42 / 42
42.祝福を
「この国に嫁ぐの、嫌になった?
シャハルには追いかけられるし、ジャニスには罵倒される。
もうこれからは学園も静かになると思うけど…。つらい思いばかりさせてごめん。」
別邸に戻って来て数日、ようやく魔力が全て回復した。
今なら私の意思一つで婚姻が完了できる。
それに気が付いているジルが少し離れた場所から、寝台の上で待つ私に問いかける。
「どうして寝台に入ってこないの?」
「近づくと抱きしめちゃうから…。自動的に。」
自動的だったんだ。それは知らなかった。
すごく自然に抱きしめられるし、そばにいるなぁと思ってた。
その答えがおかしくて、思わず笑ってしまう。
「来て?自動的に抱きしめて?」
そう言うと大人しく寝台にもぐりこんでくる。
それと同時に首の下に手が回され、腕枕状態でぎゅっと抱きしめられる。
「シャハル王子やジャニス王女は大変だったけど、
ジルに嫁ぐのが嫌になったことは無いよ?」
「本当?」
「うん。」
額をくっつけながら話すと、すぐにキスされそうになって、首筋に抱き着いた。
キスしたいけど、まずはちゃんと話したい。
ジルはキスがよけられたとつぶやいてショックを受けている。
笑いそうになるけど、耳元でささやくように話をつづけた。
「私が魔力を流したら、もう結婚したことになるんでしょ?
そうしたらもう無かったことにはできないのよね?」
「そうだよ。だからリアが後悔しないと思ったら流して。」
「ジルは、後悔しない?」
驚いたように視線を合わされる。
思わず目をそらそうとして、両頬に手を添えられた。
すぐ近くにジルの目がある。眼鏡のない、私だけが見れる素顔のジル。
じっと目を合わせてくるから、そらして逃げたくなる。
「怖がってる?リア?」
「…怖いの。ジルが後悔するんじゃないかって。」
ここまで来ても自信が無かった。
もし、一度でも、ちょっとでもジルが後悔するようなことがあれば、
私はもう立ち直れないと思った。
魔力暴走のせいでジルの魔力を受け取ってしまった。
意識がない死にかけた私を助けるために、
あまり考えないで魔力を流してくれたのだろう。
でも今は?誰も死にかけてない。
冷静になった時に、それでも私で良かったと思ってくれるんだろうか。
怖かった。ジルを自分のものにしてしまって、本当に良いんだろうかと。
「その怖い気持ちも、俺に全部くれないか?」
「え?」
「魔力って、感情も一緒に流れてくるんだ。
俺はリアの気持ちも全部受け止めたい。
良い感情だけじゃなくて、怖いとか不安だとか。
そういうのも全部ひっくるめて、俺のものになってほしい。」
「…いいの?」
「うん。いいんだよ。」
抱き着いて、そのままくちびるを合わせる。
どこから流れて行くのかわからないくらい、全身で魔力を伝える。
好きだって思いも、今までのつらかった記憶も、これから一緒にいたい希望も。
全部全部流れて、どこまでも続いていくように流れて。
全てを受けとめてもらえたと思った時、魔力の流れが止まった。
「終わった?」
「終わったよ。リア、ありがとう。うれしい。」
「うん。こちらこそ、ありがとう。」
そのままもう一度キスしたら、もう止まらなかった。
婚姻するまではとジルが我慢してくれていたけれど、もう我慢はいらない。
キスしたくちびるは離さずに、夜着が脱がされて行く。
気が付いたらお互いに裸で、言葉は交わさなかったけど、
求められているのがわかってうなずいた。
もうすべてをジルのものにしてほしい。
強く抱きしめられ、ぎゅっと目を閉じた。
魔力交換したらしばらくは顔を見せられないって、こういうことだったんだ。
気が付いたら三日が過ぎていて、またミトに心配をかけてしまっていた。
一応ミトはリンとファンから説明を受けていたようだけど、
レミアス国とは違う習慣に信じられなかったようだ。
「まだ不安がある?」
「ううん、大丈夫。」
魔力交換したせいなのか、不安や怖さが薄れていた。
もしかしたら本当にジルが持って行ってくれたのかもしれない。
ジルが国王になるのか宰相になるのか、もうどちらでも良かった。
二人でいれば、何とかなると思えた。
ちょっとだけ心配そうなジルに微笑んで、自分から飛びつくように抱きしめた。
シャハルには追いかけられるし、ジャニスには罵倒される。
