生まれ変わったら極道の娘になっていた

白湯子

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写真と私と父

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あの事件から早8年。私は26歳になっていた。
弟との関係は相変わらずであり、最後にいつ話したかすら覚えていない。弟との関係は大きな問題となっている中、また大きな問題に直面した。

「ちぃ、これなんてどうだ?」
「……若すぎる。」
「それならこっちはどうだ?」
「ちょ、上すぎる。」
「んー。おぉ、これなんて丁度いいじゃないか!」
「え、ナニジン?」

私はここ最近父に呼び出されては、様々な男性の写真を見せられている。その写真はどれも正装を身にまとっており、笑顔は不自然なものが多かった。私が今直面している問題はこの写真。お見合い写真である。

「まったく我侭な娘だなぁ。一体何枚ものお見合い写真を持ってきてると思っているんだ。そろそろお前のことを任せられる男が居なくなってきたんだか。」

この私の前に広がるお見合い写真は、全て父がチョイスした男性たちだ。様々な所に顔が利く父は毎日100枚近くの写真を持ち帰ってくる。1枚1枚見るのに父の解説付きで長いときは3時間もの時間をつかう。そのせいで最近ではお見合い相手に刺されるという悪夢を見るようになった。

「父さん、何度も言いますがお相手は自分で探すのでご心配なく。」
「そんな自分で探すーとか、現れるのを待つーとか言ってると一生独り身だぞ。」

痛いところを突かれた。本音を言えば、私は結婚する気が全くない。なので、相手を探すとかはその場しのぎの嘘だ。中身がオバちゃんであるためか、異性にときめく事はない。どんなに一般的に素敵だと言われている人でも恋愛対象には見えないのだ。そんな私の心境を読み取ったような父はとんでもないことを言った。

「仕方が無い。ちぃ、一週間内に相手が見つからなければ、お父さんが決めた相手と結婚してもらう。」

父の言葉に目を見張った。
何を言っているの……!?

「そうだなぁ。あ、忍なんてどうだ?昔よく遊んでいただろう?」

忍……。
確か、私より1つ年上の従兄弟のことだ。弟ができる前は多少遊んでいた記憶がある。しかし、弟ができた途端、忍をそっちのけで弟ばかり構っていたせいで泣かせてしまった。それ以来10年以上会っていない。「お断りします。」と言おうとした。

「陽だって、姉が独身のままずっと家に居続けるのは嫌だろう。」

……あの可愛らしい弟にさらに嫌われることは避けたい。そして、弟に迷惑をかけることはもっと避けたい。

「一週間後、改めてお前の話を聞く。いいな?」

拒否することは許さない。威圧感のある目が私を撮れえる。その目を前にしては喉まで出た言葉を飲み込んでしまう。今、私の前に居るのは父ではなく、稲月組組長、その人だ。

「……わ、わかりました。」

初めから頷くことしか許されていなかった。






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