その物語は、悲劇から始まった

ろくさん

文字の大きさ
5 / 61
第一章 悲劇?喜劇?‥冒険?

二話 悲劇の真実

しおりを挟む
『ゾワゾワゾワゾワ』


背筋を流れる冷たい汗の流に逆らいおぞましい寒気が義弘の背中を駆け上がる。


「あし!、足!!」


それはどこからどう見ても、小動物の足。
うっすらと輝きを発する赤茶色のトゲが主張する独特のフォルム。それは間違いのないミスターGの足。世界で最も嫌われ者ミスターGの足に間違いなかった。

口の中からつまみ出したその物体。義弘は、愕然とするしかなかった。
それが、いつ如何なる状況下で、自分の口の中へと侵入したのか?いや、それよりも想像したくない事実として、ミスターGの足だけが自ら歩いて自分の口に侵入することなどありはしい。では、足以外、それの存在は…義弘の背筋を這い上がる悪寒は、更に強まるのであった。





******(ここからは別視点、ミスター側からの視点となります)



「うむ、この世界に来たのは正解みたいだな」


この世界に初めて降り立ったGにとって、見晴らすその世界は、まるで天国のように感じられた。
見渡す限りの食材、御馳走の山々。


「うむ、この世界にいるかぎり飢えに苦しむことはないだろうな」


しっかりと六本の足をこの世界の地につけたミスターは、一人?納得頷いていた。


「さて、電気も消えた。今夜の御馳走、何にするかな?」


『カサカサカサ』

その夜、ミスターは、待ち受ける人生最悪の悲劇を知るともなく、心弾ませ活動を開始したのである。



「美味美味美味♪美味美味美味♪」

「おっ♪あれは♪♪」


その姿その香り、それは間違いのないミスターの大好物。

僅かにプラの弁当箱からはみ出し見せるその大好物のフライの姿が、突然に目に飛び込んだのが、ミスターにとって人生最悪の悲劇の始まりのきっかけだった。


大好物に向かって全速力で六本の足を回転させる。

目の前に見える小山など、ミスターの脚力にとっては何の障害にもならない。背の羽根を軽く震わせ軽快にジャンプしたミスター。

ミスターの立てた御馳走への最短ルートは、僅かに御馳走を隠す小山へとジャンプ。その小山を踏み台として、一気に目標への御馳走へとまっしぐらに突き進む。最高最短ベストな選択となるはずであった。

しかし、現実というものは無惨なものである。
小山へとジャンプして着地点となるはずべき場所に、それまでにはなかった大きな穴がぽっかりと口を開けていたのである。


それはミスターGが、少し調子にのりすぎたのがいけなかったのか?
それとも突然に湧き出た大きな穴を甘く見てしまったのがいけなかったのか?
ともかく、勢いのついたミスターのジャンプは、決められたコースを変えることなく絶望の穴へダイブすることとなったのである。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る

ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。 異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。 一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。 娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。 そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。 異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。 娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。 そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。 3人と1匹の冒険が、今始まる。 ※小説家になろうでも投稿しています ※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!  よろしくお願いします!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

祈りの果てに ― 無限の箱庭で笑う者 ―

酒の飲めない飲んだくれ
ファンタジー
俺は一度、終わりを迎えた。 でも――もう一度だけ、生きてみようと思った。 女神に導かれ、空の海を旅する青年。 特別な船と、「影」の船員たちと共に、無限の空を渡る。 絶望の果てに与えられた“過剰な恩恵”。 それは、ひとりの女神の「願い」から生まれたものだった。 彼の旅路はやがて、女神の望みそのものを問い直す。 ――絶望の果て、その先から始まる、再生のハイファンタジー戦記。 その歩みが世界を、そして自分自身を変えていく。 これは、ただの俺の旅の物語。 『祈りの果てに ― 無限の箱庭で笑う者 ―』

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約

Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。 腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。 地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。 彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。 「死んで、私の影になれ」 彼女は知っていた。 この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。 そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。 これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

処理中です...