もうこれからは学園も静かになると思うけど…。つらい思いばかりさせてごめん。」
別邸に戻って来て数日、ようやく魔力が全て回復した。
今なら私の意思一つで婚姻が完了できる。
それに気が付いているジルが少し離れた場所から、寝台の上で待つ私に問いかける。
「どうして寝台に入ってこないの?」
「近づくと抱きしめちゃうから…。自動的に。」
自動的だったんだ。それは知らなかった。
すごく自然に抱きしめられるし、そばにいるなぁと思ってた。
その答えがおかしくて、思わず笑ってしまう。
「来て?自動的に抱きしめて?」
そう言うと大人しく寝台にもぐりこんでくる。
それと同時に首の下に手が回され、腕枕状態でぎゅっと抱きしめられる。
「シャハル王子やジャニス王女は大変だったけど、
ジルに嫁ぐのが嫌になったことは無いよ?」
「本当?」
「うん。」
額をくっつけながら話すと、すぐにキスされそうになって、首筋に抱き着いた。
キスしたいけど、まずはちゃんと話したい。
ジルはキスがよけられたとつぶやいてショックを受けている。
笑いそうになるけど、耳元でささやくように話をつづけた。
「私が魔力を流したら、もう結婚したことになるんでしょ?
そうしたらもう無かったことにはできないのよね?」
「そうだよ。だからリアが後悔しないと思ったら流して。」
「ジルは、後悔しない?」
驚いたように視線を合わされる。
思わず目をそらそうとして、両頬に手を添えられた。
すぐ近くにジルの目がある。眼鏡のない、私だけが見れる素顔のジル。
じっと目を合わせてくるから、そらして逃げたくなる。
「怖がってる?リア?」
「…怖いの。ジルが後悔するんじゃないかって。」
ここまで来ても自信が無かった。
もし、一度でも、ちょっとでもジルが後悔するようなことがあれば、
私はもう立ち直れないと思った。
魔力暴走のせいでジルの魔力を受け取ってしまった。
意識がない死にかけた私を助けるために、
あまり考えないで魔力を流してくれたのだろう。
でも今は?誰も死にかけてない。
冷静になった時に、それでも私で良かったと思ってくれるんだろうか。
怖かった。ジルを自分のものにしてしまって、本当に良いんだろうかと。
「その怖い気持ちも、俺に全部くれないか?」
「え?」
「魔力って、感情も一緒に流れてくるんだ。
俺はリアの気持ちも全部受け止めたい。
良い感情だけじゃなくて、怖いとか不安だとか。
そういうのも全部ひっくるめて、俺のものになってほしい。」
「…いいの?」
「うん。いいんだよ。」
抱き着いて、そのままくちびるを合わせる。
どこから流れて行くのかわからないくらい、全身で魔力を伝える。
好きだって思いも、今までのつらかった記憶も、これから一緒にいたい希望も。
全部全部流れて、どこまでも続いていくように流れて。
全てを受けとめてもらえたと思った時、魔力の流れが止まった。
「終わった?」
「終わったよ。リア、ありがとう。うれしい。」
「うん。こちらこそ、ありがとう。」
そのままもう一度キスしたら、もう止まらなかった。
婚姻するまではとジルが我慢してくれていたけれど、もう我慢はいらない。
キスしたくちびるは離さずに、夜着が脱がされて行く。
気が付いたらお互いに裸で、言葉は交わさなかったけど、
求められているのがわかってうなずいた。
もうすべてをジルのものにしてほしい。
強く抱きしめられ、ぎゅっと目を閉じた。
魔力交換したらしばらくは顔を見せられないって、こういうことだったんだ。
気が付いたら三日が過ぎていて、またミトに心配をかけてしまっていた。
一応ミトはリンとファンから説明を受けていたようだけど、
レミアス国とは違う習慣に信じられなかったようだ。
「まだ不安がある?」
「ううん、大丈夫。」
魔力交換したせいなのか、不安や怖さが薄れていた。
もしかしたら本当にジルが持って行ってくれたのかもしれない。
ジルが国王になるのか宰相になるのか、もうどちらでも良かった。
二人でいれば、何とかなると思えた。
ちょっとだけ心配そうなジルに微笑んで、自分から飛びつくように抱きしめた。
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
好きにしろ、とおっしゃられたので好きにしました。
豆狸
恋愛
