その物語は、悲劇から始まった

ろくさん

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第四章 異世界生活

二話 ベースキャンプ

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おっさん、魔王疑惑が晴れてからはみんなの行動は素早かった。


「さて、今回のクエスト、とても楽ができたみたいだけど、お家に還るまでが、ほんとうのクエストだよ!さあさあ!撤収撤収!」


おっさんがほんとうに受け入れられた瞬間である。

パーティーリーダーでもあるアトリからのその言葉は、おっさんの索敵が認められ、昨夜からの行動が、無駄にならなかったという証になった。


「ううぅ~」


佐伯義弘42才、異世界に来て思わず涙を流してしまう。


「おっさん♪こっち手を貸して♪」


認められたおっさんは、感傷に浸る時間ももらえない。


「さっさと撤収して、我が家で宴会するぞ♪」


「「「おおぉー」」」」


四人の美女からは、昨夜の緊張は、まるで感じられない。
それはまるで遠足にでもいく子供の表情。クエストからの解放が与える影響をまざまざとみせつけていた。

おっさんは、はしゃぐ美女達の表情から『魔の森』近くのクエストの難易度を理解して、役にたてて良かったと『ほっと』胸をなで下ろすのであった。




魔素の濃い『死の森』を囲むように周辺にも木々が茂り、二重の森を構成している。

中心の森を『死の森』周辺の森を含めた森林地帯を『還らずの森』とエンドでは指定し、冒険者ギルドでは、低ランクの冒険者の森への侵入を制限している。



おっさんと山茶花のパーティーは、泉でのキャンプを撤収すると、おっさんの索敵を確認しながら、最果ての街エンドを目指して歩き出していた。


「しかし、おっさんの索敵、ほんと凄いなあ」


おっさん、全くほめられ慣れていない。
人に褒められたことのないおっさんが、美女にほめられることなどあるはずもない。褒められ真っ赤になりながらも必死に平静を装うおっさんである。


「ヨッシーの索敵は、完璧みたいだね。さあ、ベースキャンプまで、一気にいくよ、いいかいみんな♪」


どうやら確認作業は終わりらしい。
還らずの森を抜けるとベースキャンプが有りそこに仲間が待機しているとのこと。全員の足並みがどんどんと早くなっていく。


距離にすると20キロほど、危険な森林行進を加味すると一般の冒険者で一日の距離に相当する。

今回、山茶花とおっさんの行軍は、危険察知に気を付ける必要がないことでベースキャンプ到着予定は、お昼頃を想定していた。



「やったあ、到着ニャ~」


リルアの言葉を、きっかけに森の木々の隙間を感じ始める。木々の間隔が広がって差し込む日差しどんどんと増えて森の空気も軽くなっていく。




「あっ、団長!」


「団長!な、何かありましたか?」


森を抜けてすぐのことである。

義弘の索敵には当然二人の人の姿は、森の中からでも確認できていた。
しかし、ベースキャンプの存在を聞かされていた義弘には、敵意のない人の姿は、報告に値しなかったのである。


「ただいま♪変わったことはなかったか?」


「「はい♪全くありません」」


二人の美少女の声は見事にシンクロする。


「こっちは無事にクエスト終了だよ♪」


「「えっ??」」


「今から撤収を、始めれば夜までには、我が家に着ける♪」


「だ、団長。ほんとに?」


二人の美少女なアトリはニッコリと笑顔で応える。


「ああ、このちょっとばかり胡散臭いおっさんが、協力してくれてな♪一気に仕事を終わらせてくれたよ」


それは完全に皮肉の混じった言葉であった。
一週間はかかるであろう索敵作業を夜警の傍らに終わらせてしまえば仕方のないことともいえた。


「このおじさんが?」


『おじさん♪』なかなかの良い響きである。

義弘は、自分の笑顔こそが胡散臭さを演出することを知らずに!精一杯好感触を得るため、笑顔を振りまきながら挨拶をする。


「佐伯義弘と申します。アトリさんには、魔の森でお世話になりました。よろしくお願いします」


本人、会心のご挨拶である。

おっさん、握手をすべく頭を下げながらゆっくりと右手を差し出した。


「「……よ、よよ、よろしく…」」


二人の美少女は!まるで怖いものでも見たように、おっさんの差し出した手を無視し、「よろしくの」一言を告げるとアトリの後ろへと直ぐに避難した。

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