166 / 424
第6章 さぁ、ファッションショータイムだ!
サキュバスの過去 その5 ~違う何か~
しおりを挟む
……あの日から数日。
ウチはあることに気付いてしもうた。
昼間、外に出たとき、何度か男とすれ違った。
別にこの時間にいる男なんて、ウチと同族……オトンと同じ種族、インキュバスの人たちや。
せやけど……インキュバスが通り過ぎるたびに、ウチは無意識に、拒絶するようにそそくさと動いてしもうた。
……怖い、男が通り過ぎるたびに、ウチは拒否反応を示してまう。
男は……ケダモノや。
欲のためなら、どんなことでもする……それが男の本質。
現に、あの男たちはウチを誘拐し、欲を満たす道具にしようとした。
男が怖くて……仕方がなかった。
唯一話せる男は……オトンだけやった。
「ラピス! どないしたんや!?」
家に戻ると、恐怖で震えていたのを察したのか、オトンが声を掛けてきた。
「オトン……ウチ……男が……怖い……」
「男がか? せやけど、俺とは話せてるやんか」
「オトン……」
「きっと気のせいや、な?」
オトンはウチを気にかけてくれたのか、ただの勘違いだと……そう言ってくれた。
せやけど……ウチにはわかっていた。
ウチは……男が……怖い。
☆
……それから数年経った。
いつものように稽古をし、男に対する恐怖心を抱き、そして一日が過ぎる。
あともう数年で……ウチは男の相手をせなあかん……。
ウチはそれが、とてつもなく嫌やった。
……オトンもオカンも、ウチがそんなんやと見破っていた。
それから間もなく……オカンの方から「体調が優れないので今回の話は見送ってほしい」と言ってくれた。
女将もウチの事を理解してくれて……「一緒に仕事ができないのは悲しいが、また体調がよくなったら声を掛けてくれ」と言ってくれた。
そんでもってウチは、しばらく……大体100年もの間、無職生活を送ってた。
オトンもオカンも収入はそれなりにあったので、ウチは不自由なく暮らせたんやけど……それがなんとなく嫌やった。
ウチは何度も仕事を探そうとしたけど……これがかなり難しかった。
……男にビクビクしてるサキュバスなんてウチぐらいなもんや。
せやから、この街でウチの事を知らん奴はおらんかった。
「ほら、あの子や、噂の……」
「あぁ、男一人もできない子やろ?」
「むしろ男の方が避けとるんや、きっと」
「おいあいつや」
「あはは、お前声掛けたらどうや?」
「無理や無理や、きっと、そそくさと逃げられるだけや」
「せやな! あはは!」
……街を歩くだけで、こんなことを言われる。
まるでウチは見世物の動物や……。
……次第に今やっている稽古も、ただ男の欲望のために行っていることやと……そう考えた。
何か……違う事がしたい。
今やっている事とは違う何かを……。
ウチはあることに気付いてしもうた。
昼間、外に出たとき、何度か男とすれ違った。
別にこの時間にいる男なんて、ウチと同族……オトンと同じ種族、インキュバスの人たちや。
せやけど……インキュバスが通り過ぎるたびに、ウチは無意識に、拒絶するようにそそくさと動いてしもうた。
……怖い、男が通り過ぎるたびに、ウチは拒否反応を示してまう。
男は……ケダモノや。
欲のためなら、どんなことでもする……それが男の本質。
現に、あの男たちはウチを誘拐し、欲を満たす道具にしようとした。
男が怖くて……仕方がなかった。
唯一話せる男は……オトンだけやった。
「ラピス! どないしたんや!?」
家に戻ると、恐怖で震えていたのを察したのか、オトンが声を掛けてきた。
「オトン……ウチ……男が……怖い……」
「男がか? せやけど、俺とは話せてるやんか」
「オトン……」
「きっと気のせいや、な?」
オトンはウチを気にかけてくれたのか、ただの勘違いだと……そう言ってくれた。
せやけど……ウチにはわかっていた。
ウチは……男が……怖い。
☆
……それから数年経った。
いつものように稽古をし、男に対する恐怖心を抱き、そして一日が過ぎる。
あともう数年で……ウチは男の相手をせなあかん……。
ウチはそれが、とてつもなく嫌やった。
……オトンもオカンも、ウチがそんなんやと見破っていた。
それから間もなく……オカンの方から「体調が優れないので今回の話は見送ってほしい」と言ってくれた。
女将もウチの事を理解してくれて……「一緒に仕事ができないのは悲しいが、また体調がよくなったら声を掛けてくれ」と言ってくれた。
そんでもってウチは、しばらく……大体100年もの間、無職生活を送ってた。
オトンもオカンも収入はそれなりにあったので、ウチは不自由なく暮らせたんやけど……それがなんとなく嫌やった。
ウチは何度も仕事を探そうとしたけど……これがかなり難しかった。
……男にビクビクしてるサキュバスなんてウチぐらいなもんや。
せやから、この街でウチの事を知らん奴はおらんかった。
「ほら、あの子や、噂の……」
「あぁ、男一人もできない子やろ?」
「むしろ男の方が避けとるんや、きっと」
「おいあいつや」
「あはは、お前声掛けたらどうや?」
「無理や無理や、きっと、そそくさと逃げられるだけや」
「せやな! あはは!」
……街を歩くだけで、こんなことを言われる。
まるでウチは見世物の動物や……。
……次第に今やっている稽古も、ただ男の欲望のために行っていることやと……そう考えた。
何か……違う事がしたい。
今やっている事とは違う何かを……。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
46
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる