僕の親友に捧げる

粒豆

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淫夢6

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セックスが終わったあと、香澄と手を繋いで屋上の地面に寝そべっていた。
香澄の手は冷たくて、温度を感じない。
やっぱりこれは夢なんだと思った。


「これで良かったのか?」

「……分からない、よ。何も分からない」

「もう、いいだろ。そろそろ俺を離してくれよ」

お前の葬式に出た。墓参りにも行った。ご両親に会った。
自殺の理由について、何か知らないかって聞かれたから、お前のご両親に、事情を話して謝った。


「…………これ以上、何をすればいい?
 何をすればお前を忘れられるんだろう。
 何をすれば俺は、自分を許せるんだ?」


きっと、薺という人間を許せないのは、香澄ではなく、俺自身だ。
他の誰でもない俺が、俺の事を許せていない。
だから、香澄の夢を見続ける。
夢の中で香澄の恋人になってやったって、何も変わらなかった。
抱いても、抱かれても、無駄だった。無意味だった。

――そりゃそうだ。

俺がまだ、俺を許せていないんだから。
だから、今ここに居る香澄も全然幸せそうじゃないんだ。
香澄は悲しげに眉を顰め、目は涙で潤んでる。
今にも零れそうな目のフチに溜まった涙が、夕日に照らされている。
俺が自分自身を許せない限り、きっとこの香澄も満足してくれない。消えてくれない。
だから、俺は、これからもきっと、香澄の夢を見続ける。
それは淫夢であるかもしれないし、悪夢であるかもしれない。
香澄は、俺以外に友達が居なかった。
俺も香澄しか、友達が居なかった。
お互いにお互いが、唯一の友達だった。
俺は唯一の友達との約束を破った。
親友の自殺を食い止める事が、出来なかった。

俺がただひとこと、

『馬鹿なことはやめておけ』

そんな風に言っていれば、香澄は死んだりしなかったかもしれない。

約束の時刻に、約束の場所に来なかった俺を、香澄は怨んでいるかもしれない。
そう思うと、罪の意識に押し潰されそうになるんだ。
俺に約束を破られた時、お前はどう思った?

悲しかった? 怒った? どうでも良かった?

そんな事を、10年以上が経った今でも、ずっと考えている。
もう戻らない、約束の日、約束の場所。
香澄との、最期の約束。最低な約束。

俺の、少年の日……。

俺の青春は、楽しかった思い出までもが全て、香澄の血で赤く染まってしまった。
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