤になるって事は……恥ずかしい事?
ロウさんが、さっきみたくイチャつくって言ったのは、ギューしてなでなでの事かな? 寝る時はいつもそうだけど……いつからかしーちゃんが起きたら顔赤くなるようになったのは、ロウさんがからかったせいなんだろうなぁ……。
視線をラビくんに戻すとまだ顔が赤い。これは聞けなそうだから――もうひとつ気になる事聞こう。
ロウさんが言うには、しーちゃんが強いから危なくないって事だよね? 今もしーちゃんが睨んだらサッといなくなったし。
岩壁を持ち上げ殺気を放ったしーちゃん……確かに本能的に強いんだと理屈ではわかるけど、戦うイメージが浮かばないなぁ。
「……しーちゃんはつおいのー?」
「……強いよ……あの時のもメティーちゃんの事だったんだね」
ラビくんは複雑そうな顔で私から視線をそらした。
「あのちょきー?」
――首を傾げた私に、ラビくんが優しく笑って歩きながら聞かせてくれたのは、昔のしーちゃんの話。
約3年前にふらっと獣の街に現れた半獣の存在を、ロウさん達が放って置くはずなく、どんなに殴られても反撃する事のなかったしーちゃん。
弱い者イジメする子になったらダメって言った頃の事だろう……約束ちゃんと守ってくれてたんだと今になってわかる。あれ? そういえば、なんか引っかかる事が……なんだろう?
――その違和感は、ラビくんが話してくれる次の話を聞く為にどんどん奥へと流されて行ってしまった――
しーちゃんが、初めて怒ってロウさんを殴ったのは、匂いと匂いの主をバカにされた事が原因らしい。人間臭い、半獣をそばに置くのは奴隷のように扱う最低な人間だとロウさんはしーちゃんを煽ったらしい。
ロウさんを殴って強さを認められたしーちゃんは、その日以降殴られなくなったと聞いて、ぱったり怪我して来なくなった頃を思い出す。
しーちゃん、私の為に怒ってくれたんだ――ハッとして私は自分の腕の匂いを嗅ぎ「わたち……くしゃいのー?」と心配で尋ねる。
ラビくんはクスッと微笑み、突然私を抱きしめるようにして――まさか匂いを嗅いでる!?
「……メティーちゃんは優しくてあったかいお日様みたいで……心地良い匂いかな?」
あ! やっぱり匂い嗅いでた! 途端に恥ずかしくなって、離れようとバタバタ抵抗してもラビくんは離してくれず――抱きしめたまま教えてくれたのは、獣人はちゃんと嗅げば匂いで性格の善悪ぐらいは見抜ける程に鼻も良い事。
だから、さっきのしーちゃんの話は、その匂いの主はそんな人間じゃないとわかった上で、しーちゃんを怒らせる為にあえて煽ったとラビくんもさっきのロウさんの一面を知ってわかったみたい。
「……メティーちゃん……ありがとう」
「へ? きゅうになぁに?」
「……僕が今日獣人達に認めてもらえたのは、メティーちゃんのおかげだから……」
ラビくんはそう言って離れて、照れくさそうに少し赤い顔で微笑む。
役に立てたならよかった……うん……やっぱり、神の力はこんな風に困った人を助けるのに使いたい!
私は返事の代わりにニッコリ微笑んだ――
――ラビくんの家に向かう道中は迷路みたいに複雑で、地下だから当然空も見えず方向感覚もなくなり、道がわからない。最初はちびっ子の私の背だから天井も高く見えてるだけと思ったけど、背の高いと思ったロウさんでも天井に余裕があった事を思い出し、この街を作る時の苦労が浮かぶ。
キョロキョロ見回すと、獣人達の家は壁を掘って空間を作り、入口は布でドアの代わりにして中を隠してるみたい。
「――ここが僕の家」
ラビくんがそう言って布を持ち上げてくれた。
「おじゃまちまーす」と中に入ると――すぐ視界に入ったのは、ひとりのうさぎの獣人さん! 大きなぬいぐるみみたいで可愛い!
「かわいー」と我慢出来ず抱きつくと――
「あらあら、可愛らしい人間のお客さんだこと。でも、おばさんに可愛いなんて言うもんじゃないよ?」
そう言ってクスクス笑いながら私の頭を撫でてくれた。
おばさん? という事は……ラビくんのお母さん? 撫でてくれる手が優しくて心地良くて、私は甘えるようにまたギュッとしがみつく。
「母さん、シアを迎えに行ってくるからメティーちゃん休ませてあげて」
ラビくんはそう言って、早々と行ってしまう。
「メティーちゃんっていうのね……この匂い……あなたがシアのお気に入りなのね」
ん? また匂い?
