その物語は、悲劇から始まった

ろくさん

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第四章 異世界生活

二十四話 拍手喝采

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三台の馬車は、メイン通りを静かに走る。
そうして辿り着いたギルドの前で、馬車はゆっくりと静止した。

今回の被害者3人、ジン、アイリス、クロアとおっさんズ2人が馬車から降り立つと、三台の馬車はホームに向かって走り始めた。

ギルド会館の前には、アトリと5人とオマケの山猫美女。



「ただいま、帰ったよ♪」


アトリは、7人の先頭を切りギルドの入口を解放した。



「「「わあぁー」」」


それは、耳をつんざく程の歓声だった。
拍手喝采雨あられ、歓声の渦は大きくなるばかりで一向に治まる気配は感じられない。

その時のギルドの中は、最大級の冒険者寿司詰め状態。山手線の満員電車にも引けを取らないそんなラッシュ。
そんな満員ラッシュの人波が、ヒーローを迎えるために左右へとゆっくりと別れ道を作る。


「お帰り♪ヨッシー、よくやってくれた♪」


人並みの最奥から現れたのはゲン爺さん。
爺さんは握手を求めるように義弘に近づいた。


ゲン爺さん、自称ギルド雑用係。しかし、エンドの街でゲン爺さんを知らない者は、会話の出来ない幼子ぐらい。
若かりし頃、ギルドランク最高位Sランクにまで登りつめた凄腕の冒険者である。
そんな冒険者の引退先が、この最果ての街エンドのギルドマスターであった。


「ゲン爺さん、ただいま帰りました」


おっさんは、ゲン爺さんの笑顔に慢心の笑顔で応えを返した。



「うむ。ゴルドもご苦労さんじゃったな。復帰戦にしては、なかなか大変じゃったろう」


「ふふん、俺は何もしてないさ。ヨッシのおかげで何もかも無事さ」


ゴルドの笑顔には何の屈託もない。

これまでの過去の鉱山災害での被害者救難出来た確率を考えれば、それは奇跡としかいいようのないものである。

どれほどチートで人外指定されようとも、生涯、おっさんのサポートをすることを心に誓うゴルドであった。



「ほれアトリ、使い魔ルルじゃったか?返すぞ」


それは小さな小さな、手のひらにでものりそうな小鳥。
使い魔と呼ばれたそんな小鳥は、ゲン爺さんの手からアトリへと差し出される。


「ゴルちゃん!あれは?」


「ああ、あれか‥」


毛むじゃのおっさんは、顔に似合わず丁寧な説明を義弘に始めてくれる。

ゴルドのいつものカウンター席に着いて、今日の始めの酒の肴は、アトリの使い魔の話しで花が咲きそうであった。


「ヨッシーさん!後で受付に顔だしてください!カード、預かったままですよ!!」


人波の向こうからの叫ぶような声。

始めに比べれば、幾らかは小さくなった人波。しかし小さくなってはいてもその声の主の姿は確認出来ない。

一目ヒーローを拝んで握手する。本日の握手会は大盛況のようである。
まだまだ、ギルドのラッシュの時間は終わりそうになかった。


ゴルドから使い魔のことを聞いたり、受付にてミリアからの説教を受けたり(ギルドカードを預けたまま救助に出掛けた事)と、たった一日だけど、おっさんの冒険者稼業は、どんな冒険者が体験するよりも異世界生活に必要な濃密な体験を与えていた。
おっさんが持つ、幸運(ラック)97が、良い仕事をした一日であった。
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