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悪魔様シリーズ
★子供が欲しい!(ザク×ルト)
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※第六章読了推奨
※最初は無理やりですが後半はラブラブ?です(二人とも通常運転)
※無理やり、子作りプレイ注意
それは街に出たときのこと。ザクに荷物を持たせて買い物のため市場を回っていると、目の前を仲良さげな親子連れが歩いていった。それをザクがじーっと眺めている。
(…どうしたんだろ、ザク)
まさかあの親子連れの奥さんを…いや、もしかしたらあんな小さな子供(女の子)を狙っているのか?!と一瞬焦るが、親子連れが見えなくなり俺の方に視線を戻したザクはやけに真剣な顔をしていた。
「なあ、ルト」
「ん?」
「子供が欲しい」
「は?」
本気で正気を疑った。大丈夫かこいつ…とザクをぽかんと見つめ、動揺のあまり買い物リストを落としてしまう。それを拾い上げながらもう一度真剣な顔でザクは言ってきた。
「だから、子供が欲しい」
「は?」
「赤ちゃんがほしい」
「いや、言い方変えなくてもわかる…って、大丈夫かお前」
ザクの額をおさえる、熱はないな、うん。
(っていうか!!)
俺たち男同士に、なんつーすんごいのを求めてくるんだよっ。呆れを通り越して逆に感動するわ。
「俺様は至って正気だし、本気だぜ」
「いや、よりだめだろ」
「なんでだよルトは欲しくねーの」
「うう…欲しくない、わけは…ないけど、そもそも俺たち男だしありえないだろ、不可能だ」
男同士じゃ子供なんて作りようがない。俺が至極当たり前な事を伝えると、そこで真剣な顔のザクにイヤな笑みが広がった。
(…あ、これは何か企んでる顔だ)
「ルト、いいことを教えてやろう」
「聞きたくない」
「悪魔の世界には、不思議な種があってだな」
「聞こえない」
「両方がその種を飲んで、その日にやると、なんと男同士でも子供が」
「あー!インクを買い忘れてたー!」
耳を塞いで、そのまま市場に走って戻る。悪魔の囁きは聞かないでおくに越したことはない。本当はバッチリ聞こえていたけども。だけども、噛み砕くわけにはいかない。
(男同士でも子供ができちゃうのかよ、悪魔ってすごいな…)
インクを買いつつぼーっと他の客を見てみた。若いカップルに親子連れ、老夫婦。皆子供や孫を連れて楽しそうに並んで歩いていた。
(俺だって家族に憧れがないわけじゃない)
ザクだけでも十分だけど、もし俺たちに子供がいたらもっと楽しくなるだろう。
(ザクも…やっぱ欲しいんだ)
物思いにふけりながら帰るのだった。
***
1週間後…
「ルト、ルト!」
もう寝ようかななんて思いながら、寝転がりながら本を読んでいたそんな時。廊下から顔を出したザクは何故か傷だらけだった。髪にまで葉っぱついてるし、一体何事かと上体を起こす。
「ザク、どうしたんだよ…」
「やろう」
「は?」
「ルトに突っ込みたいです」
「…丁寧に言ってても中身は変わらないから」
ま、一回ぐらいならいいか。もぞもぞと起き上がる。
(服脱いどくか、めんどいし)
ベッドに乗り上げてくるザクを少し押し戻しつつ自分で脱いでいく。ザクのやつ、走ってきたのかはあはあと息を荒げてるし、目は俺の体を食い入るように見てるしで、微妙に怖い。もたもたしてると俺の手に手を重ねるようにして服を逃そうとしてくる。
「おい、ばか、自分でやるって」
「はやくしろ」
「そんながっつくなよ、怖いんだけど」
「いいから、早く試したい」
「は?試す?」
ザクがとっくの昔に脱ぎ終えていたコートのポケットから、何かを取り出した。それはアーモンドぐらいの、何かの種だった。
「じゃじゃーん」
「なにこれ…あ、まさか!!」
「そう!これがこの前話した悪魔の種だ!」
「なっ、!!」
「いや~苦労したんだぜ、取りに行くの。なんせドラゴンの守る森に生えててな…人を丸呑みできるぐれーのヒルとか野良のミノタウロスとかと出くわしたりして何度か死にかけたし」
「ちょっと待てちょっと待って!」
「んあ?」
