2 / 28
楽しい卒業パーティー
しおりを挟む
学園には王宮を模したダンスホールがある。卒業パーティーは毎年そこで開かれた。
私は卒業間際で婚約破棄されたためエスコートしてくれる人がいなくなってしまった。
ケイレブに頼んでみたら
「悪い、他当たって」
断られてしまった。
しょうがない、キリアンに頼もう。
「しょうがない、キリアン、エスコートお願い」
しまった!心の声が漏れてしまった。
「何⁉︎しょうがないって、何⁉︎」
なだめすかしてなんとかエスコートの件を聞き入れてもらった。
そして今日に至る。
「エスコートって俺、平民だぜ?やったことないし」
「もう、さっきからブツブツと!マナーの授業で習ったでしょ?」
「関係ないと思って真面目に受けなかった」
「わかった。じゃあ私が半歩前にいってキリアンがエスコートしてる風に見せかけて…」
「ちょいちょい、俺、で・き・ま・す・か・ら」
そう言うとキリアンはぐっと胸を張り左腕を軽く曲げた。
私はその肘の内側に手を添える。
なんとか様になっている。
「よし!いざ出陣!」
その掛け声はどうかと思ったけどリードはしっかりしてくれた。むしろ上手かも…
入口付近で揉めていた私たちだったが、やっと会場の中へ。
「「わぁーっ」」
おのぼりさんよろしく感嘆の声が出てしまった。
キラキラとしたシャンデリア、見たこともない調度品、宮廷楽団の生演奏、豪華な料理、それは子どものころ絵本で見た王子様とお姫様が出てくるようなお城の風景であった。
「はぁ最初で最後だな。俺には縁のない世界だ。」
キリアンが辺りを見回して言った。
「私だってしがない子爵の娘よ。もうこんな風景、お目にかかれないわ」
キリアンがじろじろと私を見ている。
「その、なんだ、ララって綺麗な方だったんだな」
「何それ?」
私の今日の姿はモスグリーンのドレスに髪はアップにしている。
というのもかわいいスタイルが全く似合わないからだ。お母様やお姉様たちの様にハニーブラウンの髪に優しい顔立ちならかわいいドレスも似合うのであろうがダークブラウンの髪に地味な顔はばっちりお父様似なのである。自然とシックなドレスを選びがちだ。
「そのドレス似合っているよ。綺麗だ。」
キリアンに褒められた。珍しい。
「ふふっありがとう。キリアンもかっこいいよ」
ネイビーのスーツが赤毛によく似合っている。赤毛の天然パーマって結構カッコいいんだな。
「よかった!間に合った!」
振り返るとダークグレイのスーツ姿のケイレブが立っていた。
「卒業おめでとう」
そう言い合ってグラスのワインを空けた。卒業パーティーは酒類解禁なのだ。
「パーティーには出ないんじゃなかったっけ?」
キリアンの問いかけに
「まあ最後だし」
とケイレブは曖昧に答えた。
「えっ?出ないつもりだったの?」
「そうだよ。だからエスコート断ったじゃないか」
「そんなの聞いてないよ。『悪い、他当たって』だけ」
「んー言い忘れたかも?」
「もう‼︎」
私は少しむくれた。
ちょうどその時音楽が変わった。
「ほら、ふたりとも。仲直りのダンス」
キリアンに促され、ふたりでホールの中央へ。
音楽に乗って滑るように踊り出す。ケイレブのリードは安心できる。
周りの女の子たちがチラチラと見ている。ストレートな黒髪に碧い瞳、端正な顔立ち、今日はスーツもキマっている。
ケイレブはモテるのだ。
勉強に目覚め、努力の末勝ち取った2番の座、これが初めて張り出された時いきなり声をかけられた。
「きみがマルグリット・ララ・ロレンス?」
これがケイレブとの出会い。
後で聞いたらあまりに下位打線な私がいきなり2位になったので何か不正があったんじゃないかと怪しんで声をかけたらしい。
急でびっくりしたけどなんて綺麗な顔だろうと見惚れてしまった。
これが私の第一印象。
誤解が解けていっしょに勉強するようになり、親しくなり、私はケイレブのことが好きになってしまった。
でもそのころ、急に伯爵家からの縁談がありあれよあれよという間に婚約してしまった。
格上の伯爵家の申し出を断られないのとケイレブが平民だということもあって私は何も言えなかった。
ケイレブとは徐々に距離をとっていった。
今なら…いいよね?
あなたが好きだと言っても
「ララ、この場で言っておきたいことがある」
ケイレブが真顔だ。
なになに?愛の告白?
