短編

リナ

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不死鳥シリーズ

★『好きな体位』グレイver

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 ※質問コーナー「好きな体位」の続き
 ※グレイルート(飲酒、媚薬)
 ※ネコ(仮)×ネコ(仮)
 ※七話読了推奨


 ***


「ただいま…あれ、皆寝てんのか」

 ビールを買って戻ると何故かフィンとソル、ユウキの三人が床に倒れる形で寝ていた。そんなに長い時間あけたつもりはなかったが飲み過ぎて潰れてしまったのだろうか。

「ライ~おかえりナサ~イ」

 ソファで一人楽しく飲酒しているグレイが手を振ってくる。呆れつつグレイの横に腰かけた。

「あんたがコイツラを眠らせたんだな。喧嘩でもしたのか?」
「いーえ。ちょっとゲームで盛り上がりすぎちゃって。うるさい子達には眠ってもらったノヨ」
「なるほど、仲良さそうで何よりだが」

 床の三人を確認してからグレイに視線を戻す。この四人が仲良くゲームしてる姿がなかなか想像できないんだが…俺の心が汚れてるのだろうか。まあ仲が悪いよりは良いししばらく寝かせておこう。

「それでそれで~?お酒は買ってきてくれたのカシラ」

 グレイが買物袋を覗き込んできた。中身をみて嬉しそうに目を輝かせる。

「大量にあるじゃなーい♥最高」
「ああ、人数分買ったんだけどさ…いらなかったみたいだな」
「うふふ!そんな事ナイワ~!二人でぜーんぶ飲みマショ」
「全部はやばいって(主に俺の肝臓が)」

 一番上のビールをあけて、手渡してくる。仕方なくそれを掲げ持ち乾杯した。スナックで働いてる事もあってお互いが酒を飲むシーンはよく見てるが、サシで飲むのは珍しい。というか初めてな気がする。

「そういえば最近ネ~~」

 グレイ相手だと話題に困らないし、他愛のない会話を繰り広げつつ、ごくごくと酒を飲み進めた。そして何缶か空にしたところでグレイがとある事を思いつく。

「ふあー最高!イイ感じに酒が入ってきたワネ!じゃそろそろゲームでもしない?負けたら相手の言うことを聞くって罰ゲームつきデ!」
「ええ…普通にトークしてりゃよくね?十分楽しいじゃん」
「あら、あたしとの会話を楽しんでくれてるのね!嬉しいワ~♥」

 チュッと戯れのように頬に口付けられた。やめろよと肩を押しのけつつ、もう片方の手で酒を取り上げる。

「酔っぱらいの絡みが始まるなら酒は没収だ」
「や~ん♥お酒はあたしの水なの!無いと死んじゃうノ!」
「そこは嘘でも人の生気って言えよ」

 インキュバスの癖に。俺の無言の訴えをグレイはあはは!と軽快に笑い飛ばしてからもう一度頬に口付けてきた。今度は少し長めに。これ以上は変な空気になるって、と渋々酒を返した。グレイは酒に口をつけてから再度提案してくる。

「じゃあわかったワ!ゲームは“あっち向いてほい"にしまショ!それなら健全だし簡単だし、今のあたし達にもちょうどいいデショ?」
「罰ゲームは?」
「もちろんアリよ♥ハラハラドキドキがないと小学生のお遊びジャナイ?つまらないワ♥」
「はあ、やっぱそうなるよな…」

 いつの間にか腰を抱かれてるし頷かない限り逃がしてもらえそうにない。まあ言うことを聞くってのはリスキーだが、グレイ相手(ネコ)だし、酒が入って気が大きくなってたのもあって「いいぜ」と軽い気持ちで頷いてしまった。それが間違いだった。

「あら、案外あっさり承諾してくれたワネ」

 グレイがくすくすと笑いながら頬をつついてくる。

「なんだよ、拒否られたかったのか」
「違うわヨ~でも、うふふ♥お酒入るとあんたは本当に可愛くなるわネ~警戒心はどこにいったのヨ~食べちゃうワヨ~~~♥」
「ネコが何言ってんだ」

 あと、俺は可愛くない。こんなでかい男に使う言葉じゃねえからと反論すればグレイは「わかってないわねえ」と腕を組んだ。

「仕草やギャップでいくらでも可愛さは生まれるものヨ」
「ふーん、まあ、どうでもいいけど…さっさとやろうぜ。俺も寝ちまうぞ」
「やだ~♥じゃあいくワヨ!じゃんけーん、ぽんっ!」

