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Ifシリーズ
★BAD END "Y"②(ユウキ×ライ)
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離れに移動した俺は初日と同じようにライを縛り付けた。嫌がるライを縛り付けるのは胸が痛かったが、何度も脱走されたら困るし、ここでしっかり躾ける事がライの為になると言い聞かせて立ち上がった。
「柴沢、アレ持ってきて」
「ユウキさんそれは…」
廊下で待機していた柴沢が珍しく難色を示した。
「柴沢、お前の意見は聞いてないよ」
「…しかし」
「柴沢ってやけにライに肩入れしてくるよね。薬を止めさせたのも柴沢だし、もしかして、ライの脱走を手伝ったのもお前だったりする?」
「!」
柴沢とライが同時に反応する。少し視線を交わすぐらいの些細な動きだったが、普段腹黒い奴に囲まれてる俺がそれを見逃すことはなかった。
(やっぱりそうか)
物心つく前から世話をしてくれている柴沢、そしてこの世の誰よりも愛してるライ。俺にとって大きい存在の二人に裏切られたのは悲しかったが不思議と驚きはなかった。逆に納得がいってスッキリするぐらいだ。
(この離れから協力者も無しに脱走できるわけがないもんね)
ライが簡単に挫けない心を持っている事も、柴沢が比較的マトモな感性を持つ男だという事も知っている。ただ一つ、誤算と言えるのは
「柴沢って、仕事に私情を持ち込まないタイプだと思ってた」
「!!」
「正気の柴沢なら逃がすにしてもこんな杜撰なやり方はしない。相当急いでいたか、勢いでやっちゃったか…どちらにせよ自分の命と引き換えに助けたって事でしょ?すごくロマンチストでびっくりした」
「…」
「でもダメだよね。柴沢が命を懸けるべき相手は親父なのに…そんな大事なことも忘れちゃったの?」
「…弁解の余地もありません」
「謝罪なんてどうでもいいから動機を教えてよ。ライの世話をしてるうちに愛着がわいた?それとも同情?可哀想に思えてついつい魔が差しちゃった感じ?」
「…申し訳ありません」
柴沢は頭を上げることなく「ケジメはつけます」と言ったきり黙ってしまった。下手に話すつもりはないらしい。それで自分の立場が悪くなったとしても構わないという事だ。
「呆れた…。そんなにライを庇って何がしたいわけ?お前が何を言っても・言わなくてもライを躾けるのは止めたりしないよ?お前の罰が増えるだけだしね。って、待てよ…そんなに庇うって事は、まさかライの事を好きになったとか言わないでね?もしそうだったら俺の手で殺…」
「ユウキ!」
背後から慌てたような声がかかる。俺達の会話を聞いていたライが顔を真っ青にして「違うんだ!」と必死に叫んでる。
「ユウキ!違う!柴沢さんは…悪くない…!!俺が…、俺が頼んだから…柴沢さんは…!」
「ライが頼んだ?どういう事?」
「“絶対一日で戻ってくるから見逃してくれ”って…そうじゃなきゃ自殺を手伝わせてやるって半分脅して…、無理やり従ってもらったんだ。だから、柴沢さんは悪くない…!」
「って言ってるけど?」
柴沢に返せば、重苦しい顔で首を振った。
「何を言われたとしても受けたのは自分です。自分に罪があります」
「そうだよね」
「はい」
「でも、まあ、ライにこんなに必死にお願いされたらグラッてくるのはわかるよ。俺が同じ立場でもやっちゃうと思う。だから…情状酌量の余地アリって事で、今回だけ特別に許してあげる」
「!」
「引き続き俺の世話人として置いてあげる。もちろんライの世話も、今まで通りよろしくね」
「…ユウキさん」
「だから、そのかわり、」
俺はライの傍に戻って膝をついた。何の声かけもなく両手の拘束を解いてやればすぐにライは逃げ出そうと身を捩りだす。それを予期して肩に手を押いておいた為ライの上体は起こせずに終わったが、薬も抜け両手が自由になったライは思いの外しっかり暴れてくる。
「柴沢」
呼びつけると音もなく横に膝をついてきた。
「ライの両手、お前が抑えといて」
「!」
「俺がいいって言うまでね。これで今回の事はお咎め無しにしてあげるから…、柴沢、できるよね?」
「…はい」
柴沢は拘束具の代わりに自分の手でライの両手を床に抑えつけた。
「やめ…っ!離してくださいっ、柴沢さん…!!」
「…」
嫌がるライを抑えつける柴沢にはほんの少しだけ眉間に皴が寄っていた。これから行われる事を予期して、しかもそれを“特等席”で見せられる事になり憂鬱になってるのだろう。
(ふふ、脱走を手伝った柴沢にはちょうどいい罰だね)
こんな事があったとはいえ、柴沢の事は組の誰よりも信頼している。仕事はしっかりやってくれるし、ライの事も、肩入れはしても決して手は出そうとしないから、俺以外で唯一ライに触れていいと許可できる…かけがえのない存在だった。
(だからこそお前の裏切りは許されない)
柴沢の中に擽られる良心があるのなら、二度と脱走を手伝おうなんて思えなくなるように罪悪感で縛ってやろう。
「じゃあ、俺は取りいってくるから…それまでライの事よろしくね、柴沢」
もう逃がしちゃダメだよ?と微笑みかけてから俺は立ち上がった。
目的のものを持って離れに戻ると、玄関の手前で時雨が立っていた。その手には先程も持っていた謎のトランクがある。
「時雨さん…ここは一族の者と限られた組合員以外立ち入り禁止ですよ」
「安心しろ。ハジメの許可は得てる」
「…親父の…?」
