星空の下で君を待つ

星乃ゆづき

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第10話

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「戻った!」

 馬に乗ったシリウスは、城門の前で馬を降りた。
 門兵がシリウスを見て、目を丸くした。

「シリウス王子......ですか!?」

「門を開けろ! 王子のお帰りだ!!」

 シリウスについて歩いていく私を見て、門兵が首を傾げる。

「王子、その方は......?」

「僕が世話になった恩人だ。」

「な、なるほど。分かりました!」

 恩人......か。
 侍女のつもりでいたのに。

「アリス、入ろう。」

「う、うん!」

 私は立派な石門をくぐって、城内へと入る。
 あまりの不安の声の多さに、思わず顔をしかめてしまう。

『本当にシリウス王子か?』

『良かった......これでパレルトーンは救われる!!』

『まさか、生きて戻ってくるとは.......』

(!?)

 私は城内を見回す。

(今の声は誰?)

 明らかにシリウスに敵意を持っていた。
 生きて戻ってきた、なんて毒を飲ませた張本人しかいないだろう。

(どこ? どこにいるの?)

 キョロキョロする私を見て、シリウスが耳打ちしてきた。

「アリス、なんかあったのか?」

「いや、あの......気になる視線を感じたものだから......」

「君が珍しいんじゃないのか?」

「違う。明らかに、あなたを見て驚いてた。」

「!」

 シリウスが周囲を見渡す。
 皆が帰国を喜んでいるように見える。
 さっきの人物の声は、もう聞こえない。

 嫌な予感がした。
 私はシリウスが心配になった。

「シリウス王子!」

 宰相と思われる男性が駆け寄ってきた。
 さっきの声の人の声ではない。

「今まで、どこに!?」

「この人の世話になっていた。
 アリス・マーベルさんだ。」

 そう紹介されて、私は宰相にペコリと頭を下げた。

「王子が世話に?!
 それは、それは......」

 宰相は私の服装を見て、首を傾げた。

「どこの国の方だか、教えていただいても?」

「サマーン領のルマンドの村出身です。」

「それまた遠い......何故、王子がそんなところへ?」

「それを聴きに行く。兄さんは、どこに?」

「アルタイル様なら、自室に戻られましたが--」

「分かった。今すぐ向かう。」

 シリウスが足早に歩いていくので、私はあとを追いかけた。

「ねぇ、シリウス。アルタイル様がやったとは限らないのよ?」

「そうかもしれない。
 だけど、僕がいなくなったにも関わらず、探しに来なかったことが気になる。
 それを聞きに行くだけだよ。」

「私も同席しても?」

「いいよ、恩人だと紹介するから。」

 城内を歩き、立派な扉の前でシリウスが止まった。

「ここだ。」

 そう言って、扉を叩く。

「兄さん、シリウスです!
 只今、戻りました!」
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