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23.手にしたものは
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「エラルドとはもう婚約解消しました」
「え?嘘言わないでよ。
じゃあ、どうして私が修道院に行かなきゃいけないのよ」
婚約解消したことを伝えても、ラーラ様は理解しなかった。
それを見て、エルネスト様が呆れたように言う。
「全部わかってやっていたのかと思ったが、そこまでは賢くなかったのか。
お前たちのしたことは婚約解消する原因になったんだぞ。
しかも三人同時に令嬢と身体の関係になるだなんて非常識もいいところだ。
これが知られたらどうなると思う?」
「どうって…だから、エラルドに責任を取ってもらって」
「そんなことでは責任は取れない。
もし噂にでもなれば、恥ずかしくて社交界にも出られない。
家の者はお前を修道院に行かせて責任を取らすつもりなんだろう。
お前だけじゃない、エラルドも令嬢たちも処罰があるはずだ」
「……うそ。婚約解消したら私が正妻になって、
二人が愛人として生活すればいいって……思って」
「本当に馬鹿だな。そうやって四人で一緒になったとして、
誰が生活費を出せるんだ?」
その言葉にラーラ様は黙った。
もしかして考えてなかったのかな。
エラルドは三男だし、上の兄弟とは母親が違う。
しかもブリアヌ家は王宮貴族だから働かなければお金が入ってこない。
文官にも騎士にもなれないエラルドに、妻と愛人二人を養うことは無理だ。
「修道院に入れるにも寄付金がかかる。
お前の処罰はまだいいほうだろう。
そんなこともわかっていないんだろうな」
「だって……じゃあ、ディアナ様が私たちを認めてくれたらよかったのに。
最初の話の時に、私たちを側近として認めてくれたら、
身体の関係なんてなくたって我慢できたのに」
「それこそ、おかしな話だ。
婿のエラルドはともかく、働きもしない令嬢三人をどうやって養うんだ?
社交シーズンはカファロ領に残る気なのか?」
「社交シーズン?一緒に夜会に出るに決まってるじゃない」
「その旅費は?ドレスや装飾品、化粧品のお金は誰が払うんだ?」
「それは……」
「出しませんよ?カファロ領民の大事なお金です。
必要のない愛人のドレス代だなんてありえない。
領民から預かっている税を無駄遣いすることは許しません」
大事な大事な税収だ。そんな馬鹿なことに使うわけがない。
そう言ったらラーラ様ににらみつけられる。
「なんでディアナ嬢をにらむんだ。
お前、そんなことしてみろ。領民に殺されるぞ」
「は?殺される?私が?」
「ディアナ嬢はカファロ侯爵家の一人娘、いわばカファロ領の姫なんだぞ。
婿が愛人三人連れてきて遊んで暮らしてたらどう思われる?
自分たちの税で豪遊しているなんてわかったら、
ディアナ嬢が見ていないところで殺されて捨てられるだろうよ」
「……カファロってそんな野蛮なところなの?」
「お前が殺されてもおかしくないことをしようとしていたんだ。
地方領地なんてどこもそんなもんだぞ。
カファロ家の血が入っていない子どもなんて論外だ。
生まれた瞬間捨てられるに決まっている」
「……」
ラーラ様は中途半端に貴族社会の慣習を学んで、
身体の関係があれば責任を取ってもらえると誤解してたのかもしれない。
でも実際はそんな簡単なものではない。表に出せない話ばかりだ。
「私があなたたちにできることは何もないわ。
もうすでにエラルドとは無関係だから。
修道院のことはご両親と話してもらえる?」
「そんな!」
やってはいけないことをしたとようやく気付いたのか、
ラーラ様が青ざめて目に涙がたまっていく。
ぽろぽろ泣き出してしまったけれど、誰も慰める気にはなれない。
この場から離れよう、そう思ったら見つかってしまった。
エラルドとジャンナ様とエルマ様が泣いているラーラ様に駆け寄ってくる。
どうやら一人で私に会いに来たラーラ様を探しに来たようだ。
