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大脱出
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連れて来られた部屋は小さな応接室という感じだった。
手荒くされた割には綺麗な部屋だ。
牢屋みたいなところに投げ入れられる勢いだったので。
メイド?みたいな人に身なりを整えてもらった。
「少々お待ちくださいませ」
そう言って出ていった。ガチャン!鍵をかけられてしまった。
ガチャガチャ、駄目だ、外鍵だ。出られない。
ここはどこだろう?
窓から外を見た。2階くらいか?
外の景色は噴水があり、ハーブの花壇があった。ここは…神殿だ。
ガチャ
ドアが開いた。
ルーメン枢機卿だ。恐ろしい形相で立っている。
「なにを見た?」
「えっ?」
「なにを見た?マルグリット・ララ・ロレンス!」
「何のことがわからないわ。それより私を解放しなさい!」
「随分と強気だな。自分の立場がわかっているのか?」
ずいっと私のすぐそばに寄って
「今から亡きものにすることもできるのだぞ…」
と言ってきた。
正直恐ろしい。
するとドアの外で
「枢機卿、すべて整いました。礼拝堂の方へお越しください」
チッと枢機卿は舌打ちをすると
「お前たちがどんなに邪魔しようと私はやるべきことをやるまでだ」
と、出ていってしまった。
鍵は…相変わらず外からかけられている。
(アロ様、ヘルバ様、いるんでしょう?脱出できそうなところ教えて!)
私は心の中で問いかけた。
すると
暖炉の奥がほのかに光っている。
「うそうそうそうそ」
暖炉の奥に隠し扉があった。
「もう!」
「やだやだやだやだ」
煤だらけになりながら奥へ進んでいった。
次の間なのか、次の次の間なのかとにかく別の部屋に出られた。
泥だらけではないが煤だらけだ。
ガチャ
誰か入ってきた!
私はカーテンの影に隠れた。
「もう時間がないわ。やっぱりやらなければ駄目なの?」
「先生と連絡が取れない限り外の様子がわからない」
「私は嫌よ!王室に輿入れなんて!ましてやあんなこと…」
「落ち着いて。枢機卿はさっき礼拝堂で発表したようだよ」
「私抜きで?」
「もう暴走している」
「ソルは?本当に死んでしまったの?」
エレニとケイレブだ‼︎
「誰だ!」
ケイレブの声に私は観念してカーテンから出た。
「ララ⁉︎」
ケイレブは私であることに驚き、エレニは私が煤だらけなことに驚いている。多分。
「…今度はなんだ?泥棒のまねか?」
「違う!拉致されたの!」
「拉致⁈」
私はふたりに拉致された状況を話した。話している間、エレニは私のドレスの煤をはらい、ソファに座らせ、タオルで顔や手を拭いてくれた。
年下なのに聖女なのにこんなことさせて申し訳ない…
「わかった…とにかく今はララを逃そう。エレニ、ひとりになるけど枢機卿はまだきみには危害を加えないはずだ。耐えてくれ」
「わかったわ!でもその前に」
エレニは私に向き直って
「ソルは?本当に死んだの?自殺って聞いたわ」
今にも泣きそうに聞いた。
「死んだわ。でも自殺なんかじゃない!
枢機卿に殺されたのよ!」
「!」
「…どう…し…て…」
ふたりは相当ショックなようだった。
「…先生は枢機卿の計画を私たちに明かそうとしていた。多分それで…
ねぇルーメン枢機卿の仕上げの計画って何なの?知っているなら教えて欲しい、先生のためにも」
「明日、陽が落ちるとともに、神が降臨する。神殿前に集まるようにと、」
ケイレブがぽつりぽつりと言った。
「そこでエレニがまた雨を降らす。成分はあの聖水だ」
やはりあの霧雨は聖水だったのね!
「つまりあの時広く網をかけたのね」
「そうだ、引っかかった者は足繁く神殿に通うようなった。ほとんどだがな」
ケイレブが続けた。
「だが今度はこの前の比じゃない!高濃度の聖水を撒く。一気に服従させるのが目的だ」
「そして私は」
今度はエレニが続けた。
「その後レオンハート殿下と婚姻する。輿入れの際、国王とレオンハート様にその高濃度の聖水を飲ませる。死んでもかまわないと枢機卿は言っていました」
「ダメよ!そんなの!わかってるでしょう?ふたりとも」
「でも…」
エレニが弱々しく言った。
「私、神殿の生活しか知らない。聖女という肩書きがなくなったら?私はどうやって生きていくの?いえ、ひとりで生きていけるの?」
その時廊下の方で話し声がした。
私は早口で
「ねぇエレニ!先生はここを出て自由にのびのびと生きるあなたを想像していたわ。学園でもあなたを思って、あなたが生きやすい世の中になるよう教えていた!だから」
「ここを出る勇気を持って!」
廊下の話し声が大きくなってきた。
「ララ様、ありがとうございます」
エレニは深々とお辞儀をした。
「ここは私が時間を稼ぎます、早く!」
「もうダメだ、こっちへ」
ケイレブに手を引かれバルコニーに出た。
バルコニー伝いに逃れなんとか噴水前まで来た。礼拝堂の方へ行こうとするケイレブを
「ダメ!こっち」
と石小屋を目指した。
「何で?」
「こっちに抜け穴があるの」
「なっ⁈なんで知ってるの?」
「神殿に詳しいのよ」
その時!
ケイレブがいきなり反転し私の肩を抱いて倒れ込んだ!
矢が私たちの横をかすめていった。
「何だ!」
「いや、何か動いたような」
「バカ!矢を無駄にするな!こんな奥にいないだろう、こっちだ」
ふたりの男は行ってしまった。
「つ…!」
ケイレブが腕を押さえている。
見ると二の腕が血だらけだった。
「当たったの?」
「いや、かすっただけ」
私はドレスの裾を引き裂き、ぐるぐる巻いて包帯がわりにした。
「ふふっエレニに治してもらう?」
「何それ?本気で言ってる?」
ケイレブが笑った。
こんな状況なのになんだか楽しくなった。
ケイレブは昔のケイレブだ。
「ありがとう、よし行こう!」
例の木の扉を教えるとケイレブは目を丸くして
「何で知ってるの?」
と、もう一度言っていた。
「ちょっと小さいけど…通れる?」
「あぁ、なんとか」
塀の外に出る。細い通路を抜ける。
ケイレブが足を引きずっていることに気が付いた。
「足怪我してる?」
「さっき倒れた時ちょっと捻ったかな。…大丈夫」
やがて林の出口に着いた。
「俺は戻るよ」
「えっみんなと合流してエレニを助けに行こうよ」
突然ケイレブが抱きしめた。
「なに?」
私はあわてた。
「どこで…間違ったのかな…」
ケイレブがそう言って私を離した。
「今すぐ戻ったほうがいい。エレニも不安だろうし」
「でも!」
「あの試合は無効だよ」
「えっ?今ここで?何?」
「よく聞いて。無効なのに勝ちをむしり取ったララは俺に借りがある」
「なにそれ⁉︎」
「借りは返してもらうよ、今。ララは家に帰る、俺は戻る、これに従うことが借りを返すこと以上」
そんな横暴な、と言おうとしたらキリアンが向こうから走ってくるのが見えた。
「やっぱり!ララならここにくるような気が…
ケイレブ⁉︎」
「キリアンいいところに。ララを頼むよ」
「あぁ…」
「今度こそ、間違わないから」
そう言い残すとケイレブは林の中へ消えていった。
手荒くされた割には綺麗な部屋だ。
牢屋みたいなところに投げ入れられる勢いだったので。
メイド?みたいな人に身なりを整えてもらった。
「少々お待ちくださいませ」
そう言って出ていった。ガチャン!鍵をかけられてしまった。
ガチャガチャ、駄目だ、外鍵だ。出られない。
ここはどこだろう?
窓から外を見た。2階くらいか?
外の景色は噴水があり、ハーブの花壇があった。ここは…神殿だ。
ガチャ
ドアが開いた。
ルーメン枢機卿だ。恐ろしい形相で立っている。
「なにを見た?」
「えっ?」
「なにを見た?マルグリット・ララ・ロレンス!」
「何のことがわからないわ。それより私を解放しなさい!」
「随分と強気だな。自分の立場がわかっているのか?」
ずいっと私のすぐそばに寄って
「今から亡きものにすることもできるのだぞ…」
と言ってきた。
正直恐ろしい。
するとドアの外で
「枢機卿、すべて整いました。礼拝堂の方へお越しください」
チッと枢機卿は舌打ちをすると
「お前たちがどんなに邪魔しようと私はやるべきことをやるまでだ」
と、出ていってしまった。
鍵は…相変わらず外からかけられている。
(アロ様、ヘルバ様、いるんでしょう?脱出できそうなところ教えて!)
私は心の中で問いかけた。
すると
暖炉の奥がほのかに光っている。
「うそうそうそうそ」
暖炉の奥に隠し扉があった。
「もう!」
「やだやだやだやだ」
煤だらけになりながら奥へ進んでいった。
次の間なのか、次の次の間なのかとにかく別の部屋に出られた。
泥だらけではないが煤だらけだ。
ガチャ
誰か入ってきた!
私はカーテンの影に隠れた。
「もう時間がないわ。やっぱりやらなければ駄目なの?」
「先生と連絡が取れない限り外の様子がわからない」
「私は嫌よ!王室に輿入れなんて!ましてやあんなこと…」
「落ち着いて。枢機卿はさっき礼拝堂で発表したようだよ」
「私抜きで?」
「もう暴走している」
「ソルは?本当に死んでしまったの?」
エレニとケイレブだ‼︎
「誰だ!」
ケイレブの声に私は観念してカーテンから出た。
「ララ⁉︎」
ケイレブは私であることに驚き、エレニは私が煤だらけなことに驚いている。多分。
「…今度はなんだ?泥棒のまねか?」
「違う!拉致されたの!」
「拉致⁈」
私はふたりに拉致された状況を話した。話している間、エレニは私のドレスの煤をはらい、ソファに座らせ、タオルで顔や手を拭いてくれた。
年下なのに聖女なのにこんなことさせて申し訳ない…
「わかった…とにかく今はララを逃そう。エレニ、ひとりになるけど枢機卿はまだきみには危害を加えないはずだ。耐えてくれ」
「わかったわ!でもその前に」
エレニは私に向き直って
「ソルは?本当に死んだの?自殺って聞いたわ」
今にも泣きそうに聞いた。
「死んだわ。でも自殺なんかじゃない!
枢機卿に殺されたのよ!」
「!」
「…どう…し…て…」
ふたりは相当ショックなようだった。
「…先生は枢機卿の計画を私たちに明かそうとしていた。多分それで…
ねぇルーメン枢機卿の仕上げの計画って何なの?知っているなら教えて欲しい、先生のためにも」
「明日、陽が落ちるとともに、神が降臨する。神殿前に集まるようにと、」
ケイレブがぽつりぽつりと言った。
「そこでエレニがまた雨を降らす。成分はあの聖水だ」
やはりあの霧雨は聖水だったのね!
「つまりあの時広く網をかけたのね」
「そうだ、引っかかった者は足繁く神殿に通うようなった。ほとんどだがな」
ケイレブが続けた。
「だが今度はこの前の比じゃない!高濃度の聖水を撒く。一気に服従させるのが目的だ」
「そして私は」
今度はエレニが続けた。
「その後レオンハート殿下と婚姻する。輿入れの際、国王とレオンハート様にその高濃度の聖水を飲ませる。死んでもかまわないと枢機卿は言っていました」
「ダメよ!そんなの!わかってるでしょう?ふたりとも」
「でも…」
エレニが弱々しく言った。
「私、神殿の生活しか知らない。聖女という肩書きがなくなったら?私はどうやって生きていくの?いえ、ひとりで生きていけるの?」
その時廊下の方で話し声がした。
私は早口で
「ねぇエレニ!先生はここを出て自由にのびのびと生きるあなたを想像していたわ。学園でもあなたを思って、あなたが生きやすい世の中になるよう教えていた!だから」
「ここを出る勇気を持って!」
廊下の話し声が大きくなってきた。
「ララ様、ありがとうございます」
エレニは深々とお辞儀をした。
「ここは私が時間を稼ぎます、早く!」
「もうダメだ、こっちへ」
ケイレブに手を引かれバルコニーに出た。
バルコニー伝いに逃れなんとか噴水前まで来た。礼拝堂の方へ行こうとするケイレブを
「ダメ!こっち」
と石小屋を目指した。
「何で?」
「こっちに抜け穴があるの」
「なっ⁈なんで知ってるの?」
「神殿に詳しいのよ」
その時!
ケイレブがいきなり反転し私の肩を抱いて倒れ込んだ!
矢が私たちの横をかすめていった。
「何だ!」
「いや、何か動いたような」
「バカ!矢を無駄にするな!こんな奥にいないだろう、こっちだ」
ふたりの男は行ってしまった。
「つ…!」
ケイレブが腕を押さえている。
見ると二の腕が血だらけだった。
「当たったの?」
「いや、かすっただけ」
私はドレスの裾を引き裂き、ぐるぐる巻いて包帯がわりにした。
「ふふっエレニに治してもらう?」
「何それ?本気で言ってる?」
ケイレブが笑った。
こんな状況なのになんだか楽しくなった。
ケイレブは昔のケイレブだ。
「ありがとう、よし行こう!」
例の木の扉を教えるとケイレブは目を丸くして
「何で知ってるの?」
と、もう一度言っていた。
「ちょっと小さいけど…通れる?」
「あぁ、なんとか」
塀の外に出る。細い通路を抜ける。
ケイレブが足を引きずっていることに気が付いた。
「足怪我してる?」
「さっき倒れた時ちょっと捻ったかな。…大丈夫」
やがて林の出口に着いた。
「俺は戻るよ」
「えっみんなと合流してエレニを助けに行こうよ」
突然ケイレブが抱きしめた。
「なに?」
私はあわてた。
「どこで…間違ったのかな…」
ケイレブがそう言って私を離した。
「今すぐ戻ったほうがいい。エレニも不安だろうし」
「でも!」
「あの試合は無効だよ」
「えっ?今ここで?何?」
「よく聞いて。無効なのに勝ちをむしり取ったララは俺に借りがある」
「なにそれ⁉︎」
「借りは返してもらうよ、今。ララは家に帰る、俺は戻る、これに従うことが借りを返すこと以上」
そんな横暴な、と言おうとしたらキリアンが向こうから走ってくるのが見えた。
「やっぱり!ララならここにくるような気が…
ケイレブ⁉︎」
「キリアンいいところに。ララを頼むよ」
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そう言い残すとケイレブは林の中へ消えていった。
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