その物語は、悲劇から始まった

ろくさん

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第一章 悲劇?喜劇?‥冒険?

一話 悲劇が襲う

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『チュンチュン、チュンチュンチュン、チュンチュン』


「う~、寒ぶ~」


義弘は、布団の横にとズレていた毛布を引きずりあげ、薄い肌掛け布団の上へと頭から被り直すと、思わず丸まった。


『チュンチュン、チュンチュンチュン』


「?????‥‥」


『チュンチュンチュン、チュンチュン』


「??…と・り?」


『チュンチュン、チュンチュン、チュンチュンチュン』


築40年、義弘の住むぼろアパートの四畳半の部屋にある窓から朝日が入ることはない。
すぐ隣にたった同じ大家のマンションが光の侵入を遮り、僅かに侵入する僅かな光が夜と昼との区別を教えてくれていた。


「????」

『どういうことだ?今、聞こえるのは鳥のさえずり?!都会の中心から僅かに外れたとはいえ、このアパートのある地域で、鳥のさえずりが聞こえた事など一度もない!』


義弘は、頭から被った布団の僅かな隙間をゆっくりと広げた。


「うっ、眩しい…??」


『眩しい?何故だ?昨夜は確かにアパートの中で寝た筈だ?』

義弘は混乱していた。

頭から被った掛け布団の僅かな隙間から見える風景は、どこからどう見ても屋外であり、立ち並ぶ木々の隙間から差し込む光は、自然豊かな場所の証明で街中ではないことを表していた。


「いったい全体どうなってんだ?」


一人愚痴た義弘は、頭から被った布団を恐る恐るゆっくりとずらし、周りを慎重にうかがいはじめた。


現在、アラフォー無職の主人公佐伯義弘を取り囲む環境は、大人二人が両手でも抱えても抱えきれない程の太さを誇る、高く高くそびえ立つ大木。そんな大木が不規則に、200×95センチの義弘のテリトリーの周りに無限のように広がっている。


「森?の中?」


小鳥のさえずる森林の中、すぐには危険を感じることはないとほっとする義弘。

『?ん??』

危険がない事を感じることが出来るということに僅かに違和感を覚えた義弘ではあったのだが、それよりも遥かに大きな違和感が義弘を支配していた。

そう、大きな大きな違和感。その違和感は、主人公義弘の口の中に発生していたのである。


『何だ?』

「しーー、しぃーー、しぃーしぃー」


口の中の違和感。
どうも口の中、歯の隙間に何かが挟まっている。


「しぃーしぃー!とれた!!」


違和感の原因。

当然それは、当人が口に入れて咀嚼したその残り。

歯の隙間から外れた違和感の原因を口から出した義弘の背筋に冷たい汗が流れた。


「‥‥‥‥‥あ、あ、…あ、し?」


寝て起きた場所が変わっていた事よりも更に大きな悲劇の事実が主人公佐伯義弘を襲っていた。
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