「ラーラ!どうして泣いているんだ!」
「……しまった。こいつらまで来たか」
「え?ちょっと、ディアナ、ラーラに何か言ったの?」
「ディアナ、もう行こう」
「え?」
「もうかかわらないほうがいい」
エラルドがラーラ様を慰めながら私に聞いてきたが、
アルフレード様に肩を抱かれ離れるように言われる。
「……そうですね」
「ディアナ、ちょっと待ってよ!」
「……エラルド。話はラーラ様から聞いてちょうだい」
「ラーラから?」
「ええ、そうよ」
もうこれ以上ここにいてもできることはないし、
エラルドたちが処罰のことを聞いて騒ぐのに巻き込まれたくない。
アルフレード様とエルネスト様に送られて、王都の屋敷に戻った。
学園の寮の荷物は使用人たちが運んできてくれる。
「あれから学園で騒いでいないといいのですが」
「騒いでいても俺たちのせいじゃない」
「そうだよ。もう卒業したんだし、関係ないよ」
「そうですよね……」
ちょっとだけ心配ではあったが、もう心配しても関係はない。
明日からはアルフレード様の婚約者として、
王宮などに顔合わせに行かなくてはいけない。
もうエラルドのために使う時間なんてない。
私が暗い顔をしていたからか、アルフレード様とエルネスト様は、
そのまま夕食まで残ってお祖父様とお祖母様に会ってくれた。
二人ともエラルドのことで心配してくれていたから、
久しぶりの笑顔を見せることができて、本当に良かったと思う。
「それじゃあ、ディアナ。明日は昼すぎに迎えに来るから」
「ええ。わかりました」
「あー。俺、ちょっと。アル、ここで待ってて」
何か忘れ物でもしたのか、見送ろうとしたらエルネスト様が応接室に戻っていく。
なんだろうと思っていたら、アルフレード様に抱きしめられる。
「え?」
「抱きしめるだけ、だから。
エルが戻ってくるまでの間だけ……」
「はい……」
大きなアルフレード様の腕の中に閉じ込められると、
すべての不安が消えていく気がする。
あたたかくて、すべてを包み込まれているようで、ほっとする。
無事に卒業できるまで、
どこか緊張しながら過ごしていたのかもしれない。
使用人たちに見られているし、離れなくちゃいけないのに、
アルフレード様から離れがたくて何も言えない。
そのままエルネスト様が戻ってくるまで、
少しだけ長い時間を二人で過ごした。
「え?嘘言わないでよ。
じゃあ、どうして私が修道院に行かなきゃいけないのよ」
婚約解消したことを伝えても、ラーラ様は理解しなかった。
それを見て、エルネスト様が呆れたように言う。
「全部わかってやっていたのかと思ったが、そこまでは賢くなかったのか。
お前たちのしたことは婚約解消する原因になったんだぞ。
しかも三人同時に令嬢と身体の関係になるだなんて非常識もいいところだ。
これが知られたらどうなると思う?」
「どうって…だから、エラルドに責任を取ってもらって」
「そんなことでは責任は取れない。
もし噂にでもなれば、恥ずかしくて社交界にも出られない。
家の者はお前を修道院に行かせて責任を取らすつもりなんだろう。
お前だけじゃない、エラルドも令嬢たちも処罰があるはずだ」
「……うそ。婚約解消したら私が正妻になって、
二人が愛人として生活すればいいって……思って」
「本当に馬鹿だな。そうやって四人で一緒になったとして、
誰が生活費を出せるんだ?」
その言葉にラーラ様は黙った。
もしかして考えてなかったのかな。
エラルドは三男だし、上の兄弟とは母親が違う。
しかもブリアヌ家は王宮貴族だから働かなければお金が入ってこない。
文官にも騎士にもなれないエラルドに、妻と愛人二人を養うことは無理だ。
「修道院に入れるにも寄付金がかかる。
お前の処罰はまだいいほうだろう。
そんなこともわかっていないんだろうな」
「だって……じゃあ、ディアナ様が私たちを認めてくれたらよかったのに。
最初の話の時に、私たちを側近として認めてくれたら、
身体の関係なんてなくたって我慢できたのに」
「それこそ、おかしな話だ。
婿のエラルドはともかく、働きもしない令嬢三人をどうやって養うんだ?