「ああ、そうだ。組合員が止めに来てないのがその証拠だろうさ。…それにしても、狐ヶ崎は薬を扱わないと思っていたが、なかなか良い物を持ってるじゃないか」
俺の手元を見て時雨が口端を上げて笑う。それを無視して話を戻した。
「で、親父に許可を得てまで何しに来たんです?」
「なに、簡単な事だ。今から行う“躾”に少し同席させてほしい」
「…冗談でしょう」
ライは見世物じゃない。特に時雨相手なんて、見せていい姿など欠片もない。帰ってくださいと侮蔑をこめて睨み付ければ、時雨はトランクを軽く揺らすようにして掲げた。
「お前達に損はさせない。ちょっとした余興を見せてやる」
「余興…?」
「そうだ。気に入らなければすぐに追い出してくれていいし、お前達には触れさせない…躾の邪魔は一切しないと約束しよう」
「触れさせない?…まさか、その中身って」
「お前の想像した通りだ。暴れて手が付けられんからここに寄らせてもらった。まさかそっちも躾に難航してると思わなかったが、それはそれで、互いの躾の仕上げになってちょうどいいだろう。“お互い”気になってるようだからな」
「…なるほど」
そういう事ならと玄関の扉を開けて招き入れた。俺が廊下を進むと、ゆっくりとした足取りで時雨もついてくる。
「?!」
部屋に戻ってきた俺達を見てライが体を強張らせた。
「な、なに…なんで…」
俺はまだしも時雨がくるとは思わなかったのだろう。しかもその手には謎のトランクがある。怖がるのも当然だ。普段の俺なら安心させるように声をかけていただろうが、今日は無駄に甘やかすつもりはない。震えるライをそのままに、淡々と浴衣を脱がしていく。柴沢の協力を得れば一瞬で完了した。
「い…ッ、や、やめろっ、ユウキ、何を…っ」
柴沢と足の拘束具で縛られたまま全裸にされたライの腹を軽く撫でる。
「…ッ」
催淫剤を抜いた今のライは体の敏感さが弱まっている。むしろ嫌悪感を浮かべ睨んでくる始末だ。正気そのものの反応を確認してから、手に持っていた錠剤を飲ませた。嫌がったが呼吸を封じれば時間の問題だった。
「ごくっ、…けほっ、はッ、はぁ…」
「飲めたね。次はこっちだよ」
「??!」
戸惑うライの体に、持ってきたボトルの中身をかけていく。
ドロっ…
手袋をつけて自分は触れないように気をつけつつ、全身へと塗り広げた。敏感な場所は念入りに何度も揉み込む。
「んっ、なに…、はぁ…、うぅ…」
得体の知れぬ液体を塗りたくられるなんて怖くて仕方ないはずだが、ライはガタガタと震えながらも決して弱音を吐かず、じっと俺の手元を見つめていた。強い精神力のなせる業だなと内心感心する。無駄に抵抗したらお仕置きしようと思ってたがそれは必要ないらしい。
するっ
手袋を外して仕置き用に持ってきた予備のボトルとまとめてゴミ箱に捨てた。人数が揃ってるわりに全く気配のしない静かな部屋にゴトリと重い音が響く。
「さてと、」
時雨の方を盗み見れば、縁側に腰掛けるようにしてトランクを弄っていた。厳重なロックがかかってるのかまだ時間がかかりそうだ。
(まあ…簡単に開いたら危険だもんね…)
待ってるのも暇だし漫画を持ってきて読もうかなと思ってると
「ゆ、ユウキ……っ」
「?」
ふと、焦れったく呼ばれ下を見る。
「はッ、うぅ、…んっ、」
ライが苦しそうに喘いでいた。さっきまでの気丈な振る舞いが嘘のように、不安そうな顔をしている。
「ユ、ウキ…ッ」
「どうしたの、ライ」
「こ、これ…っ、はあ、はッ…!!」
ライは言葉の途中で信じられないというように首を振った。自分の体が突然火照り出して戸惑ってるのだろう。限界まで抱かれボロボロのはずの体が本人の意思を無視して赤く染まっていく姿はとても煽情的だ。
「綺麗だね」
横でゆったりと寛ぎ、見下ろしながら呟いた。指先一つ動かす気配のない俺を見てライがどうしてと再度首を振った。
「ハァ、はッ…、くっ…ユウキッ、今の、はっ」
「ああ、説明がまだだったね。今ライが飲んだのはよくある薬物。ガッツリ依存性があるから、ライの意思はともかく、“脳”は俺から逃げられなくなったよ」
「…!!」
「で、脳の次は体って事で、塗りつけた液体の方は調教用の塗り薬ね。今実感してると思うけど、これまでの催淫剤とは効果が段違いで、何より即効性に優れてるから躾にピッタリなんだ。動けないままこれを使われるとキツイでしょ。訓練してる奴でも加減を間違えたら発狂しちゃうんだって。だから、ライも限界になる前に言うんだよ。頭がおかしくなっちゃってからじゃ遅いんだから」
「いっ…!、うぁ…、く…」
ライは俺の説明を聞いて更にもどかしくなったのか必死に体を捩りだした。柴沢によって床に縫い付けられた手は強く握り締められ指先は白くなっている。膝をすり合わせようとする両足も足首に繋がれた拘束のせいで摩擦させる事すら叶わない。何も自分では刺激を与えれないのに、時間が経てば経つ程体の熱は上がっていく。その上、念入りに塗り込んだ胸と性器はそこだけで正気を削り取れる程の灼熱の疼きを生み、
「はッ、はぁ…はぁ…っ」
地獄のような焦らしに、すでに体力も気力も削られていたライはあっという間に音を上げた。
「ハァッ、はっ、たの、む…、ユウキ…ッ、助け、て…く、れッ」
ライは苦しさのあまりぽろぽろと涙を溢れさせていた。普段絶対泣いたりしないライが恥も外聞もかなぐり捨てて泣くなんて、本人にしたらかなり屈辱的なはずだ。それでも抑えられない程薬がきついのだろう。横で眺めていた俺は組んだ足に肘をついてほくそ笑む。
「っゆ、き…ッ」
