5 / 28
そして3年後
しおりを挟む
あれから3年が経った。
私は21歳になった。
ルクス帝国では驚きの連続だった。
女も男のように働く。なんなら子どもも働く。比較的新しいこの国はそうでもしないと立ち行かなかった。みんなががむしゃらに働いて豊かな国となったのだ。
国が豊かになれば今度は教育だった。最高峰の学問が帝国に集結していた。
私はその中で勉学に励んだ。友もできた。
なんとなくここに根付いてもう帰らないんじゃないかとさえ思っていた。
ノストルム王国では今なにかが起きている。
帝国にはきれぎれにしか情報が入ってこなかった。情報規制されているのか?
とにかく一度帰ってみようと思った。みんなのことが心配だ。
「帰ることにしたんですね。ララ様」
私は今、バークレー商会の船に乗っている。
ソリス船長はほっとしたようにこう言った。
「ええ、心配で」
「…そうでしょうとも…」
これだけで通じるのだ。よほどの異変なのだろう。
「いえわたしもね、詳しくは知らないんですよ。こうしてあちこちの国に行ってるから。ずっと王国にいた訳ではないんでね」
船長はため息混じりに
「でも明らかに1年前からなにかおかしい」
夜の帳が下りてきて船上はひっそりと静かだった。
私は今、甲板にいる。
「ふふっ船長なら危ないから部屋に入りなさいってきっと言うわね」
思えばソリス船長には随分と世話になった。
楽しい思い出いっぱいのルクス帝国だがこんな私でも来た当時はホームシックにかかってしまった。
そこで考えついたのは
(港に行けばソリス船長に会える!)
だった。
定期便なので待っていれば会えたのだ。船長の姿を見つけてはつまらない話を長々とした。
船長は邪険にすることなく、よく聞いてくれた。そして最後に“頭をポンポン”するのだ。馬鹿みたいだがこれが心に染みた。
…不意に頭をポンポンされた。
振り返るとソリス船長だった。
「はははっ、子どもっぽいかな?失礼、失礼!」
「いいえ、ありがとう」
明日の朝には王国に着く。
不安は少し取り除かれた。
私は21歳になった。
ルクス帝国では驚きの連続だった。
女も男のように働く。なんなら子どもも働く。比較的新しいこの国はそうでもしないと立ち行かなかった。みんなががむしゃらに働いて豊かな国となったのだ。
国が豊かになれば今度は教育だった。最高峰の学問が帝国に集結していた。
私はその中で勉学に励んだ。友もできた。
なんとなくここに根付いてもう帰らないんじゃないかとさえ思っていた。
ノストルム王国では今なにかが起きている。
帝国にはきれぎれにしか情報が入ってこなかった。情報規制されているのか?
とにかく一度帰ってみようと思った。みんなのことが心配だ。
「帰ることにしたんですね。ララ様」
私は今、バークレー商会の船に乗っている。
ソリス船長はほっとしたようにこう言った。
「ええ、心配で」
「…そうでしょうとも…」
これだけで通じるのだ。よほどの異変なのだろう。
「いえわたしもね、詳しくは知らないんですよ。こうしてあちこちの国に行ってるから。ずっと王国にいた訳ではないんでね」
船長はため息混じりに
「でも明らかに1年前からなにかおかしい」
夜の帳が下りてきて船上はひっそりと静かだった。
私は今、甲板にいる。
「ふふっ船長なら危ないから部屋に入りなさいってきっと言うわね」
思えばソリス船長には随分と世話になった。
楽しい思い出いっぱいのルクス帝国だがこんな私でも来た当時はホームシックにかかってしまった。
そこで考えついたのは
(港に行けばソリス船長に会える!)
