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14 とある辞めホストの場合 ファイナル
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キッチンカーでの営業は順調だ。
これにはホスト時代の人脈や営業スキルが生きた。スカウトしてくれた先輩が言っていたことは、嘘じゃあなかったな。
「ありがとうございました~!」
昼用に用意した分を売り切れば、コインパーキングでしばし休憩。フロントガラスを目隠ししてドアガラスのカーテンも閉めた運転席で、いつも触手が下半身を揉んでマッサージをしてくれる。立仕事でパンパンになっていたのが、腰からつま先までをじっくりと揉まれればすっきりだ。ついでにマッサージの気持ちよさで元気になったチンポも抜いてくれて、うっとりとなったまま昼寝する俺を、触手リクライニングが支えてくれている。触手がキスで起こしてくれるから、次の場所への移動で寝過ごすこともしない。
本日の夕方に移動する先は、客からのリクエスト出張だ。
「エイちゃ~ん!」
俺が営業中の旗を立てていると、早速歩道を走って来たのはケイだった。ケイがこのあたりで撮影するから、売りに来てくれとおねだりしてきたんだ。
「エイちゃん家のドーナツだぁ、なつかしぃ~♪」
キッチンカーのショーケースに張り付いて、子どもみたいに目をキラキラとさせている。
「どれにする?」
「差し入れにするから、今あるだけちょうだい!」
「売れっ子俳優は、買い方が豪快だなぁ」
有り難い注文に、俺は紙袋四つに分けてドーナツを詰めていく。その中から、ケイが一つ取り出して、早速パクリ。
「ほんのり不思議な甘い香りだね、美味しい」
ニコニコなケイの指摘に、俺はドキリとする。
実は、生地には触手液を含んであるんだ。だってほら、栄養ありそうじゃん? 言わなきゃバレないじゃん? それにふわもちに仕上がるし。
そんな俺の緊張感など知るはずもないケイが、ドーナツを食べてしまって「ねえねえ」と言ってくる。
「ケータリングにも出張してくれる?」
「稼げるなら、どこにでも行くぞ」
「やったぁ!」
喜ぶケイだが、大口の客はがっちり掴んでおかないとな。
~~~ 一方、こちらの二人
「そんなわけでぇ、エイ兄ちゃんのドーナツがこれです!」
控室での休憩中で寝そべる俺ことジュンに、ケイくんが甘いドーナツを持ってきた。大量に買ってきたらしくスタッフにも配って、ここには一種類ずつ選んできたらしい。
ケイくんが言うには、元ホストの親類がちょっと落ち込み気味だったのを心配していたのだが、先日突然キッチンカーでドーナツを売るとラインで連絡があって、早速買ってみたのだそうな。
「まだほんのり温かいですよ!」
「ふぅん、美味そうだな」
俺が手を伸ばすよりも先に触手がドーナツを掴むと、俺の口元へ持ってくる。ケイくんもそうだろうが、触手と一緒にいれば触手液で栄養は足りる。だがこうした食事は、触手の食事となる便を作るために必要なのだ。
ふむ、あまり凝っていない素朴な味だが、だからこそ飽きが来ないっていう感じではある。プレーン以外のフレーバーも、ほんのりした風味に抑えられているのは、敢えてなのだろう。チョコやらでゴテゴテにデコられた菓子って、最初の一口は美味いんだが、だんだん口の中が辛くなってくるんだよな。ホストとして美味いものをたらふく食ってきた奴なんだろう、さすがそのあたりのことをわかっている。
「それにね、僕らの子はエイちゃんと仲良しそうだった! お手伝いしていたっぽくて手袋はめていたんだけど、エイちゃんの後ろから、こっそりピコピコ手を振ってくれた♪」
「……手袋?」
触手に手袋というのが、想像できないんだが。けど確かに器用そうではある。触手捌きはもちろんだが、コイツだって俺の性感帯をピンポイントで全身同時攻略してくるしな。
「それに、前に会った時よりエイちゃんの顔色とか良かったし。触手たちが優しいからだよね~?」
ご機嫌なケイに、襟元からちょろっと隠れ出てきた触手がキスをしている。あっちのはウチの触手から生まれた子どもとは思えない、理性的な触れ合いだ。ウチならキスではなく「一発イっとく?」になるだろう。人前でイかされることに既に慣れてしまった俺たちとは大違いである。
「優しさ……そんなの、おまえにもあるか?」
俺は納得いかないと言う顔で、俺を責めながらもドーナツの穴を潜って遊ぶ触手を見つめるのだった。
こら、食べ物で遊ぶんじゃない!
