その物語は、悲劇から始まった

ろくさん

文字の大きさ
19 / 61
第四章 異世界生活

一話 探索クエスト

しおりを挟む
アラフォー無職の義弘は、媚びの功が奏じたのか、四人の美女から見捨てられることなく、その日の朝食も食べることが無事にできる。


「さて、ヨシヒロ、索敵を展開して魔物の状況を教えてくれないか」


パーティーリーダーのアトリが期待を込めて義弘に指示を出す。


「はい、昨夜からずっと索敵していて、ここからだと街のあるあたりまでだと、最大で狼みたいな奴の5匹のグループ。あとは2~3匹のさほど、強くはない魔物が点在している程度ですね♪」


おっさんの話は、とてもではないほど信じられないものであった。

昨夜のおっさんの話から、人外の能力を保有していることは理解している。
しかし、同じ人外といえども、人並み以上の人外と想像すらできない人外とではまるで意味が違う。
魔法であろうと、スキルであろうとも発動できる時間には、限度があり一晩中の行使など神か魔王ぐらいしかできる訳がなかった。


「お、おっちゃんって、もしかして、ま、魔王ニャ?」


「はい?何ですか?その魔王って?」


ラノベを読みふけっていた義弘が魔王の意味を知らない訳はない。それでも、いきなり魔王指定は余りにも理不尽。自分の行動が余りにも理不尽であるとは理解不能のおっさんである。


「はあ~…」


「な、な、何なんでしょか?」


「はあ、そうね。あなたの行動が余りにも人外過ぎて、もはや、私達には、神か魔王ぐらいにしか判断できないってことよ」


アトリの言葉の意味。それこそおっさんに寝耳に水。良かれと思っての行動が、いつの間にか魔王である。


「あのぉ、わたくし、魔王なんかじゃありませんから。人類の敵ではありませんから」


それは、おっさんの必死の主張である。

キャンプを追い出されて一人にされるよりも、おっさんに、とって遥かに大事な局面であった。

ここで魔王指定されてしまえば、これからの異世界生活、真っ暗闇確定である。


「えっと、えっと、そうです、私、魔法も使えないし、武器も使ったことないですし、それから、えっと…」


「大丈夫ニャ、誰も、おっちゃんが魔王だなんて思ってないニャ♪」


「………ほんと?」


おっさん、よく見ると周りの美女たちは、口元を抑え我慢しているようだ、ニヤニヤとした表情は隠しきれない。


「ほんとです」


口下手なローリーの言葉がおっさんを、ようやく落ち着かせる。


「ほんとに、ほんと?」


「はい」


「はああぁ~…」



おっさん、テンション一気に下がり、急に冷静になるとやたらと恥ずかしくなり、思わず両手で顔を隠した。


《クククク、面白いぞ人間クククク》


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る

ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。 異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。 一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。 娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。 そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。 異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。 娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。 そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。 3人と1匹の冒険が、今始まる。 ※小説家になろうでも投稿しています ※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!  よろしくお願いします!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

祈りの果てに ― 無限の箱庭で笑う者 ―

酒の飲めない飲んだくれ
ファンタジー
俺は一度、終わりを迎えた。 でも――もう一度だけ、生きてみようと思った。 女神に導かれ、空の海を旅する青年。 特別な船と、「影」の船員たちと共に、無限の空を渡る。 絶望の果てに与えられた“過剰な恩恵”。 それは、ひとりの女神の「願い」から生まれたものだった。 彼の旅路はやがて、女神の望みそのものを問い直す。 ――絶望の果て、その先から始まる、再生のハイファンタジー戦記。 その歩みが世界を、そして自分自身を変えていく。 これは、ただの俺の旅の物語。 『祈りの果てに ― 無限の箱庭で笑う者 ―』

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約

Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。 腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。 地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。 彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。 「死んで、私の影になれ」 彼女は知っていた。 この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。 そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。 これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

処理中です...