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第8話
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私とシリウスは、警備隊に志願した。
王宮に入り込むには、これしかないとシリウスが言ったから。
確かに、毒を飲まされたのに戻ってきたんじゃ、また何をされるか分からない。
しかし、王宮で何が起こってるか知りたい--という理由から志願したのだった。
淡い紅色の髪は目立ってしまうので、志願する前に薬剤で黒く染めた。
端正な顔立ちも、王宮に入ればバレてしまうので、メガネをかける。
「まぁ、こんなもんかな!」
変装させた私は、シリウスを見て満足げに頷いた。
シリウスもまんざらじゃなさそうな顔をする。
「まるで冒険者だ。」
「メガネは外さないでね。バレちゃうから。」
「分かった。」
準備を終えた私とシリウスは、冒険者ギルドに向かった。
既に、警備隊は集まっていて、私たちはその中に混ざる。
冒険者たちの不安が聞こえてくる。
私は耳を澄ませた。
『こんな集めて何するんだ?』
『本当に戦争になるのか?』
不安の声は多くなるばかりだ。
それでも、破格の値段で仕事ができるので、みんな集まっているのだろう。
偶然かなんなのか、私とシリウスは王宮警護に抜擢された。
とはいえ、王宮の中に入ることは出来なかったけれど。
「外回りの警備かぁ......中に入れないのかな?」
「まずは外からでも、情報収集しましょう。」
「そうだな。」
洗濯に出てきた侍女に声をかける。
ただ声をかけるだけでは警戒されてしまうので、洗濯の手伝いしながら話を聞く。
私が女だということもあり、早くに心を開いてくれた。
「まぁまぁ、女の子が護衛だなんて!」
「国のためなら......って感じなので。」
「国のため......この国ね。知ってる?
第二王子のシリウス様が消えちゃったのよ。」
「消えたんですか?」
「私たちの間では、アルタイル様が--」
と言って、ハッとなり、口をつぐんだ。
言いすぎたと思ったのだろうか。
「アルタイル様がやった、というのは、街でも噂になってますよ。」
そう言ったのは、シリウスだった。
「ただ、どうしても解せないですよね。
王位継承権第一位はアルタイル様なのに。」
「あら? お兄さん、知らないのね。」
「?」
「継承権第一位はそうだけれど、
第二王子のシリウス様を推す声が大きいのよ。」
「そうなんですか!?」
思わず、声が大きくなってしまった。
だとしたら、アルタイル様がやったとしても、おかしくない。
私とシリウスは顔を見合わせた。
「私、話すぎたかしら......」
と不安げに言うので、公言はしませんよ、と言っておいた。
「警備に戻りますね!」
笑みを浮かべて、その場を離れた。
木陰に隠れて、私は顔色が悪いシリウスの腕をそっと掴む。
「大丈夫?」
「まさか、兄さんが!?」
王宮に入り込むには、これしかないとシリウスが言ったから。
確かに、毒を飲まされたのに戻ってきたんじゃ、また何をされるか分からない。
しかし、王宮で何が起こってるか知りたい--という理由から志願したのだった。
淡い紅色の髪は目立ってしまうので、志願する前に薬剤で黒く染めた。
端正な顔立ちも、王宮に入ればバレてしまうので、メガネをかける。
「まぁ、こんなもんかな!」
変装させた私は、シリウスを見て満足げに頷いた。
シリウスもまんざらじゃなさそうな顔をする。
「まるで冒険者だ。」
「メガネは外さないでね。バレちゃうから。」
「分かった。」
準備を終えた私とシリウスは、冒険者ギルドに向かった。
既に、警備隊は集まっていて、私たちはその中に混ざる。
冒険者たちの不安が聞こえてくる。
私は耳を澄ませた。
『こんな集めて何するんだ?』
『本当に戦争になるのか?』
不安の声は多くなるばかりだ。
それでも、破格の値段で仕事ができるので、みんな集まっているのだろう。
偶然かなんなのか、私とシリウスは王宮警護に抜擢された。
とはいえ、王宮の中に入ることは出来なかったけれど。
「外回りの警備かぁ......中に入れないのかな?」
「まずは外からでも、情報収集しましょう。」
「そうだな。」
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ただ声をかけるだけでは警戒されてしまうので、洗濯の手伝いしながら話を聞く。
私が女だということもあり、早くに心を開いてくれた。
「まぁまぁ、女の子が護衛だなんて!」
「国のためなら......って感じなので。」
「国のため......この国ね。知ってる?
第二王子のシリウス様が消えちゃったのよ。」
「消えたんですか?」
「私たちの間では、アルタイル様が--」
と言って、ハッとなり、口をつぐんだ。
言いすぎたと思ったのだろうか。
「アルタイル様がやった、というのは、街でも噂になってますよ。」
そう言ったのは、シリウスだった。
「ただ、どうしても解せないですよね。
王位継承権第一位はアルタイル様なのに。」
「あら? お兄さん、知らないのね。」
「?」
「継承権第一位はそうだけれど、
第二王子のシリウス様を推す声が大きいのよ。」
「そうなんですか!?」
思わず、声が大きくなってしまった。
だとしたら、アルタイル様がやったとしても、おかしくない。
私とシリウスは顔を見合わせた。
「私、話すぎたかしら......」
と不安げに言うので、公言はしませんよ、と言っておいた。
「警備に戻りますね!」
笑みを浮かべて、その場を離れた。
木陰に隠れて、私は顔色が悪いシリウスの腕をそっと掴む。
「大丈夫?」
「まさか、兄さんが!?」
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