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第三話
しおりを挟む会場が変な空気になってしまいました。
こんなことで、開会の時間をずらしたくはありません。早めに、真実をはっきりさせますか。
「......いい加減にしなさい、あなた」
私は強い口調を意識して、エリスに詰め寄りました。
彼女の身体がびくっと跳ねます。
「私がいじめ?あなたを?まったく覚えのないことです」
「そ、そんなことを言われても、あったものはあったんです!」
もっとスムーズに事が運ぶと思っていたのか、もはや半泣き状態のエリス。
申し訳ないですが、とどめを刺させてもらいます。
「あなたが嘘をついていることは、この方に聞けばすぐにわかります!」
私はそう叫ぶと、来客の中から一人の婦人の手を引っ張って、前に連れてきました。
「この方は、私の楽員時代の同級生で、仲良くさせていただいていたキュリーさんです。あなたも覚えているでしょう?」
「えっ?えっ?」
急に前に連れてこられて、困惑するキュリーさん。
しかし、彼女が言葉を発するより前に、エリスがヒステリックに叫びました。
「だ、駄目よ!その人も一緒になって私をいじめていたのだから、言うことを信じちゃ駄目!」
かかった。
私は、ゆっくりと落ち着いた口調で、言います。
「エリスさん。私は嘘をつきました。キュリーさんは、遠く南の国から一年前に嫁いできたばかりですよ。当時は同じ学院どころか、同じ国にすらいませんでした」
絶句するエリス。
愕然とするニード殿下。
そして、凍りついた、けれどどこかほっとしたような空気に包まれる場内。
「さあ、舞踏会を始めましょう!」
私は、高らかに宣言しました。
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