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第11章 クラス対抗魔法球技戦編
ギルドマスター会議②
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「まぁ、その『参謀』に関しては後で考えるとして…他に候補者はいますか?」
セシディアがそう言うと、何名かの生徒が手を挙げる。
「では、バトルボールギルドのクツィさん」
指名されたのはバトルボールギルドのギルドマスター、クツィ・ツォートだ。
クツィはショートヘアーで健康的に日焼けした、スポーツ少女という感じの可愛らしい見た目の女子生徒だった。
「すみません…直接的な候補者の推薦ではないのですがよいでしょうか…?」
「まずは伺いましょう」
セシディアは発言を促した。
「私たちバトルボールギルドとしては、1年5クラスが今回試合で使用した魔法具と魔法に関して、専門としている魔法具開発ギルドや新魔法開発ギルドのギルドマスターの方々にこの会議の場を借りて質問したいと考えていました。
まずあのクラスがバトルボールで使用していた魔法具に関してですが、あれは一体何なんでしょうか?
出場した選手はみな黄の魔力は持っていませんでした。ですからあのサンドボールは魔法具によって生成されたものに間違いありません。ですが……土の魔法を発令する魔法具に関しては、『土の操作魔法』を発令するものしか存在しないはずではありませんか?それに…あんな形状の魔法具は見たことがありません。あれはどういう技術なのでしょうか?あれは魔法具開発ギルドで実用化できるものですか?マキーナさん、教えてください。
それと、その次の試合で使用していた魔法に関してですが、あの雷のようなもので高速で移動した魔法は『雷装』ですか?それとも別の何かでしょうか?セシディアさんの意見をお聞かせください」
セシディアが発言する前に、もう1人の生徒が手を挙げて発言を求め、セシディアがそれを許可したために続けて別の生徒が発言する。
「あの、エリアボールギルドも重複する点もあるから合わせて質問させてもらってもよろしいでしょうか?」
発言したのは、エリアボールギルドのギルドマスター、フィリア・ルカントだった。フィリアは、丸眼鏡に黒髪のボブカットの真面目そうな女生徒で、あまりスポーツをやっているような見た目には見えなかったが、エリアボールの選手にはよくあることだった。エリアボールはその性質上、どちらかと言えば頭脳戦の様相が強いため、体を動かすことが得意でない生徒にも親しまれているからだ。
だがその『体を動かさなくてもできる』という今までのエリアボールの概念を覆し、『ボールを魔法具で弾き返す』という、まったく別のスポーツ競技とも思えるような戦いをしてきたのが、ルーシッドだった。
体を動かさなくてもできるだけで、体を動かしてはいけないわけではないのだ。
フィリアの質問もその点に関してだった。
「1年5クラスが試合で使用していた魔法具と魔法についてです。あのボールを魔法具で弾き返すという戦法にはつくづく驚かされました…あんなことずっとエリアボールをやってきたけど考えもしませんでした。いえ、思いついたところで、それ用の魔法具が無ければ意味がないんですけど。『魔法を使用しない防御』はルール違反ですから。マキーナさん、あの魔法具はあなたたち魔法具開発ギルドでも製造可能なんですか?
それと、あのエリアボールの決勝戦で5クラスが使っていた魔法、あの尋常ではない速度で移動していた魔法、あれはバトルボールの決勝戦で使われていた魔法と同じ魔法ですよね?あれが何なのか私たちも知りたいです。それとアタッカーの魔法使いが使用していた攻撃魔法、あの原理も知りたいです。」
「最優秀選手の選出に関係があるものと判断し、競技系ギルドから質問があった点について各ギルドからの回答を求めますがよろしいですか?」
手を挙げる生徒がいなかったため同意したとみなし、セシディアは話を続ける。
「同意が得られました。では魔法具開発ギルドのマキーナさん、先に答えてもらってもよろしいですか?」
「……魔法具開発ギルドとしては、今回の球技戦で使用された魔法具の分析を進めているところだ」
魔法具開発ギルドのマキーナは少し考えてから話し始めた。
魔法具開発ギルドのギルドマスター、マキーナ・ジリエーザは、頭に可動式の拡大鏡を付け、制服の上に白衣という出で立ちの女生徒で、有名な魔法具師の家系の出であった。本人自身も入学前から父親の所属する職業ギルドに出入りし魔法具製作に携わっており、入学した段階ですでにかなりの技術を有していた。現在、ディナカレア魔法学院に在籍する生徒の中ではナンバーワンの腕前を持つと誰もが認める存在だった。
もちろんルーシッドを除けばの話だが。
