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第11章 クラス対抗魔法球技戦編
ストライクボール①
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「うぅ…緊張で食事が喉を通らないよ…」
午後からのストライクボールに出場するラコッテ・テラコッタがそう言った。
「大丈夫よ、ラコッテ。練習通りにやれば」
同じく出場予定のロイエ・ネイプルスがよしよしと頭をなでて励ます。
「そうそう、みんな練習通りにね。みんなの魔法発動時間は計算に入れて作戦を組んでるから。練習通りにやればパーフェクトだよ」
ルーシッドがそう出場選手全員に声をかける。
「ルーシィの計算は完璧」
「そうだね~。私も頑張らないと」
同じく出場選手のコニア・ディースバッハ、そしてキリエ・ウィーリングがルーシッドの声に答えるようにしてそう言った。
「いよいよ、ルーシィさんのクラスの試合ね」
「やはりルーシッドさんは出場はしないようですね」
試合の観戦に来ていたフリージアと生徒会長のヴァンがそう話した。
「でもルーシッドさんのことだから、ただ黙って見てるってわけでもないと思うけど…」
「お、リジーじゃないか」
「あら、マーシャ。見回り?」
フリージアに話しかけたのは、風紀ギルドのギルド長、マーシャ・アッシュクロフトだった。ちなみにリジーというのはフリージア・ウィステリアの愛称である。
「あぁ、まぁ、ギルドの期待の新人の視察も兼ねてね」
「そう、お疲れ様。マーシャは何に出るんだっけ?」
「知ってるだろ。私は球技が大の苦手なんだ。一応、エリアボールにエントリーしているが、クラスの皆には申し訳ないが、戦力外だよ」
「せっかくのSランクなのに、もったいないわね」
「まぁ借りは他の競技で返すさ」
マーシャが得意としている魔法は知っての通り、身体強化魔法『魔装』だ。というか、マーシャはほぼこの魔法しか使えない。魔力ランクはSであり、魔力も赤緑白の3色混合なので、使おうと思えば普通の魔法も使えるはずなのだが、彼女が他の魔法を使っているのを見たことがある人は誰もいない。
「さぁ、いよいよ試合が始まるわ」
試合開始の合図と同時に全員が魔法詠唱を開始する。ルーシッド達のクラスのロイエ・ネイプルスがまず真っ先に魔法を発動する。それにわずかに遅れてルビアが、そして数秒遅れてコニアが詠唱を完了し、それぞれの魔法が発動される。
「速い!いえ、速すぎる!?」
「えぇ、普通と比べて3秒近く速いです…現に相手チームはまだ詠唱文すら読み上げ終わっていない…何でしょう、魔法具でも使っているんでしょうか?」
「いえ、魔法具を使ったとしても、詠唱をしなくて済むだけで、魔法発動が短くなるとは必ずしも限らないわ…」
サラは何も言わなかったが、その理由を知っていた。
あの詠唱速度は自分とほぼ同じだ。
あの詠唱速度を実現させているのはルーシッドが発見した『簡易短縮詠唱法』だ。それは魔法詠唱文の2,3節目、つまり「食材とレシピの指定」および「造形魔法における形状の指定」と「魔法名」を詠唱せず、自らの想像力によって補うことによって、詠唱文を短縮する方法である。これによって詠唱速度はほぼ半分になる。
しかしこの方法は口で言うほど簡単ではない。自分も経験したからわかるがかなり練習を積まないと難しい。
ロイエが発動させたのは土の下位魔法、砂の魔法を用いた『砂の壁』だ。壁とは言っても、砂嵐のようなもので相手の視界を塞ぐ働きがあり、物理的な攻撃を防ぐ働きはない。
その砂の壁が相手チームの前に立ちはだかり、視界を塞ぐ。
「うわぁ…容赦ない戦法ね…絶対ルーシィの作戦だわ…」
「全くルールには違反してないけどね…」
ルビアが発動させた魔法は、ルビアが考えたオリジナル魔法『両翼の射手』だった。
「な、何かしら。あの魔法は?あんな魔法見たことないわ?」
「あれは以前対戦したことがある。炎の翼の亜種魔法らしいが、完全に別物の魔法だよ」
フリージアに対してマーシャがそう言った。
ルビアは両手に握られた炎の銃で一番近くて大きい的から順に打ち抜いていく。2つ同時に的を射抜いていくので早いのは当然だが、それを実行するルビアの射撃の正確さがあってこその速度である。
コニアが魔法によって作り出したのは『アイスアロー』つまり氷の弓矢だ。ウォーターアローの氷版だ。ウォーターアローも使えるのに、あえてそれよりも難易度の高い混合魔法のアイスアローを使ってくる辺りが地味にすごいところだ。
コニアが魔法で的を撃ち出した辺りになってようやく、対戦相手が魔法を発動し出だす。しかし、砂の壁に視界を塞がれているので、どうしようもなく適当に打つにとどまっていると、ラコッテがこう言った。
「お待たせ!」
その掛け声と同時にロイエの砂の壁が晴れて、対戦相手が試合会場の様子を見れるようになると、そこに広がっている光景はさながら戦場跡だった。
そこにあったのは、壊された的の残骸と、そしてその奥にそびえたつ城塞だった。
「あれは…石の魔法かしら…?」
それはラコッテ最大の魔法、『焼き土色の魔力』で発動する合成魔法『巨人の壁』によって形成された城塞だった。
これはこの魔法の本来の使い方でもある。その城塞はちょうどコートに残っている的全てをぐるりと囲むように形成されていた。
『巨人の壁』はあまり知名度が高い魔法ではないので、フリージアもわかっていなかったようだ。ラコッテは石の魔法を使えないわけではないが、魔力を分解して使う土の魔法より、混色のまま使えるこの固有魔法の方が階位は高いが、むしろ使いやすいのである。
「なるほど…あれでタイムアップを狙おうという作戦でしょうか?」
ヴァンがそう言った。
この魔法はそもそも戦で弓矢を防ぐための城塞を築くときに使われた魔法だ。これでは敵の魔法はおろか、味方の魔法すら受け付けない。確かにこちら側の的は全てルーシッド達のチームが倒したので、このままタイムアップになればルーシッド達の勝利となるが…。
「でも…そんなつまらない作戦をルーシッドさんが考えるかしら…?」
「確かに…」
その時だった。
ビュォォォ…という音と共に、城塞の中で局地的な竜巻と雨と雷が発生し、そこにある的全てを薙ぎ払っていく。
「あっ、あれは…『雷嵐』!?
3色混合の高位魔法まで使ってくるの!?」
全ての的を破壊して、嵐はおさまり静寂が訪れる。
そして試合終了の合図がなった。ルーシッド達のクラスのパーフェクトゲームである。会場が大きな歓声に包まれた。
「あれは勝つための試合運びじゃないわね。相手に1つの的すら取ることを許さない、パーフェクトゲームを狙った作戦だわ…」
「そうですね。しかも試合時間も記録的な速さです」
フリージアとヴァンが試合の感想をそう述べた。
「でも、あの最後の雷嵐《サンダーストーム》はよく魔法を狙ったところに当てれたわね。周りに被害が及ばないように城壁を作ったんでしょうけど、それにしてもどうやったのかしら」
フリージアがそう言うと、マーシャはにっこりと笑った。
「あれを使ったのはキリエ君だろう。なら問題ない。あの子は私と同じ魔眼持ち《サードアイホルダーだ。あの子の魔眼は、世界を俯瞰できる。あの子に死角はないよ」
試合が終わって、会場を後にしたルーシッド達をクラスメイトが歓声で迎える。
「すごいわ、みんな!ストライクボールで1年生がパーフェクトゲームを達成したのは初だそうよ!プロでもそうそう出せるものじゃないわ!それに試合時間は最短記録だそうよ!」
シアンが興奮したようにそう話す。
「ありがとう。でもこんな記録が出せたのはルーシッドのお陰だよ~」
試合が終わってほっとしたシャルロッテが笑顔でそう言う。
「魔法詠唱文の短縮もそうだし、みんなの得意魔法や発動までにかかる時間、効果時間、全てを計算した全く無駄のない作戦だったわね」
ロイエがそうルーシッドに話しかけると、ルーシッドは微笑んだ。
「実際にそれを本番でちゃんとやれたみんながすごいんだよ。魔法詠唱と魔法のイメージの構築は何より精神の集中が大事だからね。本番でできたのはみんなの練習の賜物だよ」
「やっぱり次の試合では何か対策を取ってくるかしら?」
シアンがそう言うと、ルーシッドは平然と言った。
「どうかな。明日までに対策を取れるかな。まぁ、取ったところで、明日のメンバーと作戦は全く違うけどね」
