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呪いの解ける音
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部屋で勉強していると、不意にガチャリと玄関のドアの空く音が聞こえた。
「ただいまあ」
夕方になり、単身赴任先の北海道から帰ってきた父の声がする。
顔を合わせるのは正月以来だから半年ぶりになる。
まだ親戚に電話している母の代わりに、玄関まで下りて父を出迎えた。
耳の遠い祖母は声が聞こえていないようで、夕食の支度のため台所にいたままだ。
「おかえり、お父さん」
「ああ、千里。元気にしてたか」
幾分、白髪が増えたように見える父が目を細めて聞く。
「うん、元気だったけど……お父さん、ちょっと話が」
靴を脱いで三和土からキャリーケースを上げている最中の父に、声をひそめて急ぎ祖母と母の現状を伝えた。
「そんなことになってるのか」
「うん、大分ヤバい」
父の困ったような顔に、私も頷く。
「まあ、とりあえず、夕食の席で話そう。まずは遥佳とお義父さんにも挨拶だ」
父は苦笑して言って、仏壇に向かった。絶対に深刻さを分かっていない。
私は溜め息を吐いて、無人のリビングに向かう。少しして、父の鳴らす控えめなお鈴の音が聞こえた。
夕飯の席でも、母と祖母の険悪な空気はそのままだった。二人は一切口を利かない。父と私もいるけれど、そんなことはお構いなしに、食卓には張りつめた空気に満ち満ちている。
細いピアノ線をピンと張って、それを更に両端からぎりぎりと力いっぱい反対方向に巻きとっているかのような、いつ切れてもおかしくない怖さと危うさ。冷房の温度設定は二十七度なのに、二人のせいでどこか薄ら寒く感じる。
夕食のメニューはハンバーグだった。昔から変わらない私の好物。
牛豚合挽き肉に、刻んで炒めた甘い玉ねぎと人参が入って、ケチャップと中濃ソース、ちょっとだけお醤油とお好み焼きソースを入れて味を調えて、肉汁の残るフライパンで炒めたソースのかかった、私の大好きなハンバーグ。
私の誕生日だからと好物を作ってくれたのなら、せめて雰囲気までもっとマシにする配慮を見せてほしい。
父も二人の様子にようやく事の深刻さを理解したようだけれども、深くは立ち入れない様子で黙っている。
母とも祖母とも血の繋がらない父にとって、二人の喧嘩は『余所の家の親子喧嘩』なのだ。そう易々と首をつっこめない。二人と血の繋がった私だけが居心地が悪いのだろうか。
「明日のことだけど、千里から聞いた?」
食事が始まって5分ほど経過して、ようやく母が重い口を開き、苛立った口調で父に聞いた。
「ああ、開始時間が遅れるとか」
母の言葉に、父はおずおずと頷いて答える。
「そう。そのことなんだけど、あと、秋夫叔父さんと夏美叔母さんのところだけ連絡が取れてなくて、後からまた電話を掛ける予定だけど……連絡が取れなかったら、明日は始まるまでリビングで待っておいてもらった方がいいかしらねぇ? ほんと、お母さんがもっと早く言ってくれたらよかったんだけど」
母の言葉は言外に、父にも祖母を非難しろと言っているようなものだ。
「さっきあんなに言ったのに、まだ言うのっ? そこまで言われたらもう法事なんかに出たくない!」
祖母が我慢の限界が来たようにヒステリックに声を上げた。
小太りで優し気な顔つきの、昔話に出てくる良いおばあさんみたいな見た目の祖母から、そんな言葉が出てきて、驚きを隠せない。
「はあぁ!? 誰のせいでこうなったと思ってんの!? お母さんのせいでしょうが! そんなに言うんだったら私の方が出たくない!」
売り言葉に買い言葉の勢いで、母が声を荒げた。
そのやり取りに、更に頭を殴られたような衝撃を受ける。
だって、最愛の娘で、最愛の初孫のはずの、現に私の誕生日より優遇されている、姉の十三回忌なのに。
父は眉を八の字にして、おろおろと二人を見遣っている。
父親なら何か言い返してよ。自分の、最愛の娘の法事に、他でもない母親と祖母が出たくないって、言ってるんだよ。
無言で睨み合う二人と狼狽える父を見て、私の中で、何かが崩れる音がした。
――たぶんそれは、呪いの解ける音だった。
「いい加減にしてよ、二人とも!」
気づいたら、家族に対して出したことのないような大声を出していた。
睨み合っていた母も祖母も、狼狽えていた父も、目を丸くして私を見ている。
「明日はお姉ちゃんの十三回忌なんだよ!? そんなこと言ったら、お姉ちゃんが可哀想だよ……!」
十三回忌がどういうものなのかとか、12年目なのにどうして十三回忌なのかとか、詳しいことは何も知らない。
でも、自分の節目の日の行事に、母親にも祖母にも『出たくない』と言われたら。
それを父親が止めもしなかったら。