「現代の魔法具開発における難題の1つ、魔法回路の最小面積問題を解決したあの折り畳み式魔法回路は見事なものだと思う。しかし、あれに関してはすでに私たちも考えていた技術だ。先を越されてしまったが、すぐにでも大量生産体制に入れるようにうちのギルドで造形している。造形に関しては最終段階だ。エリアボールで使用されていた魔法具に関しては構造自体は極めて簡単なものだ。耐久性の問題は少しあるが、あれならすぐにでも試作品は作ることができると思うよ。エリアボールの防御に関して、あの発想に至らなかったのは確かに盲点だったけどね」
ルーシッドが考えた『折り畳み式魔法回路』の技術を、マキーナが『すでに考えていた』かどうかは疑わしい。また、その造形が最終段階であり、すぐにでも大量生産に入れるよう準備を進めているというのも、話をかなり盛っている可能性がある。
しかし、マキーナとしては、それは、魔法具師としてのプライドとして、また、魔法具開発ギルドとしての今後の信用に関わることなので、一学生に、しかも一年生に完全に後れを取ったような印象を持たれたくないのだろう。
「まぁもう1つの問題は演奏装置に関してだが…あれは観察しただけでは正直構造がわからない。というか、あんなに小型の演奏装置を作れるかどうか自体が疑わしいというのが私たち魔法具開発ギルドの見解だ。仮にあれが演奏装置であれば、あれは手動式ではなく自動式だ。携帯型の魔法具に自動演奏装置を組み込むなんて全く前例がない。普通なら大きくて重くて全く使い物にならない。会場のどこかに使用する魔法具全てに魔法を発令するための大型演奏装置が設置されていたと考えるほかない」
「それはあり得ないよ」
さすがにその発言は容認できないと感じ、マーシャが割って入った。
「私たち風紀ギルドが各会場を巡回しているからね。それに、使用する魔法具に関しては事前に生徒会ギルドに申請が出されて許可が下りている。まぁマキーナが、私たち風紀ギルドが、そんな大型の演奏装置を見逃す失態を犯したと考えているなら話は別だけどね」
それに対してマキーナは何も答えなかった。マキーナとしても、そんなことあるはずがないとわかった上での苦し紛れの発言だったのだろう。
確かに選手たち全員が同じ魔法を使用するのであれば、据え置き型の大型演奏装置を一台準備し、そこから全部の魔法具に魔法を発令する方が効率的である。しかし、それが可能なのは、もっと単純な魔法の場合のみである。今回のような自らのイメージが大きく関係してくるような造形魔法を、その方法で発令することは、下手をすると演奏装置を小型化することよりも難しい。
また、仮に大型の演奏装置を用いるなら、わざわざ魔法回路だけを小型化する必要がない。どうせ大型の演奏装置を用意しなければいけないのなら、そんな無駄なことはせず、潔く演奏装置に魔法回路を従来通りの大きさで書き込んでしまったほうが楽だろう。
つまり、ただ単に技術を見せつけたいだけならともかく、魔法回路の小型化に成功した魔法具が実戦レベルで使用できている段階で、その構造は不明だが演奏装置も小型化し組み込まれていると考える方が道理にかなっているのだ。
「ちなみに、土の生成魔法を発令する魔法具に関してはどうですか?現状、開発されているのは土の操作魔法を発令できるもののみだと、私も記憶していますが…すでにどこかでは開発されていたとか?」
「………いや、それに関してはまだどの魔法具師も開発できていないはずだ。仮に誰かが開発に成功したとなれば、もっと話題になっているはずだ。魔法具を作成する上での最大の難関と言ってもいい、詠唱文を旋律に翻訳する作業が行き詰まりを見せている。他の部分、例えば魔法具に使用する道具の造形、魔法回路の作図、演奏装置の作成などは、練習を積めばどうとでもなるが、翻訳作業だけは正直どうにもならない。それは、新しい魔法の詠唱文を考えるのにも等しい作業で、極めて難しい…」
「……あのクラスは他にも見たことがない魔法を発令する魔法具をいくつか使用していたように思います。その点はどうですか?」
「使用された魔法具で発令した魔法のうちほとんどは、すでに楽譜への翻訳が完了している魔法だった。中には、2つの魔法を連続し発動しているように思えたものもあったが…今までに翻訳作業が完了していない魔法、あるいは見たことがない魔法ゆえに旋律が定かではない魔法を使用した魔法具がいくつかあったのは事実だ。詠唱文の翻訳に関してかなりのノウハウがある…いや、1年生で職業ギルドの魔法具師よりも優れていることなどあり得ない。おそらく、まだ世に出ていない旋律を何らかの方法で入手したと考えるのが妥当かと思う」
「……そうですか。新魔法開発ギルドのギルドマスターとして先ほどの質問に回答する前に、有識者としてマーシャさんにお聞きいたします。エリアボール、およびバトルボールで使用された雷の移動魔法に関してですが、あれは雷装によるものですか?」
セシディアは、マキーナに対してはそれ以上深く聞かずに、話題を変えるようにしてそう言った。
「……いや、雷装ではない。あれは完全魔装ではなく、部分魔装の魔法だったように思う。恐らく雷装とは似て非なる魔法だと思う」
急に話を振られて、少し驚いたように目を丸くしたマーシャだったが、すぐにそう答えた。
「えぇ、私たちも同意見です。私たち新魔法開発ギルドは、あのエリアボール、およびバトルボールで使用された魔法は、『雷の矢の亜種魔法』だと考えています。一部、雷の矢の特徴が見られましたが、魔法発令による効果は全く異なるものでした。同じことを現在一般的に使用されている雷の矢の詠唱文で行おうとしても、あのような効果は得られないと思われるので、雷の矢の詠唱文に何らかの改変を行った、限りなく新魔法に近い亜種魔法と考えます。
おそらく、エリアボールの攻撃に使用されていた魔法も、この魔法の応用と考えられます。これは推測の域を出ませんが、恐らく対象物に雷の魔法を付与して、雷の矢として発射する魔法と考えられます。その点で言えば、対戦相手が使用していたアザレアさんの魔法も同じなのですが…あの魔法のすごいところはそれを魔法具によって使用可能にしているところです。いえ、むしろあの魔法は魔法具で使用することを前提とした魔法のように思えます。あの魔法具の製作者は、魔法具の式をどう構築すれば、どう魔法が発動するのかを正確に把握している。さらにあの魔法は恐らく1つの魔法詠唱文による魔法ではありません。2つないし3つの魔法を連続で発令することによって一連の魔法になるように組んである。そんな魔法の発令の仕方には前例がないし、そんなこと通常の詠唱ではあり得ません。魔法具だからこそできる魔法の使用法です。しかし、そうだとしても、それぞれの魔法旋律の演奏時間と発令までにかかる時間を考慮に入れ、全てが適切なタイミングで発令するように演奏装置を作る必要があります。そうでなければ別々の魔法として発令されてしまい、一連の魔法にはなりません。あの魔法具の製作者はただ魔法具を作れるとかのレベルではない。恐らく、あの魔法具を作った人間は、私たちより二、三世代先の製作技術を有していると言えると思います。もはや同じ人間とは思えません」
会議場がざわついた。
セシディアはこの学院のいわば『影の実力者』と言える存在だった。表の顔は当然、フリージア・ウィステリアだ。フリージアは魔法の才能も知識も、この学年ではずば抜けている。そして、その人を惹きつけるカリスマ性によって、まさに生徒会長として表立って目立つ存在だった。
一方のセシディア・ストリチカはある種真逆の存在だ。セシディアは人前に出ることを好まない学者タイプだった。総ギルドマスターという立場も表に出る必要がないならと受け入れた次第だ。実技はあまり得意ではなく、筆記試験もフリージアに比べれば見劣りする。しかし、セシディアは魔法の解析や分析の分野に関しては非常に優秀だった。セシディアのすごいところは自分の魔力が適合する魔法だけでなく、全ての魔法に関する知識、さらには魔法具に関する知識をも有しているところだ。
『新魔法の開発』とは、基本的には『魔法の詠唱文の開発』を指すが、彼女はそれ以上のことを考えていた。例えば、彼女は魔法と魔法具の式を組み合わせることで、通常の魔法とは異なる効果をもたらすものや、魔法具を使用することでしか実現不可能な魔法も『新魔法』に当たると考え研究を行っていた。
その点で言えば、ルーシッドと非常に近い感性を持っていると言えるかもしれない。
しかも彼女は物事を第三者的に、そして大局的に見る能力に長けていた。少数意見にもしっかりと耳を傾け、大規模ギルドの意見だからと流されることなく、常に公平かつ偏見のない判断を下すことができる人物だった。その点でまた彼女もリーダーに相応しいと言えた。
フリージアとセシディアは対極的ではあるが、逆にそれがうまく噛み合い、今のディナカレア魔法学院の生徒間の統率が取れていると言える。表向きの生徒たちのまとめ役はフリージアで、目立たない部分で取りまとめているのはセシディアだった。
その彼女をもってして『同じ人間とは思えない』と言わしめた存在がこの学院の生徒の中に、しかも1年生の中にいるというのだ。
「じゃ、じゃあ、あのバトルボールで使用していたサンドボールを魔法の矢で打ち出す魔法も同じ魔法ですか?」
バトルボールギルドのフィリアが質問する。
「良い着眼点です。確かによく似た魔法のように思えます。しかし、実はこれらの魔法は全く異なる魔法です。サンドボールは発令者の魔力によって形状を保っている物質のため付与魔法の対象にはできません。ゆえにサンドボールとマジックアローを組み合わせたあの魔法は、そもそもの詠唱の段階で、2人の妖精を使役して発動する混合魔法です。しかも、サンドボールを火の矢、風の矢、ルビア・スカーレットさんが使用していた見たことがない火の攻撃魔法の3つの魔法と組み合わせていました。同じ魔法の矢に分類される魔法とは言え、その詠唱文は全く異なります。ですから1つができたからと言って、他のが自動的にできるというわけではありません。もはや理解を超えた魔法開発の技術です」
セシディアがそう言うと、会議場は静まり返ってしまった。
「これは私の個人的な分析ですが……」
セシディアはそう話を切り出す。
「おそらく『参謀』とは1人の人物を指す言葉ではないと考えます。新魔法の開発、詠唱文の楽譜への翻訳、魔法具の式構築、実際の試合での作戦立案……その全てを1人でやっているなど到底考えられません。おそらく、あのクラスに複数人今まで陽の目を見ていなかった天才魔法使いがいるのではないでしょうか。
候補は幾人かいます。それこそ先ほど名前の挙がったシアンさんもそうです。彼女は田舎の出身だということなので、今までその存在が知られていなくても当然です。田舎には一線を退いた賢者がいることもありますし、その魔法使いが人知れず研究していた魔法を教えてもらったということも考えられます。
それにあのクラスには抜きん出た天才と言われるルビアさんもいます。ルビアさんも隣国のフィダラリア出身であまりその素性については知られていません。
また、ピセアさんの魔法調薬ギルドに在籍しているヘンリエッタさんもこのクラスに在籍しています。ヘンリエッタさんは、ウェストニア公立学院の推薦を蹴ってこの学院に来たほどの天才だと聞きます。
それに、あのクラスには未だに謎が多い独自の文化を持つクシダラ国出身の魔法使いが2人います。クシダラ国には、私たちディナカレア王国は知らない魔法や文字、詠唱文、そして妖精の神族や魔獣もいると聞きます。
それら全ての知識が嚙み合ってあのような結果になったのではないかと私は推測します。
私たちが知っている魔法だけが、魔法のすべてではありません。ディナカレア魔法学院は現代魔法の中心ではありますが、ここの魔法が全てではないのです」
セシディアの推測は筋が通っているように感じられた。みなが納得したようにうなずいていた。
「なので、とりあえず、今回はその『参謀』を最優秀選手として選出することは諦めた方が良いと思います。現段階では、情報が不足し過ぎていて、いずれも推測の域を出ません。1年5クラスの力が抜きんでていたのは明確なので、とりあえずその中の1人を最優秀選手として選出するか、あるいは他で目立った働きをした選手から選出することを提案します」
総ギルドマスターのその提案に他のギルドマスターたちが同意し、ギルドマスター会議はその後話し合いが円滑に進んでいき、数時間後には閉会となった。
会議が終わり、一人また一人とギルドマスターたちが会議場を後にする。
「あなたの望んだ形の結論に落ち着いたわね。まったく…感謝しなさいよね。一つ貸しだからね」
ぼそりと隣に座るマーシャに耳打ちするセシディア。
セシディアは会議の時とはだいぶ口調が違うように感じられたが、それはマーシャの前でだけ見せる彼女の顔だった。
セシディアとマーシャは同じクラス内パーティーで、4年間同室で過ごしているということもあり、単に気心が知れているという以上に深い関係にあった。2人は全く性格が違うが、それが逆に良いのか、なぜか馬が合うのだった。
「あぁ、恩に着るよ、セシー」
「とんでもない生徒を抱えたものね、あなたも」
「まぁ見てて飽きないけどね。新魔法開発ギルドとしても欲しいんじゃないか?」
マーシャにそう言われ、少し考えてからセシディアは言った。
「……要らないわ。私の手にはあまる存在よ」
「そうかい?お似合いだと思うけどね」
少し意外そうな顔でマーシャが答える。
「私はあの子についていけるほどの才能はないし、かといって、その才能をただ手放しで認められるほど謙遜でもないのよ。その子のことはあなたと会長に任せるわ。
それはそうと今日はこれで仕事は終わりなの?」
「いや、これから風紀ギルドに顔を出さないと。トニーに任せっきりにしてしまってるからね。それに生徒会ギルドにも顔を出さないとね。帰りは遅くなるよ」
「ふーん、あっそ」
「まぁそう拗ねるなよ」
「別に拗ねてないわよ。じゃあ私、もう疲れたし先に寝てるからね。静かに帰ってきてよね。あと、あなたも体気をつけなさいよね」
「ははは。大丈夫、鍛え方が違うからね」
「バカじゃないの」
セシディアがそう言うと、何名かの生徒が手を挙げる。
「では、バトルボールギルドのクツィさん」
指名されたのはバトルボールギルドのギルドマスター、クツィ・ツォートだ。
クツィはショートヘアーで健康的に日焼けした、スポーツ少女という感じの可愛らしい見た目の女子生徒だった。
「すみません…直接的な候補者の推薦ではないのですがよいでしょうか…?」
「まずは伺いましょう」
セシディアは発言を促した。
「私たちバトルボールギルドとしては、1年5クラスが今回試合で使用した魔法具と魔法に関して、専門としている魔法具開発ギルドや新魔法開発ギルドのギルドマスターの方々にこの会議の場を借りて質問したいと考えていました。
まずあのクラスがバトルボールで使用していた魔法具に関してですが、あれは一体何なんでしょうか?
