魔法学院の階級外魔術師

浅葱 繚

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第11章 クラス対抗魔法球技戦編

最終日終了

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「今回の学年別クラス対抗魔法球技戦はこれにて全て終了となります。皆さん本当にお疲れ様でした」

全ての競技が終了した大闘技場のコートの中央に生徒会長のフリージア・ウィステリアが立ち、魔法球技戦終了を告げるスピーチを行っていた。大闘技場の観客席には先ほどまで試合を行っていた生徒たちも含め、全校生徒が集まりそのスピーチを聞いている。

「各学年で優勝したクラスはもちろん、惜しくも敗れてしまったクラスも本当に素晴らしい試合でした。そして、皆さんが正々堂々とフェアプレーで戦ってくれたお陰で、今回も大きなトラブルや怪我もなく終わることができたことが、何より素晴らしいと思います。全ての皆さんに拍手を送りたいと思います」

フリージアがそう言って拍手をすると、会場の生徒からも拍手が沸き起こった。

「そして今回もこの魔法球技戦の運営に協力してくださった、風紀ギルドサーヴェイラの皆さん、また学院の先生たちにも改めて感謝申し上げたいと思います」

そう言うと、会場からはまた拍手が沸き起こる。

「さて、例年通り、解散後から明日の日の出の鐘(6時頃)が鳴るまでの間、今回の球技戦で最も優れていたと思う選手に、学年・競技は関係なく、1人1票を投票することができます。投票箱と投票用紙は学院の各所に設置しています。投票結果、および最優秀選手の発表は、明日の午後に行われる閉会式で行われます。明日は休日ですので閉会式への参加は任意です。まず今晩はこの一週間の疲れを癒すためにゆっくり休んでください……と言ってもまぁ聞かないでしょうけど」

会場からは笑いが起こる。魔法球技戦最終日の夜に各クラスの打ち上げが行われ、学院に夜遅くまで明かりが灯り、生徒が騒いでいる声が聞こえるのは毎回恒例の光景なのだ。ちなみに、翌日に行われる閉会式の後も、全校生徒が一度に入ることができる大講堂を使っての打ち上げパーティーが行われるため、学院は二晩続けて宴会騒ぎとなる。会長は閉会式の参加は任意と言ったが、その後の打ち上げパーティーも含めて出席しない生徒などほぼ0に等しい。


会長の挨拶が終わり、生徒たちが大闘技場を後にする。ルーシッド達も大闘技場を後にし、人混みを抜けてクラスへと続く通路を歩いている時だった。



「……あなたがルーシッド・リムピッドさんですね?」
自分のことを呼びかける声がして、ルーシッドは立ち止った。



「会長、お疲れ様でした」
スピーチが終わって、生徒会カウンサルのメンバーが集う場所へと戻ってきたフリージアを皆で迎える。

「みんなも1週間お疲れ様。自分たちのクラスの試合もある中で、生徒会カウンサルの仕事、本当にお疲れ様でした。特に1年生の2人は、初めての魔法球技戦なのに、生徒会カウンサルの仕事までしてもらって悪いわね。今年の新メンバーは本当に頼りになるわ。将来有望ね」
そう言われて2人は嬉しそうに頭を下げた。
「まぁ、生徒会の仕事はまだあるわ。明日の閉会式までもうひと頑張りしましょう」
みんなが頷いた。

「会長、ニータは顔出す言うてたか?」
「えぇ、明日の集計作業には立ち会うって言ってたわ」
「ニータってのは誰ですか?」
マリンが聞いたことがない名前が出たので反応する。
「そっか、1年生の2人はまだ見たことないのね」
「ニータ・スペクトル、もう1人の生徒会カウンサルメンバーや」
「え、生徒会カウンサルってこれで全員じゃないんですか?」
アザレアが驚いたように尋ねる。いつもの定例会議に出席しているメンバーはここにいるメンバーで全員なので、そう感じるのも当然と言える。

「ちょっと変わり者で、人前にはほとんど姿を現してくれないのよ。でも陰で仕事はしているのよ?悪い子じゃないんだけどね」
「えっと…何年生なんですか?」
「2年生よ。役職は『監査』。監査は生徒会カウンサルの中では特殊な役職でね。選挙や今回みたいな投票の集計結果とか会計報告が適正に行われているかチェックするのが仕事なのよ。まぁその仕事柄もあって普段は出てこないってのもあるわね」
「2年生がサラ先輩1人しかいないのは何でなんだろうって思ってたんですが、そういうことだったんですね」



ルーシッドが声がした方を向くと、そこには見慣れぬ女生徒が立っていた。

やや顔の片側が隠れている綺麗な銀色のショートヘアで、細身で比較的長身、肌の色は白く、銀色の髪と相まって消え入りそうなくらいに繊細でしかも冷たい印象を与える生徒だった。どこか人間味が感じられないその無機質な雰囲気はどことなくエアリーに似た雰囲気がした。

「えっと……あなたは?以前にどこかで会いましかた?」
「いえ、初対面です」
「えっと……あの……?」

その女生徒はただ黙ってじっとルーシッドを見つめていた。
そして、ルーシッドが困惑するような沈黙のあとにその女生徒は口を開いた。


「私は、ニータ。ニータ・スペクトルです。あなたに興味が湧きました」
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