守護の聖魔術師

御船ノア

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第六話 青薔薇

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コルド王国に来てから三日目。
今日も俺達は窃盗犯の聞き込み調査をしていたが、相変わらず変わった情報を得られる事はない。
俺達は住民からの情報だけでは限界があると感じ、情報を網羅しているであろう国のトップであるハーゲスの元を訪れる事にした。
が、当然ながら鎧を纏った門番の人に止められる。
「ここを通りたい? だめだ。部外者を中に入れるわけにはいかない。ハーゲス様からのお呼び出しであれば別だがな」
「この国で窃盗被害、及び傷害事件が多発している事はご存知ですよね? 俺達はその犯人を捕らえるべく、各地で情報を集めようとしていたのですが中々有力な情報を得られませんでして。なので、王様であるハーゲス様なら何か知っているのかと思いここに訪れたのですが」
「それについてなら問題ない。ハーゲス様は既に対策を取っている」
「ですが事件は収まるどころか増えていますよね? なので、俺達もそれに協力したいのです」
「気持ちはありがたく受け取ろう。しかしそれでも中に入れる事は出来ない。これはコルド王国においてのルールだ。事件の事はハーゲス様にお任せしておけば大丈夫だ」
(大丈夫じゃないから言っているんだけどな……)
このままでは平行線になる一方だ。
「じゃあ、ハーゲス様と連絡を繋げてもらう事は可能ですか? これなら中には入らないですし、俺達も用件を満たせます」
互いの条件を達成した案をぶつけると門番の人は悩む仕草を見せた。
「……分かった。それなら問題ないかもしれん。連絡を繋いでみよう」
「ありがとうございます」
門番の人はポケットからトランシーバーを取り出し、上の者に繋ぐ。
「こちら、第二正門前。お客様からハーゲス様に繋いでほしいとの事なのですが、可能でしょうか?」
「ハーゲス様に確認する。少しだけ待っていろ」
「はっ」
トランシーバーの会話は俺達の耳にも入っていた。
暫くすると、相手からの返事が返ってきた。
「ハーゲス様からのお許しが出た。中に入っていいぞ」
まさかの招き入れてくれる事に驚いてしまったが、結果オーライってやつだな。
「ありがとうございます」
こうして俺達はハーゲスがいる建物の中へと踏み入れた。


     ★


ハーゲスがいるという部屋まで案内された俺達は扉の前で待機している。
「ハーゲス様。お客さんをお連れして参りました」
「うむ。中に入れよう」
案内役の人が扉を開けてから俺達は部屋の中へと入った。
赤い絨毯が長く敷かれたその先にハーゲスと思われる人物が王座の前で立っていた。
その隣には護衛人らしき人もいた。
「いやー、わざわざ遠くからご足労いただき感謝致しますぞ、防衛隊どの」
笑顔で迎えてくれたハーゲスというおじさん。
俺達の事は既に知られているらしい。
入国時の情報がこのハーゲスに伝わっていると見える。
相手が他国からのお客さんという事なのか、自らこちらまで歩み寄って来て握手を交わされた。
第一印象としてはとても接しやすい明らかな善人のようだった。
「いえいえ。こちらこそお忙しい所招き入れてくださいましてありがとうございます」
互いの軽い挨拶を終えたところで本題に入る。
「さて、何やらワシに聞きたい事があると聞いておりますが?」
「はい。最近多発しているという窃盗事件についてです」
「ほぉ。それについてはワシも存じておるぞ。物騒な輩が各地で被害を起こしているようじゃな」
当然ながら事件に関して王様は既に知っているらしい。
それなら話が早い。
「はい。そこで私達も住民の方々に犯人について何か知っている情報がないか聞き込み調査をしたのですが、これといった有力な情報は得られませんでした」
ハーゲスは剛毛な髭を摩りながら聞いている。
「そこで国の情報を多く持っているハーゲス様なら事件について何か有力な情報を持っていると思い、急でありなあがらも今回訪れさせて頂きました」
「……ふむ」
ハーゲスは髭を摩っていた手を止める。
「よかろう。お二人の力になれるか分かりませんが、ワシの知る限りの情報を与える」
「ありがとうございます」
「今回の窃盗事件だがの」
そこからハーゲスは事件について知っている事を淡々と話し出す。
事件は夜中に起こる事、窃盗以外にも傷害の被害に遭う者もいる事、体の自由が効かなくなる現象が起こる事。
どれも住民から得た情報である為、有力な情報は得られないと期待感が薄まりつつあった時、ハーゲスは最後に有力な情報をくれた。
「これは新たに入った情報なのじゃが、犯人は紺色のケープを身に纏っていたようじゃ」
「紺色のケープですか?」
「そうじゃ。目撃者によると服装はそうだったようじゃ。更に犯人は被害者に向かって『青薔薇』と名乗ったという」
青薔薇という単語を口にした時、隣の護衛人が取り乱した瞬間を俺は見逃さなかった。
「青薔薇……?」
「うむ。何故ここにきて自ら名乗りだしたのかはワシにも分からん。だがこの情報は大きい」
ハーゲスの言う通り、犯人の特徴を掴めたのは大きな要素だ。
今までは何一つ犯人についての情報がなかったのだから。
「ワシもこの情報を警備の者達にも伝え犯人の手掛かりを追うつもりじゃ。お二人には申し訳ないが、住民の為にも是非協力してもらえないかのう」
「もちろんです。犯人は必ず見つけ出したいと思います」
「恩に着るわい。頼りにしておるぞ、防衛隊どの」
これ以上の情報を持ち合わせていないハーゲスからの話は終える。
俺達もそれ以上の事に用件はない為、お礼を告げた後外に出た。
俺達の姿を窓から見下ろしながらハーゲスと護衛人は話す。
「いいのですか? 彼らに青薔薇の情報を与えてしまって」
「かまわん。遅かれ早かれ奴らは青薔薇に始末される運命じゃ。ゴミは直ぐに片付けた方が良いじゃろ?」
「そうですね。それに情報ではただならぬオーラを感じたとの事でしたが、見るからに子供でそのような気配は感じ取れません」
「だから言ったじゃろ。防衛隊なんて所詮ゴミの集まりだ。警戒の『け』の文字もいらんわい。ワシらは青薔薇が盗んだ金の物を待っているだけでそれ以外はやっている風にしておればいいのじゃよ。お前もその方がいいだろ?」
「おっしゃる通りでございます。ハーゲス様」
「所詮負け組である愚民の気持ちなど知ったこっちゃない。ワシらはただ豪遊して過ごしていればいいのじゃよ。人生は楽しまないと損じゃよ?」
悪魔の笑みを浮かべながら話す二人。
彼らの人生に不満という二文字はない。
彼らは青薔薇によって得られた大金を用いて責務を果たさずにただ己の欲望に従うままに豪遊の生活をするだけなのだから。
もちろん、それを誰かに密告されたりすれば一時の生活として幸せは途絶える事になるだろう。
それを防ぐ為にも彼らは自分たちに仕う者だけに一定の額を支払う事を契約に、彼らの行動については目を瞑るよう命じられる。
約束を破ったり、他人にばらすような行動が見られた場合は即刻死刑に値。
ハーゲスに仕えし者は幸せを約束されるのと同義である事を実感し、後にハーデスを仕えし者は増えていき、上級国民は金による亡者で埋め尽くされていく。
こうしてハーゲスには豪遊の生活が約束される事になる。
当然ながら、中級以下の住民達はこの事実を知らないまま長い間生きている。
世の中には知らない方が幸せという事実があるというのもまた事実なのだ。