 あっち向いてほい!あっち向いてほい!と小学生のようなテンションで遊んでると、何回目かで俺が勝利した。グレイは「負けちゃったワ~」と楽しそうに笑う。

「じゃあライの言うことを一つ聞いたげる~♥」
「んー…筋トレ」
「筋トレ?」
「あんたの筋トレ方法教えろ。その馬鹿力、俺も欲しい」
「ぷっ…ふっ!あははっ!このタイミングで筋トレ話って!!あははっ!ほんと、なにこの子っ!天然記念物として保護した方がいいんじゃないカシラっあっはっは!」
「……」

 爆笑される。酒が入って笑いの沸点が低くなってるのはわかるがそこまで笑わなくていいだろう。笑いをとろうとしたわけじゃないから余計に不貞腐れる。俺の不満げな顔に更に爆笑しながらグレイが謝ってきた。

「ゴメンゴメン、笑いすぎたワ…。罰ゲームだしちゃんと答えないとネ。うーん、そうねえ…あたし今は筋トレしてないから答えようがないから困っちゃうワ…」
「ええ?!あんたのそれ(馬鹿力)は生まれもった筋力ってことか?」
「んー筋肉の使い方もあるかもだけど素質も大きいと思うワ」
「つまり…なす術なしと…」

 ガクリ、と項垂れてるとグレイが「そうだわ」と声をあげる。

「代わりに良いトレーニングを教えてあげる!お客さんにトレーナーさんがいるから、とっておきのトレーニングプランを伝授してあげられるワ」
「まじか!!」
「えっとまずはプロテインの話と自重トレーニングの割合からネーーー…」



 筋トレについて学ばせてもらった後、気が良くなった俺は第二回戦も求めた。もちろんグレイに異論はなくすぐに乗ってきた。

「さーて、今度も罰ゲームありヨ♥準備はいい~?」
「おう」

「「じゃんけん…ぽん!」」

「あっち向いてほい!」
「あっち向いてほい!」
「!!」
「うふ、あたしの勝ちネ~」

 今度はグレイが勝った。普通に悔しく思ってるとグレイが新しい酒を手渡してくる。

「罰ゲームはこれの一気飲みか?」
「あたしがそんなつまらない事言うわけないジャナイ~!いい?“このお酒をあたしに飲ませる"それが今回の罰ゲームヨ」
「飲ませる?」

 意味がわからないがとにかく“缶をグレイの口元まで持っていく係"になればいいのだろうか。半信半疑といった感じでグレイの口元に持っていこうとすると

 スッ

 掌で押し返された。

「グレイ?」
「缶は使わないでチョーダイ」
「…は?」

 いや“缶を使わないで"缶の酒をグレイに飲ませるってどうやるんだよ。無重力になれってか。俺の言いたいことがわかったのか、グレイは悪戯っぽく笑って顔を近付けてくる。それから指先で唇をつつかれた。

「ここに素敵なお口があるジャナイ」
「…おいまさか」
「そのまさかヨ。缶なしで飲ませられるデショ~?口移しでやればさー♥」
「!??」
「ちなみに缶の中身を“全部"飲ませてネ。空になるまで次のゲームは開始しないから~」
「ちょっ、おい!」

 それは流石にヤバイだろと動揺した。ちらりと床に倒れたままのフィンを見て、グレイに視線を戻す。グレイは全く動揺した様子もなくさも当たり前のように腰を掴む腕に力を込めてきた。もう片方の手で膝を撫でられる。

「大丈夫大丈夫。誰も見てないし、何よりあんたはあたしにビールを飲ませてるダケ。何もヤマシイ事はないワ♥」
「いやいや…口移しだぞ…」
「口移しぐらい親子でもやるわヨ」
「それは鳥の親子とかだろ。人間はやらねえよ」
「ふふ、そうカシラ?まあ、そうやってうだうだ言って引き伸ばそうとしてもいいけどさ。三人が起きてきて困るのはライよ?罰ゲーム姿を見られたいノ?」
「…っっ」

 確かにグレイの言う通りだ。まだ誰も起きてないが、口移しで飲ませてるシーンなんて見られようものなら、一生それでからかわれるか「俺にもやれ」と迫られるかの二択だ。どっちにしろ死ぬ。色々死ぬ。そんな死に方をするぐらいならグレイにこっそり口移しで飲酒させた方がマシだ。

「…さっさと終わらすぞ」
「きゃーわくわく♥」

 手元の酒を煽り、口に含ませる。しゅわしゅわと炭酸が弾ける感覚を味わいながらグレイの肩を引き寄せて口づけた。グレイの首に腕を巻き付けて唇をしっかり固定してから、まだ少し冷たいそれを流し込んでいく。

