その物語は、悲劇から始まった

ろくさん

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第四章 異世界生活

二十三話 ステータスと凱旋と

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三台の馬車に別れて最果ての街エンドへと走り始める。


朝食の後片付けを終えた12人の冒険者は、坑道災害被害者ゼロの好結果を待つ人々のいるエンドへと馬車を走らせる。

おっさんの横には上機嫌の山猫美女のリルア。
おっさんにとって天国モードの昨夜の大接近はないものの、半身で肩によしかかる美女に、たじたじのおっさんである。


「もう着いてしまうニャ。ゴルドのおいちゃん、もっとゆっくりニャ」


任せっきりにした御者操作に、エンドの城壁が見えてきた時、リルアのクレームが発生する。


「これ以上、ゆっくりは走れねぇよ」


前に先行する二台の馬車からは、既に50m以上は起き去られている。

ゴルドは、苦笑いを浮かべるとリルアの言葉とは反対に、馬へと優しく鞭を入れた。


「もう、仕方ないニャ」


言葉の意味とは比例しない笑顔のリルアのヒゲは、リズミカルにウェーブ中。

山猫族の大半の者達は、感情が高まった時、そのヒゲに特徴的な動作が確認出来るという。
現在のリルアがまさにそれである。既に伴侶と定めたおっさんに無条件での接触に大満足中である。



そんなリルアとは対照的に、リルアへの意識を外に置き、義弘は今朝の出来事を思い返していた。

美味しそうなスープ。意識をスープに向けた時、一気にその対象であるスープの情報が頭に浮かんで来たのである。


『もしかして鑑定か?』
《ふっ、今さらか‥》

情報が見える。それがどういうことなのか。そこまで考えが至れば、やることなど一つしかない。


『鑑定』


おっさんは、こっそりとスキルを発動する。




【佐伯義弘】  (42)

体力(HP)  170/170 →   187/187

魔力(MP)   ∞

筋力    84                 →            93

耐久    75                 →            83

敏捷    35                 →            39

精神    92

器用    43

幸運    97


スキル

*******

*******

索敵能力      レベル ∞

*******

鑑定        レベル 4

身体強化      レベル 1

魅惑        レベル 1

魔法スキル

***

***

***

***

光属性        レベル 2 

***

時空間        レベル ー

***


称号

世界を渡りし者

捕食(飾)者



鑑定スキルで判ったことは、オーブがなくてもステータスを見ることができるということ。

おっさんは、ギルドでもらったオーブ判定の結果と現在のステータスに変化があることを知る。
そうしてその事から導きだされたこの世界での理(ことわり)。
どれだけ魔物を倒し経験値を増やそうとも、倒す技術や自分の体力が上昇するだけで、ゲームのようにレベルアップで、一足飛びのステータスアップをすることは出来ないということ。
少ない情報から得れたこと、それは技術力(スキル)向上こそが、この世界で生き残るために最も重要であることだ。



「でも、この捕食者って称号は、なんだ?」


それは新たに現れた称号。
いかに称号に鑑定スキルを使用しても何の変化も現れない。
果たしてこの称号!おっさんの異世界生活に幸福を与えてくれるのか?




離れていた馬車との距離も近づいた頃、山茶花リーダーアトリの操る先頭馬車は、エンドの城門を通過していく。

まだ街は目覚め始めたばかりで、門の両脇に控える衛兵の出迎えの敬礼以外の人影は、まだまだまばらで見かけられない。

昨日の今日の出来事では、拍手喝采の出迎えの凱旋は期待する方が無理だったのかもしれない。
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