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第一話
しおりを挟む「遅いぞ、マシュー!」
ここは、王国主催の舞踏会。
参加者は皆、侯爵や伯爵など上級貴族、それに皇族ばかり。
そんな中で、私は着いて早々怒鳴られていました。
「申し訳ありません、ニード殿下」
私は恭しく頭を下げ、彼の隣に座りました。
ニード・ヴァンハイム殿下は紛うことなきこの国の皇太子。そして私、マシュー・ヴァンハイムの夫です。
ですが、彼はどうもこの結婚が乗り気ではなかったご様子。結婚前からそんな態度を隠そうともせず、結ばれてからはさらに露骨に私をいびり倒してきています。
私とて、皇太子という立場の方との結婚は不安でいっぱいでした。けれど、私も詳しくは知らないのですが、一時内戦状態に陥りかけたこの国を立て直すために、私たちの結婚は必要不可欠だったと聞いています。でしたら、わがままを言っても仕方がないではありませんか。
「ニード、まだ開会十五分前だよ。そんなにカリカリするな」
「......父上がそうおっしゃるなら」
幸い、国王様がいるときは必ずとりなしてくれるので、私が外で辱めを受けることはありません。まぁ、そういう日の夜はいつもに増してニードが不機嫌になるのですが。
そんなこんなで今日まで、どうにか乗り越えてきた、そう思っていたのですが。
今夜は、どうも事情が違うようです。
「ですが今夜は、開会前にどうしてもお話したいことがあるのです」
「......今じゃなきゃダメなのか?」
「ええ、今でなければ」
どうも嫌な予感がしていた。ニード殿下が国王様に歯向かう時は、絶対に自分が正しいと信じている時だ。
つまり、大体ろくなことにならない。
「この女、マシュー・ヴァンハイムは、ここにいる私の幼馴染、エリスを虐めていたとんだ悪女なのです!私は、この女との離縁をここに宣言します!」
自信満々で言い放つニード殿下。
呆気にとられる国王様と、貴族皇族の方々。
そんな中で、私はため息をついていました。ほら、やっぱりろくなことにならなかった。
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