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2章 悲劇の王女
グリフォン
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「あれはグリフォン!?」
「何故ここに……?」
通常グリフォン含め魔物というのは人里には出てきません。撃退されるのが分かっているのか、人を好まないのかは謎ですが、滅多に人を襲うことは無いのです。集団で人里を襲うこともありますが本当に稀で、それは厄災の象徴とされています。食料も魔物どうしの食い食われ以外に空気中の魔素を取り込んで補っています。その食物連鎖に人間が手を出すことはご法度とされますが、毛皮等が高く売れる事などもあり密猟は無くならないのが現状です。
「陛下と公爵令嬢をお守りしろ!」
「「「おぉぉーー!!」」」
後ろに控えていた騎士たちがいっせいに戦いを始めました。凄い気迫と共に剣や弓の音が飛び交います。
「グルグギャァァァーー!!」
グリフォンの咆哮で地面が揺れます。何だか様子がおかしいですね。荒々しく、目も血走っています。人前に出てくるだけでも珍しいなのですけれど、ここまで凶暴化しているのは異常です。密猟者が近くにいるのでしょうか。その人たちから逃げてきたと思えば分からなくもありません。
「うわぁっ!」
騎士の一人が翼の風圧により吹き飛ばされ、
「くっ、何故こんなに……!」
一人がグリフォンの起こした雷によって気を失ったのが馬車から見えました。
「変異種、だと……?」
同じく馬車の中にいるルークも驚いています。変異種とはその名の通り普通の個体から変異した個体で、魔力を扱えたり知性があり群れを率いていたりと一般個体より遥かに強力です。
私は拳を握りしめ、唇を噛み締め、戦況を伺います。護衛対象の私が出ていったら不味いのは理解していました。でも、守られるだけの自分が情けなくて仕方ありません。
「そんなっ…!」
3人目の騎士が倒れたところで、私は馬車から飛び出していました。
「レイ!」
ルークの制止も振り切り、身体の赴くままグリフォンの元に向かいました。どうしても、守られるだけというのは気がすまなかったのです。
「ギャギャオッ!!」
やはりグリフォンは変異種のようで、遠目で見たより大きな体躯と威圧感を放っていました。それでも、気圧される訳にはいきません。
「公爵令嬢!」
「戦況は!?」
「え、ですが…」
「加勢すると言っているんだ。」
後ろから低い声が響きます。振り返るとルークが少し不機嫌そうに立っていました。
「まったく、私の婚約者は無茶ばかりする。」
「ご、ごめんなさい……」
「だが、レイだけに任せる訳にはいかない。」
よく見ると、腰にはしっかり剣を携えていました。
「行きましょう!」
「あぁ、お転婆な婚約者の為にもね。」
「何故ここに……?」
通常グリフォン含め魔物というのは人里には出てきません。撃退されるのが分かっているのか、人を好まないのかは謎ですが、滅多に人を襲うことは無いのです。集団で人里を襲うこともありますが本当に稀で、それは厄災の象徴とされています。食料も魔物どうしの食い食われ以外に空気中の魔素を取り込んで補っています。その食物連鎖に人間が手を出すことはご法度とされますが、毛皮等が高く売れる事などもあり密猟は無くならないのが現状です。
「陛下と公爵令嬢をお守りしろ!」
「「「おぉぉーー!!」」」
後ろに控えていた騎士たちがいっせいに戦いを始めました。凄い気迫と共に剣や弓の音が飛び交います。
「グルグギャァァァーー!!」
グリフォンの咆哮で地面が揺れます。何だか様子がおかしいですね。荒々しく、目も血走っています。人前に出てくるだけでも珍しいなのですけれど、ここまで凶暴化しているのは異常です。密猟者が近くにいるのでしょうか。その人たちから逃げてきたと思えば分からなくもありません。
「うわぁっ!」
騎士の一人が翼の風圧により吹き飛ばされ、
「くっ、何故こんなに……!」
一人がグリフォンの起こした雷によって気を失ったのが馬車から見えました。
「変異種、だと……?」
同じく馬車の中にいるルークも驚いています。変異種とはその名の通り普通の個体から変異した個体で、魔力を扱えたり知性があり群れを率いていたりと一般個体より遥かに強力です。
私は拳を握りしめ、唇を噛み締め、戦況を伺います。護衛対象の私が出ていったら不味いのは理解していました。でも、守られるだけの自分が情けなくて仕方ありません。
「そんなっ…!」
3人目の騎士が倒れたところで、私は馬車から飛び出していました。
「レイ!」
ルークの制止も振り切り、身体の赴くままグリフォンの元に向かいました。どうしても、守られるだけというのは気がすまなかったのです。
「ギャギャオッ!!」
やはりグリフォンは変異種のようで、遠目で見たより大きな体躯と威圧感を放っていました。それでも、気圧される訳にはいきません。
「公爵令嬢!」
「戦況は!?」
「え、ですが…」
「加勢すると言っているんだ。」
後ろから低い声が響きます。振り返るとルークが少し不機嫌そうに立っていました。
「まったく、私の婚約者は無茶ばかりする。」
「ご、ごめんなさい……」
「だが、レイだけに任せる訳にはいかない。」
よく見ると、腰にはしっかり剣を携えていました。
「行きましょう!」
「あぁ、お転婆な婚約者の為にもね。」
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