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不死鳥シリーズ
ホラーの季節(スナック組)
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※十話読了推奨
※十話~十一話の間のどこか
※スナック組がホラー映画をみるだけ
※怖くない(怖がってるけど)
※接触はする、しかしすごく健全
「ホラー映画を見まショ!」
とある休みの日の夜、グレイが突然そういって召集をかけた。各々好きなように過ごしていた俺達はなんだと思いながら店内に集められ、互いに顔を見合わせる。俺はともかくフィンとソルは「何故」という顔をしていた。
「なんでてめえらと映画なんか見なきゃいけねえんだ!しかもよりによってホラー映画って…冗談じゃねえぞっ!」
「私も…映画は恋人と静かに見るのが好きなんだが」
「もー!二人共!文句言わないノ!ホラーは一人で見てもつまらないしせっかく全員揃ってるんだから、たまには四人で交流しまショ!今の時期、ホラーはピッタリだし~♪」
「ん?ホラーの季節って真夏じゃねえの?」
俺が首を傾げるとグレイは無駄にどや顔をして解説してくる。
「ふふ、この国はお盆が夏にあるし、納涼ホラーってことで夏の風物詩になってるケド。海外ではハロウィンとか秋冬がメイン季節だったりするのヨ~」
「確かに…海外のホラー映画は寒そうな服装してるのが多いような気もする」
「デショ?つ・ま・り!これからがホラーの季節って事ヨ!…てことで見るワヨ~!準備手伝ってチョーダーイ」
グレイがルンルンで店内を改装していく。俺達も手伝い、テーブルを一つだけ残してあとは全てどけて、椅子は壁側のソファだけにした。正面に位置するカウンターの所に白いボードを持ってきてプロジェクターで映像を映せるようにした。配線はよくわからないのかソルに丸投げして「なんでオレがぁ!!」とキレられている。
「さ、お酒とおやつも用意しないと。皆何飲ム~?」
「梅酒ソーダ割り!」
「赤ワインで」
「ウーロン茶かな」
「オッケー!全員コーラね!」
面倒くさくなったのかごり押しでコーラを手渡された。苦笑しつつ俺はストックしておいたスナック菓子(ポップコーンとか)を適当に皿にのせて唯一あるテーブルに置いた。早速ソルが手を伸ばしてくる。ポリポリと頬張りながら片手間にプロジェクターの調整していく。フィンはブランケットやクッションを持ってきた後、店内の照明を良い塩梅に調整して鑑賞環境を整えた。そして、全ての準備が整ったところで映画が開始される。
タッタッタッ
夜の墓場が映る。主人公?目線で始まったが必死に息を切らせて走っていた。何かに追われているらしい。そのまま見知らぬ洋館に逃げ込むが、そこでも行く先々で不気味な現象が起こり、必死に主人公は逃げ惑う。
(結構怖いな…)
初っ端から緊張感のあるシーンが続いていたが、ふと、横から囁くような声がした。
「チョット!ソル!もう少しそっち詰めて!(小声)」
「うるせえなぁ…今忙しいんだよ(画面を恐る恐る見てる)…つかそこでも十分見えんだろうがぁ!」
「見えにくいから言ってんデショ!!てかあんたの声の方がうるさいからネ?!映画の邪魔になっちゃうから静かにシナサイ!(小声)」
「アアッ?!誰のせいでうるさくされたと思ってんだ!!」
((どっちもうるさい…))
俺とフィンは映画の方を向きながらも内心ツッコんでいた。ちなみにソファに四人で並んで見ているのだが、左からフィン、グレイ、俺、ソルの順である(あみだくじで決まった)。
ギャアアアア!!!
「イヤアアアアアアッ!!」
「ウギャアアアアッ!!」
冒頭の主人公(仮)がスプラッタされて、グレイとソルが同時に悲鳴をあげ、抱きついてくる。わりとガッツリしがみつかれてるがドキドキ❤とかは一切なくガチのしがみつきで重かった。
「おいあんたら…」
ウオオオオオッ!!(殺人鬼のドアップ)
「「ヒャアアアアッ!!」」
「………」
ダメだこりゃ。日頃の鬱憤を晴らすかのように二人は叫び、俺の骨を折る勢いでしがみついてくる。死因・ホラー映画(圧死)なんて勘弁してほしいんだが。見かねてフィンが「グレイ、駄犬、ライが潰れている」と注意してくれた。二人はハッと我に返って姿勢を正したが
イヤアアアアア~~~ッ!!(殺人鬼に待ち伏せされる)
「「ギャアアアア!!!!???」」
次の瞬間また抱きつかれて諦めた。もうルールなんてあったもんじゃないレベルで(ギリギリ守られてはいたが)上半身に四本の腕が回されている。
(…もう好きにさせておこう)
俺は無心になってポリポリとポップコーンを食べ進めた。画面は血だらけだが逆にスプラッタすぎて、ここまであからさまに血が溢れてるとリアリティが薄れて笑えてくる。俺が悲鳴もあげず二人にしがみつかれながらポップコーンを食べてるとグレイに正気を疑われた。
「チョット!ライ!あんたなんでそんな平気そうなノ?!さては目瞑ってるワネ??!(手で隠しながら画面みる)」
「目開けてるよ。あと、今は大丈夫なシーンだから隠さなくていいと思うぜ」
「え?…アラ、ほんとダワ」
「だろ」
「ヒイッ、おいやめろやぁッ!今触ったの誰だぁ?!」
「あんたも落ち着けって、ほら、コーラ(ソルの分渡す)」
「おおぅ、さ、さんきゅ…」
両サイドを落ち着かせながらなんとか映画の後半まで見進めた。ここまでくると最後のクライマックス(スプラッタ)に向けて少し展開が穏やかになる。登場人物は冒頭の洋館の一室で隠れながら「ここを生き抜いたら~」みたいな身の上話をしており…ぶっちゃけ死亡フラグのオンパレードだった。そこで、こちらも雑談タイムが始まる。
「ネエ、これ最後誰が生き残ると思う?あたしはあの正義感のあるイケメンリーダーさんが生き残ってほしいんだけど…やっぱ殺されちゃうカシラ」
「「「殺されるな(全会一致)」」」
「イヤアア!死なないでライア~ン!!」
「くくっ大体こういうのはリーダーと悲鳴がでかい奴が真っ先に殺されるんだよ。あとヘイト買ってる奴も後半とかに呆気なく死ぬ」
「臆病な奴が生き残るのが定番だよな。あと子供か?」
「おう、子供はやっぱ生存率高いな。親子でサバイバルしてる場合はお涙頂戴で更にバフがかかる」
「ん~最近コンプライアンスが厳しいしお子さんを手にかけちゃうと色々言われるのカシラ?ついでに“イケメンはホラー映画で殺しちゃダメ”ってコンプライアンスできないカシラ?すごくあたし得なのダケド」
「ゴリゴリのルッキズムだなそれ」
「ンなことしたらホラー映画全部ゲイビになるぜぇ?吊り橋効果で」
「それはそれでいいワ❤」
「「いいのかよ」」
俺とソルの声が揃うとグレイがくすくすと笑った。ふとフィンの方を見ればジーッと真剣な表情で映画を見つめていた。今は登場人物の唯一の親子連れが“子供はタンスの中に隠れているように”と言いつけていた。内容はともかく、プロジェクターの光に照らされたその横顔は、毎日見ているはずなのに惚れそうなほど格好よくて、
(なるほど…、恋人と家で映画を見る人の気持ちがわかった気がする…)
今は左右を恋人じゃない奴に埋められているが、次はフィンの横でゆっくりと映画を楽しみたいなと思うのだった。
「あーたくさん叫んでスッキリしたワー❤」
「うう…心臓がまだバクバクしてやがる…この国のホラーよりは怖さがねえがその分心臓に悪ぃぜ…結局ガキ以外全滅だしよぉ」
「俺はあんたらにもみくちゃにされて肩が凝った」
「「ゴメ~ン❤」」
「はあ」
呆れつつ机の上を片付けているとフィンが手伝いにきた。一緒に皿を流しまで持っていくと、そのまま自然に映画の話になる。
「フィン、熱心に見てたけど、ホラー映画好きなのか?」
「ホラーというより映画がな。本と同じで物語に触れたり、作者の意図を探るのは興味深い。そういうライはどうなんだ?あまり驚いている様子がなかったが…」
「好きでも嫌いでもねえかな。胸糞系は苦痛だけど今日のはゼットコースター的なあれだから全然平気。むしろ観客(グレイとソル)が賑やかで面白かった」
「はは、グレイは楽しんでいるようだったが、駄犬は心霊全般がダメそうだな」
「あの感じスプラッタもビックリ系もダメっぽいけど」
「むしろ何ならいけるんだ」
「…アニメとか?」
「ふむ、流石痛Tシャツを常日頃から着こなす男…」
「おいてめえら聞こえてんぞおッ!!」
ソルに噛みつかれ二人で笑いながら皿を拭いた。すでに店内の方は片付けられ、テーブルの位置も戻っていた。そこでソルが欠伸をしてホラー映画鑑賞会が解散の流れになる。
「ふぁ~あ、アー、クソねみぃ…」
「ハイハイ…少し早いけどトライしてみましょうカ。じゃ、二人共先に失礼するワ~おやすみナサーイ」
「「おやすみ」」
ソルとグレイが廊下に消えた。二人きりになった俺達はなんとなく見つめ合う。
「ライ、もし…ライがよければなんだが」
「ん?」
「この後二人で映画を見ないか?」
「!」
「ホラー映画でなくてもいいから、その、ライとゆっくり鑑賞したいと思ってな」
まさかのお誘いに俺は目を見開いた。
「…もちろん見る、見たいけど、びっくりした。俺もさっき同じ事考えてたんだ…あんたと見たいなって」
「それは…誘ってみてよかった」
ふわりと柔らかく微笑まれ、胸がドキリと高鳴る。どんなスプラッタシーンより、今のフィンの笑顔の方が心臓に悪いしドキドキした。フィンの掌が俺のに重なり、自然と恋人繋ぎになる。
「では早速寝室に行こう」
「なに見る?あんたの見たいのでいいよ」
「では…ラブロマンスで」
「はは、定番すぎて逆に照れるな」
「恋人の反応を楽しむのがラブロマンスの見所だからな」
「…横向くの禁止ってルールつけていい?」
「ダメだ」
くすりと笑って頬に口付けられた。胸がくすぐったくなるような甘さを抱きながら寝室へ向かう。
こうして俺達は寝落ちするまで映画を堪能するのだった。
「そういや、途中、ソルに触れてたのって誰だったんだ?」
「ふむ(首を振る)」
「アラ…(首を振る)」
「ぎゃああああああああああああ(号泣)」
end
※十話~十一話の間のどこか
※スナック組がホラー映画をみるだけ
※怖くない(怖がってるけど)
※接触はする、しかしすごく健全
「ホラー映画を見まショ!」
とある休みの日の夜、グレイが突然そういって召集をかけた。各々好きなように過ごしていた俺達はなんだと思いながら店内に集められ、互いに顔を見合わせる。俺はともかくフィンとソルは「何故」という顔をしていた。
「なんでてめえらと映画なんか見なきゃいけねえんだ!しかもよりによってホラー映画って…冗談じゃねえぞっ!」
「私も…映画は恋人と静かに見るのが好きなんだが」
「もー!二人共!文句言わないノ!ホラーは一人で見てもつまらないしせっかく全員揃ってるんだから、たまには四人で交流しまショ!今の時期、ホラーはピッタリだし~♪」
「ん?ホラーの季節って真夏じゃねえの?」
俺が首を傾げるとグレイは無駄にどや顔をして解説してくる。
「ふふ、この国はお盆が夏にあるし、納涼ホラーってことで夏の風物詩になってるケド。海外ではハロウィンとか秋冬がメイン季節だったりするのヨ~」
「確かに…海外のホラー映画は寒そうな服装してるのが多いような気もする」
「デショ?つ・ま・り!これからがホラーの季節って事ヨ!…てことで見るワヨ~!準備手伝ってチョーダーイ」
グレイがルンルンで店内を改装していく。俺達も手伝い、テーブルを一つだけ残してあとは全てどけて、椅子は壁側のソファだけにした。正面に位置するカウンターの所に白いボードを持ってきてプロジェクターで映像を映せるようにした。配線はよくわからないのかソルに丸投げして「なんでオレがぁ!!」とキレられている。
「さ、お酒とおやつも用意しないと。皆何飲ム~?」
「梅酒ソーダ割り!」
「赤ワインで」
「ウーロン茶かな」
「オッケー!全員コーラね!」
面倒くさくなったのかごり押しでコーラを手渡された。苦笑しつつ俺はストックしておいたスナック菓子(ポップコーンとか)を適当に皿にのせて唯一あるテーブルに置いた。早速ソルが手を伸ばしてくる。ポリポリと頬張りながら片手間にプロジェクターの調整していく。フィンはブランケットやクッションを持ってきた後、店内の照明を良い塩梅に調整して鑑賞環境を整えた。そして、全ての準備が整ったところで映画が開始される。
タッタッタッ
夜の墓場が映る。主人公?目線で始まったが必死に息を切らせて走っていた。何かに追われているらしい。そのまま見知らぬ洋館に逃げ込むが、そこでも行く先々で不気味な現象が起こり、必死に主人公は逃げ惑う。
(結構怖いな…)
初っ端から緊張感のあるシーンが続いていたが、ふと、横から囁くような声がした。
「チョット!ソル!もう少しそっち詰めて!(小声)」
「うるせえなぁ…今忙しいんだよ(画面を恐る恐る見てる)…つかそこでも十分見えんだろうがぁ!」
「見えにくいから言ってんデショ!!てかあんたの声の方がうるさいからネ?!映画の邪魔になっちゃうから静かにシナサイ!(小声)」
「アアッ?!誰のせいでうるさくされたと思ってんだ!!」
((どっちもうるさい…))
俺とフィンは映画の方を向きながらも内心ツッコんでいた。ちなみにソファに四人で並んで見ているのだが、左からフィン、グレイ、俺、ソルの順である(あみだくじで決まった)。
ギャアアアア!!!
「イヤアアアアアアッ!!」
「ウギャアアアアッ!!」
冒頭の主人公(仮)がスプラッタされて、グレイとソルが同時に悲鳴をあげ、抱きついてくる。わりとガッツリしがみつかれてるがドキドキ❤とかは一切なくガチのしがみつきで重かった。
「おいあんたら…」
ウオオオオオッ!!(殺人鬼のドアップ)
「「ヒャアアアアッ!!」」
「………」
ダメだこりゃ。日頃の鬱憤を晴らすかのように二人は叫び、俺の骨を折る勢いでしがみついてくる。死因・ホラー映画(圧死)なんて勘弁してほしいんだが。見かねてフィンが「グレイ、駄犬、ライが潰れている」と注意してくれた。二人はハッと我に返って姿勢を正したが
イヤアアアアア~~~ッ!!(殺人鬼に待ち伏せされる)
「「ギャアアアア!!!!???」」
次の瞬間また抱きつかれて諦めた。もうルールなんてあったもんじゃないレベルで(ギリギリ守られてはいたが)上半身に四本の腕が回されている。
(…もう好きにさせておこう)
俺は無心になってポリポリとポップコーンを食べ進めた。画面は血だらけだが逆にスプラッタすぎて、ここまであからさまに血が溢れてるとリアリティが薄れて笑えてくる。俺が悲鳴もあげず二人にしがみつかれながらポップコーンを食べてるとグレイに正気を疑われた。
「チョット!ライ!あんたなんでそんな平気そうなノ?!さては目瞑ってるワネ??!(手で隠しながら画面みる)」
「目開けてるよ。あと、今は大丈夫なシーンだから隠さなくていいと思うぜ」
「え?…アラ、ほんとダワ」
「だろ」
「ヒイッ、おいやめろやぁッ!今触ったの誰だぁ?!」
「あんたも落ち着けって、ほら、コーラ(ソルの分渡す)」
「おおぅ、さ、さんきゅ…」
両サイドを落ち着かせながらなんとか映画の後半まで見進めた。ここまでくると最後のクライマックス(スプラッタ)に向けて少し展開が穏やかになる。登場人物は冒頭の洋館の一室で隠れながら「ここを生き抜いたら~」みたいな身の上話をしており…ぶっちゃけ死亡フラグのオンパレードだった。そこで、こちらも雑談タイムが始まる。
「ネエ、これ最後誰が生き残ると思う?あたしはあの正義感のあるイケメンリーダーさんが生き残ってほしいんだけど…やっぱ殺されちゃうカシラ」
「「「殺されるな(全会一致)」」」
「イヤアア!死なないでライア~ン!!」
「くくっ大体こういうのはリーダーと悲鳴がでかい奴が真っ先に殺されるんだよ。あとヘイト買ってる奴も後半とかに呆気なく死ぬ」