出場した選手はみな黄の魔力は持っていませんでした。ですからあのサンドボールは魔法具によって生成されたものに間違いありません。ですが……土の魔法を発令する魔法具に関しては、『土の操作魔法』を発令するものしか存在しないはずではありませんか?それに…あんな形状の魔法具は見たことがありません。あれはどういう技術なのでしょうか?あれは魔法具開発ギルドで実用化できるものですか?マキーナさん、教えてください。
それと、その次の試合で使用していた魔法に関してですが、あの雷のようなもので高速で移動した魔法は『雷装』ですか?それとも別の何かでしょうか?セシディアさんの意見をお聞かせください」
セシディアが発言する前に、もう1人の生徒が手を挙げて発言を求め、セシディアがそれを許可したために続けて別の生徒が発言する。
「あの、エリアボールギルドも重複する点もあるから合わせて質問させてもらってもよろしいでしょうか?」
発言したのは、エリアボールギルドのギルドマスター、フィリア・ルカントだった。フィリアは、丸眼鏡に黒髪のボブカットの真面目そうな女生徒で、あまりスポーツをやっているような見た目には見えなかったが、エリアボールの選手にはよくあることだった。エリアボールはその性質上、どちらかと言えば頭脳戦の様相が強いため、体を動かすことが得意でない生徒にも親しまれているからだ。
だがその『体を動かさなくてもできる』という今までのエリアボールの概念を覆し、『ボールを魔法具で弾き返す』という、まったく別のスポーツ競技とも思えるような戦いをしてきたのが、ルーシッドだった。
体を動かさなくてもできるだけで、体を動かしてはいけないわけではないのだ。
フィリアの質問もその点に関してだった。
「1年5クラスが試合で使用していた魔法具と魔法についてです。あのボールを魔法具で弾き返すという戦法にはつくづく驚かされました…あんなことずっとエリアボールをやってきたけど考えもしませんでした。いえ、思いついたところで、それ用の魔法具が無ければ意味がないんですけど。『魔法を使用しない防御』はルール違反ですから。マキーナさん、あの魔法具はあなたたち魔法具開発ギルドでも製造可能なんですか?
それと、あのエリアボールの決勝戦で5クラスが使っていた魔法、あの尋常ではない速度で移動していた魔法、あれはバトルボールの決勝戦で使われていた魔法と同じ魔法ですよね?あれが何なのか私たちも知りたいです。それとアタッカーの魔法使いが使用していた攻撃魔法、あの原理も知りたいです。」
「最優秀選手の選出に関係があるものと判断し、競技系ギルドから質問があった点について各ギルドからの回答を求めますがよろしいですか?」
手を挙げる生徒がいなかったため同意したとみなし、セシディアは話を続ける。
「同意が得られました。では魔法具開発ギルドのマキーナさん、先に答えてもらってもよろしいですか?」
「……魔法具開発ギルドとしては、今回の球技戦で使用された魔法具の分析を進めているところだ」
魔法具開発ギルドのマキーナは少し考えてから話し始めた。
魔法具開発ギルドのギルドマスター、マキーナ・ジリエーザは、頭に可動式の拡大鏡を付け、制服の上に白衣という出で立ちの女生徒で、有名な魔法具師の家系の出であった。本人自身も入学前から父親の所属する職業ギルドに出入りし魔法具製作に携わっており、入学した段階ですでにかなりの技術を有していた。現在、ディナカレア魔法学院に在籍する生徒の中ではナンバーワンの腕前を持つと誰もが認める存在だった。
もちろんルーシッドを除けばの話だが。
「現代の魔法具開発における難題の1つ、魔法回路の最小面積問題を解決したあの折り畳み式魔法回路は見事なものだと思う。しかし、あれに関してはすでに私たちも考えていた技術だ。先を越されてしまったが、すぐにでも大量生産体制に入れるようにうちのギルドで造形している。造形に関しては最終段階だ。エリアボールで使用されていた魔法具に関しては構造自体は極めて簡単なものだ。耐久性の問題は少しあるが、あれならすぐにでも試作品は作ることができると思うよ。エリアボールの防御に関して、あの発想に至らなかったのは確かに盲点だったけどね」
ルーシッドが考えた『折り畳み式魔法回路』の技術を、マキーナが『すでに考えていた』かどうかは疑わしい。また、その造形が最終段階であり、すぐにでも大量生産に入れるよう準備を進めているというのも、話をかなり盛っている可能性がある。
