星空の下で君を待つ

星乃ゆづき

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第6話

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 私とシリウスは、ルマンドの村を出た。
 馬に荷物を積んで、二人で歩く。
 シリウスは村を出るまで、何度も「いいのか?」と確認してきた。

 村にはアリスの家族もいないし、私はルマンドの村に愛着があるわけでもない。
 幾度も繰り返してきたから、むしろ、この展開になって良かったと思う。
 一つ、後悔があるとすれば、あと数ヶ月でルマンドの村は賊に襲われてしまうということだ。
 出てくる時に、村長さんに忠告はしてきたから大丈夫だとは思うけれど。

「パレルトーンの王都までは遠い。
 森を突っ切るルートで行こうと思う。」

「それがいいと思うわ。」

「魔物が出ないか、心配だけれど......」

「大丈夫よ。」

 私は腰に下げた剣を掴んだ。
 多少の魔物になら、負けない自信がある。
 そんな私を見て、シリウスは笑った。

「アリスは頼もしいな。」

「そんなことないわよ。」

「僕も多少なら戦えるよ!」

「王子様にそんなことさせられないわ。」

「君の前では、ただのシリウスでいさせてくれよ。」

 くだけた言い方に、私はふふっと笑った。
 記憶が完全に戻ったシリウスは、なんだかとても話しやすい。
 
 森の中を進んでいくと、根が迫り出して歩きにくくなってきた。
 シリウスが馬の手綱をひき、私は転ばないように慎重に歩く。

「!」

 目の前には、大きな熊のような魔物が現れた。
 私は咄嗟に剣を抜く。

(シリウスを守らなければ!)

「シリウス! 下がって!!」

 私はシリウスの前に立ち、剣を振りかぶった。
 魔物の体を袈裟斬りにする。
 一瞬にして、魔物は霧散した。
 森に静寂が戻る。

「シリウス、だいじょ--」

「アリス、怪我は?!」

 シリウスが駆け寄ってくる。
 私の体を触って確かめ、ホッと息を吐いた。

「あれくらいの魔物なら、僕だって出来た!
 アリスは危ないことしちゃだめだ。」

「私は、あなたを守るために着いてきたのよ?」

「そうかもしれないけど、アリスは女の子なんだから。」

「護衛に、性別は関係ないじゃない。」

 私はそう言って笑う。
 女の子として見られていることに、くすぐったさを感じた。

「今ので、魔物が騒ぎ出すかもしれないわ。
 先を急ぎましょう?」

「そうだな。」

 シリウスは私をひょいと抱き抱えると、馬に乗せた。

「ちょっと!」

「この方が早い。」

「さっきみたいなことがあったら、これじゃあ剣を抜けないわ。」

「僕がやるから大丈夫。」

 そう言うと、シリウスは足早に森の中を歩いていく。
 馬に揺られながら、私はシリウスの背中を見つめた。
 記憶喪失だった頃の、あの不安げな背中とは違う。
 私は彼に頼もしさを感じ、胸がキュンとなる。
 ドキドキする胸を抑えながら、私はシリウスに恋をしていることを知る。
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