お姉ちゃんは、きっと、ひどく傷つくんじゃないだろうか。
だって、祖母と二人きりだった5歳の誕生日、私はあんなに傷ついたから。
だから、二人の発言も、父の態度も、許せなかった。
「……ごめん。そうね、こんなこと、喧嘩の勢いだとしても、言うべきじゃなかったね」
母は呆気に取られたようにしてから、目を伏せて謝った。
「そうだねぇ、はるちゃんに悪いことをしたねぇ」
祖母も申し訳なさそう言った。
「……別に、分かってくれたなら、いいんだけどさ。あと、今日は、私の誕生日でもあるんだから、せめてもう少し仲良くしてほしいな。お姉ちゃんの十三回忌はこの一回きりで、私の誕生日は来年もあるから、そんなに大事じゃないかもしれないけど」
初めて母や祖母に声を荒げてしまった気恥ずかしさと申し訳なさから、言わなくてもいいようなことまで口走ってしまった。
「ごめん、千里。誕生日だって分かってたのに、こんな……冷静さを欠いて、本当に母親として恥ずかしいし、申し訳ない。ごめんね」
ハッとしたように、母は言った。
「ちぃちゃんの誕生日が大事じゃないわけじゃないんだよ、ごめんねぇ」
祖母もますます申し訳なさそうに言った。
「ううん、気にしないで。私は気にしてないから」
そうだ。父も母も姉の発作でいなくて、絶望の中、祖母と二人きりで祝った誕生日に比べたらずっとマシだ。
まだ十分に温かいハンバーグに箸を入れる。じわりと肉汁が溢れて、白ご飯と一緒に食べれば、ソースと共に口の中でお米に味が絡む。
いつもの、私の大好きな、ハンバーグの味だった。
その後、かなり和らいだ空気の中で私の誕生日のお祝いのケーキを食べ、母と祖母も反省から、直接的なお互いへの謝罪はないものの、なんとなく和解した空気で食事を終えた。
私はシャワーを浴びながら、夕食の時のことを考える。
祖母と母の言葉や父の態度は、家族の中で姉のことが過去のことになりつつあることの証明であるように思えた。
12年前、家族の中で最も愛されていたのは姉だったかもしれない。
でも、勢いで節目の日を蔑ろにしてしまうようなことを口走ってしまうくらいには、姉のことは過去のことになってしまったのだ。
それはどこか物悲しくもあり――不謹慎ながら、どこか嬉しくもあった。
たぶん今、最も愛されているのは、姉よりも私だと感じたから。
「お姉ちゃん、こんな妹でごめんなさい……」
かすかに胸が痛んで、ボディソープを洗い流しながら小さく呟いた。
――でも、いいよね? だって、『これで全部、ちぃちゃんのもの』だもんね?
弁明のように心の中で付け足して、シャワーを止める。
入浴だけのせいではないさっぱりとした気持ちで、私は風呂場を後にした。
「ただいまあ」
夕方になり、単身赴任先の北海道から帰ってきた父の声がする。
顔を合わせるのは正月以来だから半年ぶりになる。
まだ親戚に電話している母の代わりに、玄関まで下りて父を出迎えた。
耳の遠い祖母は声が聞こえていないようで、夕食の支度のため台所にいたままだ。
「おかえり、お父さん」
「ああ、千里。元気にしてたか」
幾分、白髪が増えたように見える父が目を細めて聞く。
「うん、元気だったけど……お父さん、ちょっと話が」
靴を脱いで三和土からキャリーケースを上げている最中の父に、声をひそめて急ぎ祖母と母の現状を伝えた。
「そんなことになってるのか」
「うん、大分ヤバい」
父の困ったような顔に、私も頷く。
「まあ、とりあえず、夕食の席で話そう。まずは遥佳とお義父さんにも挨拶だ」
父は苦笑して言って、仏壇に向かった。絶対に深刻さを分かっていない。
私は溜め息を吐いて、無人のリビングに向かう。少しして、父の鳴らす控えめなお鈴の音が聞こえた。
夕飯の席でも、母と祖母の険悪な空気はそのままだった。二人は一切口を利かない。父と私もいるけれど、そんなことはお構いなしに、食卓には張りつめた空気に満ち満ちている。
細いピアノ線をピンと張って、それを更に両端からぎりぎりと力いっぱい反対方向に巻きとっているかのような、いつ切れてもおかしくない怖さと危うさ。冷房の温度設定は二十七度なのに、二人のせいでどこか薄ら寒く感じる。
夕食のメニューはハンバーグだった。昔から変わらない私の好物。
牛豚合挽き肉に、刻んで炒めた甘い玉ねぎと人参が入って、ケチャップと中濃ソース、ちょっとだけお醤油とお好み焼きソースを入れて味を調えて、肉汁の残るフライパンで炒めたソースのかかった、私の大好きなハンバーグ。
私の誕生日だからと好物を作ってくれたのなら、せめて雰囲気までもっとマシにする配慮を見せてほしい。
父も二人の様子にようやく事の深刻さを理解したようだけれども、深くは立ち入れない様子で黙っている。
母とも祖母とも血の繋がらない父にとって、二人の喧嘩は『余所の家の親子喧嘩』なのだ。そう易々と首をつっこめない。二人と血の繋がった私だけが居心地が悪いのだろうか。