「ほんと…相変わらずだけど、よくもまぁ次から次へと作戦を思いつくわね…関心を通り越して呆れるわ…」
ルビアがため息交じりに笑った。
午後からのストライクボールに出場するラコッテ・テラコッタがそう言った。
「大丈夫よ、ラコッテ。練習通りにやれば」
同じく出場予定のロイエ・ネイプルスがよしよしと頭をなでて励ます。
「そうそう、みんな練習通りにね。みんなの魔法発動時間は計算に入れて作戦を組んでるから。練習通りにやればパーフェクトだよ」
ルーシッドがそう出場選手全員に声をかける。
「ルーシィの計算は完璧」
「そうだね~。私も頑張らないと」
同じく出場選手のコニア・ディースバッハ、そしてキリエ・ウィーリングがルーシッドの声に答えるようにしてそう言った。
「いよいよ、ルーシィさんのクラスの試合ね」
「やはりルーシッドさんは出場はしないようですね」
試合の観戦に来ていたフリージアと生徒会長のヴァンがそう話した。
「でもルーシッドさんのことだから、ただ黙って見てるってわけでもないと思うけど…」
「お、リジーじゃないか」
「あら、マーシャ。見回り?」
フリージアに話しかけたのは、風紀ギルドのギルド長、マーシャ・アッシュクロフトだった。ちなみにリジーというのはフリージア・ウィステリアの愛称である。
「あぁ、まぁ、ギルドの期待の新人の視察も兼ねてね」
「そう、お疲れ様。マーシャは何に出るんだっけ?」
「知ってるだろ。私は球技が大の苦手なんだ。一応、エリアボールにエントリーしているが、クラスの皆には申し訳ないが、戦力外だよ」
「せっかくのSランクなのに、もったいないわね」
「まぁ借りは他の競技で返すさ」
マーシャが得意としている魔法は知っての通り、身体強化魔法『魔装』だ。というか、マーシャはほぼこの魔法しか使えない。魔力ランクはSであり、魔力も赤緑白の3色混合なので、使おうと思えば普通の魔法も使えるはずなのだが、彼女が他の魔法を使っているのを見たことがある人は誰もいない。
「さぁ、いよいよ試合が始まるわ」
試合開始の合図と同時に全員が魔法詠唱を開始する。ルーシッド達のクラスのロイエ・ネイプルスがまず真っ先に魔法を発動する。それにわずかに遅れてルビアが、そして数秒遅れてコニアが詠唱を完了し、それぞれの魔法が発動される。
「速い!いえ、速すぎる!?」
「えぇ、普通と比べて3秒近く速いです…現に相手チームはまだ詠唱文すら読み上げ終わっていない…何でしょう、魔法具でも使っているんでしょうか?」
「いえ、魔法具を使ったとしても、詠唱をしなくて済むだけで、魔法発動が短くなるとは必ずしも限らないわ…」
サラは何も言わなかったが、その理由を知っていた。
あの詠唱速度は自分とほぼ同じだ。
あの詠唱速度を実現させているのはルーシッドが発見した『簡易短縮詠唱法』だ。それは魔法詠唱文の2,3節目、つまり「食材とレシピの指定」および「造形魔法における形状の指定」と「魔法名」を詠唱せず、自らの想像力によって補うことによって、詠唱文を短縮する方法である。これによって詠唱速度はほぼ半分になる。
しかしこの方法は口で言うほど簡単ではない。自分も経験したからわかるがかなり練習を積まないと難しい。
ロイエが発動させたのは土の下位魔法、砂の魔法を用いた『砂の壁』だ。壁とは言っても、砂嵐のようなもので相手の視界を塞ぐ働きがあり、物理的な攻撃を防ぐ働きはない。
その砂の壁が相手チームの前に立ちはだかり、視界を塞ぐ。
「うわぁ…容赦ない戦法ね…絶対ルーシィの作戦だわ…」
「全くルールには違反してないけどね…」
ルビアが発動させた魔法は、ルビアが考えたオリジナル魔法『両翼の射手』だった。
「な、何かしら。あの魔法は?あんな魔法見たことないわ?」
「あれは以前対戦したことがある。炎の翼の亜種魔法らしいが、完全に別物の魔法だよ」
フリージアに対してマーシャがそう言った。
ルビアは両手に握られた炎の銃で一番近くて大きい的から順に打ち抜いていく。2つ同時に的を射抜いていくので早いのは当然だが、それを実行するルビアの射撃の正確さがあってこその速度である。
コニアが魔法によって作り出したのは『アイスアロー』つまり氷の弓矢だ。ウォーターアローの氷版だ。ウォーターアローも使えるのに、あえてそれよりも難易度の高い混合魔法のアイスアローを使ってくる辺りが地味にすごいところだ。
コニアが魔法で的を撃ち出した辺りになってようやく、対戦相手が魔法を発動し出だす。しかし、砂の壁に視界を塞がれているので、どうしようもなく適当に打つにとどまっていると、ラコッテがこう言った。
「お待たせ!」
その掛け声と同時にロイエの砂の壁が晴れて、対戦相手が試合会場の様子を見れるようになると、そこに広がっている光景はさながら戦場跡だった。
そこにあったのは、壊された的の残骸と、そしてその奥にそびえたつ城塞だった。
「あれは…石の魔法かしら…?」
それはラコッテ最大の魔法、『焼き土色の魔力』で発動する合成魔法『巨人の壁』によって形成された城塞だった。
これはこの魔法の本来の使い方でもある。その城塞はちょうどコートに残っている的全てをぐるりと囲むように形成されていた。
『巨人の壁』はあまり知名度が高い魔法ではないので、フリージアもわかっていなかったようだ。ラコッテは石の魔法を使えないわけではないが、魔力を分解して使う土の魔法より、混色のまま使えるこの固有魔法の方が階位は高いが、むしろ使いやすいのである。
「なるほど…あれでタイムアップを狙おうという作戦でしょうか?」
ヴァンがそう言った。
この魔法はそもそも戦で弓矢を防ぐための城塞を築くときに使われた魔法だ。これでは敵の魔法はおろか、味方の魔法すら受け付けない。確かにこちら側の的は全てルーシッド達のチームが倒したので、このままタイムアップになればルーシッド達の勝利となるが…。
「でも…そんなつまらない作戦をルーシッドさんが考えるかしら…?」
「確かに…」
その時だった。
ビュォォォ…という音と共に、城塞の中で局地的な竜巻と雨と雷が発生し、そこにある的全てを薙ぎ払っていく。
「あっ、あれは…『雷嵐』!?
3色混合の高位魔法まで使ってくるの!?」
全ての的を破壊して、嵐はおさまり静寂が訪れる。
そして試合終了の合図がなった。ルーシッド達のクラスのパーフェクトゲームである。会場が大きな歓声に包まれた。
「あれは勝つための試合運びじゃないわね。相手に1つの的すら取ることを許さない、パーフェクトゲームを狙った作戦だわ…」
「そうですね。しかも試合時間も記録的な速さです」
フリージアとヴァンが試合の感想をそう述べた。
「でも、あの最後の雷嵐《サンダーストーム》はよく魔法を狙ったところに当てれたわね。周りに被害が及ばないように城壁を作ったんでしょうけど、それにしてもどうやったのかしら」
フリージアがそう言うと、マーシャはにっこりと笑った。
「あれを使ったのはキリエ君だろう。なら問題ない。あの子は私と同じ魔眼持ち《サードアイホルダーだ。あの子の魔眼は、世界を俯瞰できる。あの子に死角はないよ」
試合が終わって、会場を後にしたルーシッド達をクラスメイトが歓声で迎える。
「すごいわ、みんな!ストライクボールで1年生がパーフェクトゲームを達成したのは初だそうよ!プロでもそうそう出せるものじゃないわ!それに試合時間は最短記録だそうよ!」
シアンが興奮したようにそう話す。
「ありがとう。でもこんな記録が出せたのはルーシッドのお陰だよ~」
試合が終わってほっとしたシャルロッテが笑顔でそう言う。
「魔法詠唱文の短縮もそうだし、みんなの得意魔法や発動までにかかる時間、効果時間、全てを計算した全く無駄のない作戦だったわね」
ロイエがそうルーシッドに話しかけると、ルーシッドは微笑んだ。
「実際にそれを本番でちゃんとやれたみんながすごいんだよ。魔法詠唱と魔法のイメージの構築は何より精神の集中が大事だからね。本番でできたのはみんなの練習の賜物だよ」
「やっぱり次の試合では何か対策を取ってくるかしら?」
シアンがそう言うと、ルーシッドは平然と言った。
「どうかな。明日までに対策を取れるかな。まぁ、取ったところで、明日のメンバーと作戦は全く違うけどね」
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