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2章 学園編

3.昼ご飯

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「ねぇ、ねぇ。名前なんて言うの?
 私遅れてきちゃったから、最初の説明を聞いていないの。
 これから一緒にお昼食べながら教えてくれない?」

「…最初の説明なんて無かったよ。」

「えぇ~?そうなの?
 じゃあ、それはいいからお昼ご飯一緒に食べよう?」

「…断る。」

「え!どうして!?
 せっかく一緒のクラスなんだから、仲良くしたいのに~。
 きゃっ!やだにらまないで~!怖い!」

「え?」

レイニードとミーアが話しているのを見ていただけなのに、
ミーアに怖がられてしまった。
涙目のミーアを見ていると自分が何かしてしまったのかと思う。
私、気が付かないうちにミーアをにらんでいたのだろうか?

「行こうか。」

「え?」

「良いから、行くよ。」

レイニードに手をつながれて、そのまま教室の外に連れて行かれる。
振り返ってみると、ミーアににらまれていた。

「もう!そんな意地悪な女なんかほっとけばいいじゃない!」

そんな声が聞こえて来たけれど、
ミーアの声を無視してレイニードはそのまま外に出て行こうとしている。

「レイニード?」

「あんなの気にしなくていい。
 ご飯食べるところ探そう?」

「…うん。」

せっかく同じクラスに女の子が二人いるのに、
一人は仲良くしてもらえ無さそうだった。
まだ一言も話してないのにな…。少しだけ悲しくなってしまう。


どこかお弁当を広げられるような場所は無いかと探していると、
校舎の脇に木で出来たテーブルセットがいくつか並んで置いてあった。
場所から考えると魔術師科の学生が使っていいのだろう。
一つのテーブルには6人が座れるようになっている。

「ここにしようか。」

「そうだね。ちょうど木の陰になっていて、良い感じ。」

制服のローブの両ポケットが収納魔術のものになっていて、
右側には勉強道具が、左側にはお弁当が収納されている。
そこからテーブルにお弁当を出して並び終えた頃、後ろから声をかけられた。

「ねぇ、俺たちもここで食べてもいいかな?」

ファルカとルリナだった。手に持っているのはお弁当だろう。
レイニードが私を見て確認するので、頷いて了承する。

「いいよ。」

「ありがとう。…ルリナは真ん中に座って。俺は端に座るから。」

「それ、何か意味があるのか?」

「ん?もし、あの女が追いかけてきても、俺の隣に座らないように。」

「…なるほど。じゃあ、俺もそうしよう。エミリア、真ん中に座って?」

「うん。」

ルリナの向かい側に私、ファルカの向かい側にレイニードが座ると、
妙に落ち着いた気持ちになった。
なぜか、ずっと昔から知ってる人と一緒にいるような。

「あらためてルリナです。仲よくしてくれるとうれしい。」

「エミリアです。私も…お友達いなくて。
 ルリナとお友達になれたらうれしい。」

少し猫目のようなルリナの目がくるくる楽しそうに動くのを見て、
思わずふふっと笑ってしまう。
それを見てルリナも笑いかけてくれたから、友達になれそうでうれしくなる。

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