 ごく、ごく

 グレイの喉が美味しそうに鳴る。酒を飲んでるだけだと言い聞かせても、どうしても視角情報が邪魔してくる。至近距離でキスして、唇から糸を引きながら離れるのはもはや「口移し」ではなかった。あまりにもあれで顔が熱くなるがここで引くのは格好悪すぎる。でもこれ以上「口移し」を続けて大丈夫だろうかとも不安になる。そんな情けない葛藤をしてると、グレイが舌なめずりしながら「もう一口」と囁いてきた。

「…っ、あんたなあ…少しは遠慮しろよ」
「飲酒してるだけ、ヨ」
「…この、酒やくざが」

 せめてものの仕返しにそう呟くが、酒をねだるように口づけられればもう何も言えなかった。再び酒を含み、グレイに流し込む。それの繰り返し。飲んでないのに何故だか自分まで酔ってきた気がする。クラクラと目眩がして気持ち良くなってきた。

「ん、はあ…、グレイ、つぎ…最後の一口な」
「あら、もう終わり?全然足らないけど無いものは仕方ないワネ」
「…」

 グレイの呟きに同意しかけた自分に気付いて慌てて首を振った。ヤバイ。さっさと終わらせないとこの空気に飲まれる。飲まれた先はどう転んでもヤバイ結末が待ってる。正気にもどれ俺。

 ぐいっ

 腹をくくり、最後は多めに酒を含んだ。そのまま目の前の唇と合わせて、グレイの唇が開くのを待つ。

「…??」

 しかし、何故か唇を開けようとしなかった。これまで素直に飲み続けていたグレイが一向に飲む気配を見せない。口の中でどんどん炭酸が抜けていき、中身がぬるくなってきた。何やってるんだと眉をひそめると

 ぬるっ

「んん?!」

 やっと唇が開いたと思えば、舌でねっとりと唇の割れ目をなぞられた。驚いて少し開いた唇の中に舌を入れられ、そのままディープキスに持ち込まれる。

「んっ、ぷはっ、ケホッ、んううっ、んぐ、ごくっ…ううっ」

 舌を絡めとられ吸われ噛まれ啜られ…それに応えるうちに酒は口の端から溢れていった。口の中に辛うじて残ってる酒は互いの舌でかき混ぜられ苦味をより強く感じた後飲み込まされる。

「はあっ、んっ、くっ…ふ、んんっ、グレ、イ…っ…」

 ほろ酔いで気持ち良くなってるのもあったが、グレイのキスが上手すぎて、拒否する余裕や理性なんて秒で奪われてしまった。とにかく気持ち良かった。酒が服に溢れて汚れてるのも全く気にならないぐらい、夢中になってキスをした(※飲酒行為)。

「はっ、ンン、んー…、うっ、ん…」
「…ん、ご馳走サマ~♥」
「ハア…ハア…」

 とろんと目を溶かしたままグレイを見上げる。互いにソファに腰かけながら向かい合ってキスに夢中になるなんて、普通の状態ならありえない。どうかしてるとしか思えない。でも今の俺の脳にとってはそんなことどうでもよくなっていた。残っていた酒に目がいく。もう一缶、飲ませてやりたいなと思い始めていて…逆にグレイに止められた。

「ダメ♥お代わりは次の勝負に勝ってからヨ♥」

 いつの間にかルールが変わっていたが、今の俺にはそれに反論する余裕がなかった。グレイと向き合って、三回戦目のあっち向いてほいを行う。

「はーい、あたしの勝ち~」
「…」
「ふふ、じゃあ、このお酒をあけちゃうわねぇ」

 ビールのロング缶を手にとって掲げてくる。まさかそれを飲ませろというのかと期待と面倒くささが脳内を駆け巡った。しかしグレイはそれには応えず、何故かソファの前におかれたテーブルを片付け始める。空き缶が散らばっていたのをどけて、何も置かれてないテーブルの上にビニールシートを敷いた。どこから出てきたんだそれはと突っ込むと「元からあったワ」と当然のように返された。室内にビニールシートが常備されてるって意味わからないんですが。