「この恥晒しめ! 俺はお前との婚約を破棄する! 理由はわかるな?」
「第一王子殿下、私と殿下の婚約は破棄出来ませんわ」
「確かに俺達の婚約は政略的なものだ。しかし俺は国王になる男だ。ほかの男と睦み合っているような女を妃には出来ぬ! そちらの有責なのだから侯爵家にも責任を取ってもらうぞ!」
王太子殿下が私を諦めない
風見ゆうみ
恋愛
公爵令嬢であるミア様の侍女である私、ルルア・ウィンスレットは伯爵家の次女として生まれた。父は姉だけをバカみたいに可愛がるし、姉は姉で私に婚約者が決まったと思ったら、婚約者に近付き、私から奪う事を繰り返していた。
今年でもう21歳。こうなったら、一生、ミア様の侍女として生きる、と決めたのに、幼なじみであり俺様系の王太子殿下、アーク・ミドラッドから結婚を申し込まれる。
きっぱりとお断りしたのに、アーク殿下はなぜか諦めてくれない。
どうせ、姉にとられるのだから、最初から姉に渡そうとしても、なぜか、アーク殿下は私以外に興味を示さない? 逆に自分に興味を示さない彼に姉が恋におちてしまい…。
※史実とは関係ない、異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。
【完結】身を引いたつもりが逆効果でした
風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。
一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。
平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません!
というか、婚約者にされそうです!
【完結】大好き、と告白するのはこれを最後にします!
高瀬船
恋愛
侯爵家の嫡男、レオン・アルファストと伯爵家のミュラー・ハドソンは建国から続く由緒ある家柄である。
7歳年上のレオンが大好きで、ミュラーは幼い頃から彼にべったり。ことある事に大好き!と伝え、少女へと成長してからも顔を合わせる度に結婚して!ともはや挨拶のように熱烈に求婚していた。
だけど、いつもいつもレオンはありがとう、と言うだけで承諾も拒絶もしない。
成人を控えたある日、ミュラーはこれを最後の告白にしよう、と決心しいつものようにはぐらかされたら大人しく彼を諦めよう、と決めていた。
そして、彼を諦め真剣に結婚相手を探そうと夜会に行った事をレオンに知られたミュラーは初めて彼の重いほどの愛情を知る
【お互い、モブとの絡み発生します、苦手な方はご遠慮下さい】
【完結】女王と婚約破棄して義妹を選んだ公爵には、痛い目を見てもらいます。女王の私は田舎でのんびりするので、よろしくお願いしますね。
五月ふう
恋愛
「シアラ。お前とは婚約破棄させてもらう。」
オークリィ公爵がシアラ女王に婚約破棄を要求したのは、結婚式の一週間前のことだった。
シアラからオークリィを奪ったのは、妹のボニー。彼女はシアラが苦しんでいる姿を見て、楽しそうに笑う。
ここは南の小国ルカドル国。シアラは御年25歳。
彼女には前世の記憶があった。
(どうなってるのよ?!)
ルカドル国は現在、崩壊の危機にある。女王にも関わらず、彼女に使える使用人は二人だけ。賃金が払えないからと、他のものは皆解雇されていた。
(貧乏女王に転生するなんて、、、。)
婚約破棄された女王シアラは、頭を抱えた。前世で散々な目にあった彼女は、今回こそは幸せになりたいと強く望んでいる。
(ひどすぎるよ、、、神様。金髪碧眼の、誰からも愛されるお姫様に転生させてって言ったじゃないですか、、、。)
幸せになれなかった前世の分を取り返すため、女王シアラは全力でのんびりしようと心に決めた。
最低な元婚約者も、継妹も知ったこっちゃない。
(もう婚約破棄なんてされずに、幸せに過ごすんだーー。)
婚約者を奪われた私が悪者扱いされたので、これから何が起きても知りません
天宮有
恋愛
子爵令嬢の私カルラは、妹のミーファに婚約者ザノークを奪われてしまう。
ミーファは全てカルラが悪いと言い出し、束縛侯爵で有名なリックと婚約させたいようだ。
屋敷を追い出されそうになって、私がいなければ領地が大変なことになると説明する。
家族は信じようとしないから――これから何が起きても、私は知りません。