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淫夢2
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「少年少女は、やがて大人になる。子供のうちはともかく、大人になった時に親友同士であまりにも距離が近かったら気持ち悪いと思う。
ほどほどの距離を保たないといけなくなるんだ。
どんなに近づきたくっても、それが難しくなる。
そして、いつか君に『恋人』が出来た時、『親友』の優先順位は低くなる。
当たり前だ。誰だって『恋人』と『友人』だったら恋人を取るのさ。
恋人や伴侶、それから仕事なんかを優先し、友人との時間は次第に少なくなる。
友人は時が経つに連れて、優先されなくなる。
きっとそれが、大人になるということ。僕はそれが悲しい。
きみにとっては、どうでもいいことなのだろうけれど。
……ねえ、僕のこれって『恋』なのかな?」
「……知らないよ」
香澄のことは、嫌いじゃなかった。
だけど好きでもなかった。
いや、嫌いだったかもしれない。
今となってはもう、よく分からない。
ただ、他に仲良くする人が居ないから、一緒に居ただけ。
コイツは時々凄く面倒臭いし、意味不明な事ばかり言うし。
他の友達が出来たならば、こんなヤツ、速攻で切ってやるのに。
「僕は恋愛感情というものがいまいちよく分からないよ。
僕は君とずっと一緒に居る為に、君の一番になる為に、君に、優先される為に、
その為に、君の恋人になりたいけれども、でも性行為をするのに抵抗がある。
僕らの絆を肉欲で汚したくはないし、セックスをしたらもう僕らは友達ではなくなる。
僕はもう逃げられなくなる。それが切ないのさ」
男にしては高いけど、女性そのものではないような香澄の声。
その中性的な声を、今でも覚えている。
その口から語られる言葉は、いつだって不思議だった。
「だけど『恋人同士』ではして、『友人同士』ではしないことって言ったらキスやセックスだろう?
勿論セックスをしないカップルも世の中には居るのだろうけれど。
友達から恋人へと関係を変える際に一番手っとり早いのはやっぱり性行為だから。
僕たちの場合は、同性だから、尚更……。
…………ふふ、恋ってなんだろうね。
的欲求を抱かない恋愛感情があるのだとしたら、
友情との区別はどうやってすればいいの?
僕は君を愛しているけれど、この感情が友情なのか恋愛感情なのか分からないよ。
君のこと、たまらなく好きなんだ。
僕は君と会う為に産まれて来たのだと思うし、君とおしゃべりをする為だけに生きていたよ。
そして、君と永遠になる為に…… 死んだのさ」
そんな風に言われても、当時はわけが分からなかった。
だけど、今なら少し分かるよ。
お前が言いたかったことの意味が。
分かるようになってしまったよ。
俺という人間との深い繋がりを求めていた、香澄。
「意味が分からない」
あの時の俺は、幼すぎてそんな冷たい返事しか出来なかった。
もし、あの日、あの時、俺がお前の告白に応えていたら……
そしたらお前は、死ななかった?
俺とお前が、もっと深く繋がれていたら、お前は死んだりしなかった?
「香澄……」
俺は香澄の頬に手を伸ばし、そのまま自分の顔を近づけた。
そして、触れるだけの口づけをする。
お前の気持ちに応え、俺たちの関係を『恋人』に変えていれば……
――そしたら、どうなった?
結局未来は、変わらないだろうか。
だけど、もしそんな事で運命を変えられるのなら、俺はお前の恋人になってやっても良かったよ。
夕焼けに染まる屋上で、暫く香澄と唇を合わせたままでいた。
ほどほどの距離を保たないといけなくなるんだ。
どんなに近づきたくっても、それが難しくなる。
そして、いつか君に『恋人』が出来た時、『親友』の優先順位は低くなる。
当たり前だ。誰だって『恋人』と『友人』だったら恋人を取るのさ。
恋人や伴侶、それから仕事なんかを優先し、友人との時間は次第に少なくなる。
友人は時が経つに連れて、優先されなくなる。
きっとそれが、大人になるということ。僕はそれが悲しい。
きみにとっては、どうでもいいことなのだろうけれど。
……ねえ、僕のこれって『恋』なのかな?」
「……知らないよ」
香澄のことは、嫌いじゃなかった。
だけど好きでもなかった。
いや、嫌いだったかもしれない。
今となってはもう、よく分からない。
ただ、他に仲良くする人が居ないから、一緒に居ただけ。
コイツは時々凄く面倒臭いし、意味不明な事ばかり言うし。
他の友達が出来たならば、こんなヤツ、速攻で切ってやるのに。
「僕は恋愛感情というものがいまいちよく分からないよ。
僕は君とずっと一緒に居る為に、君の一番になる為に、君に、優先される為に、
その為に、君の恋人になりたいけれども、でも性行為をするのに抵抗がある。
僕らの絆を肉欲で汚したくはないし、セックスをしたらもう僕らは友達ではなくなる。
僕はもう逃げられなくなる。それが切ないのさ」
男にしては高いけど、女性そのものではないような香澄の声。
その中性的な声を、今でも覚えている。
その口から語られる言葉は、いつだって不思議だった。
「だけど『恋人同士』ではして、『友人同士』ではしないことって言ったらキスやセックスだろう?
勿論セックスをしないカップルも世の中には居るのだろうけれど。
友達から恋人へと関係を変える際に一番手っとり早いのはやっぱり性行為だから。
僕たちの場合は、同性だから、尚更……。
…………ふふ、恋ってなんだろうね。
的欲求を抱かない恋愛感情があるのだとしたら、
友情との区別はどうやってすればいいの?
僕は君を愛しているけれど、この感情が友情なのか恋愛感情なのか分からないよ。
君のこと、たまらなく好きなんだ。
僕は君と会う為に産まれて来たのだと思うし、君とおしゃべりをする為だけに生きていたよ。
そして、君と永遠になる為に…… 死んだのさ」
そんな風に言われても、当時はわけが分からなかった。
だけど、今なら少し分かるよ。
お前が言いたかったことの意味が。
分かるようになってしまったよ。
俺という人間との深い繋がりを求めていた、香澄。
「意味が分からない」
あの時の俺は、幼すぎてそんな冷たい返事しか出来なかった。
もし、あの日、あの時、俺がお前の告白に応えていたら……
そしたらお前は、死ななかった?
俺とお前が、もっと深く繋がれていたら、お前は死んだりしなかった?
「香澄……」
俺は香澄の頬に手を伸ばし、そのまま自分の顔を近づけた。
そして、触れるだけの口づけをする。
お前の気持ちに応え、俺たちの関係を『恋人』に変えていれば……
――そしたら、どうなった?
結局未来は、変わらないだろうか。
だけど、もしそんな事で運命を変えられるのなら、俺はお前の恋人になってやっても良かったよ。
夕焼けに染まる屋上で、暫く香澄と唇を合わせたままでいた。
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