「はい、じゃあライここに座って」
「え…?」

 机の上を指差され戸惑う。そんな俺に焦れったくなったのか、肩と足を抱えてヒョイっと軽々と持ち上げられてしまう。いつぞやフィンにやられた姫抱っこである。

「うわっ!ちょっ!!」

 文句を言うより先にビニールシートの中心におろされ、座り込んだ。テーブルの横で仁王立ちしたまま見下ろしてくるグレイの方に向き直る。

「目は閉じてた方がいいかもヨ。どっちでもいいけど」

 そういってグレイはロング缶をあけて、俺の前に持ち上げてきた。何してんだ?と首を傾げていると

 バシャッビチャビチャ

 まさかの、頭の上から酒をぶっかけらた。

「うわぶっ、おいっ、グレイっっ!」
「暴れないノ。お酒がもったいないデショ」
「もったいなくさせてんのはそっちだろ!!うわっ髪も、ズボンまでかかってるし…何すんだよ!!」
「何って、こうする為に決まってるジャナイ」

 そういって顔を寄せてくる。口から赤い舌が覗いたと思えばペロりと頬を舐められた。酒をかけられ濡れていた頬を、まるで酒を味わうかのように舐めていく。そういうことかと瞬時に理解して両手を伸ばした。グレイの胸板を押し返す。

「やめっろ!、グレイ!舐めるなっ!やめろって、ば!ンンッ!舐めっ、ひいっ!」
「お酒を飲んでるだけヨ。じっとしてて」

 ご自慢の馬鹿力で俺の抵抗を完封した後「これは飲酒行為だ」とけろりと言ってのける。んなわけあるか。てか待てよ。じっとしてろって…まさか

「あんた、これ全部舐めとる気か…?!」

 自分のずぶ濡れになった体を見下ろす。顔とか手ならまだいいが、他の部分は無心でいられる気がしない。グレイは妖艶に笑って前髪に口付けてくる。それからくしゃくしゃとかき乱され、前髪が崩れた。そんな俺を見て、グレイの目がすうっと細くなる。

「ふふ、これこれ。濡れてるし完全再現ネ」
「へ?何言ってんだ…?あ、ちょっ、やめっ、くすぐったいって」

 ちゅるっと耳を吸われ身悶えた。今はくすぐったさしか感じてないが、それもじきに変わってしまいそうで恐ろしい。どうしようと戸惑う俺を嘲笑うようにグレイは酒が染みた肌を舐め続けた。首も腕も掌も足も、時間がたつにつれて服に酒が染みて張り付いてくる。その気持ち悪さに顔をしかめていると、当然のように上着を脱がされた。

「えっ、なっ…!」
「はーい、お酒でびしょ濡れになった半裸男ちゃんのできあがり~!目にも体にも毒な可愛さネ~!」
「おいっ、返せっ!!」
「いいからいいから。こんなの着てたらびちょびちょで気持ち悪いデショ?服の下の、染みちゃったとこも舐めたげるワ」
「いいっ!いらねえっ!!ひいっ、グレイ!すとっぷ!!まてって、ああっ…!」

 酒で濡れた上着を床で倒れてるソルの上に捨てて(ちょっと可哀想)グレイは肩や脇、腹など服に覆われていた部分も舐め始めた。いや、もう、流石にここまでくると俺も我慢できなかった。完全に“気持ちいい"のフェーズに入っていて声に甘さが出てくる。

「むりっ、い、っ、ああ、うぁ、んんんっ」
「おへそにも入っちゃってるわネエ。ちゃんと綺麗にしてあげる」
「いらないっ、ひ、うああっ、へんたいが!」
「心外ネ。これはただの飲酒ヨ?」
「どこが飲酒行為だ!俺に、塗りつけて…ひっ、遊んでんじゃねえっ」

 グレイのさらさらの髪を掴んで引っ張る。最初は遠慮して握れなかったがここまでくると配慮してられない。やめろと引っ張れば「レディの髪をそんな風に触っちゃダメよ」と叱られた。いやわかってますけども。

「あら、ここも濡れてるジャナイ」
「うぐっ…ちっ、ちがっ!」

 下着を見て「濡れてる」と指摘してくるが、それは酒が染みてるわけじゃない。それを認めるのも恥ずかしいが、酒だと思われて舐められる方が困る。絶対舐めるなよとブンブンと大きく首を振って訴えてると、グレイが俺の頬を両手で包んでキスしてくる。

「んうう、んん!んぐっ、ごく、ん、ンンウ…んっ」

 舌を絡ませてぐちゃぐちゃと唾液を交換してるとまた頭の奥がじんわりと溶けてきた。ああ、やばい。なんでグレイとのキスってこんなに気持ちいいんだ。ぽけーっとしてると俺の勃ってるそれに下着越しで触れてくる。

「んぐっ…!!ううっっ」
「良い子良い子、怖くないワヨ。ほら、気持ちいいデショ」
「…ンう、う…」

 キスは続けながら、焦らすように撫でられ、先端のくびれを擽られる。むず痒くなった所で掌で上から下へと擦られた。当然のように気持ちがいい。避けようがない快感だった。下着の中で張って痛い。早く直接触ってほしい、と見上げるとグレイは甘く囁いてきた。

「ダメよ。あんた恋人がいるジャナイ」

 そこに落ちてるケド、とクスクス笑われる。その声が響くと耳まで気持ちよくなってくる気がする。やばい。なんか変な薬でも飲まされたのか、と心のどこかで焦っていたが、体を止める程の理性は残ってなかった。

「ぐ、れい…っ」

 早くほしい、とまだ何も脱いでないままのグレイに縋りつく。そんな俺の様子をたっぷり視姦した後グレイはため息を吐いてから再び唇を重ねてきた。もう舌を追い出そうなんて気持ちはさらさらなく、普通に自分から絡ませにいっていた。グレイが、目の前の男が早くその気になってほしいと甘える。俺の欲望に気付いたグレイはクスクス笑いながら喉をくすぐってきた。

「ふふ、あたしが理性の強いインキュバスでよかったわネ。少なくとも三回は襲うタイミングがあったし、そうなってたら流石に床の三人も起きてくるでしょうから、今頃全員でマワされてたワヨ~」

 チュッと戯れのように胸に吸い付かれる。むず痒い感覚に体を後ろに傾けながら身動いだ。

「んなの、死んでも、ごめんだ…っ」
「あら、複数プレイ嫌いなノ?あの三人の事は嫌いじゃないデショ」
「嫌い…じゃない、が…」

 だからといって抱かれたりマワされるのは違うだろう。グレイは理解したようなしてないような読めない笑顔を浮かべ頷いてくる。
 
「あんたが二人きりで酷くされたいってのはわかったワ」
「はっ?!いや、ちがっ」
「でもごめんなさいネ。一応ルールであんたの性器には触らない(直接)って決められてるのヨ。あたしは欲望に忠実なインキュバスだけど、ルールは守る主義ナノ。だからそっちは自分で触ってチョーダイ」
「…っ」

 なんだよそのルール聞いてないぞ。ここまで快感に酔わせといて酷くないか。キッと強めに睨みつけても、グレイはキスしたり他の部分を舐めるだけで性器には触れてこなかった。こんなに気持ちいいところまできたのにお預けって、流石の俺にもきつかった。自分で擦ればいいってのもわかるが見られながらするのは趣味じゃない。だけど腰が重くなるほど快感が前に溜まっていて…心と体が分裂しそうだった。

「ああもうっっ!!」

 俺は煮えたぎる体の熱に耐え切れず、勢いよくテーブルから降りた。グレイはそれを止めることなく目で追ってくる。

「あら、そっちを選んだのネ」

 悪いか、と睨み付けてから床の方に視線を戻した。白金の男がそこに寝ている。

 どすっ

 遠慮なくフィンの上に乗っかった。かなり重くて苦しいはずなのにピクリともしない。相当深く眠らされてるらしい。頬を叩いたり白金の髪を引っ張ってみるが反応無し。仕方なく、前屈みに倒れ自分の唇を重ねた。

「ん、んー…」

 早く起きろと念じながらキスを繰り返してると、やっとフィンが意識を取り戻した。自分の状況が理解できないのか目を見開いて、でも舌は絡ませるように動かしてくる。

「ん、ラ、イ…?、なっ…??」

 全身びしょ濡れで酒まみれになった(しかも半裸)俺に乗っかられていて一瞬フィンの思考が停止する。ぽかんと呆けていたがすぐに腹筋を使って起き上がってくる。性欲以外何も考えられなくなった俺を誰にも渡さぬよう腕の中にぎゅっと収めてから、視線をグレイの方に向けた。苛立ちを隠さずぶつけ、責め立てるような視線だった。

「グレイ…」
「うふふ、ルールはちゃんと守ったワヨ?その子に聞いてご覧なさい。でもちょっと多めに唾液を飲ませちゃったから、しばらくはエッチな気分が抜けなくて話にならないだろうけど♥」
「…隣の部屋を借りる」
「はいはい♥楽しんで~」

 グレイの楽しそうな声を背に、フィンは慌てて寝室に走った。その腕の中にはインキュバスの媚薬漬けで正気を失った人間が一人。その人間が理性を取り戻すのはそれから一時間ほど先の事である。


 end
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