「そんな目で見てもダメだよ。脱走した罰も与えてないのに、自分の願いだけ叶えてもらえるわけないでしょ」
「…っ」
あくまでも冷徹な態度を突き通す俺を見て、ライの喉がひくりと鳴った。
「ライ、今のうちに誠意を見せておけ。その方が傷は浅く済む」
縁側に腰掛けていた時雨が笑い交じりに忠告してくる。責められるライに同情したのか、俺の怒りっぷりに呆れてるのか、どちらにせよ時雨の助言を聞いたライは顔を青くしつつも、俺の足の間に視線を移した。布を押し上げる程ではないが形は作り始めてる半勃ちのものに気づき、一瞬眉を寄せる。そして
「ゆぅ、き…」
「なぁに?」
「舐めさせて…ください…」
絞り出すように言うライ。恥じらうように頬を染め、顔を背ける姿はまるで処女のようで、悪戯心が擽られた。
「何を舐めたいの?」
「…っ、う、ゆうき…の、」
「俺の?」
「ッ、ゆ、ユウキのっ、性器だよ…ッ!!もう、いいだろ…っ!」
「あはは、性器って言葉、保健体育の授業以来に聞いたかも」
「~~~!!」
涙目で睨まれる。もう少し色々言わせたかったが今のライのキャパを考えればこれぐらいが限界だろう。さっき本人にも言ったが俺の求めるゴールはライを狂わせる事じゃなく、喜んで俺の横にいてくれる“可愛いライ”を作り上げる事。人格の破壊は論外だ。
「いいよ。俺を気持ちよくさせてくれたら、躾も早めに終わらせてあげるから頑張って」
仰向けのライでも舐められるように、ライの体を跨ぎ、胸の上に腰を下ろした。いつぞややった体勢だなと笑ってると、ライはあの時と違い、俺に言われるより先に自分から舌を出して舐め始めた。
ぺろ、ぺろ…
根元から先端へ往復するように舐めて、先走りの滲む先端をちゅるりと吸って、くびれに舌先を這わせて。俺が仕込んだ通りに舌を動かすライ。
「っ…、ん、…んぅ…、」
ただ、いくら体が灼熱の疼きを抱いていても、喜んで舐める程心は落ちきっていないのかライは苦悶の顔をしていた。その顔に再び悪戯心が擽られた俺は
「舐めるだけのつもり?」
冷たい表情のまま、低く、ため息交じりに呟いた。途端にライは怯えた顔をして、数秒の間の後、ぎゅっと目を瞑った。それから、観念したように口を開けて
ぱく…ちゅるっ、ちゅぷ…
喉まで咥えて、舌を動かす。俺を満足させなければ自分が解放される道はないとわかっているライは屈辱を押し殺して必死にフェラを続けた。体勢的にキツそうだが手伝う気はないので苦しそうなライを上から眺めて楽しむ。気まぐれに喉を突くとライは苦しそうに呻き、その度に喉の奥が締まって気持ちがよかった。
「ねえ、どうして俺から逃げたの?」
しゃぶらせながら尋ねてみた。ライは伏せていた瞼を開け、チラリと上目遣いで見てくる。それからすぐに縁側の方へ視線を移動させた。時雨を見たかったのではなく、多分、外を見たかったのだろう。
「…あの人達を助けに行こうと思ったの?」
「んん、…んぐ、ン…っ」
「あんな風に裏切られたのにまだ助けようと思うなんて、ライはクズを引き寄せる自覚を持った方がいいよ」
「……ッ、」
ライが蕩け始めていた目を鋭くして睨みつけてくる。しかし無駄口を開く程愚かではなく、裏筋に舌を這わせ先端に甘く歯を立てながら、俺が気に入ってるやり方でしゃぶり媚びてくる。早く出して終わらせてくれ。そう言うように強く先端を吸って先走り混じりの唾液をゴクリと嚥下してみせる。エッチなライに煽られた俺は首を傾げて呟いた。
「じゃあ…そっか。まだあの人に未練があったから俺に好きって言えなかったんだね」
「っ…」
「今、ここで、俺の事好きって言ってくれたら、脱走した事…許してあげてもいいよ?」
「………」
ライは口を動かしつつ、しかし決して頷く事はなかった。目も合わせようとしない。
「ライ…」
胸の中に確かな怒りが浮かぶのを感じた。今までライに抱いたどの感情よりも濁った感情で、愛と嫉妬が複雑に絡み、自分でも理解できない程の熱量を持って胸を占めていく。
「おい、殺すなよ」
再び笑い交じりの声が割り込んでくる。それを無視してライから自分のを引き抜いた。途端にライはむせ返り、懇願してくる。
「けほっ、ユウキ…っ、頼む…、フィン達の、所に…いかせ…て、くれ…!ちゃんと、戻ってくるから…っ、あいつらを、助けに、いかせてくれ…っ」
ライはあの人達の事を思い出した事で一瞬体の疼きが飛んだのか、残りわずかの正気を手繰り寄せて必死に訴えてくる。自分を愛してもくれない者達の為に、自らの立場を悪化させてでも助けに行こうとする…あまりにもいじらしく健気な姿だった。
「…ダメだよ。そしたらライは戻って来ないもの」
あの男とライが直接会えば魔法は解けてしまう。裏切りがすれ違いだったと気付いてしまう。
(せっかく捕まえたのに、)
みすみす逃がすなんてできるわけがない。たとえ心の底からライを愛してるとしても、そこまでの献身の愛は俺には抱く事ができない。
「必ず戻るから…っ、もう、もう逃げない…ユウキから離れねえから…ッ!」
「馬鹿言わないでよ。さっき脱走したばかりの違反者の言葉を信じられるわけないでしょ?」
「…っ」
「そもそもなんで自分を騙した男なんか助けようとするのさ。頭のおかしいコレクターの元から取り返せても、あの人の横には他の男がいるんだよ。感謝はされても愛されはしない。…そんな報われない事をして、苦しむのはライなんだよ?」
早くその未練から救い出してあげたいのに、どうしてライは手放そうとしないのか。…理解に苦しむ。
「俺は…、俺が、報われなくたっていい…ただ、あいつらを、フィンを……愛してる、から……死んでほしく、ないんだ…っ」