私はキョトンとラビくんのお母さんを見つめる。
「ふふっ。あの子ったらシアのお気に入りに匂いをつけるなんて……メティーちゃんはモテモテね」
ラビくんのお母さんはクスクスと楽しそうに笑う。
んー? さっきから話がよくわからない……あ! 匂いってしーちゃんもラビくんも真っ赤になった話に関係あるのかな? あのふたりは教えてくれなそうだし――
「においー? おきにーり?」
「あらやだ、私ったら……人間の世界ではわからないわよね。獣人の世界では誰かに匂いをつけたり、誰かの匂いを自分につけるのは『君は僕のもの、僕は君のもの』……つまり他の人からすると『この子は僕のだから手を出すな、僕はこの子のものだから他に興味無い』って意味になるのよ」
え?
「ああ、そうだ! さっきは私だったからいいけど、獣人の男の子に抱きついちゃダメよ? 異性を抱きしめるのは当然匂いもつくから、獣人の間では愛の告白なのよ♡」
ラビくんのお母さんがクスクス笑いながら楽しそうにペラペラと語って教えてくれた事に固まる。
え? え!? えーーーー!? そりゃふたり共真っ赤になるはずだよ! 知った私も顔が熱い……。
でも、知らないで私が抱きついてる分はしょうがないとして、そのあとのしーちゃんのギューしてなでなでも、私が頭痛いからでしょうがない事だし。
ラビくんのも、匂い嗅ぐ為のギューだよね? ギューしなくても嗅ぐ事は出来そうだけど……そのあと私にお礼言うのが恥ずかしくて、顔見ないでお礼言う為のギューだよね!?
――必死にこの顔の熱さを冷やす為に、そうじゃないと思い込む。
――すると、入口の方からラビくんの声が聞こえてきた。
「あれ? 父さんも今帰り?」
「ああ……うっ……」
「父さん? どうしたの!? 父さん!」
聞こえて来たやりとりから、ラビくんのお父さんに何かあったとわかった。
私とラビくんのお母さんが入口へ向かい、布をめくると――ラビくんとしーちゃんとロウさんがいた。
そして、うさぎの獣人……ラビくんのお父さんが両膝と両手を地面につけていた。
「あなた! どうしたの!?」
「っ! 離れて下さい」
ラビくんのお母さんがお父さんに近づこうとしたのを、何かに気付いたようにしーちゃんが腕で近づけないように制する。
「うあああ゛あ゛あ゛あ゛」
ラビくんのお父さんの声が明らかに変わった。
「あなた!」
「父さん!」
「っ! この匂いは! 異形生物!? どうなってんだ!?」
「…………」
ロウさんが初めて聞く言葉を言って何か察したようにしーちゃんを見て、しーちゃんは唖然と言葉を失い立ち尽くす。
私もわけがわからずみんなを見回して再びラビくんのお父さんに視線を戻すと――ビキッと有り得ない音を立ててラビくんのお父さんの身体がひと回り大きくなる。
「「「え!?」」」
「あ゛あ゛あ゛あ゛!」
私とラビくんとラビくんのお母さんが声をあげたのとほぼ同時に、ラビくんのお父さんがそばの壁を殴りドーンと音を立てて壁が砕ける。
え? え!? 何がどうなってるの!?
0
あなたにおすすめの小説
娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る
ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。
異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。
一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。
娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。
そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。
異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。
娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。
そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。
3人と1匹の冒険が、今始まる。
※小説家になろうでも投稿しています
※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!
よろしくお願いします!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。
黄玉八重
ファンタジー
水無月宗八は意識を取り戻した。
そこは誰もいない大きい部屋で、どうやら異世界召喚に遭ったようだ。
しかし姫様が「ようこそ!」って出迎えてくれないわ、不審者扱いされるわ、勇者は1ヶ月前に旅立ってらしいし、じゃあ俺は何で召喚されたの?
優しい水の国アスペラルダの方々に触れながら、
冒険者家業で地力を付けながら、
訪れた異世界に潜む問題に自分で飛び込んでいく。
勇者ではありません。
召喚されたのかも迷い込んだのかもわかりません。
でも、優しい異世界への恩返しになれば・・・。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる