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第二話
しおりを挟む「ど、どういうことだ、ニード?」
国王様が動揺した様子でニードに問いかけます。
「詳しいことは、彼女から」
どこから出てきたのかさっぱりわからりませんが、とにかくニード殿下は自信満々です。
そんな彼の背後から、ひょっこりと一人の女が出てきました。
「......えっとー、エリスといいます。昔マシューさんから、ひどいいじめを受けました!」
おいおいおい。
目が泳ぎまくっているのですが。というか、この女はいったい誰ですか?顔も見たことがないのですが。
ていうか、その程度の下準備で王室に喧嘩売るとか、もしかして馬鹿?
「彼女は学院時代、同じクラスだったマシューから執拗な暴力、嫌がらせの数々を受けたのです。理由は彼女が好きだった男性をエリスが横取りしたから、という身勝手なものです。父上は、この事実をご存じでしたか?」
「い、いや......」
「この女は、王室に相応しくありません!選んだあなたが責任をもって、しかるべき処分をしていただきたい!」
激しい口調で国王様をなじるニード殿下。
「そもそも、私は怪しいと思っていたんだ!この女ときたら、まるで何もできやしない!受け答えも生意気だし、のろまで時間にもルーズだしで、もううんざりしていたんだ。皆だってそうだろ!?」
そう言って、彼はその場にいた来客たちに同意を求めました。
しかし、
「さあ......」
「いや......」
「そんなことは.......」
来客たちの反応は、なんだか鈍いようです。
「ど、どうした!もうこの女に遠慮する必要なんてないぞ!」
焦るニード殿下ですが、それ以上に動揺しているのが、エリスとかいう女。
ははん。私は、どうしてこの女がこんなに無謀な挑戦をしてきたのかわかってきました。
おそらく、彼女は毎日のようにニード殿下から私の愚痴を聞かされてきたのでしょう。
そして、殿下の「皆本当はマシューのことが嫌いなんだ」なんて言葉を真に受けて、そうであるならば騙し通せると踏んだ。
けれど、お生憎様。
私は今まで、ニード殿下のわがままに耐えながら、それはもうがむしゃらに公務に、また貴族たちとの関係作りに励んできました。それが、内戦を起こさないため私に課せられた責務だったからです。
その結果、私についたあだ名は「鉄の皇太子妃」。万に一つも間違いがあってはならないと神経を尖らせた結果、周りからは完全無欠、過去最高の皇太子妃とまで言われてしまいました。
そんな私が、学院時代とは言え、いじめという生涯付きまとうような弱みを握らせるなんて、にわかには信じられないでしょう。
後は、私がちょっと一押しすれば、すぐに誤解は晴れます。
ずいぶん面倒なことをしてくれましたね、ニード殿下。
責任を取る覚悟は、おありで?
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