「明日のことだけど、千里から聞いた?」
食事が始まって5分ほど経過して、ようやく母が重い口を開き、苛立った口調で父に聞いた。
「ああ、開始時間が遅れるとか」
母の言葉に、父はおずおずと頷いて答える。
「そう。そのことなんだけど、あと、秋夫叔父さんと夏美叔母さんのところだけ連絡が取れてなくて、後からまた電話を掛ける予定だけど……連絡が取れなかったら、明日は始まるまでリビングで待っておいてもらった方がいいかしらねぇ? ほんと、お母さんがもっと早く言ってくれたらよかったんだけど」
母の言葉は言外に、父にも祖母を非難しろと言っているようなものだ。
「さっきあんなに言ったのに、まだ言うのっ? そこまで言われたらもう法事なんかに出たくない!」
祖母が我慢の限界が来たようにヒステリックに声を上げた。
小太りで優し気な顔つきの、昔話に出てくる良いおばあさんみたいな見た目の祖母から、そんな言葉が出てきて、驚きを隠せない。
「はあぁ!? 誰のせいでこうなったと思ってんの!? お母さんのせいでしょうが! そんなに言うんだったら私の方が出たくない!」
売り言葉に買い言葉の勢いで、母が声を荒げた。
そのやり取りに、更に頭を殴られたような衝撃を受ける。
だって、最愛の娘で、最愛の初孫のはずの、現に私の誕生日より優遇されている、姉の十三回忌なのに。
父は眉を八の字にして、おろおろと二人を見遣っている。
父親なら何か言い返してよ。自分の、最愛の娘の法事に、他でもない母親と祖母が出たくないって、言ってるんだよ。
無言で睨み合う二人と狼狽える父を見て、私の中で、何かが崩れる音がした。
――たぶんそれは、呪いの解ける音だった。
「いい加減にしてよ、二人とも!」
気づいたら、家族に対して出したことのないような大声を出していた。
睨み合っていた母も祖母も、狼狽えていた父も、目を丸くして私を見ている。
「明日はお姉ちゃんの十三回忌なんだよ!? そんなこと言ったら、お姉ちゃんが可哀想だよ……!」
十三回忌がどういうものなのかとか、12年目なのにどうして十三回忌なのかとか、詳しいことは何も知らない。
でも、自分の節目の日の行事に、母親にも祖母にも『出たくない』と言われたら。
それを父親が止めもしなかったら。
お姉ちゃんは、きっと、ひどく傷つくんじゃないだろうか。
だって、祖母と二人きりだった5歳の誕生日、私はあんなに傷ついたから。
だから、二人の発言も、父の態度も、許せなかった。
「……ごめん。そうね、こんなこと、喧嘩の勢いだとしても、言うべきじゃなかったね」
母は呆気に取られたようにしてから、目を伏せて謝った。
「そうだねぇ、はるちゃんに悪いことをしたねぇ」
祖母も申し訳なさそう言った。
「……別に、分かってくれたなら、いいんだけどさ。あと、今日は、私の誕生日でもあるんだから、せめてもう少し仲良くしてほしいな。お姉ちゃんの十三回忌はこの一回きりで、私の誕生日は来年もあるから、そんなに大事じゃないかもしれないけど」
初めて母や祖母に声を荒げてしまった気恥ずかしさと申し訳なさから、言わなくてもいいようなことまで口走ってしまった。
「ごめん、千里。誕生日だって分かってたのに、こんな……冷静さを欠いて、本当に母親として恥ずかしいし、申し訳ない。ごめんね」
ハッとしたように、母は言った。
「ちぃちゃんの誕生日が大事じゃないわけじゃないんだよ、ごめんねぇ」
祖母もますます申し訳なさそうに言った。
「ううん、気にしないで。私は気にしてないから」
そうだ。父も母も姉の発作でいなくて、絶望の中、祖母と二人きりで祝った誕生日に比べたらずっとマシだ。
まだ十分に温かいハンバーグに箸を入れる。じわりと肉汁が溢れて、白ご飯と一緒に食べれば、ソースと共に口の中でお米に味が絡む。
いつもの、私の大好きな、ハンバーグの味だった。
その後、かなり和らいだ空気の中で私の誕生日のお祝いのケーキを食べ、母と祖母も反省から、直接的なお互いへの謝罪はないものの、なんとなく和解した空気で食事を終えた。
私はシャワーを浴びながら、夕食の時のことを考える。
祖母と母の言葉や父の態度は、家族の中で姉のことが過去のことになりつつあることの証明であるように思えた。
12年前、家族の中で最も愛されていたのは姉だったかもしれない。
でも、勢いで節目の日を蔑ろにしてしまうようなことを口走ってしまうくらいには、姉のことは過去のことになってしまったのだ。
それはどこか物悲しくもあり――不謹慎ながら、どこか嬉しくもあった。
たぶん今、最も愛されているのは、姉よりも私だと感じたから。
「お姉ちゃん、こんな妹でごめんなさい……」
かすかに胸が痛んで、ボディソープを洗い流しながら小さく呟いた。
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