「殺されないよ。コレクターの元で飼い殺しにされるだけで心臓は動き続ける。ライが罪悪感を抱く必要は…」
「そんなの、生きてるなんて言わないだろ…!!」
ライは首を振って「助けないと」と繰り返した。
(…ダメだ)
やっぱり会話じゃこれ以上の距離は埋められそうにない。失望と共に感情が振り切った感じがした。いい感じに諦めがついたのかもしれない。
「坊主、待たせたな。準備できたぞ」
時雨がトランクを庭に置きながら言った。俺はすぐに柴沢に目配せして、ライの体をうつ伏せの形にさせた。裏返す時に右足の拘束を外したから、下半身もある程度動かせる状態になった。ローションを手早く自身に塗りつけて、ライの後ろにあてがう。
にちゃ
「!!」
粘つく感覚にライが鳥肌を立て振り向いてくる。
「い、いやだ…」
ライは青ざめ体を強張らせるが柴沢に肩を抑えられていてはどうしようもない。腹に腕を回し、膝をつかせてから震えるライに無言のまま挿入していく。
ぐちっ…
数時間前に抱いたとはいえ、慣らしてない内側を、緊張状態も解かぬままこじ開ければ傷をつける。それをわかっていて無理矢理押し込んだ。
「いぎっ、あああっ…!!」
ライは仰け反りながら悲鳴を上げた。中が切れたのか赤い液体が垂れてきて、潤滑油とまではいかないが、そのおかげで少し動かしやすくなる。軽く腰を揺らして馴染ませてから…体を倒し、耳元で囁いた。
「ふう…きっつ。大丈夫?ライ」
「はっ、ハァッ、ハァ…ッ」
引き裂かれる痛みと腹の圧迫感に全身を震わし言葉を失うライ。その横顔を見て溜飲を下げた俺はちゅっと耳に吸いついた。
「ごめんね、痛い思いさせて…よく頑張ったね」
「うっ、はぁ、…ゆ、き…っ」
「ライが頑張って俺を飲み込んでくれたから、脱走した罰はこれで終わりにしてあげるよ」
「ううっ…はっ、ああ…っ、んンッ!」
労るように腹を撫でてやると、ずっと責めるだけだった俺に優しくされてライは心底安心した表情を浮かべ…涙目で振り向いてくる。蕩けた瞳で“優しくして、痛くしないで"と乞う姿は、本来のライではあり得ない“可愛い"ものだった。
(もう一押しかな…)
舌なめずりしてうなじに吸いつく。
「これに懲りたら、もう脱走しちゃダメだよ。ライが良い子にしてくれる限り、もう二度と痛い思いはさせないから、ね?わかった?」
うなじに噛みつき、直接体に染みこませるよう低く囁きかける。吐息にすら感じるのか、ライは必死に頷き、そして耐え切れないと首を振り始めた。
「はぁ、んぁ、あ…っ!、う!…ゆうき、んん…!!」
「はは…、動いて欲しいの?奥はまだ広がってないから辛いと思うよ」
「い…からっ、んぅ、うご、い、て…、はぁ、これ以上、焦らされ…たら、ううっ、死ぬ……っ」
密着してる肌はびっしょりと汗をかいておりその辛さを物語っている。俺のを腹に咥え込んだ事でその先を期待した体が更に疼き始めたらしい。ライはまるで高熱に浮かされたように息を荒げ、首を振ってる。
「んぅ…はや、く…っ!!」
「はは、わかった、わかったから。でもこのままだとライすぐにイッちゃって苦しくなるから前は縛っとこうね」
「!!!」
ライはまだ記憶に新しい責め苦を思い出し、涙を溢れさせる。
「い、や、やめ、嫌だ…」
「大丈夫、何度もやってるから怖くないよ。さっきもやったしね」
「んンンッ…はっ、やっ、あああっ」
すでに先走りでべとべとのライの性器を根元の位置で縛っていく。きゅっと結び目を作ると「んあぅ…っ」とライの切なそうな喘ぎ声が漏れて腰に響いた。
「と、って…、ゆう、きっ…とって、くれ…っ、ううっ、」
「ダーメ。体の疼きが落ち着くまでにライの体力が尽きちゃったらどうするの?抜けるまでまだ一時間以上あるんだからね。辛くなるのはライだよ」
「ンンッ…う、あぁっっ…!!」
根本を縛った状態で上下に擦ってやると、びくびくと全身を震わせて喘いだ。
「もぅ、なんでも、い…からッ、アアッ、動い、て…ッ」
好きにしていいからと叫ぶいっぱいいっぱいのライは可愛くてたまらなかった。先程まで抱いていた怒りが嘘のように消え、愛おしさに包まれる。
(ああ、壊しちゃいたい…)
この体を貪り尽くしたい。そんな衝動に駆られる。
「っと、その前に…、んしょ」
腹に回していた腕でライの体を起こさせ、背面座位にした。少しだけ角度をずらして縁側の方へ向けさせれば
「!!」
ライが目を見開く。視線の先には時雨が用意したトランクがあり、すでにその中身を晒していた。びっしりと敷き詰められた燃えカスのような黒い灰。風が吹く度にそれらは少しずつ舞い上がり、焦げ臭い匂いを漂わせていく。
「あ、あ…、」
「ライ、ダメだよ。じっとしてて」
「んんうぅぅ…っ」
無意識のうちに立ち上がろうとするライを再び足の間に座らせた。ぐちゅりと奥まで飲み込まされたライは軽くイったのか仰け反りながら喘いでる。その背中を胸で押し返しながら、顎を掴み前を向かせた。
「ライ、見て」
「う、うはぁ…、あ…」
ライの意識が天国から庭に戻ってきた時、舞い上がった灰が自然発火という異常現象を起こす。
ゴオオッ
何もない空間から炎が出てくるなんて手品みたいだが、その場にいた全員がその炎に心当たりがあるため驚くことはなかった。皆が固唾を飲んで見守る中、炎の中から一人の男が出てくる。
ザッ…
火傷一つ負うことなく炎の中から現れた男は、時雨に放られた服を肩にかけ…優雅に立ち上がった。そんな些細な所作ですら映画のワンシーンのように決まってしまうから憎いものだ。
