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第三章 最悪な休日
第三話 さんにん
しおりを挟むガタゴトと、壊れた玄関のドアを修復魔法で直してから部屋に戻ると、トパが既に段ボールを開けてスナック菓子とジュースを食べていた。
「あ、レインー、意外と遅かったねー。ずっと授業寝てるから修復魔法なまったんじゃないー?」
口をモグモグさせながらトパが言ってくる。
何故かその隣にサフィもいた。ちゃっかりスナック菓子もつまんでいる。
「おいサフィ! なんでてめえまでいるんだよ⁉ どっから不法侵入してきやがった⁉」
「ベランダからよ」
「しれっと言ってんじゃねえ!」
「年頃の男女が密室に二人きりなんて、なにか間違いがあったら大変だからね。見張っとかないと」
「トパ相手にそれはねえよ!」
トパが「がーんっ」とコミカルなショック顔になる。
「つーかもはや完全な犯罪ストーカーじゃねえか! 通報だ通報! トパものんびり食ってねえでもっと驚けよ!」
「あら、招き入れてくれたのはロイさんよ。ベランダにいたのだって、転移魔法の練習に失敗して、偶然、あそこに来ちゃっただけだし」
『偶然』という言葉をことさら強調して、悪びれもせずにしれっと言いやがる。
「澄まし顔で嘘ついてんじゃねえ! さっき不法侵入を認めただろうが!」
「そうだったかしら? 忘れたわ。それにそんなの言葉の綾でしょ」
「いいから出ていけ! トパもだ!」
トパがまた「がーんっ」とコミカルなショック顔になる。
「あら。休日に可愛い女の子が二人も部屋に来てくれてるのに、その言い草はないんじゃない? クラスの男子が聞いたら激怒するわよ」
「いいから早く出ていけ!」
「そんなに言うなら、あなたが出ていけばいいじゃない」
どうやら意地でも出ていく気はないらしい。
「くそがっ! もういい! 俺が出ていく!」
二度寝は漫画喫茶ですればいい!
ドシドシと怒り肩で玄関へと向かうと、後ろから二人の声。
「よーしっ、それじゃあレインのお気に入りのエロ本でも探しますかーっ」
「残念だけど、彼は書籍も画像も動画も全部携帯端末に保存してるわよ」
「えーっ」
なんで知ってんだよストーカーが!
「それより、無駄だろうけどカメラと盗聴器を仕掛けとかないと」
「うわあ……さすがにそれはあたしも引くなあ……」
「録画出来たら、ロイさんにもあげるわよ」
「設置するの手伝うよサフィさんっ!」
ノリノリじゃねえか!
帰ってきたら全部見つけてぶっ壊してやる!
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