     ★


ハーゲスから有力な情報を得た俺達は紺色のケープを着た人の目撃者と青薔薇の事を聞いた事があるのかの聞き込みを行う。

––––––二時間後。

残念ながら百人弱の方に聞いても知る者はいなかった。
新たな情報という事だからまだ世間には広まっていないのかもしれない。
これでは実質犯人の手掛かりを掴む事に繋がらない。
そもそも目撃者の証言が確かな者かも分からない。
こうなると犯人の方から直接俺達に攻撃を向けてくれた方が足取りを掴みやすくて楽だ。
だが犯人もそれは理解している。
その証拠に一回目の襲撃から俺達を襲う事はないからだ。
今は作戦を練っているのか、それとも影に隠れながら隙を伺っているのか。
殺気を感じさせない事からやはり手慣れている事だけは頭に入れておく必要がある。
「どうしましょう。これ以上情報がなければ犯人を捕らえるどころか、見つけ出すことも出来ないです」
「そうだな。日中は紺色のケープで外出する事はないだろうし」
そんな間抜けな事を犯人がするわけない。
俺達が腕を組んで悩んでいると、一人の黒髪女性が遠慮がちに顔をのぞいているのを見つけた。
俺は思わずその子と目が合ってしまう。
「何か用かな?」
俺達の背後には誰もいない。
だからその視線は俺達に向けているのだが分かる。
「あっ、さっき……青薔薇って聞こえまして」
「青薔薇について知っているのか?」
「うん。ウチ、青薔薇って名乗る人に襲われたから……」
「!」
「カイ君、さっき言ってた目撃者って……」
「ああ。もしかして紺色のケープっていう情報も知ってたりする?」
「それも知ってる。ハーゲス様にも先日伝えたばかり」
間違いない。さっきハーゲスが言っていた目撃者というのは彼女だ。
「もし良かったら、青薔薇について詳しく聞かせてもらえないかな?」
「うん、いいよ。立ち話もなんだから近くのファミレスでどう?」
「俺は大丈夫だよ。アリルは?」
「私も大丈夫です。ちょうど休みたいと思っていましたし」
「ありがとう。じゃあ案内するから付いてきて」
俺とアリルは何も疑う事なく彼女に付いて行った。


