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第11章 クラス対抗魔法球技戦編
最終日の夜
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「みんな1週間ほんとにお疲れさまー!」
学生寮に複数ある談話室の一室に1年5クラスの生徒が集まり、打ち上げが始まろうとしていた。開始の音頭を取るのは総リーダーのシアン・ノウブルだ。
「全種目優勝の快挙、ほんとうに最高の気分だわ!この調子で2年連続、いや、まずは秋に行われる、魔法競技戦での全種目優勝ね!」
気が早い、という声と笑い声が聞こえてくる。
魔法を使用した運動競技は、ボールを使用して行う『魔法球技』と、それ以外の『魔法競技』に大別される。そしてディナカレア魔法学院では毎年全校行事として、春に『魔法球技戦』、秋には『魔法競技戦』が毎年行われる。同じく秋に行われる『ディナカレア魔法祭』と合わせ3大イベントとなっている。
「まずは今回の全種目優勝という快挙の最大の功労者、ルーシィから一言もらいましょう」
「……え、私?」
思ってもみなかったルーシッドは、きょとんとした顔でシアンを見る。
「他に誰がいるって言うのよ。あなた無しでは今回の勝利はどれ一つ考えられなかったわ。さぁ、みんながあなたの言葉を待ってるわ」
ルーシッドがみんなの方を見ると、全員がルーシッドを見ていた。今までに感じたことがない気持ちにルーシッドの顔は少し赤くなった。
「あー、んと…みんなお疲れ様。そしてありがとう。私の変な思いつきに付き合ってくれたこと、そして今まで試したことがない方法や、魔法や魔法具を実践してくれたこと。本当にありがとう。そりゃもちろん戦略とか、新魔法とか魔法具で優位に立てたこと勝利に繋がったのは間違いないかもだけど、でもそれは全員がわずか2週間足らずでそれをものにできたからだよ。だからやっぱりこの勝利はみんなのもの。私だけのものじゃないよ。
でもまぁ……魔法が使えない私が少しでも役に立てたのなら嬉しいよ」
ルーシッドらしい総評にみなが笑顔で拍手を送った。
「まぁ、ちなみにだけど、多分来年の魔法球技は、私のせいでルール変更される可能性が高いと思うね。かなりルールの抜け穴をついたような戦略だったからね。場合によっては違う球技が導入される可能性もあるかな」
シアンとはまた違った意味で来年を見据えている、いかにもルーシッドらしい分析に全員が苦笑いした。
「それでもあなたは勝つ方法を考えるでしょ?」
そうシアンが言うと、ルーシッドは笑い返してこう言った。
「まぁ、そうなったらなったで考えるよ」
シアンとルーシッドがクラスの輪の中に混じり、5クラスはみなでこの1週間の試合のことを話ながら、楽しく食べたり飲んだりし始めた。
優勝祝いということで普段より少し高めのお酒も出されており、生徒たちは良い感じに酔いが回り上機嫌になっていた。明日に響くからとシアンがたしなめてはいるが、当のシアンもいつになく楽しそうにしていた。
魔法学院に通っている生徒たちは学生ではあるが、この世界では成人年齢に相当する。この世界では同じ年齢ですでに働いている者も少なくない。ゆえに、飲酒に関しては何の問題もない。そもそもお酒を何歳以下は禁ずるとった法律のようなものは存在しておらず、多くの魔法使いは魔法学院入学前から普通にお酒をたしなんでいるし、学院の食堂でも普通に飲むことができる。当然のことながら、一般常識として、昼間から飲酒をして授業や仕事を行うような魔法使いは存在しないが、仲間と集まる時やこのようなイベントの時などはお酒を飲む魔法使いも少なくない。
魔法界で一般的なお酒は果実酒と呼ばれるもので、『ラクス』と呼ばれる植物(味や見た目はブドウに似ている果実)から作る『ラクス酒』などが最もオーソドックスなお酒である。
しかし、酒の製造方法に関しては私たちの世界とは大きく異なっており、やはり魔法によって作られる。主に、『酒の妖精』と呼ばれる水の高位妖精(有名なところだとバッカスという妖精がいる)の魔法が関係してくるのだが、作られるお酒の味や良し悪しには、製作工程において必要になってくる草木の魔法や調薬技術が関係してくるため、意外に思えるかもしれないが、酒造に関しては魔法薬師の専門分野である。
打ち上げが始まってから少しして、ルーシッドは少し輪から外れて窓のそばに行った。そして、窓の外を眺めてから、手に持ったグラスを口に持っていった。そして、グラスに入れていた氷が小さくなっているのに気づくと、隣にいたエアリーにこう言った。
「エアリー、術式検索:氷生成。検索完了後展開」
「検索完了しました。即時展開します」
エアリーがそう言うと、ルーシッドが持っているグラスを見つめる。すると、グラスの中にこぶしくらいの大きさの氷が出来上がった。
「飲み物に入れる氷だったら、無色の魔力で作った方が美味しい気がするよね。味がしないからかな?」
ルーシィが飲んでいるお酒はポミエという植物(リンゴに似た果実)から作る風味豊かなお酒で、ルーシッドが好んで飲むお酒だった。
ルーシッドは家族と暮らしている時はお酒を飲ませてもらったことは一度もなかったが、ウィンドギャザー家で生活するようになってからは適度に飲酒をたしなんでいた。貴族のパーティーなどの公の交友の場では、お酒が振舞われることが慣習のため、ウィンドギャザー家の邸宅にも様々なお酒が常備されていたのだ。
「ルーシィ」
自分の名前が呼ばれたので振り向くと、そこにはグラスを片手に近寄ってくるルビアがいた。
「……なんかルビィはラクスグラスが似合うね。ラクスの色と髪色が良く似合ってるよ」
「え、なに、口説いてるの?ふふ、ありがと」
そう言って笑うルビアは、お酒が入っているせいか、いつもよりも色気が増しているように思え、ルーシッドは同性ながら少しどきっとしてしまった。
「ルーシィはそうね……お酒飲めたのね」
「むぅ、見た目が子供っぽいから似合わないって言いたいんでしょ。よく言われるよ。でも私よりキリィとかの方が似合ってないと思うけど」
「しかも顔に似合わず酒が強いっていうね」
2人は笑いあった。
「さっきのこと気にしてるの?」
「……え?」
「ほら、あの生徒会の人が言ってたことよ」
「……いや、別に…特には」
ルーシッドは少し目を逸らして、口にグラスを運ぶ。
「嘘ね。顔に書いてるわよ」
それを覗き込むようにして目を合わせるルビア。
「かっ、顔が近いよ……」
目の前にその美しい顔がアップで現れ、思わず苦笑いするルーシッド。
「ははは、ルビィの目はごまかせないか」
「私、観察力と洞察力には自信があるのよ」
にやりと笑うルビア。
「まぁでもほんの少しだけだよ。ちょっと目立ちすぎちゃったかなって」
「……いまさらじゃない?」
「……それを言われるとね」
「あんなの気にすることないわ。ただの変人の戯言よ」
「うん。まぁほんとに気にしてないから大丈夫だよ」
そういうルーシッドはやはりどこか浮かない顔をしているので、ルビアは話題を変えることにした。
「……それよりもうすぐ夏の休みね。夏休み、私の国に遊びに来ない?あなたのこと家族に紹介したいわ」
「え、いいの?外国って行ったことないから嬉しいな。じゃあ、後でサリーに相談してみるね」
魔法球技戦は1学期の最後の行事のため、これが終わればディナカレア魔法学院は夏休みとなる。魔法学院の夏休みは約2か月ほどと、かなり長い。それは家業の手伝いなどをしなければならない生徒もいることに配慮してのためだ。また、他国から来ている生徒もおり、学院との往復だけで2週間、場合によっては1か月程度かかる生徒もいるため、滞在時間を考えてということもある。あまりに遠くて帰ることが難しい生徒で、長期休みの間も学院に残る生徒もわずかながらいる。また、別の事情で自発的に学院に残る生徒もいるにはいるが、大部分の生徒は実家で長期休みを過ごす。
そんなこんなで明日の閉会式のこと、来たる初めての夏休みのことなどに思いをはせながら、夜は更けていくのだった。
「今回の作戦立案や新魔法、魔法具の製作などは全てあなたが?」
「えーっと……なんというか…その、はい。まぁ…」
「リムピッド…聞き覚えのない姓。少なくとも著名な魔法具師や魔法学者は今まで輩出していない。いや、そもそもあなたのそれは既存のものとは全く異なるもの…逆に名家でない方が納得できる?」
「なんか一人でぶつぶつ言ってるわね。なんなのかしら?」
ルビアがルーシッドに耳打ちすると、ルーシッドは肩をすくめた。
「ルーシッド。あなたは危険な存在です」
敵対的とも思えるその言葉に、ルーシッドは少し見構えた。
「あなたという存在はこの魔法界にとってはあまりに異質すぎる。あなたがこの世界に生まれ堕ちたことが、この世界にどういう影響を与えるのか、私はそれに大変興味がある。あなたがもたらすのは閉塞した世界の終焉、そして世界の再創造?