しかし、マキーナとしては、それは、魔法具師としてのプライドとして、また、魔法具開発ギルドとしての今後の信用に関わることなので、一学生に、しかも一年生に完全に後れを取ったような印象を持たれたくないのだろう。
「まぁもう1つの問題は演奏装置に関してだが…あれは観察しただけでは正直構造がわからない。というか、あんなに小型の演奏装置を作れるかどうか自体が疑わしいというのが私たち魔法具開発ギルドの見解だ。仮にあれが演奏装置であれば、あれは手動式ではなく自動式だ。携帯型の魔法具に自動演奏装置を組み込むなんて全く前例がない。普通なら大きくて重くて全く使い物にならない。会場のどこかに使用する魔法具全てに魔法を発令するための大型演奏装置が設置されていたと考えるほかない」
「それはあり得ないよ」
さすがにその発言は容認できないと感じ、マーシャが割って入った。
「私たち風紀ギルドが各会場を巡回しているからね。それに、使用する魔法具に関しては事前に生徒会ギルドに申請が出されて許可が下りている。まぁマキーナが、私たち風紀ギルドが、そんな大型の演奏装置を見逃す失態を犯したと考えているなら話は別だけどね」
それに対してマキーナは何も答えなかった。マキーナとしても、そんなことあるはずがないとわかった上での苦し紛れの発言だったのだろう。
確かに選手たち全員が同じ魔法を使用するのであれば、据え置き型の大型演奏装置を一台準備し、そこから全部の魔法具に魔法を発令する方が効率的である。しかし、それが可能なのは、もっと単純な魔法の場合のみである。今回のような自らのイメージが大きく関係してくるような造形魔法を、その方法で発令することは、下手をすると演奏装置を小型化することよりも難しい。
また、仮に大型の演奏装置を用いるなら、わざわざ魔法回路だけを小型化する必要がない。どうせ大型の演奏装置を用意しなければいけないのなら、そんな無駄なことはせず、潔く演奏装置に魔法回路を従来通りの大きさで書き込んでしまったほうが楽だろう。
つまり、ただ単に技術を見せつけたいだけならともかく、魔法回路の小型化に成功した魔法具が実戦レベルで使用できている段階で、その構造は不明だが演奏装置も小型化し組み込まれていると考える方が道理にかなっているのだ。
「ちなみに、土の生成魔法を発令する魔法具に関してはどうですか?現状、開発されているのは土の操作魔法を発令できるもののみだと、私も記憶していますが…すでにどこかでは開発されていたとか?」
「………いや、それに関してはまだどの魔法具師も開発できていないはずだ。仮に誰かが開発に成功したとなれば、もっと話題になっているはずだ。魔法具を作成する上での最大の難関と言ってもいい、詠唱文を旋律に翻訳する作業が行き詰まりを見せている。他の部分、例えば魔法具に使用する道具の造形、魔法回路の作図、演奏装置の作成などは、練習を積めばどうとでもなるが、翻訳作業だけは正直どうにもならない。それは、新しい魔法の詠唱文を考えるのにも等しい作業で、極めて難しい…」
「……あのクラスは他にも見たことがない魔法を発令する魔法具をいくつか使用していたように思います。その点はどうですか?」
「使用された魔法具で発令した魔法のうちほとんどは、すでに楽譜への翻訳が完了している魔法だった。中には、2つの魔法を連続し発動しているように思えたものもあったが…今までに翻訳作業が完了していない魔法、あるいは見たことがない魔法ゆえに旋律が定かではない魔法を使用した魔法具がいくつかあったのは事実だ。詠唱文の翻訳に関してかなりのノウハウがある…いや、1年生で職業ギルドの魔法具師よりも優れていることなどあり得ない。おそらく、まだ世に出ていない旋律を何らかの方法で入手したと考えるのが妥当かと思う」
「……そうですか。新魔法開発ギルドのギルドマスターとして先ほどの質問に回答する前に、有識者としてマーシャさんにお聞きいたします。エリアボール、およびバトルボールで使用された雷の移動魔法に関してですが、あれは雷装によるものですか?」
セシディアは、マキーナに対してはそれ以上深く聞かずに、話題を変えるようにしてそう言った。
「……いや、雷装ではない。あれは完全魔装ではなく、部分魔装の魔法だったように思う。恐らく雷装とは似て非なる魔法だと思う」
急に話を振られて、少し驚いたように目を丸くしたマーシャだったが、すぐにそう答えた。