わーっ恥ずかしいっ
「あの試合は無効だよ」
「んん?」
私は卒業間際で婚約破棄されたためエスコートしてくれる人がいなくなってしまった。
ケイレブに頼んでみたら
「悪い、他当たって」
断られてしまった。
しょうがない、キリアンに頼もう。
「しょうがない、キリアン、エスコートお願い」
しまった!心の声が漏れてしまった。
「何⁉︎しょうがないって、何⁉︎」
なだめすかしてなんとかエスコートの件を聞き入れてもらった。
そして今日に至る。
「エスコートって俺、平民だぜ?やったことないし」
「もう、さっきからブツブツと!マナーの授業で習ったでしょ?」
「関係ないと思って真面目に受けなかった」
「わかった。じゃあ私が半歩前にいってキリアンがエスコートしてる風に見せかけて…」
「ちょいちょい、俺、で・き・ま・す・か・ら」
そう言うとキリアンはぐっと胸を張り左腕を軽く曲げた。
私はその肘の内側に手を添える。
なんとか様になっている。
「よし!いざ出陣!」
その掛け声はどうかと思ったけどリードはしっかりしてくれた。むしろ上手かも…
入口付近で揉めていた私たちだったが、やっと会場の中へ。
「「わぁーっ」」
おのぼりさんよろしく感嘆の声が出てしまった。
キラキラとしたシャンデリア、見たこともない調度品、宮廷楽団の生演奏、豪華な料理、それは子どものころ絵本で見た王子様とお姫様が出てくるようなお城の風景であった。
「はぁ最初で最後だな。俺には縁のない世界だ。」
キリアンが辺りを見回して言った。
「私だってしがない子爵の娘よ。もうこんな風景、お目にかかれないわ」
キリアンがじろじろと私を見ている。
「その、なんだ、ララって綺麗な方だったんだな」
「何それ?」
私の今日の姿はモスグリーンのドレスに髪はアップにしている。
というのもかわいいスタイルが全く似合わないからだ。お母様やお姉様たちの様にハニーブラウンの髪に優しい顔立ちならかわいいドレスも似合うのであろうがダークブラウンの髪に地味な顔はばっちりお父様似なのである。自然とシックなドレスを選びがちだ。
「そのドレス似合っているよ。綺麗だ。」
キリアンに褒められた。珍しい。
「ふふっありがとう。キリアンもかっこいいよ」
ネイビーのスーツが赤毛によく似合っている。赤毛の天然パーマって結構カッコいいんだな。
「よかった!間に合った!」
振り返るとダークグレイのスーツ姿のケイレブが立っていた。
「卒業おめでとう」
そう言い合ってグラスのワインを空けた。卒業パーティーは酒類解禁なのだ。
「パーティーには出ないんじゃなかったっけ?」
キリアンの問いかけに
「まあ最後だし」
とケイレブは曖昧に答えた。
「えっ?出ないつもりだったの?」
「そうだよ。だからエスコート断ったじゃないか」
「そんなの聞いてないよ。『悪い、他当たって』だけ」
「んー言い忘れたかも?」
「もう‼︎」
私は少しむくれた。
ちょうどその時音楽が変わった。
「ほら、ふたりとも。仲直りのダンス」
キリアンに促され、ふたりでホールの中央へ。
音楽に乗って滑るように踊り出す。ケイレブのリードは安心できる。
周りの女の子たちがチラチラと見ている。ストレートな黒髪に碧い瞳、端正な顔立ち、今日はスーツもキマっている。
ケイレブはモテるのだ。
勉強に目覚め、努力の末勝ち取った2番の座、これが初めて張り出された時いきなり声をかけられた。
「きみがマルグリット・ララ・ロレンス?」
これがケイレブとの出会い。
後で聞いたらあまりに下位打線な私がいきなり2位になったので何か不正があったんじゃないかと怪しんで声をかけたらしい。
急でびっくりしたけどなんて綺麗な顔だろうと見惚れてしまった。
これが私の第一印象。
誤解が解けていっしょに勉強するようになり、親しくなり、私はケイレブのことが好きになってしまった。
でもそのころ、急に伯爵家からの縁談がありあれよあれよという間に婚約してしまった。
格上の伯爵家の申し出を断られないのとケイレブが平民だということもあって私は何も言えなかった。
ケイレブとは徐々に距離をとっていった。
今なら…いいよね?
あなたが好きだと言っても
「ララ、この場で言っておきたいことがある」
ケイレブが真顔だ。
なになに?愛の告白?