しかし、それによって生み出されるのは安寧と秩序?それとも新たな動乱と混沌?
あなたという存在は魔法使いのみならず、魔獣や妖精たちとの関係性にも影響を与えるほど大きなもの。いや、あなたという存在がそもそも妖精の女王によって仕組まれたこの世界の自浄作用の一環という可能性も?
……わからない、でもそれもまた興味深い」
「何を言っているのか意味が分からない…気味が悪いわ…」
ルビアは不気味がって眉をひそめた。
しかし、ルーシッドは少し違った思いでその話を聞いていた。
閉塞した世界
世界の自浄
妙に気になるフレーズだ。確かに大げさな表現を使ってはいるが、全くのでたらめという感じもしない。この人はこの世界の何かを掴んでいるのだろうか?
「私があなたの在学中に『監査』という役職を与えられたのもまた一つの宿命なのかも知れない。そう、私はこの世界の『監視者』。これからのあなたの動向を監視させてもらうことにする」
……それともただの思い過ごしで、単なる変な人なのだろうか。
学生寮に複数ある談話室の一室に1年5クラスの生徒が集まり、打ち上げが始まろうとしていた。開始の音頭を取るのは総リーダーのシアン・ノウブルだ。
「全種目優勝の快挙、ほんとうに最高の気分だわ!この調子で2年連続、いや、まずは秋に行われる、魔法競技戦での全種目優勝ね!」
気が早い、という声と笑い声が聞こえてくる。
魔法を使用した運動競技は、ボールを使用して行う『魔法球技』と、それ以外の『魔法競技』に大別される。そしてディナカレア魔法学院では毎年全校行事として、春に『魔法球技戦』、秋には『魔法競技戦』が毎年行われる。同じく秋に行われる『ディナカレア魔法祭』と合わせ3大イベントとなっている。
「まずは今回の全種目優勝という快挙の最大の功労者、ルーシィから一言もらいましょう」
「……え、私?」
思ってもみなかったルーシッドは、きょとんとした顔でシアンを見る。
「他に誰がいるって言うのよ。あなた無しでは今回の勝利はどれ一つ考えられなかったわ。さぁ、みんながあなたの言葉を待ってるわ」
ルーシッドがみんなの方を見ると、全員がルーシッドを見ていた。今までに感じたことがない気持ちにルーシッドの顔は少し赤くなった。
「あー、んと…みんなお疲れ様。そしてありがとう。私の変な思いつきに付き合ってくれたこと、そして今まで試したことがない方法や、魔法や魔法具を実践してくれたこと。本当にありがとう。そりゃもちろん戦略とか、新魔法とか魔法具で優位に立てたこと勝利に繋がったのは間違いないかもだけど、でもそれは全員がわずか2週間足らずでそれをものにできたからだよ。だからやっぱりこの勝利はみんなのもの。私だけのものじゃないよ。
でもまぁ……魔法が使えない私が少しでも役に立てたのなら嬉しいよ」
ルーシッドらしい総評にみなが笑顔で拍手を送った。
「まぁ、ちなみにだけど、多分来年の魔法球技は、私のせいでルール変更される可能性が高いと思うね。かなりルールの抜け穴をついたような戦略だったからね。場合によっては違う球技が導入される可能性もあるかな」
シアンとはまた違った意味で来年を見据えている、いかにもルーシッドらしい分析に全員が苦笑いした。
「それでもあなたは勝つ方法を考えるでしょ?」
そうシアンが言うと、ルーシッドは笑い返してこう言った。
「まぁ、そうなったらなったで考えるよ」
シアンとルーシッドがクラスの輪の中に混じり、5クラスはみなでこの1週間の試合のことを話ながら、楽しく食べたり飲んだりし始めた。