「ふぃ、ん…?」
信じられないという様子でライがその名を囁く。ゆっくりと開かれたオレンジの瞳は、ライの声に導かれるようにして顔を上げ、離れにいる俺達の姿を真っ直ぐ映した。
「柴沢、アレ持ってきて」
「ユウキさんそれは…」
廊下で待機していた柴沢が珍しく難色を示した。
「柴沢、お前の意見は聞いてないよ」
「…しかし」
「柴沢ってやけにライに肩入れしてくるよね。薬を止めさせたのも柴沢だし、もしかして、ライの脱走を手伝ったのもお前だったりする?」
「!」
柴沢とライが同時に反応する。少し視線を交わすぐらいの些細な動きだったが、普段腹黒い奴に囲まれてる俺がそれを見逃すことはなかった。
(やっぱりそうか)
物心つく前から世話をしてくれている柴沢、そしてこの世の誰よりも愛してるライ。俺にとって大きい存在の二人に裏切られたのは悲しかったが不思議と驚きはなかった。逆に納得がいってスッキリするぐらいだ。
(この離れから協力者も無しに脱走できるわけがないもんね)
ライが簡単に挫けない心を持っている事も、柴沢が比較的マトモな感性を持つ男だという事も知っている。ただ一つ、誤算と言えるのは
「柴沢って、仕事に私情を持ち込まないタイプだと思ってた」
「!!」
「正気の柴沢なら逃がすにしてもこんな杜撰なやり方はしない。相当急いでいたか、勢いでやっちゃったか…どちらにせよ自分の命と引き換えに助けたって事でしょ?すごくロマンチストでびっくりした」
「…」
「でもダメだよね。柴沢が命を懸けるべき相手は親父なのに…そんな大事なことも忘れちゃったの?」
「…弁解の余地もありません」
「謝罪なんてどうでもいいから動機を教えてよ。ライの世話をしてるうちに愛着がわいた?それとも同情?可哀想に思えてついつい魔が差しちゃった感じ?」
「…申し訳ありません」
柴沢は頭を上げることなく「ケジメはつけます」と言ったきり黙ってしまった。下手に話すつもりはないらしい。それで自分の立場が悪くなったとしても構わないという事だ。
「呆れた…。そんなにライを庇って何がしたいわけ?お前が何を言っても・言わなくてもライを躾けるのは止めたりしないよ?お前の罰が増えるだけだしね。って、待てよ…そんなに庇うって事は、まさかライの事を好きになったとか言わないでね?もしそうだったら俺の手で殺…」
「ユウキ!」
背後から慌てたような声がかかる。俺達の会話を聞いていたライが顔を真っ青にして「違うんだ!」と必死に叫んでる。
「ユウキ!違う!柴沢さんは…悪くない…!!俺が…、俺が頼んだから…柴沢さんは…!」
「ライが頼んだ?どういう事?」
「“絶対一日で戻ってくるから見逃してくれ”って…そうじゃなきゃ自殺を手伝わせてやるって半分脅して…、無理やり従ってもらったんだ。だから、柴沢さんは悪くない…!」
「って言ってるけど?」
柴沢に返せば、重苦しい顔で首を振った。
「何を言われたとしても受けたのは自分です。自分に罪があります」
「そうだよね」
「はい」
「でも、まあ、ライにこんなに必死にお願いされたらグラッてくるのはわかるよ。俺が同じ立場でもやっちゃうと思う。だから…情状酌量の余地アリって事で、今回だけ特別に許してあげる」
「!」
「引き続き俺の世話人として置いてあげる。もちろんライの世話も、今まで通りよろしくね」
「…ユウキさん」
「だから、そのかわり、」
俺はライの傍に戻って膝をついた。何の声かけもなく両手の拘束を解いてやればすぐにライは逃げ出そうと身を捩りだす。それを予期して肩に手を押いておいた為ライの上体は起こせずに終わったが、薬も抜け両手が自由になったライは思いの外しっかり暴れてくる。
「柴沢」
呼びつけると音もなく横に膝をついてきた。
「ライの両手、お前が抑えといて」
「!」
「俺がいいって言うまでね。これで今回の事はお咎め無しにしてあげるから…、柴沢、できるよね?」
「…はい」
柴沢は拘束具の代わりに自分の手でライの両手を床に抑えつけた。
「やめ…っ!離してくださいっ、柴沢さん…!!」
「…」
嫌がるライを抑えつける柴沢にはほんの少しだけ眉間に皴が寄っていた。これから行われる事を予期して、しかもそれを“特等席”で見せられる事になり憂鬱になってるのだろう。
(ふふ、脱走を手伝った柴沢にはちょうどいい罰だね)
こんな事があったとはいえ、柴沢の事は組の誰よりも信頼している。仕事はしっかりやってくれるし、ライの事も、肩入れはしても決して手は出そうとしないから、俺以外で唯一ライに触れていいと許可できる…かけがえのない存在だった。
(だからこそお前の裏切りは許されない)
柴沢の中に擽られる良心があるのなら、二度と脱走を手伝おうなんて思えなくなるように罪悪感で縛ってやろう。
「じゃあ、俺は取りいってくるから…それまでライの事よろしくね、柴沢」
もう逃がしちゃダメだよ?と微笑みかけてから俺は立ち上がった。
目的のものを持って離れに戻ると、玄関の手前で時雨が立っていた。その手には先程も持っていた謎のトランクがある。
「時雨さん…ここは一族の者と限られた組合員以外立ち入り禁止ですよ」
「安心しろ。ハジメの許可は得てる」
「…親父の…?」
「ああ、そうだ。組合員が止めに来てないのがその証拠だろうさ。…それにしても、狐ヶ崎は薬を扱わないと思っていたが、なかなか良い物を持ってるじゃないか」
俺の手元を見て時雨が口端を上げて笑う。それを無視して話を戻した。
「で、親父に許可を得てまで何しに来たんです?」
「なに、簡単な事だ。今から行う“躾”に少し同席させてほしい」
「…冗談でしょう」
ライは見世物じゃない。特に時雨相手なんて、見せていい姿など欠片もない。帰ってくださいと侮蔑をこめて睨み付ければ、時雨はトランクを軽く揺らすようにして掲げた。
「お前達に損はさせない。ちょっとした余興を見せてやる」
「余興…?」
「そうだ。気に入らなければすぐに追い出してくれていいし、お前達には触れさせない…躾の邪魔は一切しないと約束しよう」
「触れさせない?…まさか、その中身って」
「お前の想像した通りだ。暴れて手が付けられんからここに寄らせてもらった。まさかそっちも躾に難航してると思わなかったが、それはそれで、互いの躾の仕上げになってちょうどいいだろう。“お互い”気になってるようだからな」
「…なるほど」
そういう事ならと玄関の扉を開けて招き入れた。俺が廊下を進むと、ゆっくりとした足取りで時雨もついてくる。
「?!」
部屋に戻ってきた俺達を見てライが体を強張らせた。
「な、なに…なんで…」
俺はまだしも時雨がくるとは思わなかったのだろう。しかもその手には謎のトランクがある。怖がるのも当然だ。普段の俺なら安心させるように声をかけていただろうが、今日は無駄に甘やかすつもりはない。震えるライをそのままに、淡々と浴衣を脱がしていく。柴沢の協力を得れば一瞬で完了した。
「い…ッ、や、やめろっ、ユウキ、何を…っ」
柴沢と足の拘束具で縛られたまま全裸にされたライの腹を軽く撫でる。
「…ッ」
催淫剤を抜いた今のライは体の敏感さが弱まっている。むしろ嫌悪感を浮かべ睨んでくる始末だ。正気そのものの反応を確認してから、手に持っていた錠剤を飲ませた。嫌がったが呼吸を封じれば時間の問題だった。
「ごくっ、…けほっ、はッ、はぁ…」
「飲めたね。次はこっちだよ」
「??!」
戸惑うライの体に、持ってきたボトルの中身をかけていく。
ドロっ…
手袋をつけて自分は触れないように気をつけつつ、全身へと塗り広げた。敏感な場所は念入りに何度も揉み込む。
「んっ、なに…、はぁ…、うぅ…」
得体の知れぬ液体を塗りたくられるなんて怖くて仕方ないはずだが、ライはガタガタと震えながらも決して弱音を吐かず、じっと俺の手元を見つめていた。強い精神力のなせる業だなと内心感心する。無駄に抵抗したらお仕置きしようと思ってたがそれは必要ないらしい。
するっ
手袋を外して仕置き用に持ってきた予備のボトルとまとめてゴミ箱に捨てた。人数が揃ってるわりに全く気配のしない静かな部屋にゴトリと重い音が響く。
「さてと、」
時雨の方を盗み見れば、縁側に腰掛けるようにしてトランクを弄っていた。厳重なロックがかかってるのかまだ時間がかかりそうだ。
(まあ…簡単に開いたら危険だもんね…)
待ってるのも暇だし漫画を持ってきて読もうかなと思ってると
「ゆ、ユウキ……っ」
「?」
ふと、焦れったく呼ばれ下を見る。
「はッ、うぅ、…んっ、」
ライが苦しそうに喘いでいた。さっきまでの気丈な振る舞いが嘘のように、不安そうな顔をしている。
「ユ、ウキ…ッ」
「どうしたの、ライ」
「こ、これ…っ、はあ、はッ…!!」
ライは言葉の途中で信じられないというように首を振った。自分の体が突然火照り出して戸惑ってるのだろう。限界まで抱かれボロボロのはずの体が本人の意思を無視して赤く染まっていく姿はとても煽情的だ。
「綺麗だね」
横でゆったりと寛ぎ、見下ろしながら呟いた。指先一つ動かす気配のない俺を見てライがどうしてと再度首を振った。
「ハァ、はッ…、くっ…ユウキッ、今の、はっ」
「ああ、説明がまだだったね。今ライが飲んだのはよくある薬物。ガッツリ依存性があるから、ライの意思はともかく、“脳”は俺から逃げられなくなったよ」
「…!!」
「で、脳の次は体って事で、塗りつけた液体の方は調教用の塗り薬ね。今実感してると思うけど、これまでの催淫剤とは効果が段違いで、何より即効性に優れてるから躾にピッタリなんだ。動けないままこれを使われるとキツイでしょ。訓練してる奴でも加減を間違えたら発狂しちゃうんだって。だから、ライも限界になる前に言うんだよ。頭がおかしくなっちゃってからじゃ遅いんだから」
「いっ…!、うぁ…、く…」
ライは俺の説明を聞いて更にもどかしくなったのか必死に体を捩りだした。柴沢によって床に縫い付けられた手は強く握り締められ指先は白くなっている。膝をすり合わせようとする両足も足首に繋がれた拘束のせいで摩擦させる事すら叶わない。何も自分では刺激を与えれないのに、時間が経てば経つ程体の熱は上がっていく。その上、念入りに塗り込んだ胸と性器はそこだけで正気を削り取れる程の灼熱の疼きを生み、
「はッ、はぁ…はぁ…っ」
地獄のような焦らしに、すでに体力も気力も削られていたライはあっという間に音を上げた。
「ハァッ、はっ、たの、む…、ユウキ…ッ、助け、て…く、れッ」
ライは苦しさのあまりぽろぽろと涙を溢れさせていた。普段絶対泣いたりしないライが恥も外聞もかなぐり捨てて泣くなんて、本人にしたらかなり屈辱的なはずだ。それでも抑えられない程薬がきついのだろう。横で眺めていた俺は組んだ足に肘をついてほくそ笑む。
「っゆ、き…ッ」
「そんな目で見てもダメだよ。脱走した罰も与えてないのに、自分の願いだけ叶えてもらえるわけないでしょ」
「…っ」
あくまでも冷徹な態度を突き通す俺を見て、ライの喉がひくりと鳴った。
「ライ、今のうちに誠意を見せておけ。その方が傷は浅く済む」
