その物語は、悲劇から始まった

ろくさん

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第一章 悲劇?喜劇?‥冒険?

三話 悲劇を乗り越えて 

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すでに体の半分を無くしてしまったミスターは、後悔していた。

初めて訪れた世界。
周りに広がる食の海にはしゃぎ過ぎたのだ。

危機感知能力スキル∞を保持するミスター。その能力は、スキルの持ち主であるミスターに、渡界してから一度としてその危険を伝えることはなかった。

たとえ、ミスターに驕りがあったとしても、与えられた天国のような環境から心が幸福に歓喜し高ぶっていようとも、絶対的スキルさえ発動していたならば、こんな人生最悪の悲劇を迎えることはなかったはずであった。

しかし、現実にミスターは、危機を逃れらることはなかった。

いや、その現実、真実は、全くの危機ではなかったのかもしれない。
本来のミスターのスキル能力をもってしたならば、どんな怪物を相手どっても、生命の危機など迎えることはなかったはずである。


はず、たら、れば、しかし、どんな仮定的言葉を並べてみようとも、ミスターに突きつけられた現実は、半身を無くし、命の炎はあと僅か。風前の灯火と成り果てていたのであった。





『むしゃむしゃむしゃ』

「美味いなあ」

『むしゃ『『バキ『ギャー』』』むしゃむしゃ』

残った半身を咀嚼し始めた怪物に対して出来るミスターの最後の抵抗は、懐かしい生まれた世界への回帰行動だけであった。







*****


「ま、ま、まさか…」


『ウ、ウ、ウェ~』


「ぎ、ぎ、ぎもち悪いぃぃ~」

口からゆっくりと引っ張り出した爪楊枝程のギザギザを有した赤茶色のその物体には、どこからどう見ても関節らしきものまで確認でき、それが生物、昆虫の物だと確実視できた。

『まさか、足だけが勝手に口に入る訳ないよな……じゃ…残りのパーツは?……』


義弘は、吐き気が治まるまで僅かばかりに確保されたテリトリーの柔らかな布団に踞るしかできなかった。

そのテリトリーを囲む見たことのない世界への関心は、未だに湧き上がることはなかったのである。



『チュンチュンチュン、チュンチュンチュン』


どれくらいの時が流れたのであろうか?ようやくその悲劇の現実を受け入れた義弘は、ゆっくりと立ち上がった。


「ところで、ここは、何処?」


普通、人は全く理解のできない現状をたたきつけられたとして冷静にいられるものであろうか?
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