     ★


テーブル座席についた俺達三人はインターホーンで店員を呼び出し、メニュー表見ながら注文する。
お昼時というのもあり、ついでに昼食も済ませる事にした。
「えっと、ハンバーグステーキのライスセットを一つ」
注文名を聞いて店員はポスで承る。
「私はミートソースパスタのサラダセットを一つでお願いします」
最後は黒髪女性の注文。
「じゃあウチはミラノ風ドリアを一つとタラコスパゲティを一つ。……後は激辛チキンが一つにマルゲリータピザが一つにチーズを多めで。後グリルステーキのライスセットが一つ。あ、ライスは大盛りでお願いします」
俺とアリルは開いた口が塞がらない。
この女性、見た目はスラッとした体型である為大食いのようにはとても見えないからだ。
雑誌に載ってもおかしくない程の美少女で、綺麗と可愛さを半々持ち合わせている感じだ。
身長もアリルより大きくプロラさんより小さい為、妹や姉キャラのどちらでもいけそうな雰囲気。
因みに黒髪彼女の名前は『ミラ』というそうだ。呼び捨てで呼んでいいそう。
注文を終えるとミラの綺麗なサファイア色をした瞳が見つめ返してくる。
「どうかした?」
「……いや、結構食べるんだなって」
「あっ、うん。ウチ食欲旺盛だからさ。結構このぐらいは食べちゃうのよね~……」
タハハと手を頭の後ろで摩る。
女性として大食いである事がバレたのが恥ずかしいのか女性は顔が赤くなっていた。
「あ、お金の事は心配しないで! ちゃんと自分の分は払うから」
「それはいいんだけどさ。いっぱい食べる事に性別を気にする必要はないと思うぞ」
「そうかな? 結構年頃の女の子は気にしちゃうと思うけど」
女性は同じ女の子として意見を聞きたいのか、アリルに目を向ける。
「私は元々少食な方ですのでお気持ちは分かりませんが、でもカイ君の言っている事もあなたの言っている事も理解出来ます」
「いっぱい食べたいのに食べられないって辛いよね。例えば、戦争の被害で多くのものを失った人とかさ」
戦争という言葉に思わず反応してしまう。
「もしかして、ミラも?」
「うん……。聖魔戦争だっけ? そこで家族を失ったわ……」
「っ……」
「決して忘れる事の出来ない大切な家族をね。でも、私には新しい家族が出来たから、今はそれを大切にしようと思うの」
「新しい家族……?」
「うん。私と同じで家族を失った人がいてね。今はその人達と一緒に暮らしているの」
「そうだったんだ」
「何とか支え合って生活に苦しむことはないんだけどね。でも、被害によって満足した生活を送れていない人達も沢山いる」
それはさっき言っていた多くのものを失った人のことだろう。
家族や友人、家、財産。
これまで持って当たり前だと思っていたものが一瞬にして奪われた。
それを失った者からすれば安定の生活に対して大打撃となる。
一からやり直すというのは想像以上に過酷である事は間違いない。
「一つ、いいですか?」
アリルが小さく手を挙げミラに質問する。
「なに?」
「ミラさんのお話から察するに、このコルド王国では貧困層と富裕層が分かれていますよね?」
確かにそうだ。ミラの話が本当であれば貧困層もいる事になる。
しかし逆に富裕層もいる。それを裏付けるのはステラさんや窃盗被害に遭っている家の宿主。
ミラはうんと頷く。
「現状を見て国のトップ層の人達は何も施しをしてあげないのですか?」
アリルの指摘は鋭い。
コルド王国では戦争の被害によって貧困に陥った者が多数いる。
中には被害が最小限で済み、生活に支障をきたさずに済んだ者もいるだろう。
しかし、戦争被害というのは災害の分類に含まれる。
戦争被害者は何も悪くない。
そういった者達に対して、何か救済の処置を施してもいいはずだ。
「……国の予算も厳しいって言ってたわ。ハーゲス……様は全国民に毎月一定額の給付金を配布しようと検討しているようだけど」
「それから何年経っているんだ?」
「もう……五年目になるわね」
「五年!?」
五年も経って未だに何の政策もしないトップ層の人達は何をやっているのやら。
「それだけ長い月日が経てば流石に住民からも抗議が湧くんじゃないか?」
「講義をする人は確かに大勢いたわね。それでも実行する為の準備に時間が掛かっているの一点張りで……」
何とも情けない話だ。
