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9話
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復讐の計画を進める日々の中で、レオンの存在は私にとって、なくてはならないものになっていた。彼は単なる協力者ではなく、私の凍てついた心を唯一温めてくれる、陽だまりのような存在だった。
王立図書館での密会は、いつしか復讐の策略を練るだけの時間ではなくなっていた。私たちは、互いのことを語り合った。私がこれまで受けてきた虐待と孤独。彼が抱える、王族という不自由な立場と、自由を求める心。
「君は、本当に強いな、サラ」
ある日、レオンは穏やかな声で言った。夕暮れの光が差し込む窓辺で、彼は私の髪に触れた。
「あれほどの仕打ちを受けながら、君の心は折れていない。むしろ、その逆境を力に変えようとしている。その澄んだ瞳を見ていると、僕も勇気づけられる」
「……いいえ。わたくしが強いのではありません。レオン、あなたが見つけてくれたからです。この記憶が武器になると、私の価値を認めてくれたから……。あなたがいなければ、わたくしは今も、絶望の底で泣いているだけでしたわ」
彼の前では、自然と素直な気持ちを口にすることができた。虐げられてきた私の心の傷も、それに屈しない強さも、彼はすべて受け止めてくれる。そんな安心感が、私の心を少しずつ解きほぐしていった。
その日、レオンはいつになく真剣な表情で、私を王宮の庭園が見渡せる、人気のない回廊へと連れ出した。
「サラ。君に、話しておかなければならないことがある」
夕陽が彼の横顔を照らし、その瞳に深い色を落とす。
「僕は、君が思っているような、ただの自由気ままな青年じゃない。……僕は、この国の第三王子、レオンハルト・エル・ヴァインツだ」
彼の告白に、私は息をのんだ。王立図書館で出会った飄々とした青年が、まさか王族だったとは。驚きのあまり、言葉も出ない。
「身分を隠していたことを、許してほしい。王子の身分では、君とこうして気兼ねなく話すことも、君の力になることも難しかったんだ」
「……そんな。わたくしの方こそ、知らなかったとはいえ、大変な無礼を……」
慌てて膝を折ろうとする私を、レオンは優しい力で制した。
「やめてくれ、サラ。僕たちの間に、そんなものは必要ない。僕は王子としてではなく、レオンとして、君のそばにいたいんだ」
彼は私の手をとり、その真摯な瞳でまっすぐに見つめてきた。
「君が望むなら、僕が君の剣にも盾にもなる。君を虐げる者すべてから、僕が君を守ってみせる。だから、どうか僕を信じて、最後まで戦い抜いてほしい。君の復讐が終わったその先に、君の本当の笑顔が見たいんだ」
彼の力強い言葉と、手に伝わる温もりが、私の胸の奥深くまで沁みわたる。この人のためなら、どんな困難にも立ち向かえる。そう、心から思えた。
「……はい、レオン様」
私も彼の手をそっと握り返す。いつしか芽生えていた彼への想いが、確かな形となっていくのを感じていた。
復讐の先にある未来に、もし光があるのだとしたら、それはきっと、この人と共に歩む未来なのだろう。
夕闇が迫る空の下で、私たちはただ静かに、互いの存在を確かめ合っていた。それは、これから訪れる嵐の前の、束の間の安らぎだった。
王立図書館での密会は、いつしか復讐の策略を練るだけの時間ではなくなっていた。私たちは、互いのことを語り合った。私がこれまで受けてきた虐待と孤独。彼が抱える、王族という不自由な立場と、自由を求める心。
「君は、本当に強いな、サラ」
ある日、レオンは穏やかな声で言った。夕暮れの光が差し込む窓辺で、彼は私の髪に触れた。
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「……いいえ。わたくしが強いのではありません。レオン、あなたが見つけてくれたからです。この記憶が武器になると、私の価値を認めてくれたから……。あなたがいなければ、わたくしは今も、絶望の底で泣いているだけでしたわ」
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その日、レオンはいつになく真剣な表情で、私を王宮の庭園が見渡せる、人気のない回廊へと連れ出した。
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「身分を隠していたことを、許してほしい。王子の身分では、君とこうして気兼ねなく話すことも、君の力になることも難しかったんだ」
「……そんな。わたくしの方こそ、知らなかったとはいえ、大変な無礼を……」
慌てて膝を折ろうとする私を、レオンは優しい力で制した。
「やめてくれ、サラ。僕たちの間に、そんなものは必要ない。僕は王子としてではなく、レオンとして、君のそばにいたいんだ」
彼は私の手をとり、その真摯な瞳でまっすぐに見つめてきた。
「君が望むなら、僕が君の剣にも盾にもなる。君を虐げる者すべてから、僕が君を守ってみせる。だから、どうか僕を信じて、最後まで戦い抜いてほしい。君の復讐が終わったその先に、君の本当の笑顔が見たいんだ」
彼の力強い言葉と、手に伝わる温もりが、私の胸の奥深くまで沁みわたる。この人のためなら、どんな困難にも立ち向かえる。そう、心から思えた。
「……はい、レオン様」
私も彼の手をそっと握り返す。いつしか芽生えていた彼への想いが、確かな形となっていくのを感じていた。
復讐の先にある未来に、もし光があるのだとしたら、それはきっと、この人と共に歩む未来なのだろう。
夕闇が迫る空の下で、私たちはただ静かに、互いの存在を確かめ合っていた。それは、これから訪れる嵐の前の、束の間の安らぎだった。
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