これにはホスト時代の人脈や営業スキルが生きた。スカウトしてくれた先輩が言っていたことは、嘘じゃあなかったな。
「ありがとうございました~!」
昼用に用意した分を売り切れば、コインパーキングでしばし休憩。フロントガラスを目隠ししてドアガラスのカーテンも閉めた運転席で、いつも触手が下半身を揉んでマッサージをしてくれる。立仕事でパンパンになっていたのが、腰からつま先までをじっくりと揉まれればすっきりだ。ついでにマッサージの気持ちよさで元気になったチンポも抜いてくれて、うっとりとなったまま昼寝する俺を、触手リクライニングが支えてくれている。触手がキスで起こしてくれるから、次の場所への移動で寝過ごすこともしない。
本日の夕方に移動する先は、客からのリクエスト出張だ。
「エイちゃ~ん!」
俺が営業中の旗を立てていると、早速歩道を走って来たのはケイだった。ケイがこのあたりで撮影するから、売りに来てくれとおねだりしてきたんだ。
「エイちゃん家のドーナツだぁ、なつかしぃ~♪」
キッチンカーのショーケースに張り付いて、子どもみたいに目をキラキラとさせている。
「どれにする?」
「差し入れにするから、今あるだけちょうだい!」
「売れっ子俳優は、買い方が豪快だなぁ」
有り難い注文に、俺は紙袋四つに分けてドーナツを詰めていく。その中から、ケイが一つ取り出して、早速パクリ。
「ほんのり不思議な甘い香りだね、美味しい」
ニコニコなケイの指摘に、俺はドキリとする。
実は、生地には触手液を含んであるんだ。だってほら、栄養ありそうじゃん? 言わなきゃバレないじゃん? それにふわもちに仕上がるし。
そんな俺の緊張感など知るはずもないケイが、ドーナツを食べてしまって「ねえねえ」と言ってくる。
「ケータリングにも出張してくれる?」
「稼げるなら、どこにでも行くぞ」
「やったぁ!」
喜ぶケイだが、大口の客はがっちり掴んでおかないとな。
~~~ 一方、こちらの二人
「そんなわけでぇ、エイ兄ちゃんのドーナツがこれです!」
控室での休憩中で寝そべる俺ことジュンに、ケイくんが甘いドーナツを持ってきた。大量に買ってきたらしくスタッフにも配って、ここには一種類ずつ選んできたらしい。
ケイくんが言うには、元ホストの親類がちょっと落ち込み気味だったのを心配していたのだが、先日突然キッチンカーでドーナツを売るとラインで連絡があって、早速買ってみたのだそうな。
「まだほんのり温かいですよ!」
「ふぅん、美味そうだな」
俺が手を伸ばすよりも先に触手がドーナツを掴むと、俺の口元へ持ってくる。ケイくんもそうだろうが、触手と一緒にいれば触手液で栄養は足りる。だがこうした食事は、触手の食事となる便を作るために必要なのだ。
ふむ、あまり凝っていない素朴な味だが、だからこそ飽きが来ないっていう感じではある。プレーン以外のフレーバーも、ほんのりした風味に抑えられているのは、敢えてなのだろう。チョコやらでゴテゴテにデコられた菓子って、最初の一口は美味いんだが、だんだん口の中が辛くなってくるんだよな。ホストとして美味いものをたらふく食ってきた奴なんだろう、さすがそのあたりのことをわかっている。
「それにね、僕らの子はエイちゃんと仲良しそうだった! お手伝いしていたっぽくて手袋はめていたんだけど、エイちゃんの後ろから、こっそりピコピコ手を振ってくれた♪」
「……手袋?」
触手に手袋というのが、想像できないんだが。けど確かに器用そうではある。触手捌きはもちろんだが、コイツだって俺の性感帯をピンポイントで全身同時攻略してくるしな。
「それに、前に会った時よりエイちゃんの顔色とか良かったし。触手たちが優しいからだよね~?」
ご機嫌なケイに、襟元からちょろっと隠れ出てきた触手がキスをしている。あっちのはウチの触手から生まれた子どもとは思えない、理性的な触れ合いだ。ウチならキスではなく「一発イっとく?」になるだろう。人前でイかされることに既に慣れてしまった俺たちとは大違いである。
「優しさ……そんなの、おまえにもあるか?」
俺は納得いかないと言う顔で、俺を責めながらもドーナツの穴を潜って遊ぶ触手を見つめるのだった。
こら、食べ物で遊ぶんじゃない!
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