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ここは何処だ…!
しおりを挟む私は死んだ。うん、死んだはずだ。
なのに、何だ。この状況は。目を開けたら強面のおじさん達が私を360度囲んでいた。
「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
な、な゛に゛こ゛れ゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!殺されるの!?いや、売られる!これ、絶対に売られるわ!おばちゃん売ったってお金にならないわよ!顔も中の下と言われてきたし、体だって子どもを産んでから、ぽっこりとお腹も出てきし……………ちょっと悲しくなってきた。とりあえず、誰か助けて!!
「おぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ってか、しゃべれないっ!自分の手を見て驚愕した。何故なら、あるはずのカサカサな手ではなく、もみじのように小さくプニプニとした質感であったからだ。そう、私は赤ん坊に戻っていたのだ。
私は混乱し、泣き叫ぶ。こんなに泣け叫んだのは何年ぶりだろう。もはやアラフォーのプライドの欠片もない。
「お、お嬢!!泣かないでください!」
「ホーラ、いないいないばぁ!」
こえぇぇぇぇぇぇぇぇぇええ!!
こんなに怖いあやしかたじゃ、泣き止むどころかさらに悪化しちゃうわよ!
私が泣き止まず、強面のおじさん達がオロオロしていると、スパンと空気を切るようないい音が部屋に響いた。襖があいたのだ。ここで私はここが和室であることに気付いた。これ、10畳以上あるのかしら。襖をあけた人物に泣きながら目を向けた。
「おぉ。ちぃ、元気に泣いてるなぁ。屋敷中に響いていたぞ。さすが俺の子だな。」
俺の子…。ということはこの人は私の父らしい。髪を後ろに撫で付け、温厚な顔立ちをしていた。
「お、親父!」
「お疲れ様です!!」
私を囲んでいた強面のおじさん達は一斉に頭を下げた。強面のおじさん達に頭を下げられているこの人は一体何者だ。
「よしよし。ちぃ、お父さんが居なくて寂しかったのか?」
父らしき人は私を抱きあげた。た、高い!!180センチぐらいあるのだろうか。かなり床が遠くなった。ごめんなさい!何がごめんなさいかはわからないけどごめんなさい!降ろしてください!
「ははは!本当に元気だなぁ。ちぃなら組を継がせても大丈夫だろう。」
組?継がせる?不安なワードに体が震えた。この人はもしや…。いやいや、まさかね。
「親父、お嬢にもう組長の座を譲る気ですか!?」
く、組長……………?
「おぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
極道、確定。
私は今日一番の泣き声であった。
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