「えぇ、私たちも同意見です。私たち新魔法開発ギルドは、あのエリアボール、およびバトルボールで使用された魔法は、『雷の矢の亜種魔法』だと考えています。一部、雷の矢の特徴が見られましたが、魔法発令による効果は全く異なるものでした。同じことを現在一般的に使用されている雷の矢の詠唱文で行おうとしても、あのような効果は得られないと思われるので、雷の矢の詠唱文に何らかの改変を行った、限りなく新魔法に近い亜種魔法と考えます。
おそらく、エリアボールの攻撃に使用されていた魔法も、この魔法の応用と考えられます。これは推測の域を出ませんが、恐らく対象物に雷の魔法を付与して、雷の矢として発射する魔法と考えられます。その点で言えば、対戦相手が使用していたアザレアさんの魔法も同じなのですが…あの魔法のすごいところはそれを魔法具によって使用可能にしているところです。いえ、むしろあの魔法は魔法具で使用することを前提とした魔法のように思えます。あの魔法具の製作者は、魔法具の式をどう構築すれば、どう魔法が発動するのかを正確に把握している。さらにあの魔法は恐らく1つの魔法詠唱文による魔法ではありません。2つないし3つの魔法を連続で発令することによって一連の魔法になるように組んである。そんな魔法の発令の仕方には前例がないし、そんなこと通常の詠唱ではあり得ません。魔法具だからこそできる魔法の使用法です。しかし、そうだとしても、それぞれの魔法旋律の演奏時間と発令までにかかる時間を考慮に入れ、全てが適切なタイミングで発令するように演奏装置を作る必要があります。そうでなければ別々の魔法として発令されてしまい、一連の魔法にはなりません。あの魔法具の製作者はただ魔法具を作れるとかのレベルではない。恐らく、あの魔法具を作った人間は、私たちより二、三世代先の製作技術を有していると言えると思います。もはや同じ人間とは思えません」
会議場がざわついた。
セシディアはこの学院のいわば『影の実力者』と言える存在だった。表の顔は当然、フリージア・ウィステリアだ。フリージアは魔法の才能も知識も、この学年ではずば抜けている。そして、その人を惹きつけるカリスマ性によって、まさに生徒会長として表立って目立つ存在だった。
一方のセシディア・ストリチカはある種真逆の存在だ。セシディアは人前に出ることを好まない学者タイプだった。総ギルドマスターという立場も表に出る必要がないならと受け入れた次第だ。実技はあまり得意ではなく、筆記試験もフリージアに比べれば見劣りする。しかし、セシディアは魔法の解析や分析の分野に関しては非常に優秀だった。セシディアのすごいところは自分の魔力が適合する魔法だけでなく、全ての魔法に関する知識、さらには魔法具に関する知識をも有しているところだ。
『新魔法の開発』とは、基本的には『魔法の詠唱文の開発』を指すが、彼女はそれ以上のことを考えていた。例えば、彼女は魔法と魔法具の式を組み合わせることで、通常の魔法とは異なる効果をもたらすものや、魔法具を使用することでしか実現不可能な魔法も『新魔法』に当たると考え研究を行っていた。
その点で言えば、ルーシッドと非常に近い感性を持っていると言えるかもしれない。
しかも彼女は物事を第三者的に、そして大局的に見る能力に長けていた。少数意見にもしっかりと耳を傾け、大規模ギルドの意見だからと流されることなく、常に公平かつ偏見のない判断を下すことができる人物だった。その点でまた彼女もリーダーに相応しいと言えた。
フリージアとセシディアは対極的ではあるが、逆にそれがうまく噛み合い、今のディナカレア魔法学院の生徒間の統率が取れていると言える。表向きの生徒たちのまとめ役はフリージアで、目立たない部分で取りまとめているのはセシディアだった。
その彼女をもってして『同じ人間とは思えない』と言わしめた存在がこの学院の生徒の中に、しかも1年生の中にいるというのだ。
「じゃ、じゃあ、あのバトルボールで使用していたサンドボールを魔法の矢で打ち出す魔法も同じ魔法ですか?」
バトルボールギルドのフィリアが質問する。
「良い着眼点です。確かによく似た魔法のように思えます。しかし、実はこれらの魔法は全く異なる魔法です。サンドボールは発令者の魔力によって形状を保っている物質のため付与魔法の対象にはできません。ゆえにサンドボールとマジックアローを組み合わせたあの魔法は、そもそもの詠唱の段階で、2人の妖精を使役して発動する混合魔法です。しかも、サンドボールを火の矢、風の矢、ルビア・スカーレットさんが使用していた見たことがない火の攻撃魔法の3つの魔法と組み合わせていました。同じ魔法の矢に分類される魔法とは言え、その詠唱文は全く異なります。ですから1つができたからと言って、他のが自動的にできるというわけではありません。もはや理解を超えた魔法開発の技術です」