わーっ恥ずかしいっ
「あの試合は無効だよ」
「んん?」
0
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
今更困りますわね、廃妃の私に戻ってきて欲しいだなんて
nanahi
恋愛
陰謀により廃妃となったカーラ。最愛の王と会えないまま、ランダム転送により異世界【日本国】へ流罪となる。ところがある日、元の世界から迎えの使者がやって来た。盾の神獣の加護を受けるカーラがいなくなったことで、王国の守りの力が弱まり、凶悪モンスターが大繁殖。王国を救うため、カーラに戻ってきてほしいと言うのだ。カーラは日本の便利グッズを手にチート能力でモンスターと戦うのだが…
だいたい全部、聖女のせい。
荒瀬ヤヒロ
恋愛
「どうして、こんなことに……」
異世界よりやってきた聖女と出会い、王太子は変わってしまった。
いや、王太子の側近の令息達まで、変わってしまったのだ。
すでに彼らには、婚約者である令嬢達の声も届かない。
これはとある王国に降り立った聖女との出会いで見る影もなく変わってしまった男達に苦しめられる少女達の、嘆きの物語。
【短編】将来の王太子妃が婚約破棄をされました。宣言した相手は聖女と王太子。あれ何やら二人の様子がおかしい……
しろねこ。
恋愛
「婚約破棄させてもらうわね!」
そう言われたのは銀髪青眼のすらりとした美女だ。
魔法が使えないものの、王太子妃教育も受けている彼女だが、その言葉をうけて見に見えて顔色が悪くなった。
「アリス様、冗談は止してください」
震える声でそう言うも、アリスの呼びかけで場が一変する。
「冗談ではありません、エリック様ぁ」
甘えた声を出し呼んだのは、この国の王太子だ。
彼もまた同様に婚約破棄を謳い、皆の前で発表する。
「王太子と聖女が結婚するのは当然だろ?」
この国の伝承で、建国の際に王太子の手助けをした聖女は平民の出でありながら王太子と結婚をし、後の王妃となっている。
聖女は治癒と癒やしの魔法を持ち、他にも魔物を退けられる力があるという。
魔法を使えないレナンとは大違いだ。
それ故に聖女と認められたアリスは、王太子であるエリックの妻になる! というのだが……
「これは何の余興でしょう? エリック様に似ている方まで用意して」
そう言うレナンの顔色はかなり悪い。
この状況をまともに受け止めたくないようだ。
そんな彼女を支えるようにして控えていた護衛騎士は寄り添った。
彼女の気持ちまでも守るかのように。
ハピエン、ご都合主義、両思いが大好きです。
同名キャラで様々な話を書いています。
話により立場や家名が変わりますが、基本の性格は変わりません。
お気に入りのキャラ達の、色々なシチュエーションの話がみたくてこのような形式で書いています。
中編くらいで前後の模様を書けたら書きたいです(^^)
カクヨムさんでも掲載中。
聖女アマリア ~喜んで、婚約破棄を承ります。
青の雀
恋愛
公爵令嬢アマリアは、15歳の誕生日の翌日、前世の記憶を思い出す。
婚約者である王太子エドモンドから、18歳の学園の卒業パーティで王太子妃の座を狙った男爵令嬢リリカからの告発を真に受け、冤罪で断罪、婚約破棄され公開処刑されてしまう記憶であった。
王太子エドモンドと学園から逃げるため、留学することに。隣国へ留学したアマリアは、聖女に認定され、覚醒する。そこで隣国の皇太子から求婚されるが、アマリアには、エドモンドという婚約者がいるため、返事に窮す。
短編)どうぞ、勝手に滅んでください。
黑野羊
恋愛
二度も捨てられた聖女です。真実の愛を見つけたので、国は救いません。
あらすじ)
大陸中央にあるルオーゴ王国で、国を守る結界を維持してきた聖女ロザリア。
政略のため王太子と婚約していた彼女は、突如『真の聖女』が現れたとして婚約を破棄され、聖女の座を追われてしまう。さらに、代わりに婚姻しろと命じられた聖騎士からも拒絶され、実家にも見捨てられたロザリアは、『最果ての修道院』へと追放された。
けれど彼女はそこで、地位や栄光、贅沢などとはほど遠い、無条件に寄り添ってくれる『真実の愛』と穏やかな日々を手にいれる。
やがて聖女を失った王国は、崩壊へ向かっていき――。
ーーー
※カクヨム、なろうにも掲載しています
「神に見捨てられた無能の職業は追放!」隣国で“優秀な女性”だと溺愛される
佐藤 美奈
恋愛
公爵令嬢アンナ・ローレンスはグランベル王国第一王子ダニエル・クロムハートに突然の婚約破棄を言い渡された。
その理由はアンナの職業にあった。職業至上主義の世界でアンナは無能と言われる職業を成人の儀で神に与えられた。その日からアンナは転落人生を歩むことになった。公爵家の家族に使用人はアンナに冷たい態度を取り始める。
アンナにはレイチェルという妹がいた。そのレイチェルの職業は神に選ばれた人しかなれない特別な職業と言われる聖女。アンナとレイチェルは才能を比較された。姉のアンナは能力が劣っていると言われて苦しい日常を送る。
そして幼馴染でもある婚約者のダニエルをレイチェルに取られて最終的には公爵家当主の父ジョセフによって公爵家を追放されてしまった。
貴族から平民に落とされたアンナは旅に出て違う国で新しい生活をスタートする。一方アンナが出て行った公爵家では様々な問題が発生する。実はアンナは一人で公爵家のあらゆる仕事をこなしていた。使用人たちはアンナに無能だからとぞんざいに扱って仕事を押し付けていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる