簡単にすらすらと神様を語る人を私は信用致しません

バオバブの実

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楽しい卒業パーティー

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 学園には王宮を模したダンスホールがある。卒業パーティーは毎年そこで開かれた。

 私は卒業間際で婚約破棄されたためエスコートしてくれる人がいなくなってしまった。
 ケイレブに頼んでみたら
「悪い、他当たって」
 断られてしまった。
 しょうがない、キリアンに頼もう。
「しょうがない、キリアン、エスコートお願い」
 しまった!心の声が漏れてしまった。
「何⁉︎しょうがないって、何⁉︎」
 なだめすかしてなんとかエスコートの件を聞き入れてもらった。
 そして今日に至る。

「エスコートって俺、平民だぜ?やったことないし」
「もう、さっきからブツブツと!マナーの授業で習ったでしょ?」
「関係ないと思って真面目に受けなかった」
「わかった。じゃあ私が半歩前にいってキリアンがエスコートしてる風に見せかけて…」
「ちょいちょい、俺、で・き・ま・す・か・ら」
 そう言うとキリアンはぐっと胸を張り左腕を軽く曲げた。
 私はその肘の内側に手を添える。
 なんとか様になっている。
「よし!いざ出陣!」
 その掛け声はどうかと思ったけどリードはしっかりしてくれた。むしろ上手かも…
 入口付近で揉めていた私たちだったが、やっと会場の中へ。
「「わぁーっ」」
 おのぼりさんよろしく感嘆の声が出てしまった。
 キラキラとしたシャンデリア、見たこともない調度品、宮廷楽団の生演奏、豪華な料理、それは子どものころ絵本で見た王子様とお姫様が出てくるようなお城の風景であった。
「はぁ最初で最後だな。俺には縁のない世界だ。」
 キリアンが辺りを見回して言った。
「私だってしがない子爵の娘よ。もうこんな風景、お目にかかれないわ」
 キリアンがじろじろと私を見ている。
「その、なんだ、ララって綺麗な方だったんだな」
「何それ?」
 私の今日の姿はモスグリーンのドレスに髪はアップにしている。
 というのもかわいいスタイルが全く似合わないからだ。お母様やお姉様たちの様にハニーブラウンの髪に優しい顔立ちならかわいいドレスも似合うのであろうがダークブラウンの髪に地味な顔はばっちりお父様似なのである。自然とシックなドレスを選びがちだ。
「そのドレス似合っているよ。綺麗だ。」
 キリアンに褒められた。珍しい。
「ふふっありがとう。キリアンもかっこいいよ」
 ネイビーのスーツが赤毛によく似合っている。赤毛の天然パーマって結構カッコいいんだな。
「よかった!間に合った!」
 振り返るとダークグレイのスーツ姿のケイレブが立っていた。

「卒業おめでとう」
 そう言い合ってグラスのワインを空けた。卒業パーティーは酒類解禁なのだ。
「パーティーには出ないんじゃなかったっけ?」
 キリアンの問いかけに
「まあ最後だし」
 とケイレブは曖昧に答えた。
「えっ?出ないつもりだったの?」
「そうだよ。だからエスコート断ったじゃないか」
「そんなの聞いてないよ。『悪い、他当たって』だけ」
「んー言い忘れたかも?」
「もう‼︎」
 私は少しむくれた。
 ちょうどその時音楽が変わった。
「ほら、ふたりとも。仲直りのダンス」
 キリアンに促され、ふたりでホールの中央へ。
 音楽に乗って滑るように踊り出す。ケイレブのリードは安心できる。
 周りの女の子たちがチラチラと見ている。ストレートな黒髪に碧い瞳、端正な顔立ち、今日はスーツもキマっている。
 ケイレブはモテるのだ。
 勉強に目覚め、努力の末勝ち取った2番の座、これが初めて張り出された時いきなり声をかけられた。
「きみがマルグリット・ララ・ロレンス?」
 これがケイレブとの出会い。
 後で聞いたらあまりに下位打線な私がいきなり2位になったので何か不正があったんじゃないかと怪しんで声をかけたらしい。
 急でびっくりしたけどなんて綺麗な顔だろうと見惚れてしまった。
 これが私の第一印象。
 誤解が解けていっしょに勉強するようになり、親しくなり、私はケイレブのことが好きになってしまった。
 でもそのころ、急に伯爵家からの縁談がありあれよあれよという間に婚約してしまった。
 格上の伯爵家の申し出を断られないのとケイレブが平民だということもあって私は何も言えなかった。
 ケイレブとは徐々に距離をとっていった。

 今なら…いいよね?
 あなたが好きだと言っても

「ララ、この場で言っておきたいことがある」
 ケイレブが真顔だ。

 なになに?愛の告白?
 わーっ恥ずかしいっ

「あの試合は無効だよ」

「んん?」
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