俺が悲鳴のような声で必死にストップをかけると、やっとザクは言葉を途切れさせてこっちを見てくれた。手は俺の服から離さないけども(そして今すぐにでも脱がそうとしてくる)。
「そ、その種って、あの…男でも子供ができるってやつ?」
「おう」
「…もしかして、俺に飲ませようとしてる?」
「おう。あ、安心しろ人体に無害な奴だから。心配なら俺様が先に飲んでやる」
そう言ってぱくっと食べてしまうザク。
ごくり
なんの躊躇もなく飲み込む姿にギョッとした。いや、少しは迷えよ!!ていうかボロボロだったのはそのせいだったのか。そんな秘境?にまでいって、命懸けでその種を探してきて…そこまでして子供が欲しいのかと突然の展開に頭がフリーズしてしまう。
(で、でも…そりゃ、欲しくないわけじゃないけど、い、今すぐってのは…)
ぶっちゃけ尻込みする。
「どうしたルト?」
「お、俺…まだ、子供は産みたくない、んだけど…(←本音)」
「でも俺様が産む側はキツイだろ絵面的に」
「そ、そうだけどさ…」
だって、よく考えてみろよ。俺は今までずっと男として生きてきたんだぞ。それが急に、はいあなたにも子供できますよ、と言われてみろ。天変地異の大事件だ。空から宇宙戦艦が降ってくるわ。狼狽える俺を見て、何故か堂々とし始めるザク。
「心配すんな、女でも産む前はそう思うらしいから」
「いや、ええー…絶対違うって…ちょ、触るな!」
「交尾前の不安は男が解消するもんだぜ、ほら、足開け」
「うっ交尾とか言うな!生々しい!」
わりと本気でザクの腹を蹴った。それをザクは片手で受け、そのまま足ごと体を引き寄せられた。
「うわっ」
服が脱がされ、耳に吸いつかれ、掌が肌を撫でていく。
(やばい、このままでは流される!)
「ザ、ザク!んんっ、す、すとっぷ!」
「んだよ、大丈夫だって。心配しなくてもちょっと痛いぐらいだしさ、多分」
「多分ってなんだよ!じゃあザクが産めばいいだろ!」
「それは無理だってルトに突っ込まれるとかありえないし…ぱくっ」
「俺だっていっしょっんんう!」
ちゅっと口付けられた。ザクの舌が割り込んでくる、そして何かゴロっとしたものが入ってきた。まさか。
(種?!!…の、飲んじゃダメだ!)
必死に舌で追い出そうとする。
「んんーー!!んーー!!」
胸を叩いてみるが一向に口が離れる気配はなく、俺は種を飲み込まないように息を止めてるため酸欠になりかける。追い討ちをかけるように鼻をつままれ本気で危険を感じた。
(っし、しぬ!!)
ごくっ
「っぷはあ!ごほっごほ!!げほっ!!うえっ…の、飲んじゃった?!ど、どうしよう!やばい…!」
「けけ、マジで毒とかはねーから安心しな」
「いっそ毒の方が良かった…っ」
「んな拒絶されると俺様傷つくぜー」
「とかいって準備はじめるな!絶対今日はやらないからな!!!」
「けけけ、それはルトのお願いでも無理だな~」
「うわっ、んんっ、は、そこ…っ!」
後ろを指で解されはじめ、体が反応していく。種のせいなのか、そのことを意識しているせいかいつもより感じやすい気がする。このままだと数分もせずにイきそう。
「なんだなんだ、イヤイヤ言ってても実は期待してたんじゃねーのルト」
「っ!」
後ろを指で掻き混ぜながら、うなじを舐めてくる。その感覚に、ゾクゾクと背中をのけぞらせて感じた。それを見たザクがまたけけけっと笑う。
「ルトだって子供が欲しいんだろ?早く欲しい、って絡みついてくるぜ?」
「うううっ、うるさい!」
欲しくないわけじゃない、でも、本当に今の俺たちに必要なのか。こんなに焦って作っていいものなのか。ぐるぐると思考が巡り、こんがらがってくる。俺の混乱など露知らず着々と準備を進めていくザク。腰にあたるザクの熱いそれはもう準備万端といっていた。
ぐちゅり
かなりほぐれたところで指を引き抜かれる。
「んっ…」
「けけけ、でもルト細えからな~産むのはちょっときついかー?」
「わかってんならっ、中断しろよっ…っ、!」
「でもまあ、安心しろ、俺様がずっと見ててやっから」
「いやだって…ううっ!」
腰をあげたザクのが入ってくる。もう何度も咥えて覚えてしまったそれに、体がドクドクと喜びの声を上げていた。
(ど、どうしよう、どうしよう、どうしたらいい?!)