社交シーズンはカファロ領に残る気なのか?」
「社交シーズン?一緒に夜会に出るに決まってるじゃない」
「その旅費は?ドレスや装飾品、化粧品のお金は誰が払うんだ?」
「それは……」
「出しませんよ?カファロ領民の大事なお金です。
必要のない愛人のドレス代だなんてありえない。
領民から預かっている税を無駄遣いすることは許しません」
大事な大事な税収だ。そんな馬鹿なことに使うわけがない。
そう言ったらラーラ様ににらみつけられる。
「なんでディアナ嬢をにらむんだ。
お前、そんなことしてみろ。領民に殺されるぞ」
「は?殺される?私が?」
「ディアナ嬢はカファロ侯爵家の一人娘、いわばカファロ領の姫なんだぞ。
婿が愛人三人連れてきて遊んで暮らしてたらどう思われる?
自分たちの税で豪遊しているなんてわかったら、
ディアナ嬢が見ていないところで殺されて捨てられるだろうよ」
「……カファロってそんな野蛮なところなの?」
「お前が殺されてもおかしくないことをしようとしていたんだ。
地方領地なんてどこもそんなもんだぞ。
カファロ家の血が入っていない子どもなんて論外だ。
生まれた瞬間捨てられるに決まっている」
「……」
ラーラ様は中途半端に貴族社会の慣習を学んで、
身体の関係があれば責任を取ってもらえると誤解してたのかもしれない。
でも実際はそんな簡単なものではない。表に出せない話ばかりだ。
「私があなたたちにできることは何もないわ。
もうすでにエラルドとは無関係だから。
修道院のことはご両親と話してもらえる?」
「そんな!」
やってはいけないことをしたとようやく気付いたのか、
ラーラ様が青ざめて目に涙がたまっていく。
ぽろぽろ泣き出してしまったけれど、誰も慰める気にはなれない。
この場から離れよう、そう思ったら見つかってしまった。
エラルドとジャンナ様とエルマ様が泣いているラーラ様に駆け寄ってくる。
どうやら一人で私に会いに来たラーラ様を探しに来たようだ。
「ラーラ!どうして泣いているんだ!」
「……しまった。こいつらまで来たか」
「え?ちょっと、ディアナ、ラーラに何か言ったの?」
「ディアナ、もう行こう」
「え?」
「もうかかわらないほうがいい」
エラルドがラーラ様を慰めながら私に聞いてきたが、
アルフレード様に肩を抱かれ離れるように言われる。
「……そうですね」
「ディアナ、ちょっと待ってよ!」
「……エラルド。話はラーラ様から聞いてちょうだい」
「ラーラから?」
「ええ、そうよ」
もうこれ以上ここにいてもできることはないし、
エラルドたちが処罰のことを聞いて騒ぐのに巻き込まれたくない。
アルフレード様とエルネスト様に送られて、王都の屋敷に戻った。
学園の寮の荷物は使用人たちが運んできてくれる。
「あれから学園で騒いでいないといいのですが」
「騒いでいても俺たちのせいじゃない」
「そうだよ。もう卒業したんだし、関係ないよ」
「そうですよね……」
ちょっとだけ心配ではあったが、もう心配しても関係はない。
明日からはアルフレード様の婚約者として、
王宮などに顔合わせに行かなくてはいけない。
もうエラルドのために使う時間なんてない。
私が暗い顔をしていたからか、アルフレード様とエルネスト様は、
そのまま夕食まで残ってお祖父様とお祖母様に会ってくれた。
二人ともエラルドのことで心配してくれていたから、
久しぶりの笑顔を見せることができて、本当に良かったと思う。
「それじゃあ、ディアナ。明日は昼すぎに迎えに来るから」
「ええ。わかりました」
「あー。俺、ちょっと。アル、ここで待ってて」
何か忘れ物でもしたのか、見送ろうとしたらエルネスト様が応接室に戻っていく。
なんだろうと思っていたら、アルフレード様に抱きしめられる。
「え?」
「抱きしめるだけ、だから。
エルが戻ってくるまでの間だけ……」
「はい……」
大きなアルフレード様の腕の中に閉じ込められると、
すべての不安が消えていく気がする。
あたたかくて、すべてを包み込まれているようで、ほっとする。
無事に卒業できるまで、
どこか緊張しながら過ごしていたのかもしれない。
使用人たちに見られているし、離れなくちゃいけないのに、
アルフレード様から離れがたくて何も言えない。
そのままエルネスト様が戻ってくるまで、
少しだけ長い時間を二人で過ごした。
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