住民達は生きるのに必死だというのに未だに何も手を打たないとは。
トップ層である以上、給料は沢山もらっているはず。
自分達は生活に困る事がないから困っている人達の気持ちを十分に理解する配慮が欠けているのかもしれない。
いくら住民が訴えかけようとも国を動かせるのはトップ層の人達だけなので彼らが動かなければ国は動かせない。
側からすれば貧困層の人達を見捨てているようにしか見えない。
「そうだったのですね……」
俺達も何とかしてやりたいが部外者がどうこうできる問題ではない。
「ミラは何とかしたいと思っているのか?」
「……うん。出来ればね」
「……」
ミラの表情は暗く、既に諦めのついた雰囲気だった。
「お待たせました! こちらハンバーグステーキと……」
俺達が注文した品が全部届く。
ここで区切りをつけ、食事にかかる事にした。
「わぁ、美味しそう! いただきます!」
「「いただきます」」
それぞれ必要に応じてナイフとフォークを手にして食べ始める。
俺達が使用しているテーブルはミラの注文した品によって埋め尽くされていた。
それでもミラは一切の動揺を見せる事なく軽々と全てを食べ尽くしそうな勢い。
俺達は食事中という事もあり、気が滅入る暗い話ではない話題を持ち出す。
青薔薇についてはその後に聞くとしよう。
「そういえば気になってたんだけど、二人はアイリス防衛隊なんだよね? いつからやってるの?」
「つい最近だよ。俺とアリルはまだ入隊したばかりで今回が初任務なんだ」
「えっ、てことは新人!? うそ、すごぉ!」
「そんなに驚く事じゃないよ。今防衛隊は人手不足というのもあって俺達が急遽行く事になったんだ」
「ヘぇ~。今人手不足なんだ。防衛隊って治安を守る組織だったよね? 聞いただけでもすごく大変そうだなぁ」
「どうなんだろう。俺達も入隊したばかりでまだ実感が湧かないというか。どうなのかも分からない。まぁでも、治安を守るって大変だよな」
「そっかあ。じゃあ、ここに来たのもそういうわけか」
「うん。俺達は依頼によって現地まで足を運んで活動するからね。こうしてミラと出会えたのも何かの運命だったりしてな」
食事で楽しんでいるというのもあり、気分があがってジョーク混じり的な事を言ってみる。
「そうだね……。確かに運命かもね」
(……あ、あれ~? 思った以上に反応が悪いぞ? キモい事言っちゃったかな俺? ミラ様ごめんなさい!)
「防衛隊って女の子も結構いるの?」
「はい、いますよ。男女比率で言えば男性の方が多いですけど、私のような女性も沢山いますね」
「女の子なのにすごいね! ウチだったら怖くて無理だよ~」
「いえ。私も怖いですよ? もし相手が自分より強かったらって思うと、いつも内心落ち着きませんし」
「なのにアリルは防衛隊を続けるんだ?」
「はい。私には憧れの存在でもあり、越えるべき存在がいますので」
「え、なになにそれ! 師匠とか!?」
「いえ、師匠ではないですけど……。私の姉です」
「お姉さん? アリルお姉さんいたんだ。ヘー! そのお姉さんがそうなんだ?」
「はい。防衛隊として皆さんを守る事はもちろんの事ですが、私に取っては姉さんを越える為でもあるのです」
アリルの言葉には確かな強い気持ちを感じた。
それを聞いたミラは感心したのか、きょとんとしてアリルの目を見つめていた。
「……すごいな、アリルは。同じ女の子とは思えないよ」
「私は何もすごくないですよ。まだ何一つ成し遂げてなどいませんから」
「ううん。すごい。ちゃんと目標があって突き進んでいるんだからさ」
ミラはマルゲリータピザをピザカッターで6等分に切り分ける。
ミラは一人二切れずつ食べようと提案し俺達にもシェアしてくれた。
気持ちをありがたく受け取り三人はピザをつまむ。
「ミラは何か目標とかないのか?」
「んー、目標ね~……。特にないかな。今いる家族とこれからも一緒に過ごしていければ十分だから。生活にも困ってないし」
ミラは生活に不満はなさそうだった。
それもそうか。これだけの品を注文するぐらいなのだから懐には余裕があると見える。
「そうか。でもいいと思うぞ。目標がなくたって今が幸せならそれだけで十分だ」
幸せ以上に欲しいものなんてない。だからミラ達は今の生活を続け、これからも幸せで居続けてくれればと思う。



「ふ~、お腹いっぱい~」
注文した品を全部食べ終えた俺達。
店員が食べ終わった器を全て下げてくれたタイミングで本題に切り込む。
「ミラ。そろそろ本題に入ってもいいか?」
「ん? あー、青薔薇についてだよね。そうだね。お腹も満たされたとこだし」
ミラはコップに入っている水を一口飲んでから話し出す。
「一昨日の夜中の二時。ウチが一人でいる時、紺色のケープを身に纏ったその男性は『青薔薇』と名乗っていた」
「一人? 他の三人はいなかったのか?」
「うん。他の三人は仕事で出かけていたからウチだけ。三人は夜の仕事をしているから休みの日以外は私一人なんだ」
「そうだったのか」
夜中に被害が出るというのに夜中に仕事とは皮肉な。
「寝ている時なんとなく人の気配を感じたんだよね。最初は寝ぼけていると思って無視しちゃうんだけど……案の定、その後に襲われた」
天然をアピールするかのように苦笑いを浮かべるミラ。
気づいていたのに何やってんだろうね私、って思ってそうだ。
「やっぱり金銭になる物が狙いだったのか?」
「そうだね。奴らはそれにしか興味無いって感じだった。ウチはナイフで脅されて大人しくしてたからか分かんないけど、直接危害を加えられる事はなかったよ」
胸に手を当て安堵の息をするミラ。
情報通り大人しくしていればそれ以上危害を加えてくる事はなさそうだ。
もしミラが叫んだり武器で抵抗したりしたら命があったのかも分からない。
「それで盗む物を盗んで逃げようとしたところを、私は思わず声を掛けてしまったの。だって、青薔薇と名乗るその人達は見るからに若かったんだもん」
「若いって年齢的には?」
「薄らとしか見えなかったけど多分……高校生ぐらいかな。男と女が二人ずつで声も若かったよ」
奴ら、と口にした時に青薔薇は複数人いる事を確信したが、まさかそんな若い人達が犯人だとは。
しかも青薔薇は四人の組織なのか?
しかし素性が分からない以上決めつける事は出来ない。
世の中には見た目が若くても年齢は年を老いている人だっているからな。
ミラの話とこれまでの情報で結び付けられる事は、犯人は『貧困層で若く、生活をするのが厳しい為に窃盗をしている四人組』といったところだろう。
「なるほど。それでその人達と何か話したのか?」
「話という話はしていないよ。私が思わず『あなた達は何者なの?』って聞いたら『青薔薇』とだけ答えて直ぐに消えちゃった」
「そうか。他には何かあるか?」
「う~ん、ウチが知っている情報はこれくらいかな~?」
頭に指を当て悩む素振りを見せるミラ。
最初から感じていた事だがふわふわした奴だな。
なんか見た目のイメージに合っていないというか……。
「うん、そうだね。ウチが知っている情報はこれくらいだね」
「そっか。貴重な情報をありがとう」
「ううん! いいのいいの! むしろそんな役に立つような情報じゃなくてごめんね?」
「いやいや! ミラの情報は役に立ったよ。ミラに出会えなければこうして新たな情報を得られなかったわけだし」
まぁ実際のところ、貴重な情報では合ったものの信憑性は今のところ低い。
他にもミラと同じような目撃者がいれば信憑性は増すのだが、ミラ一人だけってなると見間違いという可能性も出てくる。
犯人は青薔薇と名乗ったそうだが、もしそれが犯人のその場凌ぎでテキトーに思いついた言葉を口にしただけだったとすればその情報には何の意味もない。
俺達を混乱させる為に言った場合もあるし、組織名なんてないかもしれない。
仮に本当に青薔薇という組織で動いているのだとして、わざわざ証拠になるような事を開示するメリットはどこにもない。
つまり、ミラの情報は有力なのか今のところ判断しにくいという事だ。
結局のところ、犯人を追跡するには犯人そのものの証拠を掴みにいかないといけないという事。
指紋、皮膚、血液といったDNA鑑定が出来れば本人を特定する事に繋げることも出来るのだろうが、それには犯人と直接接触し戦いをしなければならないという命に関わるリスクも生じてしまう。
これに加えて犯人は影で行動するのだからたちが悪い。
コルド王国全員で犯人を探し出すという最終奥義もあるが、どうも行動力に欠けるハーゲスには期待出来ないだろう。
「でも、犯人の足掛かりを追うにしてはまだ足りないかな……」
情報が本当に足りない。このままでは任務が終わるのもいつになる事やら……。
そんな状況に気が遠くなる俺達にミラが案を出してきた。
「……ウチの家に来てみる?」
「えっ?」
「確信があるわけじゃないけど、もしかしたら犯人の残した証拠があるかもしれない。襲われたからこそ犯人が証拠になる物を落としているかもしれないし」
なるほど。犯人に襲われたからこそ近くに犯人の足取りに繋がるものがあるかもしれないという事か。
確かに俺たちは被害に遭った家に直接足を運ぶ事はしなかったな。
「じゃあ折角の機会だからお邪魔しようかな。アリルもいいか?」
「はい。私もお二人に賛成です」
「ミラ、それで大丈夫か?」
「うん、大丈夫。––––––じゃあ、行こっか……」
そう決まったところで俺達はお会計を済まし、お店を後にする。
俺達はミラの後に続きながら雑談をし、家まで歩いて向かって行く。
気付けば俺達三人は既に友達関係かのように盛り上がっていた。
でも俺だけは、ミラが度々見せる暗い表情が頭から離れないでいた。


     ★


ミラ達と共に歩いて一時間が経とうとしている。
気付けば街の中心街から完全に抜け、街は見えなくなり代わりにと言わんばかりに見せるのは森に山だ。
こんな所にミラの家があるのかと疑問に思い、もしかして極度の方向音痴という線も頭によぎったが、幼い頃から住んでいるという事を踏まえればその線はないことに気付く。
実際ミラは迷っている雰囲気は感じ取れず、慣れた足でどんどん道を進んで行く。
「あ、二人には言ってなかったね。ウチの家はこの山奥にあるんだ」
「えっ!? こんな山奥に住んでるのか!?」
「ここからずっと登っていた先の頂上にウチの家があるの。慣れてないと結構しんどいから疲れたら途中で言ってね」
「わ、分かった」
「はい」
「じゃあ、行くよ」
気合を入れ、ミラが山の中に続いている階段を一歩一歩登り始める。
階段の先にはずーっと道が続いていて、ここからでは木に隠されて空が見えない。
見た感じ登山にも利用されているであろうこの場所の先に、本当に家なんてあるのだろうか。
きっと頂上に出ればまた違う景色があるのだろうと思い、俺達もミラに続いて階段を登っていく事に。



更に一時間が経過しようとする頃だろうか。
ミラはペースを一切落とす事なく階段を登って行く。
それに対し俺達も遅れないようにと淡々と登っている為、一度もミラから離される事はなかった。
「二人共、結構体力あるね。普通はここをノーストップで登るのはキツイと思うんだけど」
「俺は幼い頃から鍛え上げられてきたから、きっとそれで大丈夫なのかも」
「へぇ~? 何か習っていたとか?」
「ううん。俺には師匠がいたんだけど、幼い頃に出会ってから色々あって鍛えあげてくれたんだ。今はもう別れて一年も会っていないけど」
「……そうだったんだ。師匠がいたんだ。じゃあ、結構強いね?」
「それはどうだろう。きっと世界には俺より強い人なんて沢山いるよ」
「またまた~。謙遜しちゃって~。本当は強いくせに~。カイは顔も良いし絶対女の子からモテるでしょ?」
「いや、全然だよ」
「ふふ~ん。どうかな~? ––––––アリルは?」
「私もカイ君と似たようなものです。でもカイ君と違ってお師匠さんがいたり、みっちり鍛えてもらったような経験はありません。自分で鍛錬に励んできたようなものです」
「……そうなんだ。お姉さんを追い越せる為に頑張ってきたんだね」
「そうですね。それでも姉さんは私の何倍も強いですが……」
「いつか追い越せるいいね! アリルはお姫様みたいで可愛いし、お姉さんより強くなったら絶対憧れの的になるよ」
「ありがとうございます、ミラさん。必ず強くなってみせます!」
笑みを交わす二人。
二人を見ていると、なんだか友達になったばかりの初々しさを感じてこちらも心があったまる。
防衛隊で活動すればこういう風に他国の人と友達が出来る事もあるんだなぁと初めて感じた。


     ★


ようやく、青空が顔を出した。
その青空は俺達に希望を与えてくれると同時に、頂上までの道のりが後僅かである事を示唆していた。
気持ちが高まる。
俺達は最後の段を登り、遂に頂上へと辿り着いた。
「おぉー!」
「……すごいっ。綺麗ですね」
そこは広々とした草原。
周りは木で囲むように生えており、その先には海が見渡せていた。
夕暮れ時にここから眺めれば写真に収めたくなる絶景が撮れるはずだ。
今だってささやかに海を照らす太陽がキラキラと輝かせ俺達を魅了している。
最初は山奥に住んでいるのはどうなのかと思ったが、いつでもこの絶景を独り占め出来ると考えると、これはこれでありかもしれないと思った。
「すごく綺麗でしょ。いつもみんなでこの景色を眺めながら外でバーベキューをしたりと楽しんでいるんだ」
「それは何とも贅沢な事で」
そりゃあ生活に不満は起きないだろうな。
せいぜい懸念すべき点があるとすれば一時間にも渡る長い階段と虫ぐらいか?
でもそういう類は慣れてしまえば苦痛に感じなくなるという事もあるので、実質無いに等しい事だろう。
ミラ達の家はどこにあるのか探していると端の方にそれはあった。
木製の造りで、いわゆるログハウスだ。
家自体もそれなりに大きく、四人なら窮屈に感じる事なく過ごせそうな感じだ。
家の前には水を撒いたのか、大きな水たまりが出来ていた。
「じゃあ二人共、家の中へどうぞ」
ミラが家の中へと促してきたので、絶景に見惚れていた俺とアリルも家へと向かう。