縁側に腰掛けていた時雨が笑い交じりに忠告してくる。責められるライに同情したのか、俺の怒りっぷりに呆れてるのか、どちらにせよ時雨の助言を聞いたライは顔を青くしつつも、俺の足の間に視線を移した。布を押し上げる程ではないが形は作り始めてる半勃ちのものに気づき、一瞬眉を寄せる。そして
「ゆぅ、き…」
「なぁに?」
「舐めさせて…ください…」
絞り出すように言うライ。恥じらうように頬を染め、顔を背ける姿はまるで処女のようで、悪戯心が擽られた。
「何を舐めたいの?」
「…っ、う、ゆうき…の、」
「俺の?」
「ッ、ゆ、ユウキのっ、性器だよ…ッ!!もう、いいだろ…っ!」
「あはは、性器って言葉、保健体育の授業以来に聞いたかも」
「~~~!!」
涙目で睨まれる。もう少し色々言わせたかったが今のライのキャパを考えればこれぐらいが限界だろう。さっき本人にも言ったが俺の求めるゴールはライを狂わせる事じゃなく、喜んで俺の横にいてくれる“可愛いライ”を作り上げる事。人格の破壊は論外だ。
「いいよ。俺を気持ちよくさせてくれたら、躾も早めに終わらせてあげるから頑張って」
仰向けのライでも舐められるように、ライの体を跨ぎ、胸の上に腰を下ろした。いつぞややった体勢だなと笑ってると、ライはあの時と違い、俺に言われるより先に自分から舌を出して舐め始めた。
ぺろ、ぺろ…
根元から先端へ往復するように舐めて、先走りの滲む先端をちゅるりと吸って、くびれに舌先を這わせて。俺が仕込んだ通りに舌を動かすライ。
「っ…、ん、…んぅ…、」
ただ、いくら体が灼熱の疼きを抱いていても、喜んで舐める程心は落ちきっていないのかライは苦悶の顔をしていた。その顔に再び悪戯心が擽られた俺は
「舐めるだけのつもり?」
冷たい表情のまま、低く、ため息交じりに呟いた。途端にライは怯えた顔をして、数秒の間の後、ぎゅっと目を瞑った。それから、観念したように口を開けて
ぱく…ちゅるっ、ちゅぷ…
喉まで咥えて、舌を動かす。俺を満足させなければ自分が解放される道はないとわかっているライは屈辱を押し殺して必死にフェラを続けた。体勢的にキツそうだが手伝う気はないので苦しそうなライを上から眺めて楽しむ。気まぐれに喉を突くとライは苦しそうに呻き、その度に喉の奥が締まって気持ちがよかった。
「ねえ、どうして俺から逃げたの?」
しゃぶらせながら尋ねてみた。ライは伏せていた瞼を開け、チラリと上目遣いで見てくる。それからすぐに縁側の方へ視線を移動させた。時雨を見たかったのではなく、多分、外を見たかったのだろう。
「…あの人達を助けに行こうと思ったの?」
「んん、…んぐ、ン…っ」
「あんな風に裏切られたのにまだ助けようと思うなんて、ライはクズを引き寄せる自覚を持った方がいいよ」
「……ッ、」
ライが蕩け始めていた目を鋭くして睨みつけてくる。しかし無駄口を開く程愚かではなく、裏筋に舌を這わせ先端に甘く歯を立てながら、俺が気に入ってるやり方でしゃぶり媚びてくる。早く出して終わらせてくれ。そう言うように強く先端を吸って先走り混じりの唾液をゴクリと嚥下してみせる。エッチなライに煽られた俺は首を傾げて呟いた。
「じゃあ…そっか。まだあの人に未練があったから俺に好きって言えなかったんだね」
「っ…」
「今、ここで、俺の事好きって言ってくれたら、脱走した事…許してあげてもいいよ?」
「………」
ライは口を動かしつつ、しかし決して頷く事はなかった。目も合わせようとしない。
「ライ…」
胸の中に確かな怒りが浮かぶのを感じた。今までライに抱いたどの感情よりも濁った感情で、愛と嫉妬が複雑に絡み、自分でも理解できない程の熱量を持って胸を占めていく。
「おい、殺すなよ」
再び笑い交じりの声が割り込んでくる。それを無視してライから自分のを引き抜いた。途端にライはむせ返り、懇願してくる。
「けほっ、ユウキ…っ、頼む…、フィン達の、所に…いかせ…て、くれ…!ちゃんと、戻ってくるから…っ、あいつらを、助けに、いかせてくれ…っ」
ライはあの人達の事を思い出した事で一瞬体の疼きが飛んだのか、残りわずかの正気を手繰り寄せて必死に訴えてくる。自分を愛してもくれない者達の為に、自らの立場を悪化させてでも助けに行こうとする…あまりにもいじらしく健気な姿だった。
「…ダメだよ。そしたらライは戻って来ないもの」
あの男とライが直接会えば魔法は解けてしまう。裏切りがすれ違いだったと気付いてしまう。
(せっかく捕まえたのに、)
みすみす逃がすなんてできるわけがない。たとえ心の底からライを愛してるとしても、そこまでの献身の愛は俺には抱く事ができない。
「必ず戻るから…っ、もう、もう逃げない…ユウキから離れねえから…ッ!」
「馬鹿言わないでよ。さっき脱走したばかりの違反者の言葉を信じられるわけないでしょ?」
「…っ」
「そもそもなんで自分を騙した男なんか助けようとするのさ。頭のおかしいコレクターの元から取り返せても、あの人の横には他の男がいるんだよ。感謝はされても愛されはしない。…そんな報われない事をして、苦しむのはライなんだよ?」
早くその未練から救い出してあげたいのに、どうしてライは手放そうとしないのか。…理解に苦しむ。
「俺は…、俺が、報われなくたっていい…ただ、あいつらを、フィンを……愛してる、から……死んでほしく、ないんだ…っ」
「殺されないよ。コレクターの元で飼い殺しにされるだけで心臓は動き続ける。ライが罪悪感を抱く必要は…」
「そんなの、生きてるなんて言わないだろ…!!」
ライは首を振って「助けないと」と繰り返した。
(…ダメだ)
やっぱり会話じゃこれ以上の距離は埋められそうにない。失望と共に感情が振り切った感じがした。いい感じに諦めがついたのかもしれない。
「坊主、待たせたな。準備できたぞ」
時雨がトランクを庭に置きながら言った。俺はすぐに柴沢に目配せして、ライの体をうつ伏せの形にさせた。裏返す時に右足の拘束を外したから、下半身もある程度動かせる状態になった。ローションを手早く自身に塗りつけて、ライの後ろにあてがう。
にちゃ
「!!」
粘つく感覚にライが鳥肌を立て振り向いてくる。
「い、いやだ…」
ライは青ざめ体を強張らせるが柴沢に肩を抑えられていてはどうしようもない。腹に腕を回し、膝をつかせてから震えるライに無言のまま挿入していく。
ぐちっ…
数時間前に抱いたとはいえ、慣らしてない内側を、緊張状態も解かぬままこじ開ければ傷をつける。それをわかっていて無理矢理押し込んだ。
「いぎっ、あああっ…!!」
ライは仰け反りながら悲鳴を上げた。中が切れたのか赤い液体が垂れてきて、潤滑油とまではいかないが、そのおかげで少し動かしやすくなる。軽く腰を揺らして馴染ませてから…体を倒し、耳元で囁いた。
「ふう…きっつ。大丈夫?ライ」
「はっ、ハァッ、ハァ…ッ」
引き裂かれる痛みと腹の圧迫感に全身を震わし言葉を失うライ。その横顔を見て溜飲を下げた俺はちゅっと耳に吸いついた。
「ごめんね、痛い思いさせて…よく頑張ったね」
「うっ、はぁ、…ゆ、き…っ」
「ライが頑張って俺を飲み込んでくれたから、脱走した罰はこれで終わりにしてあげるよ」
「ううっ…はっ、ああ…っ、んンッ!」
労るように腹を撫でてやると、ずっと責めるだけだった俺に優しくされてライは心底安心した表情を浮かべ…涙目で振り向いてくる。蕩けた瞳で“優しくして、痛くしないで"と乞う姿は、本来のライではあり得ない“可愛い"ものだった。
(もう一押しかな…)
舌なめずりしてうなじに吸いつく。
「これに懲りたら、もう脱走しちゃダメだよ。ライが良い子にしてくれる限り、もう二度と痛い思いはさせないから、ね?わかった?」
うなじに噛みつき、直接体に染みこませるよう低く囁きかける。吐息にすら感じるのか、ライは必死に頷き、そして耐え切れないと首を振り始めた。
「はぁ、んぁ、あ…っ!、う!…ゆうき、んん…!!」
「はは…、動いて欲しいの?奥はまだ広がってないから辛いと思うよ」
「い…からっ、んぅ、うご、い、て…、はぁ、これ以上、焦らされ…たら、ううっ、死ぬ……っ」
密着してる肌はびっしょりと汗をかいておりその辛さを物語っている。俺のを腹に咥え込んだ事でその先を期待した体が更に疼き始めたらしい。ライはまるで高熱に浮かされたように息を荒げ、首を振ってる。
「んぅ…はや、く…っ!!」
「はは、わかった、わかったから。でもこのままだとライすぐにイッちゃって苦しくなるから前は縛っとこうね」
「!!!」
ライはまだ記憶に新しい責め苦を思い出し、涙を溢れさせる。
「い、や、やめ、嫌だ…」
「大丈夫、何度もやってるから怖くないよ。さっきもやったしね」
「んンンッ…はっ、やっ、あああっ」
すでに先走りでべとべとのライの性器を根元の位置で縛っていく。きゅっと結び目を作ると「んあぅ…っ」とライの切なそうな喘ぎ声が漏れて腰に響いた。
「と、って…、ゆう、きっ…とって、くれ…っ、ううっ、」
「ダーメ。体の疼きが落ち着くまでにライの体力が尽きちゃったらどうするの?抜けるまでまだ一時間以上あるんだからね。辛くなるのはライだよ」
「ンンッ…う、あぁっっ…!!」
根本を縛った状態で上下に擦ってやると、びくびくと全身を震わせて喘いだ。
「もぅ、なんでも、い…からッ、アアッ、動い、て…ッ」
好きにしていいからと叫ぶいっぱいいっぱいのライは可愛くてたまらなかった。先程まで抱いていた怒りが嘘のように消え、愛おしさに包まれる。
(ああ、壊しちゃいたい…)
この体を貪り尽くしたい。そんな衝動に駆られる。
「っと、その前に…、んしょ」
腹に回していた腕でライの体を起こさせ、背面座位にした。少しだけ角度をずらして縁側の方へ向けさせれば
「!!」
ライが目を見開く。視線の先には時雨が用意したトランクがあり、すでにその中身を晒していた。びっしりと敷き詰められた燃えカスのような黒い灰。風が吹く度にそれらは少しずつ舞い上がり、焦げ臭い匂いを漂わせていく。
「あ、あ…、」
「ライ、ダメだよ。じっとしてて」
「んんうぅぅ…っ」
無意識のうちに立ち上がろうとするライを再び足の間に座らせた。ぐちゅりと奥まで飲み込まされたライは軽くイったのか仰け反りながら喘いでる。その背中を胸で押し返しながら、顎を掴み前を向かせた。
「ライ、見て」
「う、うはぁ…、あ…」
ライの意識が天国から庭に戻ってきた時、舞い上がった灰が自然発火という異常現象を起こす。
ゴオオッ
何もない空間から炎が出てくるなんて手品みたいだが、その場にいた全員がその炎に心当たりがあるため驚くことはなかった。皆が固唾を飲んで見守る中、炎の中から一人の男が出てくる。
ザッ…
火傷一つ負うことなく炎の中から現れた男は、時雨に放られた服を肩にかけ…優雅に立ち上がった。そんな些細な所作ですら映画のワンシーンのように決まってしまうから憎いものだ。
「ふぃ、ん…?」
信じられないという様子でライがその名を囁く。ゆっくりと開かれたオレンジの瞳は、ライの声に導かれるようにして顔を上げ、離れにいる俺達の姿を真っ直ぐ映した。
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