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第11章 クラス対抗魔法球技戦編
3日目 昼休み②
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「ごめんなさい。もう1つだけ聞きたいことがあるの…」
そう言って、フリージアはフェリカの方を向いた。
「フェリカさん…あなたはもしかして……ヴァンパイアと契約できたのかしら?」
「おい、今何て言うた?ヴァンパイアやて?あんなん空想上の妖精とちゃうんか?」
「あんなやつとは随分な物言いだな」
声はフェリカの方から聞こえてきたような感じがしたが、当のフェリカはきょとんとしているだけで口は動かしていない。その声は続けてこう言った。
「いかにも、私はこの者フェリカ・シャルトリューの使い魔のヴァンパイアである」
「なっ、なんや…音の魔法か?」
「いえ…音の魔法は青系統だからフェリカさんには使えないわ。魔法具を使用している感じでもないし…」
「私だ、私。膝の上だ」
喋っているのはフェリカの膝の上に座っていた人形だった。
「なんや?これもそのエアリーっちゅうやつと同じ類なんか?」
「あ、いえ。これは違いますよ。これは妖精の依代です。あれ、でもどうして話せるんだっけ?」
「それは愚問じゃ、リカ。それは、『どうして人間が話せるのか』という問いと同じことじゃ。神位の妖精の力としか言いようがない」
「なるほど…神位の妖精であれば物を依代にできるという話は聞いたことがあったけど、現実に見るのは初めてだわ」
「ちょっ、ちょっと待て。っちゅうことは、ホンマにこいつは神位の妖精の契約者っちゅうことなんか?」
「だからさっきそう言ったではないか。なんだ、お前は馬鹿なのか?」
マリーはため息交じりにそう言った。そして、フリージアの方に目を向けて言った。
「もう1人の方はなかなか見所があるな。よくヴァンパイアだとわかったな?」
「試合でフェリカさんが使っていた魔法の規模や威力はかなりのものでした。しかし、フェリカさんはDランク。そうなると、契約召喚による魔法しかあり得ないと思いました。そして、あの赤黒い色をしたオオカミや翼を見て、文献で見たヴァンパイアの記述と一致していたので、もしかしたらと思って」
「うむ、非常に的確な推察じゃ」
マリーは満足そうにうなずく。
「神位の妖精と契約するなんて、ずるいわ~」
「ずるい?なぜだ?」
「だって、Dランクなのに、契約したら魔法使い放題なんてずるいやろ」
「では、お前も契約したらよかろう?」
「いや、そう簡単に契約できたら苦労はせーへんて」
「だろうな。まぁ確かに私は自分の好きな味の魔力を持つものとしか契約はしない。その点で言えば、リカは幸運だったと言えなくもないじゃろう。だが、別にリカは小さい頃から私の力を借りて生きてきたわけではないぞ。この学校に入学できたのも紛れもなくリカ本人の実力じゃ。
それとな…
その『Dランクなのに』という言い方はやめろ」
人形が話しているとは思えない威圧感に、シヴァは思わずびくっとして、ごくっと唾を飲んだ。
「聞いていて本当に腹が立つ。
魔力のランクなぞというものは人間が勝手に区分したものだろう。いつからだ、そうやって人をランク付けして差別するようになったのは?