セシディアがそう言うと、会議場は静まり返ってしまった。
「これは私の個人的な分析ですが……」
セシディアはそう話を切り出す。
「おそらく『参謀』とは1人の人物を指す言葉ではないと考えます。新魔法の開発、詠唱文の楽譜への翻訳、魔法具の式構築、実際の試合での作戦立案……その全てを1人でやっているなど到底考えられません。おそらく、あのクラスに複数人今まで陽の目を見ていなかった天才魔法使いがいるのではないでしょうか。
候補は幾人かいます。それこそ先ほど名前の挙がったシアンさんもそうです。彼女は田舎の出身だということなので、今までその存在が知られていなくても当然です。田舎には一線を退いた賢者がいることもありますし、その魔法使いが人知れず研究していた魔法を教えてもらったということも考えられます。
それにあのクラスには抜きん出た天才と言われるルビアさんもいます。ルビアさんも隣国のフィダラリア出身であまりその素性については知られていません。
また、ピセアさんの魔法調薬ギルドに在籍しているヘンリエッタさんもこのクラスに在籍しています。ヘンリエッタさんは、ウェストニア公立学院の推薦を蹴ってこの学院に来たほどの天才だと聞きます。
それに、あのクラスには未だに謎が多い独自の文化を持つクシダラ国出身の魔法使いが2人います。クシダラ国には、私たちディナカレア王国は知らない魔法や文字、詠唱文、そして妖精の神族や魔獣もいると聞きます。
それら全ての知識が嚙み合ってあのような結果になったのではないかと私は推測します。
私たちが知っている魔法だけが、魔法のすべてではありません。ディナカレア魔法学院は現代魔法の中心ではありますが、ここの魔法が全てではないのです」
セシディアの推測は筋が通っているように感じられた。みなが納得したようにうなずいていた。
「なので、とりあえず、今回はその『参謀』を最優秀選手として選出することは諦めた方が良いと思います。現段階では、情報が不足し過ぎていて、いずれも推測の域を出ません。1年5クラスの力が抜きんでていたのは明確なので、とりあえずその中の1人を最優秀選手として選出するか、あるいは他で目立った働きをした選手から選出することを提案します」
総ギルドマスターのその提案に他のギルドマスターたちが同意し、ギルドマスター会議はその後話し合いが円滑に進んでいき、数時間後には閉会となった。
会議が終わり、一人また一人とギルドマスターたちが会議場を後にする。
「あなたの望んだ形の結論に落ち着いたわね。まったく…感謝しなさいよね。一つ貸しだからね」
ぼそりと隣に座るマーシャに耳打ちするセシディア。
セシディアは会議の時とはだいぶ口調が違うように感じられたが、それはマーシャの前でだけ見せる彼女の顔だった。
セシディアとマーシャは同じクラス内パーティーで、4年間同室で過ごしているということもあり、単に気心が知れているという以上に深い関係にあった。2人は全く性格が違うが、それが逆に良いのか、なぜか馬が合うのだった。
「あぁ、恩に着るよ、セシー」
「とんでもない生徒を抱えたものね、あなたも」
「まぁ見てて飽きないけどね。新魔法開発ギルドとしても欲しいんじゃないか?」
マーシャにそう言われ、少し考えてからセシディアは言った。
「……要らないわ。私の手にはあまる存在よ」
「そうかい?お似合いだと思うけどね」
少し意外そうな顔でマーシャが答える。
「私はあの子についていけるほどの才能はないし、かといって、その才能をただ手放しで認められるほど謙遜でもないのよ。その子のことはあなたと会長に任せるわ。
それはそうと今日はこれで仕事は終わりなの?」
「いや、これから風紀ギルドに顔を出さないと。トニーに任せっきりにしてしまってるからね。それに生徒会ギルドにも顔を出さないとね。帰りは遅くなるよ」
「ふーん、あっそ」
「まぁそう拗ねるなよ」
「別に拗ねてないわよ。じゃあ私、もう疲れたし先に寝てるからね。静かに帰ってきてよね。あと、あなたも体気をつけなさいよね」
「ははは。大丈夫、鍛え方が違うからね」
「バカじゃないの」
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