「臆病な奴が生き残るのが定番だよな。あと子供か?」
「おう、子供はやっぱ生存率高いな。親子でサバイバルしてる場合はお涙頂戴で更にバフがかかる」
「ん~最近コンプライアンスが厳しいしお子さんを手にかけちゃうと色々言われるのカシラ?ついでに“イケメンはホラー映画で殺しちゃダメ”ってコンプライアンスできないカシラ?すごくあたし得なのダケド」
「ゴリゴリのルッキズムだなそれ」
「ンなことしたらホラー映画全部ゲイビになるぜぇ?吊り橋効果で」
「それはそれでいいワ❤」
「「いいのかよ」」
俺とソルの声が揃うとグレイがくすくすと笑った。ふとフィンの方を見ればジーッと真剣な表情で映画を見つめていた。今は登場人物の唯一の親子連れが“子供はタンスの中に隠れているように”と言いつけていた。内容はともかく、プロジェクターの光に照らされたその横顔は、毎日見ているはずなのに惚れそうなほど格好よくて、
(なるほど…、恋人と家で映画を見る人の気持ちがわかった気がする…)
今は左右を恋人じゃない奴に埋められているが、次はフィンの横でゆっくりと映画を楽しみたいなと思うのだった。
「あーたくさん叫んでスッキリしたワー❤」
「うう…心臓がまだバクバクしてやがる…この国のホラーよりは怖さがねえがその分心臓に悪ぃぜ…結局ガキ以外全滅だしよぉ」
「俺はあんたらにもみくちゃにされて肩が凝った」
「「ゴメ~ン❤」」
「はあ」
呆れつつ机の上を片付けているとフィンが手伝いにきた。一緒に皿を流しまで持っていくと、そのまま自然に映画の話になる。
「フィン、熱心に見てたけど、ホラー映画好きなのか?」
「ホラーというより映画がな。本と同じで物語に触れたり、作者の意図を探るのは興味深い。そういうライはどうなんだ?あまり驚いている様子がなかったが…」
「好きでも嫌いでもねえかな。胸糞系は苦痛だけど今日のはゼットコースター的なあれだから全然平気。むしろ観客(グレイとソル)が賑やかで面白かった」
「はは、グレイは楽しんでいるようだったが、駄犬は心霊全般がダメそうだな」
「あの感じスプラッタもビックリ系もダメっぽいけど」
「むしろ何ならいけるんだ」
「…アニメとか?」
「ふむ、流石痛Tシャツを常日頃から着こなす男…」
「おいてめえら聞こえてんぞおッ!!」
ソルに噛みつかれ二人で笑いながら皿を拭いた。すでに店内の方は片付けられ、テーブルの位置も戻っていた。そこでソルが欠伸をしてホラー映画鑑賞会が解散の流れになる。
「ふぁ~あ、アー、クソねみぃ…」
「ハイハイ…少し早いけどトライしてみましょうカ。じゃ、二人共先に失礼するワ~おやすみナサーイ」
「「おやすみ」」
ソルとグレイが廊下に消えた。二人きりになった俺達はなんとなく見つめ合う。
「ライ、もし…ライがよければなんだが」
「ん?」
「この後二人で映画を見ないか?」
「!」
「ホラー映画でなくてもいいから、その、ライとゆっくり鑑賞したいと思ってな」
まさかのお誘いに俺は目を見開いた。
「…もちろん見る、見たいけど、びっくりした。俺もさっき同じ事考えてたんだ…あんたと見たいなって」
「それは…誘ってみてよかった」
ふわりと柔らかく微笑まれ、胸がドキリと高鳴る。どんなスプラッタシーンより、今のフィンの笑顔の方が心臓に悪いしドキドキした。フィンの掌が俺のに重なり、自然と恋人繋ぎになる。
「では早速寝室に行こう」
「なに見る?あんたの見たいのでいいよ」
「では…ラブロマンスで」
「はは、定番すぎて逆に照れるな」
「恋人の反応を楽しむのがラブロマンスの見所だからな」
「…横向くの禁止ってルールつけていい?」
「ダメだ」
くすりと笑って頬に口付けられた。胸がくすぐったくなるような甘さを抱きながら寝室へ向かう。
こうして俺達は寝落ちするまで映画を堪能するのだった。
「そういや、途中、ソルに触れてたのって誰だったんだ?」
「ふむ(首を振る)」
「アラ…(首を振る)」
「ぎゃああああああああああああ(号泣)」
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