魔力が少なければ、使い方と知恵で補えばよいだけのことだろう。お前も見ただろう、このクラスの戦いぶりを。Cランクの魔法使いがAランクの魔法使いを翻弄する様を。使い方さえ工夫すれば少ない魔力、弱い魔法でも有効なのじゃ。大事なのは魔力の質や量ではないぞ。それを使う力量じゃ。そのことを肝に銘じておくんだな」
そう言って、マリーはふんと鼻を鳴らした。
少し気まずい空気になってしまったこともあり、フリージアが話を切り上げたので、その場はお開きとなった。
「どうだった?」
フリージアはその場を去った後、2人になってからシヴァにそう尋ねた。
「どうもこうもあらへんわ。なんやあいつら、無茶苦茶やわ」
シヴァは頭をくしゃくしゃと掻いた。
「あの子たちが生徒会に入ってくれたら面白いと思わない?」
しばしの沈黙の後、シヴァは目を薄っすらと開けて、フリージアを見つめた。
そして、その少し低めの声で静かに言った。
「……はぁん。なるほどな。あんたの魂胆がわかった気がするわ」
「ちょっ、ちょっと、魂胆なんて人聞きが悪い。それにそんな怖い目で見ないで。シヴァのその目は心を見透かされているようでちょっと怖いのよ」
フリージアは目を手で隠すようにしてそう言った。
「人聞きが悪いのはどっちや。この目つきの悪さは生まれつきや」
「私はこれでもあなたの事を高く買っているつもりよ。特にあなたの人を見る目はね。それで……どうだった?」
「そうやな……」
シヴァはそう言った後、少し考えてからこう続けた。
「あいつらは危険や。サラもやったが、それ以上に危険や。あれは魔法使いのパワーバランスを大きく崩しかねない危険な存在や。
……ふむ…まぁ、確かにあれは生徒会で囲っておいた方がいいかも知らんな。
特にあのルーシッドや。あいつが、仮に新魔法研究ギルドや古代魔法研究ギルド、魔法具開発ギルド……いや、今回の件で各魔法球技ギルドも目つけてるかも知れんな。ともかく、そんなギルドのどれか1つにでも入るようなことになったら、もめ事が起こるかも知れん。
フェリカにしたって、神位妖精の知識や力を欲しがるところはいくらでもあるやろ。そうなる前に、どのギルドとも中立の立場である生徒会に入れておくのは1つの手やろうな。サラの時とおんなじや」
「まぁ今は風紀ギルドに所属してるけど…」
「何や、そうやったんか?それなら問題ないやろ。風紀ギルドやったら、生徒会と同じ中立ギルドやないか」
「うぅ~…そうだけど…そうだけど~」
「……あんた、もはや個人的に欲しいだけやろ」
駄々をこねるようにして言うフリージアに対して、ため息交じりにそう言いうシヴァだった。
「まぁただそうやな…やつらを生徒会に入れるのはそう簡単ではないか」
「そうなのよねぇ…」
シヴァがそう言うと、フリージアは頷いてため息をついた。
「なんか、いけ好かないやつだったわねぇ。マリーがビシッと言ってくれてすっきりしたわ」
フリージアとシヴァが去った後に、ヒルダがそう言った。
「まぁな…そういやお前ずいぶん静かにしてたな?」
「まぁ、神位の妖精と契約してるだけでも驚きなのに、2人もなんてことになったら驚くと思って黙ってたのよ。私も色々考えたのよ」
得意げに言うヒルダに対して、やれやれといった感じでため息をつくマリー。
「後になってわかる方がびっくりすると思うがのぉ」
そう言って、フリージアはフェリカの方を向いた。
「フェリカさん…あなたはもしかして……ヴァンパイアと契約できたのかしら?」
「おい、今何て言うた?ヴァンパイアやて?あんなん空想上の妖精とちゃうんか?」
「あんなやつとは随分な物言いだな」
声はフェリカの方から聞こえてきたような感じがしたが、当のフェリカはきょとんとしているだけで口は動かしていない。その声は続けてこう言った。
「いかにも、私はこの者フェリカ・シャルトリューの使い魔のヴァンパイアである」
「なっ、なんや…音の魔法か?」
「いえ…音の魔法は青系統だからフェリカさんには使えないわ。魔法具を使用している感じでもないし…」
「私だ、私。膝の上だ」
喋っているのはフェリカの膝の上に座っていた人形だった。
「なんや?これもそのエアリーっちゅうやつと同じ類なんか?」
「あ、いえ。これは違いますよ。これは妖精の依代です。あれ、でもどうして話せるんだっけ?」
「それは愚問じゃ、リカ。それは、『どうして人間が話せるのか』という問いと同じことじゃ。神位の妖精の力としか言いようがない」
「なるほど…神位の妖精であれば物を依代にできるという話は聞いたことがあったけど、現実に見るのは初めてだわ」
「ちょっ、ちょっと待て。っちゅうことは、ホンマにこいつは神位の妖精の契約者っちゅうことなんか?」
「だからさっきそう言ったではないか。なんだ、お前は馬鹿なのか?」
マリーはため息交じりにそう言った。そして、フリージアの方に目を向けて言った。
「もう1人の方はなかなか見所があるな。よくヴァンパイアだとわかったな?」
「試合でフェリカさんが使っていた魔法の規模や威力はかなりのものでした。しかし、フェリカさんはDランク。そうなると、契約召喚による魔法しかあり得ないと思いました。そして、あの赤黒い色をしたオオカミや翼を見て、文献で見たヴァンパイアの記述と一致していたので、もしかしたらと思って」
「うむ、非常に的確な推察じゃ」
マリーは満足そうにうなずく。
「神位の妖精と契約するなんて、ずるいわ~」
「ずるい?なぜだ?」
「だって、Dランクなのに、契約したら魔法使い放題なんてずるいやろ」
「では、お前も契約したらよかろう?」
「いや、そう簡単に契約できたら苦労はせーへんて」
「だろうな。まぁ確かに私は自分の好きな味の魔力を持つものとしか契約はしない。その点で言えば、リカは幸運だったと言えなくもないじゃろう。だが、別にリカは小さい頃から私の力を借りて生きてきたわけではないぞ。この学校に入学できたのも紛れもなくリカ本人の実力じゃ。
それとな…
その『Dランクなのに』という言い方はやめろ」
人形が話しているとは思えない威圧感に、シヴァは思わずびくっとして、ごくっと唾を飲んだ。
「聞いていて本当に腹が立つ。
魔力のランクなぞというものは人間が勝手に区分したものだろう。いつからだ、そうやって人をランク付けして差別するようになったのは?
魔力が少なければ、使い方と知恵で補えばよいだけのことだろう。お前も見ただろう、このクラスの戦いぶりを。Cランクの魔法使いがAランクの魔法使いを翻弄する様を。使い方さえ工夫すれば少ない魔力、弱い魔法でも有効なのじゃ。大事なのは魔力の質や量ではないぞ。それを使う力量じゃ。そのことを肝に銘じておくんだな」
そう言って、マリーはふんと鼻を鳴らした。
少し気まずい空気になってしまったこともあり、フリージアが話を切り上げたので、その場はお開きとなった。
「どうだった?」
フリージアはその場を去った後、2人になってからシヴァにそう尋ねた。
「どうもこうもあらへんわ。なんやあいつら、無茶苦茶やわ」
シヴァは頭をくしゃくしゃと掻いた。
「あの子たちが生徒会に入ってくれたら面白いと思わない?」
しばしの沈黙の後、シヴァは目を薄っすらと開けて、フリージアを見つめた。
そして、その少し低めの声で静かに言った。
「……はぁん。なるほどな。あんたの魂胆がわかった気がするわ」
「ちょっ、ちょっと、魂胆なんて人聞きが悪い。それにそんな怖い目で見ないで。シヴァのその目は心を見透かされているようでちょっと怖いのよ」
フリージアは目を手で隠すようにしてそう言った。
「人聞きが悪いのはどっちや。この目つきの悪さは生まれつきや」
「私はこれでもあなたの事を高く買っているつもりよ。特にあなたの人を見る目はね。それで……どうだった?」
「そうやな……」
シヴァはそう言った後、少し考えてからこう続けた。
「あいつらは危険や。サラもやったが、それ以上に危険や。あれは魔法使いのパワーバランスを大きく崩しかねない危険な存在や。
……ふむ…まぁ、確かにあれは生徒会で囲っておいた方がいいかも知らんな。
特にあのルーシッドや。あいつが、仮に新魔法研究ギルドや古代魔法研究ギルド、魔法具開発ギルド……いや、今回の件で各魔法球技ギルドも目つけてるかも知れんな。ともかく、そんなギルドのどれか1つにでも入るようなことになったら、もめ事が起こるかも知れん。
フェリカにしたって、神位妖精の知識や力を欲しがるところはいくらでもあるやろ。そうなる前に、どのギルドとも中立の立場である生徒会に入れておくのは1つの手やろうな。サラの時とおんなじや」
「まぁ今は風紀ギルドに所属してるけど…」
「何や、そうやったんか?それなら問題ないやろ。風紀ギルドやったら、生徒会と同じ中立ギルドやないか」
「うぅ~…そうだけど…そうだけど~」
「……あんた、もはや個人的に欲しいだけやろ」
駄々をこねるようにして言うフリージアに対して、ため息交じりにそう言いうシヴァだった。
「まぁただそうやな…やつらを生徒会に入れるのはそう簡単ではないか」
「そうなのよねぇ…」
シヴァがそう言うと、フリージアは頷いてため息をついた。
「なんか、いけ好かないやつだったわねぇ。マリーがビシッと言ってくれてすっきりしたわ」
フリージアとシヴァが去った後に、ヒルダがそう言った。
「まぁな…そういやお前ずいぶん静かにしてたな?」
「まぁ、神位の妖精と契約してるだけでも驚きなのに、2人もなんてことになったら驚くと思って黙ってたのよ。私も色々考えたのよ」
得意げに言うヒルダに対して、やれやれといった感じでため息をつくマリー。
「後になってわかる方がびっくりすると思うがのぉ」
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