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「電マってエロくね?」

三本目の発泡酒を飲み干したとき、俺はふと、常々考えていることを口にしていた。

「んー、ああ、まあエロいな」
「だよなぁ。俺好きなんだー、電マ責めのAV。抜けるわ」
「へーお前そういう趣味だったんか。意外だわ」

一緒に酒を飲んでるのは親友の匡介(きょうすけ)。こいつとは大学に入学したときからの付き合いだ。かなりのイケメンで背も高い。ぱっと見、無愛想でクールだが、実はなかなか面倒見のいいやつだ。

「なあなあ、一緒に見ようぜ」
「やだよ、なんで郁未(いくみ)とそんなもの見なきゃならないんだよ」
「いいじゃん、すごいのあるからさー、見ようって」

今日は俺の家で宅飲み中。料理が得意な匡介が、いろいろおいしいつまみをつくって持ってきてくれて、ぐだぐだしゃべりながら安い焼酎や発泡酒なんかを飲んでいる。

「断る。ってかなんでそんなのが好きなわけ」
「そんなのって言うな。えっとー、やっぱさ、機械に無理矢理イかされるってよくね?イッてもイッても容赦なく電マにイかされ続けるってめっちゃエロくね?」
「ふぅん、そんなもんかね」
「はあ?テンション低ッ」
「ってかさあ。郁未この前まで彼女いたじゃん。やったの、そういうプレイ」
「やんねーよ。つか、やろうと思って電マ買った矢先に振られた」
「あー」

匡介は憐れんでいるとも、面白がっているとも思えるような微妙な声を上げた。

「それは残念だったなあ。よしよし、泣くな」
「泣いてねぇし」
「強がるなよ」

切れ長な目を細めて匡介は笑う。薄い唇を微かにつり上げるだけの静かな微笑み。あー、やっぱかっこいいなあ。すっととおった高い鼻とか、ひそかに憧れる。俺の鼻はお世辞にも高いとはいえない。

「匡介みたいなイケメンだったら、俺も振られないですんだのかなー。電マプレイだってできたかもしんねぇ。つらい……」

どんよりと肩を落とす俺を、匡介はじっと見つめてくる。


「え、何……」
「郁未さあ、試してみねぇ?」
「は?」
「だから電マー。そんなに好きなら自分で使ってみれば」
「???」

何言ってんだ。俺は女を電マ責めしたいんであって、自分がされたいわけじゃない。
分かってねぇなあ、こいつ。
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