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職業は専業主婦です
しおりを挟む私は本当に平凡な人生を歩んでいた。
子供達も家を巣立ち、夫と2人でのんびり暮らしていたある日のこと、いつもの買い物の帰り道私は車に轢かれそうになっていた子供を守ろうとして自分が轢かれてしまった。
(…全身打ち付けたはずだったのに全然感覚がないわ。)
目の前には真っ赤な海の中、真っ白な大根が鎮座していた。
(あぁ、安かったのに…。あんなに血がついてたら食べれないわ。あ、洗えば食べらるかしら…?)
死に際だというのに冷静でいる自分に少し呆れた。
(でもまぁ、未来を担う子どもを守って死ぬなんて我ながらカッコイイんじゃないの。)
「あ……………いや…なんで…。」
陰ができたと思ったら小さな男の子が私を見下ろしていた。この子がさっき助けた子なのだろうか?ぼんやりしていて輪郭は全くわからないが、綺麗な声だと思った。
「…っ…や、やだ…やだぁ……。」
…泣いているのだろうか。こんな顔も知らないおばちゃんに…。
(あぁ、なんて優しい子なの。)
人生の最期がこんなにも嬉しく感じるなんて思ってもなかった。私のために泣いてくれてありがとう。そう、伝えたかった。伝わっただろうか。
ここで私の意識は完全に途絶えるのであった。
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