だった。
定期便なので待っていれば会えたのだ。船長の姿を見つけてはつまらない話を長々とした。
船長は邪険にすることなく、よく聞いてくれた。そして最後に“頭をポンポン”するのだ。馬鹿みたいだがこれが心に染みた。
…不意に頭をポンポンされた。
振り返るとソリス船長だった。
「はははっ、子どもっぽいかな?失礼、失礼!」
「いいえ、ありがとう」
明日の朝には王国に着く。
不安は少し取り除かれた。
0
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
【短編】将来の王太子妃が婚約破棄をされました。宣言した相手は聖女と王太子。あれ何やら二人の様子がおかしい……
しろねこ。
恋愛
「婚約破棄させてもらうわね!」
そう言われたのは銀髪青眼のすらりとした美女だ。
魔法が使えないものの、王太子妃教育も受けている彼女だが、その言葉をうけて見に見えて顔色が悪くなった。
「アリス様、冗談は止してください」
震える声でそう言うも、アリスの呼びかけで場が一変する。
「冗談ではありません、エリック様ぁ」
甘えた声を出し呼んだのは、この国の王太子だ。
彼もまた同様に婚約破棄を謳い、皆の前で発表する。
「王太子と聖女が結婚するのは当然だろ?」
この国の伝承で、建国の際に王太子の手助けをした聖女は平民の出でありながら王太子と結婚をし、後の王妃となっている。
聖女は治癒と癒やしの魔法を持ち、他にも魔物を退けられる力があるという。
魔法を使えないレナンとは大違いだ。
それ故に聖女と認められたアリスは、王太子であるエリックの妻になる! というのだが……
「これは何の余興でしょう? エリック様に似ている方まで用意して」
そう言うレナンの顔色はかなり悪い。
この状況をまともに受け止めたくないようだ。
そんな彼女を支えるようにして控えていた護衛騎士は寄り添った。
彼女の気持ちまでも守るかのように。
ハピエン、ご都合主義、両思いが大好きです。
同名キャラで様々な話を書いています。
話により立場や家名が変わりますが、基本の性格は変わりません。
お気に入りのキャラ達の、色々なシチュエーションの話がみたくてこのような形式で書いています。
中編くらいで前後の模様を書けたら書きたいです(^^)
カクヨムさんでも掲載中。
今更困りますわね、廃妃の私に戻ってきて欲しいだなんて
nanahi
恋愛
陰謀により廃妃となったカーラ。最愛の王と会えないまま、ランダム転送により異世界【日本国】へ流罪となる。ところがある日、元の世界から迎えの使者がやって来た。盾の神獣の加護を受けるカーラがいなくなったことで、王国の守りの力が弱まり、凶悪モンスターが大繁殖。王国を救うため、カーラに戻ってきてほしいと言うのだ。カーラは日本の便利グッズを手にチート能力でモンスターと戦うのだが…
だいたい全部、聖女のせい。
荒瀬ヤヒロ
恋愛
「どうして、こんなことに……」
異世界よりやってきた聖女と出会い、王太子は変わってしまった。
いや、王太子の側近の令息達まで、変わってしまったのだ。
すでに彼らには、婚約者である令嬢達の声も届かない。
これはとある王国に降り立った聖女との出会いで見る影もなく変わってしまった男達に苦しめられる少女達の、嘆きの物語。
聖女アマリア ~喜んで、婚約破棄を承ります。
青の雀
恋愛
公爵令嬢アマリアは、15歳の誕生日の翌日、前世の記憶を思い出す。
婚約者である王太子エドモンドから、18歳の学園の卒業パーティで王太子妃の座を狙った男爵令嬢リリカからの告発を真に受け、冤罪で断罪、婚約破棄され公開処刑されてしまう記憶であった。
王太子エドモンドと学園から逃げるため、留学することに。隣国へ留学したアマリアは、聖女に認定され、覚醒する。そこで隣国の皇太子から求婚されるが、アマリアには、エドモンドという婚約者がいるため、返事に窮す。
短編)どうぞ、勝手に滅んでください。
黑野羊
恋愛
二度も捨てられた聖女です。真実の愛を見つけたので、国は救いません。
あらすじ)
大陸中央にあるルオーゴ王国で、国を守る結界を維持してきた聖女ロザリア。
政略のため王太子と婚約していた彼女は、突如『真の聖女』が現れたとして婚約を破棄され、聖女の座を追われてしまう。さらに、代わりに婚姻しろと命じられた聖騎士からも拒絶され、実家にも見捨てられたロザリアは、『最果ての修道院』へと追放された。
けれど彼女はそこで、地位や栄光、贅沢などとはほど遠い、無条件に寄り添ってくれる『真実の愛』と穏やかな日々を手にいれる。
やがて聖女を失った王国は、崩壊へ向かっていき――。
ーーー
※カクヨム、なろうにも掲載しています
「神に見捨てられた無能の職業は追放!」隣国で“優秀な女性”だと溺愛される
佐藤 美奈
恋愛
公爵令嬢アンナ・ローレンスはグランベル王国第一王子ダニエル・クロムハートに突然の婚約破棄を言い渡された。
その理由はアンナの職業にあった。職業至上主義の世界でアンナは無能と言われる職業を成人の儀で神に与えられた。その日からアンナは転落人生を歩むことになった。公爵家の家族に使用人はアンナに冷たい態度を取り始める。
アンナにはレイチェルという妹がいた。そのレイチェルの職業は神に選ばれた人しかなれない特別な職業と言われる聖女。アンナとレイチェルは才能を比較された。姉のアンナは能力が劣っていると言われて苦しい日常を送る。
そして幼馴染でもある婚約者のダニエルをレイチェルに取られて最終的には公爵家当主の父ジョセフによって公爵家を追放されてしまった。
貴族から平民に落とされたアンナは旅に出て違う国で新しい生活をスタートする。一方アンナが出て行った公爵家では様々な問題が発生する。実はアンナは一人で公爵家のあらゆる仕事をこなしていた。使用人たちはアンナに無能だからとぞんざいに扱って仕事を押し付けていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる