その物語は、悲劇から始まった

ろくさん

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第四章 異世界生活

四話 初ギルド

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馬車は進む。
街をゆっくりと、馬車は進む。


「…ねえ、おっちゃんは、これからどうするのニャ?」


それは御者席からの突然の質問だった。

現在、馬車の向かう先は、クラン山茶花のホーム。クラン山茶花は、女性の冒険者のみのグループであり、男性の入る余地はない。


「さて、どうするかねぇ…ここで放り出すのも何だしねぇ…」


アトリは真剣な表情でつぶやく。


「まあ、今晩だけはお客様として、滞在してもらうとするかねぇ…」


「まあ、おっちゃんなら人畜無害そうだし、大丈夫なんじゃないのかニャ♪」


おっさんに2隻の助け船が差し出される。


「あ、ありがとうございます♪」


義弘は、九死に一生を得た気分である。
見知らぬ街で無一文。着ている服さえ寝間着代わりのジャージーである。こんな見慣れないおっさんが無事に一夜を過ごせる筈がないことなど、呑気なおっさんにさえ理解できることであった。


「まあ、今夜はゆっくりとしてもらって、明日はあたしが、ギルドへ一緒に行ってやるよ♪」


それは、街の有力クランの団長からのありがたい御言葉。
義弘としては、今後、異世界生活を始めるにおいて、強力な援護となる言葉で絶対的信頼を感じさせる言葉であった。

おっさん達を乗せた馬車が、街の中をしばらく走ると、そこに目的地が現れる。
その目的地の家は、家というよりも屋敷の方があてはまるような異世界人のおっさんの目から見てもとても大きな洋館である。

大きな開け広げられた鉄格子の門をくぐり抜け、敷地内の道を洋館の入口へとゆっくりと進んだ。


「団長、お帰りなさい♪」


「ああ、ただいま♪」


玄関にあたる大きく立派な観音開きする扉が全開にされ、中から迎えの女性達が次々と現れた。


『天国じゃ♪天国にやって来た♪』


おっさんの目には、色とりどりに着飾る美女がこれでもかと色気を振りまくように見えていた。


「団長、この薄汚いおっさん!誰ですか!!」


その蔑む声は、上機嫌だったおっさんの心を一気に凍らせる。


「ああ、客人だ。今晩、一晩、うちで世話する」


「「「「「「「「「「「「ええぇー」」」」」」」」」」」」


それは一斉の拒絶の言葉であった。
女性だけのクランハウス。そんな所に男が泊まる。若い美男子ならばいざ知らず、誰がみても怪しげなおっさん。否定の言葉が出るのが当たり前である。


「世話するのは確定事項だ!リリー、お前に世話を任せる!」


「わわわわ、わたしですか?」


「ああ、お前なら適任だろ?」


アトリの指名を受けたのは、年齢的に見て今見渡す中で最も上。見た目30後半の美熟女手前の女性である。


「ヨッシー、こちらは、リリー。山茶花で相談役をしてもらっている。まあ、うちのナンバー3だ」


「始めまして、リリーです。なってしまったものは仕方ないので、まあ、何でも聞いて下さい。あっ、それからいろいろと禁止事項なんかもあるので、部屋に案内したら準に説明しますね」


「は、はい。よろしくお願いします」




その夜は、クエスト成功の宴会に馴染めず、おっさんは直ぐに就寝の床につく。
シャワー室でのラッキースケベも発生することなく無事に朝を迎えるのである。





「ここが、ギルドよ」


その建物は、3階建てであり街の他の建物とは一回り大きく目立つ存在であった。

案内役を仰せつかったリリーが先導して、目前のギルド会館へと義弘を迎え入れた。


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