––––––その時だ。

「––––––!?」

俺とアリルの足元が氷の一面へと変わり、両足が凍らされて動けなくなる。
その隙を突いて背後から糸が飛び掛かり俺とアリルの四肢と背中に付着し、自由を奪われる。
完全に動きを封じられた後、数カ所の水溜りから針状に形を変えた水が無数に出現し同時に襲い掛かってきた。
「こ、これは!?」
(まずいっ!)
アリルは完全に身動きが封じられてしまい、このままでは氷の串刺しとなってしまう。
俺は凍らされた脚を脚力だけで氷をぶち壊す。
そのまま体を捻って付着された糸を素早く手刀で切り離し、体に自由が効いたところでアリルの元まで駆け寄る。

––––––が、惜しくも間に合わない。

俺は向かってくる氷の攻撃をアリルから守ろうと抱き寄せる形を取ったものの、無数の氷の針が俺の背中に突き刺さってしまう。
「ぐぅッ」
「カイ君ッ!!」
背中に容赦無く突き刺さった氷からは赤い血がドクドクと流血していた。
「だ、大丈夫ですか!? 今すぐ治療を––––––」
「––––––アイスハンマー––––––」
「!!」
今度は俺達の頭上に氷で造られた巨大なハンマーが出現し勢いよく迫ってきた。
俺は直ぐにアリルの足に張られた氷を打ち砕き解放。
そしてアリルを抱き寄せたまま移動し、ハンマーの攻撃から回避する事に成功。
だが追い討ちをかけるように氷、水、糸の三種類がそれぞれ別方向から攻撃してくる。
まるで逃げ場を与えないかのように。
「来い––––––ヤヌス!」
囲まれてしまった攻撃。
このまま逃げ続けても埒が明かないうえに、そもそも攻撃をかわせそうにない。
「––––––絶対防御––––––」
俺とアリルを囲むバリアが張られる。
そのバリアと衝撃を起こす全ての攻撃は無残に弾かれた。
「来て––––––織姫!」
アリルの手に星剣が現れる。
剣を手にしたかと思えば、アリルは剣を持つ逆手を俺の背中に合わせてきた。
「––––––ヒール––––––」
そう唱えると、アリルの手を中心にぼんやりと淡い光が現れ俺の背中ごと包み込む。
すると、みるみるうちに傷が修復されていった。
「アリル、お前……」
「……申し訳ございません。回復系はあまり得意じゃありませんので、傷の回復には少々お時間が掛かります」
「いや、その点は大丈夫だ。ありがとな」
アリルが回復系の魔術を扱える事に驚いたのだが今はいいだろう。
敵はこうしている間にも次々と攻撃をしてくるが俺のバリアによって全て無力に終わっている。
途中から攻撃の手を止めたのは魔力の無駄遣使いだと判断した為か、攻撃の手が止んだ。
それと同時に俺の背中の傷は完治していた。
「ありがとう、アリル。助かったよ」
「いえ、私の油断が招いた事です。申し訳ございませんでした」
言うべき事を言い終えた俺達は、バリアを解除し敵に目を向ける。いや、正しくは『ミラ』に対してだ。
「ミラ、これはどういう事だ?」
「…………」
ミラの目は前髪の影に隠れてよく見えない。
だが、口元に不適な笑みが浮かび上がったのだけは見れた。
「どうもこうも、見ての通りだよ」
発せられた声のトーンは今までのミラとは違う。
最初のミラが明るい善人であるならば、今のミラは憎悪に満ち溢れた悪人かのようだった。
「おかしいな。俺達は犯人の手掛かりがあるかもしれないという程でここまで来ただけなんだけど」
「犯人の手掛かり? それなら『もう必要ない』よ。––––––何故なら」
ミラが俺達の後方の誰かに目で合図する。
すると、ミラの他に三人の若い男二人と女一人が姿を現す。
「高校生ぐらいの四人組に紺色のケープ……そうか、お前達が」
ミラの合図で現れた三人。それはミラと同じ仲間である事は明白。
「そう。私達こそが––––––『青薔薇』よ」
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