優勝祝いということで普段より少し高めのお酒も出されており、生徒たちは良い感じに酔いが回り上機嫌になっていた。明日に響くからとシアンがたしなめてはいるが、当のシアンもいつになく楽しそうにしていた。
魔法学院に通っている生徒たちは学生ではあるが、この世界では成人年齢に相当する。この世界では同じ年齢ですでに働いている者も少なくない。ゆえに、飲酒に関しては何の問題もない。そもそもお酒を何歳以下は禁ずるとった法律のようなものは存在しておらず、多くの魔法使いは魔法学院入学前から普通にお酒をたしなんでいるし、学院の食堂でも普通に飲むことができる。当然のことながら、一般常識として、昼間から飲酒をして授業や仕事を行うような魔法使いは存在しないが、仲間と集まる時やこのようなイベントの時などはお酒を飲む魔法使いも少なくない。
魔法界で一般的なお酒は果実酒と呼ばれるもので、『ラクス』と呼ばれる植物(味や見た目はブドウに似ている果実)から作る『ラクス酒』などが最もオーソドックスなお酒である。
しかし、酒の製造方法に関しては私たちの世界とは大きく異なっており、やはり魔法によって作られる。主に、『酒の妖精』と呼ばれる水の高位妖精(有名なところだとバッカスという妖精がいる)の魔法が関係してくるのだが、作られるお酒の味や良し悪しには、製作工程において必要になってくる草木の魔法や調薬技術が関係してくるため、意外に思えるかもしれないが、酒造に関しては魔法薬師の専門分野である。
打ち上げが始まってから少しして、ルーシッドは少し輪から外れて窓のそばに行った。そして、窓の外を眺めてから、手に持ったグラスを口に持っていった。そして、グラスに入れていた氷が小さくなっているのに気づくと、隣にいたエアリーにこう言った。
「エアリー、術式検索:氷生成。検索完了後展開」
「検索完了しました。即時展開します」
エアリーがそう言うと、ルーシッドが持っているグラスを見つめる。すると、グラスの中にこぶしくらいの大きさの氷が出来上がった。
「飲み物に入れる氷だったら、無色の魔力で作った方が美味しい気がするよね。味がしないからかな?」
ルーシィが飲んでいるお酒はポミエという植物(リンゴに似た果実)から作る風味豊かなお酒で、ルーシッドが好んで飲むお酒だった。
ルーシッドは家族と暮らしている時はお酒を飲ませてもらったことは一度もなかったが、ウィンドギャザー家で生活するようになってからは適度に飲酒をたしなんでいた。貴族のパーティーなどの公の交友の場では、お酒が振舞われることが慣習のため、ウィンドギャザー家の邸宅にも様々なお酒が常備されていたのだ。
「ルーシィ」
自分の名前が呼ばれたので振り向くと、そこにはグラスを片手に近寄ってくるルビアがいた。
「……なんかルビィはラクスグラスが似合うね。ラクスの色と髪色が良く似合ってるよ」
「え、なに、口説いてるの?ふふ、ありがと」
そう言って笑うルビアは、お酒が入っているせいか、いつもよりも色気が増しているように思え、ルーシッドは同性ながら少しどきっとしてしまった。
「ルーシィはそうね……お酒飲めたのね」
「むぅ、見た目が子供っぽいから似合わないって言いたいんでしょ。よく言われるよ。でも私よりキリィとかの方が似合ってないと思うけど」
「しかも顔に似合わず酒が強いっていうね」
2人は笑いあった。
「さっきのこと気にしてるの?」
「……え?」
「ほら、あの生徒会の人が言ってたことよ」
「……いや、別に…特には」
ルーシッドは少し目を逸らして、口にグラスを運ぶ。
「嘘ね。顔に書いてるわよ」
それを覗き込むようにして目を合わせるルビア。
「かっ、顔が近いよ……」
目の前にその美しい顔がアップで現れ、思わず苦笑いするルーシッド。
「ははは、ルビィの目はごまかせないか」
「私、観察力と洞察力には自信があるのよ」
にやりと笑うルビア。
「まぁでもほんの少しだけだよ。ちょっと目立ちすぎちゃったかなって」
「……いまさらじゃない?」
「……それを言われるとね」
「あんなの気にすることないわ。ただの変人の戯言よ」
「うん。まぁほんとに気にしてないから大丈夫だよ」
そういうルーシッドはやはりどこか浮かない顔をしているので、ルビアは話題を変えることにした。
「……それよりもうすぐ夏の休みね。夏休み、私の国に遊びに来ない?あなたのこと家族に紹介したいわ」
「え、いいの?外国って行ったことないから嬉しいな。じゃあ、後でサリーに相談してみるね」
魔法球技戦は1学期の最後の行事のため、これが終わればディナカレア魔法学院は夏休みとなる。魔法学院の夏休みは約2か月ほどと、かなり長い。それは家業の手伝いなどをしなければならない生徒もいることに配慮してのためだ。また、他国から来ている生徒もおり、学院との往復だけで2週間、場合によっては1か月程度かかる生徒もいるため、滞在時間を考えてということもある。あまりに遠くて帰ることが難しい生徒で、長期休みの間も学院に残る生徒もわずかながらいる。また、別の事情で自発的に学院に残る生徒もいるにはいるが、大部分の生徒は実家で長期休みを過ごす。
そんなこんなで明日の閉会式のこと、来たる初めての夏休みのことなどに思いをはせながら、夜は更けていくのだった。
「今回の作戦立案や新魔法、魔法具の製作などは全てあなたが?」
「えーっと……なんというか…その、はい。まぁ…」
「リムピッド…聞き覚えのない姓。少なくとも著名な魔法具師や魔法学者は今まで輩出していない。いや、そもそもあなたのそれは既存のものとは全く異なるもの…逆に名家でない方が納得できる?」
「なんか一人でぶつぶつ言ってるわね。なんなのかしら?」
ルビアがルーシッドに耳打ちすると、ルーシッドは肩をすくめた。
「ルーシッド。あなたは危険な存在です」
敵対的とも思えるその言葉に、ルーシッドは少し見構えた。
「あなたという存在はこの魔法界にとってはあまりに異質すぎる。あなたがこの世界に生まれ堕ちたことが、この世界にどういう影響を与えるのか、私はそれに大変興味がある。あなたがもたらすのは閉塞した世界の終焉、そして世界の再創造?
しかし、それによって生み出されるのは安寧と秩序?それとも新たな動乱と混沌?
あなたという存在は魔法使いのみならず、魔獣や妖精たちとの関係性にも影響を与えるほど大きなもの。いや、あなたという存在がそもそも妖精の女王によって仕組まれたこの世界の自浄作用の一環という可能性も?
……わからない、でもそれもまた興味深い」
「何を言っているのか意味が分からない…気味が悪いわ…」
ルビアは不気味がって眉をひそめた。
しかし、ルーシッドは少し違った思いでその話を聞いていた。
閉塞した世界
世界の自浄
妙に気になるフレーズだ。確かに大げさな表現を使ってはいるが、全くのでたらめという感じもしない。この人はこの世界の何かを掴んでいるのだろうか?
「私があなたの在学中に『監査』という役職を与えられたのもまた一つの宿命なのかも知れない。そう、私はこの世界の『監視者』。これからのあなたの動向を監視させてもらうことにする」
……それともただの思い過ごしで、単なる変な人なのだろうか。
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