焦りと、快感と、不安と、混乱が渦巻く。
「っザ、ザク!っあうっ、やめ…!」
「俺様昔から欲しかったんだよなー」
「っき、」
「興味もあったしー」
「聞けって!!!」
ドンっ
ザクの肩を押した。かなり強めに。さすがに悪魔のこいつ相手にこの程度じゃ痛みは感じないだろうが、俺の本気の拒絶に驚いてはいた。目を丸くして、腰の動きを止めて見下ろしてくる。
「る、ルト?」
「…っ」
「ルト、どうした」
俺が黙ってると、心配そうに見てくる。
「ーっっそんなに子供が欲しいなら!産めない俺なんか相手してないで、…どこかで女作ればいいだろ!!」
「…!!」
不安とか混乱で気が動転してたのか思ったよりも大きな声が出てしまった。驚いたザクは体を停止させたまま凍り付く。
「…る、ると…」
「ぬけ、今すぐ。もうお前なんか知らないから」
「…」
大人しく腰を引いたザクはそのままゆっくりとベッドに腰掛けた。そして、ひどく落ち込んだ様子でこっちを見ては口をつぐんでいる。それから大きく息を吐いた。
「わりい、焦りすぎた…」
そう言ってしょんぼりと服を着始めるザク。それを横目で見てから、俺は起き上がった。そしてずっと気になっていたことを聞いてみる。
「なんで、急にそんな、子供が欲しいとか、言い出したんだよ」
「……」
窓の外を眺めたまま返事のないザク。それから少し経ってから
「ルトとの証拠が欲しかった」
「…!」
「女々しいかもしれねーけど、見てみたくなったんだよ、そういうのが」
「……」
証拠。俺たちが愛し合っているという証拠、という事だろうか。
(なるほど…確かに俺たちにはないもんな、そういうの)
男同士だし、人間と悪魔、言ってしまえば牧師と悪魔なのだ。世間的に認められる関係ではない。
(…)
ザクはしょぼんと肩を落としながらはあ…と深く息を吐いた。その背中には反省の色が強くにじみ出ていた。しばらくそのままお互い黙り込み静けさを味わったあと、
(はあ…)
俺はおもむろに起き上がった。
ぎしっ
それから背中からザクの体に腕を回す。ぎゅっと力を込めて抱きしめた。
「ルト、」
「…証拠なんて、いらないだろ」
証拠なんかなくても俺たちの関係は消えない。確かに見えにくいしわかりにくいかもしれない。あまり理解されにくいものなのかもしれない。でも。
「俺たちは俺たちだ」
背中に頭をこすりつける。ザクの匂いがするこの空間に心地よさを感じながら目を瞑った。俺の腕をザクの腕が上から抱く。
「…ん、だな」
そう言って笑った。
「ルト」
「ん?」
お互いの目を見つめ、それから軽く啄ばむようなキスをする。ザクの腕の中に抱かれながら甘いキスを交わす。それだけで胸が温かくなり満たされていくようだった。
(ああ、しあわせだ)
ザクも同じ気持ちだったらいいなと心の中でひっそりと願う。
「じゃあ、仕切り直しだ」
「えっ…でも、今やったら」
「まー、中に出さなきゃ大丈夫だろ」
「はああ?」
そういう問題か?と焦るが、悪魔の種のことは俺もよくわからないし結局はザクの言葉を信じるしかない。
(ぶっちゃけ、やりたいのは…俺もだし)
ザクに向き直り、腕を広げる。それを覆いかぶさるように抱かれ、そのまま再びザクのを受け入れさせられた。
「んううう…っ!ふ、深い、って、ああっ!」
「けけ、これが子作りせっくすか~」
「っち、っちが、んんっ」
「わかってるって、でもどうせだし気分ぐらいは味わおーぜ」
「気分とかっいってるばあいじゃ、あああっ」
このまま出されたらできてしまうかもしれない、その状況に不覚にも気分が体が高まっていく。ザクのをいつもより感じるし、その動きに対しても敏感になっていた。
「ザク…ああっあっ」
「ハアっハア、ルト…」
ザクも興奮してるのかいつもより激しい。野性的なザクは迫力があって、見蕩れてしまう。眉を寄せ、汗を絶え間なく流してるザク。ぼーっと眺めてると、無性にキスがしたくなって自分からしてみた。すると、お返しとばかりに噛み付かんばかりのキスをされる。
「んんっ!!んーっ、ううっ!」
「ッは…っ、はあ、やべ、もーイキそ…っ」
「んっ、ぷはっ…!ぬ、ぬけ…っ!」
「もーちょっと、だけ、なっ」
「ばかっ、ああああっ、!!!」
ラストスパートと激しく揺さぶられる。脈打ち始めるザクのそれ。俺の中で震えてるそれに鳥肌が立った。
体が、欲しい、と叫んでる。
理性が、ダメだと、叫んでる。
両方がせめぎ合って、その揺れる感じが気持ちよかった。
(俺、いつの間にこんなリスキーになったんだ…
…そっか、ザクのせい、か)
ザクに影響されつつある自分に呆れつつも、それも今更か、と一人納得する。そして俺は思いのままに、目の前の愛する者の名前を叫んだ。
「ザクっ…!」
ザクの汗ばんだ体に腕を絡め、強く抱きついた。
「っ…?!!!っく、そ」
不意をつかれたのかかなり動揺したザクの声。中のそれも大きく脈打ち始めて限界をありありと伝えてくる。
(あ…出される)
と確信した瞬間、体の熱が引いた。
ぐちゅんっ!
いや、ザクの体が離れたのだ。
「っ、うっ…、っく!」
引き抜かれたザクの自身が震えながら果てた。
びゅるるっどろっ
俺の太ももに白い液体が落ちてベッドに染みを作っていく。どうやら中で出すことはギリギリ避けられたようだ。熱い液体の感覚を感じ、自分もびくっと震えてしまう。
「っ、あ、っう…ザク…」
「はあっ、はあ…くそ…マジで中で出すところだった…あっぶねえ…」
「…」
(ほんとは、ちょっぴり…欲しかったかも)
なんて言ったら本気で孕まされそうなので黙っておくことにした。ふと思い立った俺は、ザクの吐き出したそれを掬い取ってみる。今まではこれになんの意識もなかったけど、これって子供ができるもとなのか…と何かを悟ったように俺は眺めるのだった。
「ちょっ、ルト、なにやってんだ?」
「え、あ…なんでもない」
液体に顔を近づけていくとザクが戸惑ったように尋ねてきた。
(何やってんだよ俺!)
急いで指についた液体を拭こうと枕元に手を伸ばす。が、寸前でザクに手首を掴まれた。そして濡れた指をもう一度顔に近づけられる。
「舐めてみ」
「はあ?やだよ、にがいしまずい…」
「舐めたら孕むかも」
「余計嫌だっ!!」
「けけけ、残念」
残念と言いつつザクはあっさり引いた。それから俺が何度かイったあと、ベッドに二人で寝転がる。やった後特有の倦怠感と満足感に包まれ、目を瞑ると睡魔が一気に押し寄せてくる。
「ルト」
「…なに?」
「やっぱなんでもねー」
「…変なザク」
寝返りをうって、窓の方を見る。チャシャ猫の口みたいな形の半月だった。
ぎし
もう一度寝返りをうって隣の男の顔を見る。ザクは当たり前のようにこちらを見ていた。満ち足りた幸せそうな顔で。その笑顔を見ているとなんだか自分までくすぐったい気持ちになってくる。
「はは」
「ルト?」
「んーん、おやすみ」
「おう、おやすみ」
いつも飄々としていまいち掴みどころのない悪魔だけど、こうして一緒にベッドで寝ている時だけは「ただの男」になるような気がした。
もしも、未来に
俺たちの間にもうひとりいたら
一緒に子守唄なんて歌いながら
三人で眠りにつけたら
それはきっとすごい幸せなんだろうな
…なんて思ったりして
***
後日
「あーあ、女の子が欲しかったな~」
「まだ言ってるし」
「そしたらきっとルトに似て可愛いんだろうな~」
「っは!まさか、ザク…それが見たくて…今回のことを思いついたのか…?」
「…」
悪魔は黙り込み、そして逃げるように猫の姿となり去っていった。
「あんの悪魔っっ!!」
追いかけるように窓の外を見たが既にその姿はなく、窓の枠にアーモンド程の大きさの種があった。しかもまだ持ってたのか。懲りてないというかなんというか…怒りがどんどん浮かんでくる。そしてそのまま叫ぶように悪魔の名前をよんだ。
「馬鹿ザク!!」
牧師の叫びは今日も平和な教会に響くのだった。
怒りの中に、少しばかりの照れを隠して。
end
※最初は無理やりですが後半はラブラブ?です(二人とも通常運転)
※無理やり、子作りプレイ注意
それは街に出たときのこと。ザクに荷物を持たせて買い物のため市場を回っていると、目の前を仲良さげな親子連れが歩いていった。それをザクがじーっと眺めている。
(…どうしたんだろ、ザク)
まさかあの親子連れの奥さんを…いや、もしかしたらあんな小さな子供(女の子)を狙っているのか?!と一瞬焦るが、親子連れが見えなくなり俺の方に視線を戻したザクはやけに真剣な顔をしていた。
「なあ、ルト」
「ん?」
「子供が欲しい」
「は?」
本気で正気を疑った。大丈夫かこいつ…とザクをぽかんと見つめ、動揺のあまり買い物リストを落としてしまう。それを拾い上げながらもう一度真剣な顔でザクは言ってきた。
「だから、子供が欲しい」
「は?」
「赤ちゃんがほしい」
「いや、言い方変えなくてもわかる…って、大丈夫かお前」
ザクの額をおさえる、熱はないな、うん。
(っていうか!!)
俺たち男同士に、なんつーすんごいのを求めてくるんだよっ。呆れを通り越して逆に感動するわ。
「俺様は至って正気だし、本気だぜ」
「いや、よりだめだろ」
「なんでだよルトは欲しくねーの」
「うう…欲しくない、わけは…ないけど、そもそも俺たち男だしありえないだろ、不可能だ」
男同士じゃ子供なんて作りようがない。俺が至極当たり前な事を伝えると、そこで真剣な顔のザクにイヤな笑みが広がった。
(…あ、これは何か企んでる顔だ)
「ルト、いいことを教えてやろう」
「聞きたくない」
「悪魔の世界には、不思議な種があってだな」
「聞こえない」
「両方がその種を飲んで、その日にやると、なんと男同士でも子供が」
「あー!インクを買い忘れてたー!」
耳を塞いで、そのまま市場に走って戻る。悪魔の囁きは聞かないでおくに越したことはない。本当はバッチリ聞こえていたけども。だけども、噛み砕くわけにはいかない。
(男同士でも子供ができちゃうのかよ、悪魔ってすごいな…)
インクを買いつつぼーっと他の客を見てみた。若いカップルに親子連れ、老夫婦。皆子供や孫を連れて楽しそうに並んで歩いていた。
(俺だって家族に憧れがないわけじゃない)
ザクだけでも十分だけど、もし俺たちに子供がいたらもっと楽しくなるだろう。
(ザクも…やっぱ欲しいんだ)
物思いにふけりながら帰るのだった。
***
1週間後…
「ルト、ルト!」
もう寝ようかななんて思いながら、寝転がりながら本を読んでいたそんな時。廊下から顔を出したザクは何故か傷だらけだった。髪にまで葉っぱついてるし、一体何事かと上体を起こす。
「ザク、どうしたんだよ…」
「やろう」
「は?」
「ルトに突っ込みたいです」
「…丁寧に言ってても中身は変わらないから」
ま、一回ぐらいならいいか。もぞもぞと起き上がる。
(服脱いどくか、めんどいし)
ベッドに乗り上げてくるザクを少し押し戻しつつ自分で脱いでいく。ザクのやつ、走ってきたのかはあはあと息を荒げてるし、目は俺の体を食い入るように見てるしで、微妙に怖い。もたもたしてると俺の手に手を重ねるようにして服を逃そうとしてくる。
「おい、ばか、自分でやるって」
「はやくしろ」
「そんながっつくなよ、怖いんだけど」
「いいから、早く試したい」
「は?試す?」
ザクがとっくの昔に脱ぎ終えていたコートのポケットから、何かを取り出した。それはアーモンドぐらいの、何かの種だった。
「じゃじゃーん」
「なにこれ…あ、まさか!!」
「そう!これがこの前話した悪魔の種だ!」
「なっ、!!」
「いや~苦労したんだぜ、取りに行くの。なんせドラゴンの守る森に生えててな…人を丸呑みできるぐれーのヒルとか野良のミノタウロスとかと出くわしたりして何度か死にかけたし」
「ちょっと待てちょっと待って!」
「んあ?」
俺が悲鳴のような声で必死にストップをかけると、やっとザクは言葉を途切れさせてこっちを見てくれた。手は俺の服から離さないけども(そして今すぐにでも脱がそうとしてくる)。
「そ、その種って、あの…男でも子供ができるってやつ?」
「おう」
「…もしかして、俺に飲ませようとしてる?」
「おう。あ、安心しろ人体に無害な奴だから。心配なら俺様が先に飲んでやる」
そう言ってぱくっと食べてしまうザク。
ごくり
なんの躊躇もなく飲み込む姿にギョッとした。いや、少しは迷えよ!!ていうかボロボロだったのはそのせいだったのか。そんな秘境?にまでいって、命懸けでその種を探してきて…そこまでして子供が欲しいのかと突然の展開に頭がフリーズしてしまう。
(で、でも…そりゃ、欲しくないわけじゃないけど、い、今すぐってのは…)
ぶっちゃけ尻込みする。
「どうしたルト?」
「お、俺…まだ、子供は産みたくない、んだけど…(←本音)」
「でも俺様が産む側はキツイだろ絵面的に」
「そ、そうだけどさ…」
だって、よく考えてみろよ。俺は今までずっと男として生きてきたんだぞ。それが急に、はいあなたにも子供できますよ、と言われてみろ。天変地異の大事件だ。空から宇宙戦艦が降ってくるわ。狼狽える俺を見て、何故か堂々とし始めるザク。
「心配すんな、女でも産む前はそう思うらしいから」
「いや、ええー…絶対違うって…ちょ、触るな!」
「交尾前の不安は男が解消するもんだぜ、ほら、足開け」
「うっ交尾とか言うな!生々しい!」
わりと本気でザクの腹を蹴った。それをザクは片手で受け、そのまま足ごと体を引き寄せられた。
「うわっ」
服が脱がされ、耳に吸いつかれ、掌が肌を撫でていく。
(やばい、このままでは流される!)
「ザ、ザク!んんっ、す、すとっぷ!」
「んだよ、大丈夫だって。心配しなくてもちょっと痛いぐらいだしさ、多分」
「多分ってなんだよ!じゃあザクが産めばいいだろ!」
「それは無理だってルトに突っ込まれるとかありえないし…ぱくっ」
「俺だっていっしょっんんう!」
ちゅっと口付けられた。ザクの舌が割り込んでくる、そして何かゴロっとしたものが入ってきた。まさか。
(種?!!…の、飲んじゃダメだ!)
必死に舌で追い出そうとする。
「んんーー!!んーー!!」
胸を叩いてみるが一向に口が離れる気配はなく、俺は種を飲み込まないように息を止めてるため酸欠になりかける。追い討ちをかけるように鼻をつままれ本気で危険を感じた。
(っし、しぬ!!)
ごくっ
「っぷはあ!ごほっごほ!!げほっ!!うえっ…の、飲んじゃった?!ど、どうしよう!やばい…!」
「けけ、マジで毒とかはねーから安心しな」
「いっそ毒の方が良かった…っ」
「んな拒絶されると俺様傷つくぜー」
「とかいって準備はじめるな!絶対今日はやらないからな!!!」
「けけけ、それはルトのお願いでも無理だな~」
「うわっ、んんっ、は、そこ…っ!」
後ろを指で解されはじめ、体が反応していく。種のせいなのか、そのことを意識しているせいかいつもより感じやすい気がする。このままだと数分もせずにイきそう。
「なんだなんだ、イヤイヤ言ってても実は期待してたんじゃねーのルト」
「っ!」
後ろを指で掻き混ぜながら、うなじを舐めてくる。その感覚に、ゾクゾクと背中をのけぞらせて感じた。それを見たザクがまたけけけっと笑う。
「ルトだって子供が欲しいんだろ?早く欲しい、って絡みついてくるぜ?」
「うううっ、うるさい!」
欲しくないわけじゃない、でも、本当に今の俺たちに必要なのか。こんなに焦って作っていいものなのか。ぐるぐると思考が巡り、こんがらがってくる。俺の混乱など露知らず着々と準備を進めていくザク。腰にあたるザクの熱いそれはもう準備万端といっていた。
ぐちゅり
かなりほぐれたところで指を引き抜かれる。
「んっ…」
「けけけ、でもルト細えからな~産むのはちょっときついかー?」
「わかってんならっ、中断しろよっ…っ、!」
「でもまあ、安心しろ、俺様がずっと見ててやっから」
「いやだって…ううっ!」
腰をあげたザクのが入ってくる。もう何度も咥えて覚えてしまったそれに、体がドクドクと喜びの声を上げていた。
(ど、どうしよう、どうしよう、どうしたらいい?!)
焦りと、快感と、不安と、混乱が渦巻く。
「っザ、ザク!っあうっ、やめ…!」
「俺様昔から欲しかったんだよなー」
「っき、」
「興味もあったしー」
「聞けって!!!」
ドンっ
ザクの肩を押した。かなり強めに。さすがに悪魔のこいつ相手にこの程度じゃ痛みは感じないだろうが、俺の本気の拒絶に驚いてはいた。目を丸くして、腰の動きを止めて見下ろしてくる。
「る、ルト?」
「…っ」
「ルト、どうした」
俺が黙ってると、心配そうに見てくる。
「ーっっそんなに子供が欲しいなら!産めない俺なんか相手してないで、…どこかで女作ればいいだろ!!」
「…!!」
不安とか混乱で気が動転してたのか思ったよりも大きな声が出てしまった。驚いたザクは体を停止させたまま凍り付く。
「…る、ると…」
「ぬけ、今すぐ。もうお前なんか知らないから」
「…」
大人しく腰を引いたザクはそのままゆっくりとベッドに腰掛けた。そして、ひどく落ち込んだ様子でこっちを見ては口をつぐんでいる。それから大きく息を吐いた。
「わりい、焦りすぎた…」
そう言ってしょんぼりと服を着始めるザク。それを横目で見てから、俺は起き上がった。そしてずっと気になっていたことを聞いてみる。
「なんで、急にそんな、子供が欲しいとか、言い出したんだよ」
「……」
窓の外を眺めたまま返事のないザク。それから少し経ってから
「ルトとの証拠が欲しかった」
「…!」
「女々しいかもしれねーけど、見てみたくなったんだよ、そういうのが」
「……」
証拠。俺たちが愛し合っているという証拠、という事だろうか。
(なるほど…確かに俺たちにはないもんな、そういうの)
男同士だし、人間と悪魔、言ってしまえば牧師と悪魔なのだ。世間的に認められる関係ではない。
(…)
ザクはしょぼんと肩を落としながらはあ…と深く息を吐いた。その背中には反省の色が強くにじみ出ていた。しばらくそのままお互い黙り込み静けさを味わったあと、
(はあ…)
俺はおもむろに起き上がった。
ぎしっ
それから背中からザクの体に腕を回す。ぎゅっと力を込めて抱きしめた。
「ルト、」
「…証拠なんて、いらないだろ」
証拠なんかなくても俺たちの関係は消えない。確かに見えにくいしわかりにくいかもしれない。あまり理解されにくいものなのかもしれない。でも。
「俺たちは俺たちだ」
背中に頭をこすりつける。ザクの匂いがするこの空間に心地よさを感じながら目を瞑った。俺の腕をザクの腕が上から抱く。
「…ん、だな」
そう言って笑った。
「ルト」
「ん?」
お互いの目を見つめ、それから軽く啄ばむようなキスをする。ザクの腕の中に抱かれながら甘いキスを交わす。それだけで胸が温かくなり満たされていくようだった。
(ああ、しあわせだ)
ザクも同じ気持ちだったらいいなと心の中でひっそりと願う。
「じゃあ、仕切り直しだ」
「えっ…でも、今やったら」
「まー、中に出さなきゃ大丈夫だろ」
「はああ?」
そういう問題か?と焦るが、悪魔の種のことは俺もよくわからないし結局はザクの言葉を信じるしかない。
(ぶっちゃけ、やりたいのは…俺もだし)
ザクに向き直り、腕を広げる。それを覆いかぶさるように抱かれ、そのまま再びザクのを受け入れさせられた。
「んううう…っ!ふ、深い、って、ああっ!」
「けけ、これが子作りせっくすか~」
「っち、っちが、んんっ」
「わかってるって、でもどうせだし気分ぐらいは味わおーぜ」
「気分とかっいってるばあいじゃ、あああっ」
このまま出されたらできてしまうかもしれない、その状況に不覚にも気分が体が高まっていく。ザクのをいつもより感じるし、その動きに対しても敏感になっていた。
「ザク…ああっあっ」
「ハアっハア、ルト…」
ザクも興奮してるのかいつもより激しい。野性的なザクは迫力があって、見蕩れてしまう。眉を寄せ、汗を絶え間なく流してるザク。ぼーっと眺めてると、無性にキスがしたくなって自分からしてみた。すると、お返しとばかりに噛み付かんばかりのキスをされる。
「んんっ!!んーっ、ううっ!」
「ッは…っ、はあ、やべ、もーイキそ…っ」
「んっ、ぷはっ…!ぬ、ぬけ…っ!」
「もーちょっと、だけ、なっ」
「ばかっ、ああああっ、!!!」
ラストスパートと激しく揺さぶられる。脈打ち始めるザクのそれ。俺の中で震えてるそれに鳥肌が立った。
体が、欲しい、と叫んでる。
理性が、ダメだと、叫んでる。
両方がせめぎ合って、その揺れる感じが気持ちよかった。
(俺、いつの間にこんなリスキーになったんだ…
…そっか、ザクのせい、か)
ザクに影響されつつある自分に呆れつつも、それも今更か、と一人納得する。そして俺は思いのままに、目の前の愛する者の名前を叫んだ。
「ザクっ…!」
ザクの汗ばんだ体に腕を絡め、強く抱きついた。
「っ…?!!!っく、そ」
不意をつかれたのかかなり動揺したザクの声。中のそれも大きく脈打ち始めて限界をありありと伝えてくる。
(あ…出される)
と確信した瞬間、体の熱が引いた。
ぐちゅんっ!
いや、ザクの体が離れたのだ。
「っ、うっ…、っく!」
引き抜かれたザクの自身が震えながら果てた。
びゅるるっどろっ
俺の太ももに白い液体が落ちてベッドに染みを作っていく。どうやら中で出すことはギリギリ避けられたようだ。熱い液体の感覚を感じ、自分もびくっと震えてしまう。
「っ、あ、っう…ザク…」
「はあっ、はあ…くそ…マジで中で出すところだった…あっぶねえ…」
「…」
(ほんとは、ちょっぴり…欲しかったかも)
なんて言ったら本気で孕まされそうなので黙っておくことにした。ふと思い立った俺は、ザクの吐き出したそれを掬い取ってみる。今まではこれになんの意識もなかったけど、これって子供ができるもとなのか…と何かを悟ったように俺は眺めるのだった。
「ちょっ、ルト、なにやってんだ?」
「え、あ…なんでもない」
液体に顔を近づけていくとザクが戸惑ったように尋ねてきた。
(何やってんだよ俺!)
急いで指についた液体を拭こうと枕元に手を伸ばす。が、寸前でザクに手首を掴まれた。そして濡れた指をもう一度顔に近づけられる。
「舐めてみ」
「はあ?やだよ、にがいしまずい…」
「舐めたら孕むかも」
「余計嫌だっ!!」
「けけけ、残念」
残念と言いつつザクはあっさり引いた。それから俺が何度かイったあと、ベッドに二人で寝転がる。やった後特有の倦怠感と満足感に包まれ、目を瞑ると睡魔が一気に押し寄せてくる。
「ルト」
「…なに?」
「やっぱなんでもねー」
「…変なザク」
寝返りをうって、窓の方を見る。チャシャ猫の口みたいな形の半月だった。
ぎし
もう一度寝返りをうって隣の男の顔を見る。ザクは当たり前のようにこちらを見ていた。満ち足りた幸せそうな顔で。その笑顔を見ているとなんだか自分までくすぐったい気持ちになってくる。
「はは」
「ルト?」
「んーん、おやすみ」
「おう、おやすみ」
いつも飄々としていまいち掴みどころのない悪魔だけど、こうして一緒にベッドで寝ている時だけは「ただの男」になるような気がした。
もしも、未来に
俺たちの間にもうひとりいたら
一緒に子守唄なんて歌いながら
三人で眠りにつけたら
それはきっとすごい幸せなんだろうな
…なんて思ったりして
***
後日
「あーあ、女の子が欲しかったな~」
「まだ言ってるし」
「そしたらきっとルトに似て可愛いんだろうな~」
「っは!まさか、ザク…それが見たくて…今回のことを思いついたのか…?」
「…」
悪魔は黙り込み、そして逃げるように猫の姿となり去っていった。
「あんの悪魔っっ!!」
追いかけるように窓の外を見たが既にその姿はなく、窓の枠にアーモンド程の大きさの種があった。しかもまだ持ってたのか。懲りてないというかなんというか…怒りがどんどん浮かんでくる。そしてそのまま叫ぶように悪魔の名前をよんだ。
「馬鹿ザク!!」
牧師の叫びは今日も平和な教会に響くのだった。
怒りの中に、少しばかりの照れを隠して。
end
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